オラファー・エリアソンの経歴
没入型のインスタレーション、彫刻、大規模なパブリックアート作品で知られているデンマーク系アイスランド人の現代アーティスト、オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)は、1967年2月5日、デンマークのコペンハーゲン生まれました。
幼少期の一部をアイスランドで過ごしたエリアソンは、15歳の時、デンマークの小さなギャラリーで初めての個展を開きました。
その後1989年から1995年までコペンハーゲンの王立デンマーク美術アカデミーで芸術を学びました。在学中の1990年、アカデミーから旅費を授与されてニューヨークに渡り、ブルックリンのウィリアムズバーグでアーティストのクリスチャン・エッカートのスタジオ・アシスタントとして働き始めました。この頃に、現象学とゲシュタルト心理学のテキストを読みあさったのだそうです。
1993年にはドイツのケルンに1年間住み、その後ベルリンに移り住みました。1995年に王立デンマーク美術アカデミーの学位を取得して、その後はベルリンにスタジオを構えました。
エリアソンの作品は、光、色、自然の要素を用いて鑑賞者の知覚や感覚に働きかけるような没入感のある環境を作り出し、革新的で示唆に富んだ作品が特徴的で、世界的に高い評価を得てきました。
2003年にロンドンのテート・モダンで行われたインスタレーション「The Weather Project」は、エリアソンが更に国際的に注目されるきっかけとなった作品です。
エリアソンは作品を通じて、気候変動、知覚、環境と人間の相互作用などのテーマを扱い、メッセージを発信しています。
また、パブリック・アートも多く手がけており、2008年のニューヨークの「Waterfall」や、気候変動に対する意識を高めたいという意志で制作された2014年パリの「Ice Watch」などがその代表例です。
アーティストとしての活動以外にも、サステナビリティに関するアクティビストとしても積極的に活動していることで知られています。
日本では直島や金沢でこれまでに展示が開催されて、注目を集めました。
オラファー・エリアソンの有名な作品
「The Weather Project(ウェザー・プロジェクト)」2003年
2003年にロンドンのテート・モダンで行われたインスタレーション「The Weather Project」はユニリーバの支援によって、タービン・ホールで行わました。砂糖と水でできた霧を放出する加湿器が使われ、黄色い光を放つランプが円形に配置されたこのインスタレーションでは、ホールの天井に巨大な鏡があり、来場者は太陽に似たオレンジ色の光に照らされた小さな影に見えるようになっています。
このインスタレーションは半年間で200万人の来場者を集め、大成功を収めました。
「The New York City Waterfalls(ニューヨークの滝)」2008年
2008年には、パブリック・アート・ファンドの依頼を受けて、ニューヨーク市内各地に高さ90フィートから120フィートまでの4つの人工の滝「ニューヨーク・シティ・ウォーターフォールズ」を制作しました。
2008年6月26日から10月13日まで設置されたこのパブリックアート作品は、大きな注目を集めました。
1,550万ドルという金額で制作された本作品は、クリストとジャンヌ=クロードがセントラルパークに設置した「The Gates」以来、最も高額なパブリック・アート・プロジェクトとなりました。
「Ice Watch(光の時計)」シリーズ 2014〜2018年
2014〜2018年に行われたプロジェクト「Ice Watch(光の時計)」シリーズは、気候変動に対する意識を高めると同時に、観る者の身体的反応とアートの結びつきを探求した作品です。
2014年にデンマークのコペンハーゲン、2015年にフランスのパリ、2018年にイギリスのロンドンなど、気候変動に関して行われた主要な会議に呼応して、重さ1.5トンから5トンの大きな氷のブロックを世界各地のさまざまな場所、12ヶ所に設置しました。
直島・家プロジェクト「Self-loop(セルフループ)」2015年
「Self-loop(セルフループ)」は、2016秋に開催された瀬戸内国際芸術祭にて、犬島「家プロジェクト」I邸で公開された作品です。
犬島「家プロジェクト」とは、香川県香川郡直島町・本村地区及び、犬島において古民家を改装して、現代の芸術家が家空間そのものを作品化(インスタレーション)した7つの建築からなる、アーティスティックディレクター・長谷川祐子、建築家・妹島和世が牽引したプロジェクトです。
「Self-loop」は、妹島和世氏設計の素晴らしい建築「I邸」の中に3つの鏡が一軒無作為に設置されているものです。
作品空間の中央に、丸い輪のついたビューファインダーがあり、ここから鏡を覗くと、鑑賞者は鏡の中にトンネルのように同心円状に映り込む自分と周囲の景色を見出すことができます。
本作品は、「見ること」「見られること」について考えさせられるような作品となっています。
オラファー・エリアソンの常設展示がある美術館
エリアソンの作品は以下の美術館で収蔵・常設展示されています。:
- ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(アメリカ・ニューヨーク)
- 国際ライトアートセンター(ドイツ・ウンナ)
- ロサンゼルス現代美術館(アメリカ・ロサンゼルス)
- Colección Jumex(メキシコ・メキシコシティ)
まとめ
オラファー・エリアソンは、光と色、自然の要素を用いた大型のインスタレーションや彫刻、パブリック・アートなどの作品で知られる現代アーティストです。日本では直島や金沢でこれまでに展示が開催されています。
イギリス・ロンドンのテート・モダンで開催された「The Weather Project(ウェザー・プロジェクト)」で更に注目されるようになったので、聞いたことがある方も多いと思います。
気候変動に対してのメッセージを作品を通じても伝え続けるアクティビストでもあります。
アートオークションを見ると、世界各都市で取引されているため、今後も注目していきたいアーティストです。
参考
Wikipedia Olafur Eliasson https://en.wikipedia.org/wiki/Olafur_Eliasson
Artsy Olafur Eliasson https://www.artsy.net/artist/olafur-eliasson/auction-results/
画像引用元:http://javibravo.com/portfolios/olafur-eliasson/ https://publicdelivery.org/olafur-eliasson-the-weather-project/
オラファー・エリアソンの作品は、ニューヨーク、ロンドン、香港と世界各地で取引されており、直近36ヶ月の平均落札価格が約6,816,510円となっています。
オークションで取引される作品のジャンルは多岐に渡り、プリントやスケッチ、写真から、ミラーやランプなどがあります。