コラム記事

【ジャンル別】国内外のおすすめアートブックまとめ

写真とビジュアル・アート

「Still Life」Irving Penn(アーヴィング・ペン)

「Still Life」Irving Penn(アーヴィング・ペン)

「Vogue」誌のカメラマンとしても知られる有名なファッション写真家、アーヴィング・ペンの代表作「Still Life」は、静物写真が収録された写真集です。

対象物やアイテムの選定方法、照明の使い方や構図などが絶妙で、被写体が動き出しそうな臨場感さえ感じられます。

20世紀で最も影響力のある写真家の一人とも言われるアーヴィング・ペンの写真集は、「Still Life」の他に「Flower」も有名です。

「The Decisive Moment」Henri Cartier-Bresson(アンリ・カルティエ=ブレッソン)

「The Decisive Moment」Henri Cartier-Bresson(アンリ・カルティエ=ブレッソン)

歴史的な瞬間、感動的な瞬間、美しい瞬間を求めて世界中を放浪した写真家であるアンリ・カルティエ=ブレッソンの写真集「The Decisive Moment」は、写真家のバイブルとも言われるような本です。

ブレッソンは国際写真家集団「マグナム・フォト」の創設者で、20世紀を代表するアーティストの一人です。

ブレッソンの代表的な作品を収録した「The Decisive Moment(決定的瞬間)」の復刻版である本写真集には、インドの難民キャンプや霧につつまれた北京、パブロ・ピカソの陶器を見つめるアンリ・マティスなどの1930年から1950年代にかけて撮影されたさまざまなシーンが含まれています。

「Ancient And Modern」William Eggleston(ウィリアム・エグルストン)

「Ancient And Modern」William Eggleston(ウィリアム・エグルストン)
引用:https://rosegallery.net/store/publications/27-ancient-and-modern-william-eggleston/

「Ancient And Modern」は、アメリカのテネシー州メンフィス出身の写真家であり『ニューカラーの先駆者』として知られるウィリアム・エグルストンの写真集です。

ロンドンで開催された個展に合わせて刊行された本書には、アメリカ南部で撮影されたエグルストンの初期の作品から、1980年代終盤までの作品が収録されています。

旅先の風景や日常を切り取った写真、廃墟や石油掘削場などの荒廃した場所の写真などリアルな様子を写した作品が特徴的です。

「Uncommon Places」Stephene Shore(スティーブン・ショア)

「Uncommon Places」Stephene Shore(スティーブン・ショア)
引用:https://www.amazon.com/Stephen-Shore-Uncommon-Places-Complete/dp/1597113034

アメリカ・ニューヨーク出身の写真家であるスティーブン・ショアの写真集「Uncommon Places」には、1970〜1980年代にアメリカを旅しながら撮影した、日常の風景やポップカルチャーやインダストリアリゼーションなどの『古き良きアメリカ』を象徴するような写真が収録されています。

現代を生きる私たちの目には新鮮な1970〜1980年代のアメリカの様子は、多くのインスピレーションをくれるでしょう。

「ウェス・アンダーソンの風景 Accidentally Wes Anderson」ワリー・コーヴァル

「ウェス・アンダーソンの風景 Accidentally Wes Anderson」ワリー・コーヴァル
引用:https://www.amazon.com/Accidentally-Wes-Anderson-Wally-Koval/dp/0316492736

ノスタルジックで美しく印象的な独特な世界観で人気を集める映画監督、ウェス・アンダーソンの世界観のような世界各地の写真を集めるインスタグラム上のコミュニティ「Accidentally Wes Anderson」が、ウェス・アンダーソン監督の公認で書籍化した写真集が「ウェス・アンダーソンの風景 Accidentally Wes Anderson」です。

世界各地各地200以上の風景と、その場所にまつわるストーリーが収録された本書は、New York Times ベストセラーにもランクインしています。

ウェス・アンダーソンの映画のファンなら、気に入ること間違いありません。

コンテンポラリー・アート

「Slash with a Knife 新装版」奈良美智

「Slash with a Knife 新装版」奈良美智
引用:https://www.amazon.co.jp/Slash-Knife-%E6%96%B0%E8%A3%85%E7%89%88-%E5%A5%88%E8%89%AF-%E7%BE%8E%E6%99%BA/dp/4898155693

ドローイングブック「Slash with a Knife 新装版」には、奈良美智が1998年にアメリカのロサンゼルスに滞在した際に制作した絵や言葉100点以上が収録されています。

現在では世界各地の美術館に作品が収蔵される日本を代表する現代アーティストである奈良の原点とも言える画文集は、現代アート好きならアート本コレクションに含めたい一冊でしょう。

新装版では、表紙が改訂され、全文章に英語訳がついています。

「KAWS TOKYO FIRST」

「KAWS TOKYO FIRST」
引用:https://www.shashasha.co/en/book/kaws-tokyo-first

「KAWS TOKYO FIRST」は、日本でも人気の高い、ニューヨーク、ブルックリンを拠点として活動する現代アーティストKAWS(カウズ)の日本で最初の大規模展覧会の公式図録です。

