コラム記事

村上隆、KAWSや河村康輔など|歴代のユニクロUTアーティストコラボまとめ

洋服、時計、カバンなどのあらゆるファッションアイテムにおいて、近年アーティストとのコラボレーション商品が多く見られるようになりました。

ファッションとアートのコラボレーションには長い歴史があり、その希少性からコラボレーションアイテムは特別で高価なものであることが多かったと思います。

そんな中で、アーティスト、ブランド、アニメや映画など多岐に渡るカルチャーとのコラボレーション商品がより一層、一般に普及するきっかけを作ったのが、日本を代表するアパレルブランド、ユニクロのTシャツプロジェクト「UT」です。

今回は、ユニクロUTのアーティストコラボ商品に焦点を当てていきます。

ユニクロのTシャツプロジェクト「UT」とは?

ユニクロは、世界に1000以上の店舗を持つ日本発のグローバルアパレル企業で、シンプルで洗練されたデザインと低価格・高品質のアパレル商品を展開しています。

2003年、現在のUTのきっかけとなるユニクロのTシャツプロジェクトとして、「Tシャツを、もっと自由に、面白く。」をテーマに毎年幅広いコラボレーション商品の企画・販売がスタートしました。

ユニクロUT
引用:Japan Web Magazine「UNIQLO UT Collaboration with Pokemon, One Piece, Animal Crossing and more」https://jw-webmagazine.com/uniqlo-pokemon-one-piece-animal-crossing-and-more/

他に例を見ないほどの数のTシャツを生み出し、世界で人気を集め続けたこのプロジェクトは、2007年以降クリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和氏を主導に、「UT」としてTシャツに特化したブランドとして確立させてきました。

2022年には、デザインを監修するクリエイティブディレクターが10年ぶりに交代し、コラージュ・アーティストの河村康輔氏が就任しています。

Tシャツは、世界の様々な場所を見ても、多くの人が1着は持っていて、自身のスタイルや好きなものを表現するために用いられるカジュアルアイテムです。

UTは、そのTシャツを媒体として、様々なコラボレーション企画を元に、新しい文化を作っており、幅広い層のファンを集め続けています。

また、UTのコラボレーション自体は、新進気鋭のデザイナーやアーティストのサポートにも繋がっています。

KAWS村上隆などの著名な現代アーティスト達も、まだ世の中にその名が知られ始める前にユニクロUTコレクションとコラボレーション作品を製作しタコとが、世界中のファンを増やすきっかけの1つとなったといいます。

過去にヒットした歴代アーティストコラボUT

アニメ、アート、キャラクター、ブランドなど、多岐に渡る分野とのコラボレーションを通じてTシャツを作り続けてきたユニクロUT。

中でも注目を集めた現代アーティスト達との、歴代のコラボレーションTシャツコレクションをピックアップしました。

村上隆 ×ドラえもん

村上隆ドラえもん
引用:Fashionsnap.com「ユニクロが「ドラえもんUT」発売、村上隆の作品がTシャツやぬいぐるみに」https://www.fashionsnap.com/article/2018-04-05/doraemonut-murakamitakashi/

日本が生んだ現代アーティストの巨匠と国民的アニメのコラボレーションとして、日本の文化をうまく世界に発信できていたのが、2018年の村上隆(以下、村上)とドラえもんのコラボコレクションです。

UTだからこそ実現したこの企画を通して、村上の代表作「お花」などの特別なアートワークを取り入れた今までにないドラえもんのTシャツやぬいぐるみが販売されました。

KAWS

KAWS UT

2021年6月、UTはアート・トイの先駆者として知られる現代ポップアーティストKAWSとコラボし、KAWSの日本初の大型個展「KAWS TOKYO FIRST」にちなんだ特別な全7種類のコレクション「KAWS UT」を発売しました。

過去には2016 年に、UTはKAWSとのコラボレーション商品を販売し、人気が殺到したようです。

KAWSはユニクロやナイキなどのブランドとのコラボレーション商品をきっかけに知名度を上げ、2017年には作品の平均販売価格が4万2000ドルからほぼ倍の8万2000ドルへと急上昇しました。

山口歴

山口歴
引用:Burart「【第2弾】山口歴(Meguru Yamaguchi)x UNIQLOコラボウェア@道玄坂店」https://burart.jp/2019/03/meguru-yamaguchi-uniqlo/

ストリートシーンからも注目を集め、様々なアパレルブランドからもコラボオファーがかかっている現代アーティスト山口歴(以下、山口)。

伝統的なブラッシュストローク、また独自のカットアンドペーストという手法を用いられているのが特徴の山口の作品からは、ダイナミックで力強さを感じます。

2018年、2019年とこれまで2度UTとのコラボレーションTシャツを手がけ、人気を集めました。

草間彌生

ユニクロ草間彌生
引用:https://fashion.aucfan.com/yahoo/r408241592/

2014年には、ユニクロとニューヨーク近代美術館(MoMA)の共同プロジェクト「SPRZ NY(エスピーアールゼット・ニューヨーク)」から、草間彌生の作品とのコラボレーションUTがリリースされました。

