【フェルナンド・ボテロ】なぜモナ・リザをふくよかに描くのか?経歴や代表作、コロンビアにある美術館などを紹介

Fernando Botero
アーティスト紹介
fernando botero

DATA

ニックネーム
なんでもふくよかに描いたコロンビアの巨匠
作者について
南米コロンビアを代表するフェルナンド・ボテロの作品は、対象物を豊満に描いた独特のユーモアと社会批評を融合させたユニークなスタイルが高く評価されてきました。「モナ・リザ 12歳」などが代表作です。

現在の値段

約84,904,008円(直近36ヶ月の平均落札価格)

2021年「La Cantante」約250,891,982円(Christie's)189 x 155 cm
2022年「La Casa de Rosalba Correa」約194,473,109円(Bonhams)179.2 x 192 cm
2023年「Dancing Couple」約160,870,752円(Christie's)149.9 x 108.0 cm
2024年「The Musicians」約819,036,408円(Christie's)217.2 x 189.9 cm

フェルナンド・ボテロの作品は、クリスティーズなどの大手アートオークションハウスにて、数千万円〜億単位での取引がされています。有名な絵画や彫刻作品が特に高値で落札されています。2023年に91歳で亡くなったこともあり、さらに注目を集めているのか、2024年に入ってからも頻繁に取引が行われているようです。
ボテロオークション価格

フェルナンド・ボテロの経歴

フェルナンド・ボテロ
引用:https://www.artforum.com/news/fernando-botero-1932-2023-294804/

フェルナンド・ボテロ(Fernando Botero)は、1932年4月19日、コロンビアのメデジンに生まれ、20世紀から21世紀にかけて活躍しました。わずか4歳の時に父親を亡くしたボテロは、質素な家庭で育ちました。裁縫師の母親は家計のやりくりに苦労してましたが、幼い頃から芸術に興味を持っていたボテロを常に支えていたそうです。

メデジンのイエズス会学校で、ボテロは芸術への興味をさらに膨らませ、16歳の時に初めて描いたイラストが地元の新聞に掲載されたことが、が彼の芸術家としてのキャリアの始まりとなりました。

1951年にコロンビアの首都であるボゴタに移り、レオ・マティス画廊で初の個展を開催します。

1952年、ボテロはスペインのマドリードに渡り、サン・フェルナンド・アカデミアに入学しました。そこで古典的なスペイン美術、特にベラスケスとゴヤの作品に触れたことは、ボテロの作風に大きな影響を与えたといいます。また、フランスのパリとイタリアのフィレンツェでも美術を学んでおり、ここでは後にボテロの作品に浸透するルネサンス期の技法を学んだそうです。

ボテリスモ フェルナンド・ボテロ
引用:https://emergingdestinations.com/do-you-know-boterismo/

ボテロの作品の独特のスタイルといえば、誇張された官能的なフォルムが特徴的でしょう。このスタイルは1950年代後半から用いられ始めたそうです。この独自のスタイルは『ボテリスモ』と形容され、誇張されたプロポーションの人物を特徴として、政治的、社会的、文化的テーマを探求するために用いられました。

ただ気まぐれにユニークな表現であるだけでなく、ボテロの作品は、様々な事象に対して批判的なメッセージを表現していることも面白い点です。

「芸術は楽しくなくちゃ」。ボテロの作品は素朴でユーモアあふれるものが多いが、コロンビアでの爆弾テロやアブグレイブ刑務所における捕虜虐待など、社会的な悲劇も絵画として残している。なぜボテロは絵を描くのか。そして芸術の役割とはなんなのか。本作はボテロというひとりの画家を通して、普遍的な問いも投げかけている。

美術手帖 https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/25422

1962年、アメリカのイリノイ州にあるミルウォーキー・アート・センターで個展を開いたことが大きなきっかけとなり、世界的に広く知られるようになり、ボテロの作品は世界中の主要美術館や個人コレクターに収集されるようになったのです。

晩年、ボテロは世界的に作品を制作、展示し続けました。パリ、モナコ、ニューヨーク、イタリアを行き来し、各地にアトリエを構えました。国際的な名声にもえてからも、ボテロは自国コロンビアのルーツとの結びつきを深く持っており、よく地元のメデジンにも戻っていました。

ボテロは2023年9月15日に、肺炎などが理由となり、モナコの自宅にて91歳で亡くなりました。

フェルナンド・ボテロの代表作品

「モナ・リザ、12歳」1959年

ボテロの最も有名な初期作品のひとつである作品「モナ・リザ、12歳」は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作「モナ・リザ」を、ボテロ特有のボリューム感のあるスタイルで再解釈した作品です。

