経歴
山口歴(以下、山口)は1984年生まれ、東京渋谷区出身の近代アーティストです。
7歳から7年間絵画教室で西洋画を学びました。絵画を習うきっかけは、ドラゴンボールの漫画家の鳥山明に憧れていたためだそうです。
高校卒業後は、東京藝術大学を目指すため予備校に通ったものの、三浪してしまった山口は同期の美大生たちが卒業後アーティスト活動をせずに就職していく姿を見て、美大に進むよりもニューヨークに渡ることを決意したそうです。
2007年に山口はアメリカ・ニューヨークに渡り、語学学校に通いながら、以前から憧れていた日本人現代アーティストの松山智一の元でアシスタントをはじめました。
アシスタントとしてのスタジオでの制作活動に5年間関わった山口は、ニューヨークでの多忙な生活の中、夜中に自身の作品を制作していました。
そんな中、まだアーティストとしてその名が知られていなかった当時の山口に、東京の現代アートギャラリーのグループ展「GROUPSHOW3」への参加のチャンスが訪れます。
そして、2011年に参加したそのグループ展にて、山口は松山智一のアシスタントをしながらも夜中にコツコツと書き溜めてきた作品8点を出品、作品は初日に全て完売しました。
この展覧会へ参加がきっかけとなり、山口のアーティストとしての知名度は徐々に上がっていき、現在では絵画だけでなくスケートボードの彫刻やビルの壁面、そしてナイキやHUF、ユニクロなどのアパレルブランドのとコラボレーションをするようになりました。
サブカルチャー、大衆文化、ハイカルチャーの域を超え起用されるアーティストとして人気を集めています。
山口の作品は、飛び散る絵の具が印象的です。自身が考案した「カットアンドペースト」と呼ばれる手法を用いています。
この手法は、絵の具をプラスチックシートの上に並べて乾燥させた後、絵の具を切ったり剥がしたり貼り付けたりすることで、立体的な筆致をコラージュするのように表現しています。床に飛び散った絵の具を貼り合わたことがきっかけで生まれた技法です。
山口歴の作品例
「ROOTS OF TEARS」
2011年に制作された「ROOTS OF TEARS」は、SNS上の友人の写真を使用して作成されたポートレイトシリーズで、印象派画家たちの作品にも影響を受けた山口が『現代的な風景画や肖像画とは?』と考えて制作した作品だそうです。
「OUT OF BOUNDS No.23」
山口が考案したカットアンドペーストを更に進化させた「OUT OF BOUND」シリーズの1つです。
『固定概念、ルール、国境、境界線の越境、絵画の拡張』というコンセプトのもとで制作され、山口にとって重要な転機となった作品だと言われています。
勢いのある筆の動き『ブラシストローク』に焦点を当て、キャンバスという枠組みを超えたこの作品は、色使いや筆使いから迫力を感じます。
「PROMINENCE NO. 1」
立体作品として、展覧会でも一際来場客の目を引いた作品が、「PROMINENCE NO. 1」です。
タイトルの『プロミネンス』とは、太陽の赤く見える炎状のガスのことを指しているそうです。
山口はゴッホの「The Starry Night」などからの影響を受けて、太陽などのような自然のエネルギーを表現したいと考えたといいます。
山口歴の作品はどこで販売されている?
山口歴の作品は、SBIアートオークション、WALLS TOKYOなどのライブあるいはオンラインオークションや、ギャラリー、展示会を通じて購入することができるようです。
2021年8月末から開催された山口の個展「LISTEN TO THE SOLITUDE」では、出展された作品の中から新作の「PROMINENCE NO. 1」と2人の写真家・瀬尾宏幸、伊丹豪とコラボレーションした「ENERGY FLOW」より3作品をアート専門のECサイトであるOIL by 美術手帖での抽選販売を開催しました。
山口歴のコラボレーション商品
ユニクロUT|ポケモン
山口は2018年、2019年とユニクロのTシャツプロジェクトUTにてコラボ商品をリリースしてきました。
2021年8月末には、ロンドンを拠点にするアーティストのジェームス・ジャービスとともに「ポケモン ミーツ アーティストUT」に参加し、山口とジャービスが描き下ろしたポケモンのプリントTシャツとスウェットを展開しました。
オークリー
山口は2021年6月に、ブランドであるオークリーとのコラボコレクションを発表しました。
山口のデザインがプリントされたライフスタイルサングラスに加えて、バッグ、キャップ、スウェットシャツ、ジャケット、Tシャツなどのアイテムが揃ったアパレルコレクションは日本限定で販売されました。
HUF
2020年11月には、 ブランドのHUFとのコラボレーションコレクションを展開しました。
コラボ商品には山口の作品で特徴的である色鮮やかで力強いブラッシュストロークのデザインが落とし込まれたジャケットやスウェット、Tシャツ、ウエストバッグなどが含まれていました。
ナイキ
残念ながら2020年9月に閉業してしまいましたが、2017年にナイキキックスラウンジ表参道がオープンした際には、山口が店舗内のデザインとして壁のアートを担当したこともあり話題になりました。
山口歴の個展情報
山口はこれまでに多くのグループ展への参加、Kyneなどの人気アーティストとのコラボ展示会や個展を開催してきました。
個展「LISTEN TO THE SOLITUDE」
山口の最近の個展は、2021年8月末から9月初旬にかけて、GINZA SIXの銀座 蔦屋書店GINZA ATRIUMと渋谷PARCOのOIL by 美術手帖にて開催された「LISTEN TO THE SOLITUDE」です。
この個展「LISTEN TO THE SOLITUDE」のは、タイトルの通り『孤独の声に耳をすます』ことによって山口の心に届いた心象風景や、山口自身、自然や地球、宇宙に流れるエネルギーを表現することをテーマとしていました。
これまでの山口の作品の中で最大級となる新作2点や初めての立体作品、2人の写真家・瀬尾宏幸、伊丹豪とのコラボレーション作品など、すべて新作で構成された展覧会となりました。
山口歴のインスタは?
2021年11月現在で、山口の公式インスタグラムには3.3万人のフォロワーがいます。
最新作やコラボレーション、展示会の案内などもインスタグラムを通じて発信しているようなので、山口の最新情報をチェックしたい方はフォローを推奨します。
まとめ
私は、2018年のユニクロとのコラボレーション商品が発売された際に、山口歴さんを知りました。
美術大学に入学することをやめて、アートの本場ニューヨークに行って現場で学ぶことを選択したからこそ、いまの山口さんのスタイル、キャリアがあるのかもしれません。
特にストリートファッションブランドとのコラボレーションなどが注目されており、積極的に展覧会も開催していて、その名が着実に日本国内外から知られている山口さんの作品は、今後さらに価格が高騰していくと思います。
参考
MATUAL ART「MEGURU YAMAGUCHI」https://www.mutualart.com/Artist/Meguru-Yamaguchi/E658F367BD6FED39/Biography
HEAPS「カッコイイをつくる宿命/アーティスト 山口歴」https://bijutsutecho.com/magazine/news/market/20245
NEW ART STYLE「山口歴に直撃取材!想像を超えるものが形になった瞬間《前編》」https://media.and-art.jp/interview/interview_meguruyamaguchi_1/
LISTEN TO THE SOLITUDE https://meguruyamaguchi.bijutsutecho.com/