コラム記事

アートファンドとは?仕組みや参加のメリット、節税方法などを紹介

絵画などのアート作品を購入することで税制上のメリットがあることは知っていますか?

超富裕層と言われる層は、資産の5%をアートなどの収集品として保有していると言われており、アートは資産運用や分散投資の一つの手段として捉えられています。

今回は、会社経営者や個人事業者などが活用できる、『アートファンド』について、その仕組みやメリット、参加方法などを紹介していきます。

アートファンドとは?

アートファンドを利用した美術品への投資
引用:https://www.vinovest.co/blog/investing-in-art

アートファンドとは、複数の投資家が資金を出し合い、その資金を用いて美術品やアート関連の資産を取得したり、管理する美術品や芸術作品を対象とした投資ファンドのことを指します。

主な目的は、投資家によるアート市場へのアクセスを容易にし、アートコレクションを構築することで資産の多様化を図ることです。

アートファンドは、昨今のアート市場の拡大、芸術品の価値の上昇などによって、成長中であり、今後も引き続き伸びていくと見込まれています。

一般的にパブリックアート基金とは、一般投資家や機関投資家が、芸術品購入のための寄付を行うための機関であるのに対し、プライベート・アート・ファンドは、富裕層などを中心とした限られた投資家や専門家がアート作品を投資や収益を目的として購入する市場です。

これらはどちらも、アートコレクションの販売や展示を通じてアート業界の成長を促進し、アーティストやアート市場自体の盛り上がりに貢献しています。

アートファンドの仕組み

投資家は、アートファンドの一部として資金を出資でき、芸術品の投資に精通した専門家のファンドマネージャーがこれらの資金を適切に運用します。

ファンドマネージャーは、アート市場で美術品やアート関連の資産を選定して、購入あるいは投資をします。

投資家の出資による資金で購入・投資することにより取得されたアート資産は、それぞれのケースに応じて適切な保管や保険が施され、必要に応じて展示や販売が行われます。

アートファンド自体が比較的新しく、2000年代から主流になってきたそうです。国内外にさまざまなアートファンドがありますが、それぞれ所属している専門家が、市場価格やオークションでの過去の実績などからアーティストや作品の評価を適切に行い、通常の投資会社と同じように成長銘柄、安定銘柄などを割り出して、戦略的に投資することをサポートしています。

アートファンドのメリット

作品を保有・保管する必要がない

投資の一種、または資産形成の一環として、美術品に投資する場合、適切な形での現物の保管は難易度も高いため、ハードルが上がってしまうという方も多いことでしょう。

アートファンドに参加することで、保管を自身で行う必要がなくなるため、個別に美術品を所有しなくても、投資のみにフォーカスすることができます。

個別に美術品を所有する楽しみは失われますが、特に装飾に使ったり、所有することにこだわりがない場合には、これらの保管に関連する不便を回避することが可能です。

比較的少額の出費から投資できる

アート作品は、多くの場合高価に取引されているため、個人での購入はなかなか難しいこともあるでしょう。アートファンドを通じた共同購入に参加すれば比較的少額の出資でもアート投資に参加することができます。

日本では、まだこのような機会は比較的少ないようですが、アート市場の大きい欧米諸国では一般的に行われているようなので、注目しておいても良いでしょう。

分散投資ができる

アートファンドでは複数の投資家によって資金が提供されたり、複数の美術品に投資することで、個々の投資家のリスクが分散されることが、アートファンド利用の大きなメリットと言えるでしょう。アート市場においての資産の流動性の向上によって、投資による利益を得ることができます。

アートの分散投資によって、特定の美術品に依存することなく、安定した投資ポートフォリオを構築することができるでしょう。

専門家のアドバイスを受けられる

また投資家は、アートファンドを通じてアート市場に精通した専門家が選定したアート資産に投資することができるため、『何に投資したら良いかわからない』という場合でも、信頼するアドバイザー、コンサルタントを頼ることができます。

美術品の価値や相場などは、アートが好きな人にとっても一般の人々には理解・予測が難しいため、ここの美術品についてのアドバイスをもらえるような頼れる存在がいることは心強いですし、リスクの軽減にもつながるでしょう。

アートファンドへの参加方法

参加方法や投資条件はファンドごとに異なるようですが、アートファンドに参加するには、一定の投資額や投資期間、手数料などの条件があります。

日本においては、2015年に法人税制が改正されたことによって、美術品の減価償却資産判定額が、20万円未満から100万円未満にまで引き上げられました。(※ただし古美術品を除く)

これによって、現在は会社の経費で展示用に美術品を購入しやすくなったため、節税のために美術品を購入しつつ、投資的な目的で活用することもできるようになっています。

法人以外でも個人事業主も対象になっており、この税制改正を活用してくれるファンドもあるそうです。

まとめ

アートファンドは、アート市場へのアクセスを拡大し、投資家にリスク分散と専門知識へのアクセスを提供します。

アートへの投資に興味がある方は、ぜひアートファンドへの参加を検討してみましょう。

参考

Zooオンライン「富裕層向けビジネスとして注目の「アートファンド」は税制メリット大」 https://zuuonline.com/archives/229124

アートファンド市場:種類、用途、地理による包括的な評価 

野村資本市場研究所 http://www.nicmr.com/nicmr/report/repo/2021/2021win14.pdf

画像引用元:https://www.bankrate.com/investing/how-to-invest-in-art/ 

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。