【棟方志功】東京国立近代美術館で開催される個展情報や、代表的な版画作品、鑑賞できる美術館など

Munakata Shiko
アーティスト紹介
棟方志功の作品

DATA

ニックネーム
世界に認められた板画家
作者について
日本を代表する版画家(板画家)、画家である棟方志功の作品は、国内外から広く評価されてきました。代表作は「二菩薩釈迦十大弟子」などで、民芸運動家の柳宗悦や河井寛次郎などからも認められ、交流を持っていたことでも知られます。

現在の値段

約2,661,246円(直近36ヶ月の平均落札価格)

2020年「Kannon」¥4,600,000(毎日オークション)48 x 55 cm
2021年「Munakata Shiko (1903-1975) | Seated and falling goddesses in a garden」¥1,130,881(サザビーズ)64 x 56 cm
2022年「Tsuikai Munakata hanga Tokaido myotai byobu (Additions on Munakata prints: the grandiose beauty of Tokaido)」¥12,108,669(クリスティーズ)41.9 x 52.4 cm
2023年「Seated Goddess with an Owl」¥1,024,579(クリスティーズ)34 x 25.4 cm

棟方志功の作品は、国内外で高く評価され、クリスティーズやサザビーズなどの大手オークションハウスでも取引されています。平均して、数百万円で落札されており、特に観音や仏などを題材とした作品や有名なシリーズ作品は高値で取引されています。
棟方志功の作品の落札価格

棟方志功の経歴

棟方志功
引用:https://inakamon.jpn.com/wp/aomori-munakata-shiko/

棟方志功(むなかた しこう)は、1903年に青森県青森市に生まれた日本の板画家(版画家)で、晩年には半年ほど「棟方志昂」に改名しました。

刀鍛冶職人である父・棟方幸吉と母・さだの間に十五人兄妹の三男・第六子として生まれた棟方は、幼少期から、地元・善知鳥神社の祭りに用いられる灯篭の牡丹絵や凧の絵に魅力を感じ、『人工美としての絵画』に目覚めたといいます。

1920年から、青森地方裁判所弁護士控所の給仕として働くかたわら、よく合浦公園に写生をしに行ったそうです。次第に依頼される仕事の範囲が増えて忙しくなり、好きな絵を描く時間がなくなったことから、裁判所の仕事を退職することになります。

1921年には、松木満史、古藤正雄、鷹山宇一らと洋画のグループ「青光社」を作ります。その頃に青森市立中学校の美術教師であった小野忠明からポール・ゴーギャン、ポール・セザンヌ、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、アンリ・マティスパブロ・ピカソなどの洋画家たちについて教えられ、当時から『日本のゴッホになる』ことを目標にしたと言われています。

棟方は1924年に上京するし、東京教材出版社に勤め、教科書の表紙や図版を描きながら帝展や白日会展などに油彩画を出品していました。

川上澄生の版画作品「初夏の風」に感銘を受けて版画家を志すようになった棟方は、1927年(昭和2年)から平塚運一に師事し、版画を習うようになります。

1928年(昭和3年)に開催された第9回帝展にて、油彩画「雑園」が初めて入選しました。

棟方志功 油彩画「雑園」
引用:https://yuagariart.com/uag/aomori39/

1930年(昭和5年)に結婚し、文化学院で美術教師として働くようになります。

1936年(昭和11年)に国画展に出品した「大和し美し(やまとしうるわし)」が大きな注目を集め、これを機に民藝運動で知られる柳宗悦や河井寛次郎、文学者の保田與重郎や蔵原伸二郎など交流するようになりました。

棟方は、1942年(昭和17年)に出版された随筆集「板散華」にて、今後自身の版画作品を「板画(ばんが)」と呼ぶことを宣言します。

1945年(昭和20年)には東京の空襲で渋谷区にあった自宅は全焼し、それと共に版木もすべて焼失してしまいます。棟方は、戦時中疎開で富山県に移って、1954年(昭和29年)までそこに住み続けました。

