2021年もあと2週間ほどとなりました。冬休み、久しぶりに自宅でゆっくり過ごす時間が取れるときに読書をしたいという方も多いのではないでしょうか。
今回は、美術好きの方にオススメしたいアート関連の本をまとめてご紹介します!
アート好きの方にオススメの本・画集
「芸術家の家―作品の生まれる場所」
芸術家たちの生活と制作の場となった住まいを紹介している本で、アートやインテリアデザインが好きな方にオススメな一冊です。
ルネ・マグリット、ギュスターヴ・モロー、クロード・モネなど個性豊かな14人の画家、彫刻家たちの家の中を覗くことができる本書は、ファッション雑誌「Elle」などの写真を撮影しているフォトグラファーによるスタイリッシュな写真が魅力的で、眺めているだけでも癒されます。
「怖い絵」
早稲田大学で講師を務めている中野京子の「怖い絵」シリーズは、2007年に出版されて以来ベストセラーとなり、著者監修のもとで2017年には展覧会「怖い絵 展」が兵庫県立美術館、上野の森美術館で開催されるなどアートファン必読のシリーズです。
美しい歴史的絵画の数々の背景にある恐怖のストーリーを解説しているシリーズを読めば、殺人、陰謀、悲劇、怨恨など様々なドラマがあることを知ることができ、絵画の鑑賞をまた違った観点でより深く楽しむことができます。
上記の写真は、ポール・ドラローシュによる「レディ・ジェーン・グレイの処刑」で、16歳の若さで処刑されてしまったイングランド史上初の女王レディ・ジェーン・グレイの死刑執行前の様子を描いたものです。
「恋する西洋美術史」
「恋する西洋美術史」は、西洋美術史を恋愛という新たな角度から探り、芸術家たちの心の内や当時の社会情勢などの背景を読み解いていくことができる、美術史家・池上英洋の著作です。
クロード・モネ、パブロ・ピカソなどおなじみの画家たちも登場し、アーティストたちの恋愛事情、さらには奔放な性生活などのような人間味を感じる裏事情とともに、芸術家たちやその絵画作品、西洋美術史を辿っていくことができます。
「ピカソの陶芸」
「ゲルニカ」「泣く女」などで知られる美術界の巨匠、パブロ・ピカソが、実は晩年に陶芸作品も約4000点ほど制作していたことを知っていますか?
第二次世界大戦後、ピカソは南フランスにある陶器の街ヴァロリスで、陶芸作品の制作をはじめました。
「ピカソの陶芸」では、天才芸術家の陶芸作品のうち210点を見ることができます。
陶工が制作した陶器のデザインを一捻りし、絵付けをメインで行なっていたとはいえ、絵画作品に劣らずユニークなフォルムや色使い、細かくアーティスティックな作品ばかりで、見ているだけでも楽しくインスピレーションをもらうことができます。
「アート思考―ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法」
「アート思考―ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法」では、グローバルに活躍する現代のビジネスエリートにとって欠かせない教養である1980年代以降の現代アートに焦点を当て、現代アートにおける問題提起やその世界観を、ビジネスマンが必要とするスキルやマインドセットに置き換えて解説しています。
著者の東京藝術大学の大学美術館館長、練馬美術館館長である秋元雄史は、香川県の直島アートプロジェクトや石川県の金沢21世紀美術館などの成功におけるキーパーソンとして知られている、アート×ビジネスの第一人者です。
アートを絡めたビジネス本を読みたい方にオススメです。
「バンクシー アート・テロリスト」
謎に包まれた匿名のストリートアーティスト、バンクシーとは、何者なのか?その姿に迫る一冊です。
政治的意味合いを持ったその作品以外にもパフォーマンスがうまく世界中にファンがいるアーティストであるバンクシー。
本書では、老舗オークションハウスで億単位で作品が落札される現代を代表するアーティストになるまでの、ストリートから始まったバンクシーの軌跡を辿って、その人間性や活動について深掘りすることができます。
日本でも各地でバンクシー展が開催されていますが、展覧会の予習にも良いかもしれません。
「教養としてのアート 投資としてのアート」
最近、日本の一般人で初めての宇宙飛行に成功した前澤友作が日本のアートコレクターとして有名ですが、アート作品を美術館やギャラリーに行って楽しむだけでなく、購入し、資産として保有している人はどれぐらいいるのでしょうか?