草間のオリジナルアートワークをモチーフにデザインした、メンズ・ウィメンズのグラフィックTシャツやタンクトップなどのラインナップが発表されました。

アンディ・ウォーホル、ジャン・ミシェル・バスキア、キース・ヘリング

アンディウォーホル
バスキア
キースへリング
引用:GEEKSPIN「UNIQLO UNVEILS UT COLLECTION HONORING ANDY WARHOL, JEAN-MICHEL BASQUIAT, AND KEITH HARING」https://geekspin.co/uniqlo-ut-andy-warhol-jean-michel-basquiat-keith-haring-collection/

それぞれ世界的な人気を集めるポップアーティストの、アンディ・ウォーホルジャン・ミシェル・バスキアキース・ヘリングとコラボした商品が販売中です。

彼らの象徴的なアートワークをフィーチャーした、Tシャツ、スニーカー、キャップ、トートバッグ、傘など幅広いラインナップで注目を集めています。

森山大道

森山大道
引用:UNIQLO Philippineツイッター(https://twitter.com/UNIQLOPH/status/1416925758304436224)

ストリートスナップで知られる現在85歳フォトグラファー森山大道(以下、森山)の作品を用いた5種類のTシャツが販売中です。

今回UTのデザインに採用された写真は、半世紀以上にわたって写真を撮りつづけている森山がニューヨークやパリで撮影したものから、青森県三沢市で撮影した森山の傑作として有名な「三沢の犬」まで多岐にわたります。

ロイ・リキテンスタイン

ロイ・リキテンスタイン
引用:UNIQLO(https://www.uniqlo.com/us/en/ut-graphic-tees/roy-lichtenstein)

アンディ・ウォーホルと並ぶ1960年代アメリカのポップアートのレジェンドとして有名なロイ・リキテンスタインの「ガール」シリーズ、「スプレー缶」などのアイコニックな作品をフィーチャーしたシリーズも人気を集めています。

葛飾北斎

葛飾北斎 ユニクロ
引用:IICF「ユニクロから葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」からブルーに焦点を当てたコレクションが発売 (UNIQLO)」https://www.seprace.com/search/29-uniqlo-hokusaiblue

なんと、世界にジャポニズムを巻き起こした日本画を代表する浮世絵師、葛飾北斎の作品とのコラボレーションTシャツも販売中です。

富嶽三六景の「神奈川沖波裏」「凱風快晴(通称:赤富士)」などの有名な作品をフィーチャーしながらも、現代的にカジュアルにデザインされており、日本の浮世絵の魅力がTシャツという新しい形で伝わる面白いコラボレーションになっています。

アンディウォーホル フラワーコレクション

アンディ・ウォーホル
引用:https://classy-online.jp/fashion/264987/

20世紀を代表するアメリカのアーティスト、アンディ・ウォーホルが描いた花々にフォーカスした「アンディ・ウォーホル フラワーズ コレクション」は、2023年の4月10日(月)~8月31日(木)の期間に発売され、人気を集めました。

さまざまな被写体を描いたウォーホルですが、花を描いた作品もたくさんあり、その表現を追求していたことがわかります。

河村康輔コラボのUT

現在、UTのクリエイティブ・ディレクターに就任した河村康輔氏は、コラージュ・アーティスト、グラフィックデザイナー、アートディレクターとして活躍しています。大手アパレルブランドなどへのグラフィック提供、コラボレーションTシャツの制作、ライブ、イベント等のフライヤー、DVD・CDのジャケット、書籍の装丁、広告等のデザイン、ディレクションを手掛けてきました。

UTには2019年にコラボレーターとして初めて参画し、2023年にUTの新しいクリエイティブ・ディレクターに就任しました。

ストリートスタイルが得意である河村氏は、UTの形をトレンドのビックシルエットに変え、生地の厚みも変え、価格も見直すなど、すでに大きな変化をもたらしています。

これまでは比較的知的財産とのコラボアイテムばかりでしたが、今後は『アンダーグラウンドだけどすごくかっこいいもの』と『大衆向けで著名なもの』をおさえたデザインを展開していく予定だといいます。

ドラゴンボール × 河村康輔

河村康輔「ドラゴンボールUT」
引用:https://fnmnl.tv/2019/09/17/81255

2019年11月、河村康輔のUTとの初めてのコラボとして制作されたのが、ドラゴンボールZとのコラボレーション・コレクションである「ドラゴンボールUT」です。

Tシャツとスウェットの全28柄を、コラージュ手法を用いてドラゴンボールZのロゴやイラストを再構築したデザインは、『今までに誰も見たことのないドラゴンボール』が表現されており、注目を集めました。