棟方志功の富山の家
引用:https://mainichi.jp/articles/20210917/k00/00m/040/092000c

1951年(昭和26年)にスイスのルガーノで開催された第二回国際版画展にて、優秀賞を受賞します。翌年には、アメリカ・ニューヨークにて初めての個展も開催しました。

1955年(昭和30年)には、サンパウロ・ビエンナーレで版画部門の最高賞を受賞し、翌年にヴェネツィア・ビエンナーレでは、日本人で初めての国際版画大賞を受賞しました。

1963年(昭和38年)4月には、藍綬褒章を、1965年(昭和40年)1月には紺綬重飾褒章を受章しています。

アメリカにも数回招かれて日本美術や版画についての講義を行いました。

1970年(昭和45年)には、11月には文化勲章を受章します。

1973年(昭和48年)には第24回NHK紅白歌合戦に審査員として出場するなど、版画家の枠を超えて国内で活躍しました。

1974年(昭和49年)7月から半年間、「棟方志昂」に改名しています。

棟方は1975年(昭和50年)の9月13日、72歳の時に肝臓がんのため東京の自宅で亡くなりました。

棟方志功の代表作品

「二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)」1939年

棟方志功の二菩薩釈迦十大弟子
引用:https://nanto-museum.com/shiko-munakata/

棟方志功の代表作として知られる「二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)」は、高さ103センチ、幅37センチの板画を12枚並べた六曲一双の大作です。

東京国立博物館に展示されていた興福寺の十大弟子からインスピレーションを得て制作されたと言われています。

仏に近づこうと苦悩・葛藤する釈迦の弟子たちを個性豊かに描いた本作品は、力強い造形と迫力のあるコントラストが特徴です。

棟方は本作品で、1955年(昭和30年)の第3回サンパウロ・ビエンナーレの版画部門最高賞、そして翌年のヴェネツィア・ビエンナーレでグランプリの国際版画大賞を受賞しています。

「大和し美し(やまとしうるわし)」1936年

引用:https://www.kosho-zou-zou.net/bookshelf/nolist/3317-2016-10-06-05-54-27

1934年(昭和9年)に、詩人・佐藤一英の詩「大和し美し」を読んで創作意欲を掻き立てられた棟方が1936年(昭和11年)に製作した作品が、「大和し美し(やまとしうるわし)」です。

同年の国画店に出品し、高評価を得た本作品が出世作となったことから、柳宗悦や河井寛次郎などの民藝運動関係者や保田與重郎や蔵原伸二郎などの文学者たちからもその才能を認められ、厚く待遇されるようになったそうです。

「東海道棟方板画」1962年

「東海道棟方板画」棟方志功
引用:https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=4701747

「東海道棟方板画」は、1962年(昭和37年)から2年がかりで制作された、棟方にとって初めての風景をテーマにした連作で、全64柵あります。

棟方の風景画は、捉えた風景を一気に描き上げたことが想像できるような筆遣いが特徴的です。

「板画・奥の細道」1972年

「板画・奥の細道」棟方志功
引用:https://aucfree.com/items/n359755435

「板画・奥の細道」は、伊賀上野出身の俳人、松尾芭蕉の代表的俳諧紀行文である「奥の細道」を題材にした挿絵を版画で製作した連作で、全26柵あります。

1972年(昭和47年)から2年がかりで制作されました。

個展「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」

個展「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」東京国立近代美術館
引用:https://pid.nhk.or.jp/event/PPG0361331/index.html

東京国立近代美術館にて、2023年10月6日(金)から12月3日(日)に開催される個展「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」は、棟方の生誕120年を記念し、棟方にゆかりなる各地の美術館(富山県美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館)の協力によって開催されます。これまでで最大規模の回顧展とで、2023年7月29日(土) から9月24日(日)まで青森県立美術館で開催された巡回展です。

青森、東京、富山という棟方に関わりのある各地域を軸にして、板画、倭画、油彩画などをはじめ、本の装幀や挿絵、包装紙などのデザイン、映画・テレビ・ラジオ出演など多岐に渡る棟方の活動・作品が紹介される予定で、棟方芸術の全貌に迫ることができます。