日本には、アート鑑賞を楽しむ人が多くいるのにも関わらず、その資産的な価値に気づき、アートに投資をしている人はまだ圧倒的に少ないそうです。
本書には、アート売買の専門家である株式会社タグボートの徳光健治による、投資対象としてのアートについての知識、仕組み、ノウハウが詰め込まれており、投資としてのアートに興味がある方への入門書としてオススメです。
「ファン・ゴッホの手紙I・II」
近代美術の父、フィンセント・ファン・ゴッホについての最新の研究の成果が詰め込まれた「ファン・ゴッホの手紙I・II」は、現存する903通のゴッホの手紙の中から、彼の芸術観や制作意図を知るためのキーとなる265通をファン・ゴッホ美術館の専門スタッフが厳選して制作した2巻セットです。
耳切り事件などの狂人エピソードで知られるゴッホではありますが、弟テオへの感謝の気持ちや短い共同生活を送ったポール・ゴーギャンに当てた詩のような手紙など、彼の手紙を読んでみると彼の繊細な人間味を感じることができます。
手紙に添えられたスケッチ約100点も、すべてカラーで収録されているので、ゴッホの作品のファンの方にはぜひ読んでみてほしいです。
「鑑賞のためのキリスト教美術事典」
西洋美術史を学んだ方なら、その前半がどれほど宗教画で占められているかご存知でしょう。
宗教画を理解するには、キリスト教の知識が欠かせません。
「鑑賞のためのキリスト教美術事典」を読めば、西洋美術を楽しむ上で知っておきたいキリスト教について、イラストを交えた解説によってわかりやすく解説されているため、西洋美術についてより深く理解して楽しむことができます。
「ヘンタイ美術館」
ルネサンス、バロック、19世紀、印象派の4つのテーマでそれぞれ3人の画家を取り上げてその『ヘンタイ』っぷりにフォーカスし、著者の想像で解説している「ヘンタイ美術館」は、アートをより身近に感じることができる一冊です。
美術というとなんだか上品なお話しかできないような高尚なイメージを持つ方も多いかもしれませんが、本書のように飲みながらアートについて違った角度で雑談するというのも楽しいのではないでしょうか。
「図説 モネ「睡蓮」の世界」
印象派の巨匠、クロード・モネの作品で最も有名な「睡蓮」シリーズとその関連作品308点をまとめて収録し、解説してくれるのが「図説 モネ「睡蓮」の世界」です。
最初期の作品から晩年の大装飾画まで、モネが約30年かけて描き続けた睡蓮シリーズについて、その背景に迫るとともに、美しい絵を自宅で楽しむことができるため、モネのファンの方々にはぜひ手に取っていただきたい一冊としてお勧めします。
まとめ
美術館やギャラリーを巡ったりアート関連のイベントに行って、直接美術品を鑑賞するのも楽しいですが、本でじっくりとアートに関する知識をつけたり、深く考察することで、より一層アートの世界を楽しむことができると思います。
ぜひ興味のあるアーティストや年代、美術様式からピックアップして、好きな分野の美術について深掘りして見てください。
冬休みにオススメのアートイベントや美術館については、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね!
参考
アートをめぐるおもち「絶対読むべき面白いアートの本をまとめました!美術の本でおすすめはコレ!」https://omochi-art.com/wp/art-book/
warakuweb「あのピカソが陶芸作品を大量に作ってたってあなたは知ってる?日本の民藝との意外な共通点って?」https://intojapanwaraku.com/craft/123914/
アート思考研究会「アート思考〜ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法〜」https://artthinkingjapan.org/books/560/
flier「教養としてのアート 投資としてのアート」https://www.flierinc.com/summary/1984
新潮社「《没後130年》記念出版
ファン・ゴッホの手紙 I・II」https://www.shinchosha.co.jp/news/article/2396/
GetNavi「アートがグッと身近になる『ヘンタイ美術館』を読んで、美術館へ行こう!」https://getnavi.jp/book/625622/
honto「図説モネ「睡蓮」の世界」https://honto.jp/netstore/pd-book_30193939.html