アンディウォーホル × 河村康輔

「Andy Warhol × Kosuke Kawamura UT」
引用:https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/item/l1095067079

2021年2月8日から販売された「Andy Warhol × Kosuke Kawamura UT」では、ポップアートの代表的なアーティストであるアンディ・ウォーホルの作品を題材としたコラボレーション・コレクションを展開しました。

ウォーホルのポップ・アートを題材に、河村康輔が新たなコレクションとして制作したこのコレクションでは、ウォーホル作品において特に有名なモチーフであるキャンベルスープ缶やバナナが河村がによって再構築され、斬新でスタイリッシュなデザインに生まれ変わっています。

チェンソーマン × 河村康輔

チェンソーマンUT
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/98d78067b267a3ad0b737569a6022a77654963c8

チェンソーの悪魔と契約し、「チェンソーマン」としてよみがえったデビルハンターの少年・デンジの戦いを描いたTVアニメ「チェンソーマン」は、放送開始直後から人気を集めているアニメです。

現在UTのクリエイティブディレクターを務める河村康輔氏とのコラボレーションにより、作品の世界観を大胆かつ緻密に再構築しつつもスタイリッシュに仕上がったコレクションとなっています。

海外で買える特別なUT

MoMaデザインストア

ロバート・インディアナ
引用:MoMa Design Store https://store.moma.org/accessories/apparel/uniqlo-robert-indiana-love-t-shirt/11891.html

アメリカ・ニューヨークの近代美術館(MoMA)のMoMaデザインストアでは、LOVEのオブジェで有名なアーティスト、ロバート・インディアナや、動植物や自然界を題材にした作品が多く知られるルイーズ・ブルジョワの作品を取り上げたTシャツが販売されています。

ハワイ限定UT

ユニクロハワイ限定UT
引用:WanderLuStyle「THE BRANDS HAWAIIAN LOCO UT COLLECTION AT UNIQLO」https://wanderlustyle.com/uniqlo-localbrands2020/

また、ユニクロハワイ限定のUTも、海外で購入できる特別な商品として人気を集めています。

レナーズ・ベーカリーやハワイアン航空などのハワイ発の有名なブランドやショップをピックアップしてデザインされたTシャツは、お土産にもぴったりです。

UTGP(UTグランプリ)

UTGP(UTグランプリ)スター・ウォーズ
引用:https://www.uniqlo.com/au/en/contents/feature/utgp/2023/

UTGP(UTグランプリ)とは、Tシャツを一つのキャンバスととらえ、誰もが自由な発想で表現できるコンペティションとして、2005年からスタートしたユニクロ独自のTシャツデザインコンペです。

2023年度は、ディズニーの100周年記念として、ディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズにインスパイアされたテーマでのコンペティションが開催されました。

世界中から10,456件の応募があり、審査員によってHiroyuki Morita(日本)やPsychkennedy(台湾)、Jim Chen-Hsiang Hu(台湾)などの作品が選出されました。

2024年度のUTグランプリ「ルーヴルの発見(DISCOVERIES OF THE LOUVRE)」
引用:https://www.uniqlo.com/us/en/contents/feature/utgp/2024/

2024年度のUTグランプリのテーマは、ルーヴル美術館の所蔵作品(ピラミッド、ロゴ、パブリックドメインでない作品以外)を使用することができる「ルーヴルの発見(DISCOVERIES OF THE LOUVRE)」となっており、

日本時間の2023年7月18日から9月15日が応募期間でした。2024年の夏に結果が発表される予定となっています。

まとめ

ただのカジュアルアパレルブランドではなく、様々な文化的な活動を後押ししているユニクロ。

ニューヨーク近代美術館(MoMa)は、毎週金曜日の夕方5時半以降、ユニクロのスポンサーにより無料で入場することができることで有名です。

ユニクロのUTプロジェクトも、これまで15年以上に渡り、幅広いアーティスト、ブランド、アニメなどとのコラボレーションによって新しいカルチャーを作り出してきています。

UTというプロジェクトを通して、手軽に購入できる価格帯のカジュアルアイテムを提供し、アーティストの作品に触れることができたり、知らなかったアーティストとの出会いを生み出したりと、ユニクロはアート界でも作品と一般の人々を繋げることに大きく貢献していると感じました。

参考

UNIQLO UT:https://www.uniqlo.com/us/en/ut-graphic-tees

MoMaデザインストア:https://store.moma.org/accessories/featured/uniqlo-at-moma

Fashion Journal:「The art of collaboration with UNIQLO UT」https://fashionjournal.com.au/fashion/the-art-of-collaboration-with-uniqlo-ut/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。