特徴的なふくよかさと穏やかな表情を持つ少女が描かれ、古典的なテーマに対するボテロ独自のアプローチが表現されています。

「大統領一家」1967年

「大統領一家」フェルナンド・ボテロ
引用:https://www.pinterest.com/pin/358739926550216207/

「大統領一家」は政治権力と腐敗を批判した作品で、豪奢な環境の中でグロテスクにふくよかな家族を描いたものです。

誇張された人物の姿からは、政治界のエリートたちの不条理を浮き彫りにしています。

「パブロ・エスコバルの死」1999年

引用:https://culturacolectiva.com/en/art/botero-pablo-escobar-paintings-story/

「パブロ・エスコバルの死」はコロンビアのカルテルの『麻薬王』として悪名高いパブロ・エスコバルを扱った力強い作品です。

弾丸の炎の中で銃殺されるエスコバルの姿が描かれ、麻薬取引がコロンビア社会に与えた影響の大きさを象徴しているのがわかります。

「馬」2008年

フェルナンド・ボテロ 馬
引用:https://artofthehorse.net/2015/02/10/fernando-boterocolombian-artist/

著名な彫刻作品である「馬」は、ボテロの独特なスタイルが三次元に変換された彫刻作品の一つです。たくましく、丸い馬は堂々と立ち、力強さと活力が体現されています。

ボテロ美術館(Museo Botero)

コロンビアのボゴタにあるボテロ美術館(Museo Botero)には、代表作「モナ・リザ、12歳」を含む彼の膨大なコレクションとプライベート・コレクションの作品が展示されています。

市内の中心エリアにあるこの美術館は、美しい中庭の周りに展示室がいくつかに分かれてあり、絵画作品、彫刻作品ともに幅広い作品を鑑賞できます。

素晴らしいコレクションが揃っているのにも関わらず、ボテロ美術館は現在コロンビアの中央銀行が運営しているらしく、入場料は無料となっています。

フェルナンド・ボテロの映画とドキュメンタリー

「Botero: Born in Medellín(ボテロ:メデジンに生まれて)」2008年

ドキュメンタリー映画「Botero: Born in Medellín(ボテロ:メデジンに生まれて)」
引用:https://www.justwatch.com/us/movie/botero-born-in-medellin

2008年に公開されたドキュメンタリー映画「Botero: Born in Medellín(ボテロ:メデジンに生まれて)」では、ボテロの人生とキャリアが詳しく紹介されています。

この映画では、ボテロの芸術的な道のり、影響を受けたもの、そして彼の作品を形作った個人的な経験について探求しています。ボテロとその家族へのインタビューも収録され、ボテロが美術界に与えた影響を包括的に捉えています。

映画「フェルナンド・ボテロ 豊満な人生」2022年

引用:https://filmarks.com/movies/100388

人間も静物も、対象物を豊満に描き、素朴でユーモアあふれる独自のスタイルが愛される巨匠フェルナンド・ボテロが90歳を迎えた2022年に公開された映画「フェルナンド・ボテロ 豊満な人生」は、ボテロのアーティストとしての人生の軌跡を辿ることができる作品となっています。

ボテロは90歳になってもなお毎朝アトリエに通い、多幸感あふれる独創的な作品を生み出し続けましたが、本作では幼い頃に父を失った貧しい少年が、闘牛士学校に通いながらスケッチ画を描いていた頃から、対象物をぽってりと誇張する『ボテリズム』に目覚め、『モナ・リザ、12歳』のMoMA展示で一躍注目を浴びアート界の頂点へとたどり着いた華々しい経歴を描くとともに、一方で南米のコロンビア出身という出自で差別され、世界の美術界がポップアートや抽象表現主義全盛期だった中で具象画を描く頑なさを批判されたというアーティストが直面した現実についても描いています。

愛息の死、自身の利き手の一部を失うなどの悲劇を含む衝撃の過去についても触れながら、ボテロの生涯を振り返っています。

まとめ

南米コロンビアを代表するフェルナンド・ボテロの作品は、独特のユーモアと社会批評を融合させたユニークなスタイルが高く評価されてきました。

私も昨年コロンビアに行った際に、ボゴタにあるボテロ美術館に行って、「モナ・リザ、12歳」などのボテロの有名な作品の数々を鑑賞してきました。2023年に91歳で亡くなられたボテロのファンが多く集まっていました。

一度見たら忘れないようなインパクトのあるボテロの作品には、多くの人々が惹き込まれ、その絵画が伝えようとするメッセージを読み解くために作品の前にじっと立ち止まる様子が見られました。

フェルナンド・ボテロの遺産は、彼の作品の革新性と大胆さにあるでしょう。ボテロのユニークな芸術的ビジョンと独特なスタイルは、国際的な賞賛をもたらしただけでなく、現代美術にも大きな影響を与えていると言えます。ボテロは、そのふくよかで誇張された人物像を通して、見る者に異なる視点から世界を見るよう促し、認識を覆し、人間の経験の豊かさを称え続けてきました。

参考

Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Fernando_Botero

Google Arts and Culture https://artsandculture.google.com/partner/museo-botero-bogota

画像引用元:https://www.thoughtco.com/fernando-botero-4588156

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。