「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」

会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期:2023年10月6日(金)~ 12月3日(日)
休館日:月曜日(ただし10月9日は開館)、10月10日(火)
開館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)入館は閉館30分前まで
観覧料:一般  1,800円(1,600円)、大学生 1,200円(1,000円)、高校生 700円(500円)

https://www.momat.go.jp/exhibitions/553

棟方志功の作品が鑑賞できる美術館

棟方志功記念館

棟方志功記念館
引用:https://munakatashiko-museum.jp/about_museum/

棟方の出身地である、青森県青森市にある棟方志功記念館は、棟方が自費で建設した記念館です。

校倉造りを模した建物や、池泉回遊式の日本庭園などの落ち着いた佇まいで、四季折々の風情を楽しめます。

鎌倉市にあった棟方板画館(棟方板画美術館)を2012年に合併しましたが、昨今の新型コロナウイルスの影響もあり、入館者数の減少や施設の老朽化などが原因で、残念ながら2023年末にて閉館することに決まっています。

開館時間:4月〜10月 午前9時00分~午後5時00分、11月〜3月 午前9時30分~午後5時00分
休館日:月曜日 祝日及びねぶた祭り期間8/2~8/7は開館
観覧料:一般550円(450円)、学生(専門含む)300円(200円)、高校生200円(100円)、小・中学生     無料 ※ ( )は20名以上の団体

引用:https://munakatashiko-museum.jp/viewing_infomation/

青森県立美術館

青森県立美術館
引用:https://aomori-tourism.com/spot/detail_1664.html

棟方の出身地である、青森県青森市にある美術館、青森県立美術館には棟方の作品が常設展示されています。

青森県立美術館には「八甲田山麓図」などの作品が収蔵されています。

また、2023年末に閉館予定の棟方志功記念館の収蔵作品を受け入れることになっているようです。

青森県立美術館
〒038-0021 青森市安田字近野185
TEL 017-783-3000
FAX 017-783-5244
MAIL bijutsukan@pref.aomori.lg.jp

https://www.aomori-museum.jp/visit/?target=access

南砺市立福光美術館

南砺市立福光美術館
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E7%A0%BA%E5%B8%82%E7%AB%8B%E7%A6%8F%E5%85%89%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8

棟方のゆかりの地の一つである富山県にある美術館、南砺市立福光美術館には、棟方志功、石崎光瑤の作品が常設展示されています。

本館にて棟方の作品が収蔵・常設展示されているほか、分館 棟方志功記念館「愛染苑(あいぜんえん)」は、棟方の最初の旧住居跡に建てられた記念館です。棟方が戦時中から疎開生活をしていた6年8か月の間に制作した作品を中心に展示されています。分館 旧棟方志功住居「鯉雨画斎(りうがさい)」には、屋内の板戸や便所などに棟方が書いた絵が残っています。

  • 名称/南砺市立福光美術館
  • 開館/平成6年10月
  • 館長/片岸昭二
  • 所在地/〒939-1626 富山県南砺市法林寺2010
     TEL 0763-52-7576 FAX 0763-52-7515
  • 分館/棟方志功記念館「愛染苑」
     〒939-1654 富山県南砺市福光1026-4
     TEL・FAX 0763-52-5815
https://nanto-museum.com/overview/

まとめ

棟方志功は、20世紀の日本で最も高く評価された芸術家の一人です。

1955年のサンパウロ・ビエンナーレと1956年のヴェネツィア・ビエンナーレの版画部門で最優秀賞を受賞し、1970年には文化勲章を受章するなど、国内外で高く評価された棟方の作品は版画を中心に油彩画や倭画などがあります。

最大規模の回顧展となる個展「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」は、東京国立近代美術館にて、2023年10月6日(金)から12月3日(日)に開催されます。ぜひ棟方の名作を観に行ってみてください。

参考

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%9F%E6%96%B9%E5%BF%97%E5%8A%9F

画像引用元:https://www.japantimes.co.jp/culture/2019/05/21/arts/openings-in-tokyo/retrospective-munakata-shiko-woodcut-prints/ https://www.artsy.net/artwork/shiko-munakata-gautama-and-bodhisattvas

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。