有名なペインティングや彫刻作品はもちろん、1993年から2021年までの伝説的なグラフィティからプロダクト、世界各地でのパブリックアートなど多岐に渡るKAWSの作品を時系列に沿って紹介している一冊です。

ミニマルでポップなデザインで、インテリアにも馴染みやすいアート本です。

「草間彌生:わたしの芸術」

「草間彌生:わたしの芸術」
引用:https://www.amazon.co.jp/%E8%8D%89%E9%96%93%E5%BD%8C%E7%94%9F-%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%97%E3%81%AE%E8%8A%B8%E8%A1%93-%E5%BB%BA%E7%95%A0-%E6%99%A2/dp/4766132882

「草間彌生:わたしの芸術」は、日本を代表する現代アーティスト、草間彌生の作品集です。

絵画からパフォーマンスやインスタレーションまで包括的に草間の作品を収録した一冊で、草間の芸術についての探求や他のアーティスト仲間や美術評論家との対話なども読むことができます。

草間の作品を一気に見ることができるだけでなく、アーティストの頭の中を覗くことができる作品集となっているため、草間の作品のファンなら必読です。

陶芸

「ルーシー・リー 現代イギリス陶芸家」ルーシー・リー(著)三宅一生(監修、監修)

ルーシー・リー 現代イギリス陶芸家
引用:Amazon

世界的に認められる日本人ファッション・デザイナー三宅一生が、陶芸界の巨匠の一人であるルーシー・リーの作品に感銘を受けて、『三宅一生、ルーシー・リーに出会う』というテーマのもと制作された、1989年に日本初開催された「ルーシー・リー展」の図録の復刻版です。

ルーシー・リの作品を三宅一生の企画、監修によって紹介している本書は、その洗練された美しい作品の見せ方が楽しめるだけでなく、ルーシー本人の写真なども掲載されています。

「ピカソの陶芸」

ピカソの陶芸

「ピカソの陶芸」は、パブロ・ピカソの陶芸作品にフォーカスした作品写真集で、陶芸作品201点が収録されています。

第二次世界大戦後、南フランスにある陶器の街ヴァロリスで、陶芸作品の制作をはじめたピカソの作品は、絵画作品に劣らずユニークなフォルムや色使い、細かくアーティスティックな作品ばかりで、見ているだけでも楽しくインスピレーションをもらうことができます。

ピカソの人生とミューズたちやフクロウやヤギなどピカソがよく用いたモチーフについても、美術評論家の岡村多佳夫によって解説されており、ピカソの陶芸作品について深く知ることができる一冊です。

ファッション、コスチュームデザイン

「Rei Kawakubo:Comme des GarconsArt of the In-Between」

「Rei Kawakubo:Comme des GarconsArt of the In-Between」
引用:https://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2017/rei-kawakubo

1981年にデビューしたコム・デ・ギャルソンのデザイナー、川久保玲の作品について知ることができる本書は、2017年にメトロポリタン美術館にて日本人デザイナーとして初開催された展覧会「Rei Kawakubo Comme des Garçons: Art of the In-Between」にあわせて刊行されたカタログです。

メトロポリタン美術館のキュレーターAndrew Bolton (アンドリュー・ボルトン)による監修で制作された本書は、コム・デ・ギャルソンの40年に及ぶ作品を豊富な写真やスケッチとともに紹介しています。

「サルトリアリスト メンズ・ファッション ストリートスナップから学ぶ基礎と応用」スコット・シューマン

「サルトリアリスト メンズ・ファッション ストリートスナップから学ぶ基礎と応用」スコット・シューマン
引用:Amazon

世界的に知られるファッションストリートフォトグラファーの一人であるスコット・シューマンによるストリートスナップを、メンズ・ファッションにキュレーションした本書は、メンズ・ファッションの基礎知識からさまざまなスタイルのストリートスナップや、ファッションの哲学までを紹介した一冊です。

「Dior: The Art of Color」

「Dior: The Art of Color」
引用:https://www.amazon.com/Dior-Art-Color-Marc-Ascoli/dp/0847849341

世界的な老舗ファッションブランドであるディオールのメイクアップ、スタイル、色彩の歴史をまとめた一冊である「Dior: The Art of Color」では、世界のトップブランドによる極上の色彩のアートを見ることができます。

12の章がそれぞれの色(ホワイト、シルバー、ヌード、ピンク、レッド、パープル、ブルー、グリーン、イエロー、ゴールド、グレー、ブラック)に分かれていて、ディオールの作品作りのインスピレーションの元となった色の美学なども紹介されています。

アーヴィング・ペン、ギー・ブルダン、リチャード・バーブリッジなどといった有名なフォトグラファーが撮影した、アイコニックな作品や広告キャンペーンは、ファッションやアートが好きな方におすすめな一冊です。

建築、家具

「Fallingwater」Frank Lloyd Wright(フランク・ロイド・ライト)

「Fallingwater」Frank Lloyd Wright(フランク・ロイド・ライト)

ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外にある、アメリカの建築家Frank Lloyd Wright(フランク・ロイド・ライト)の邸宅であるFallingwater(フォーリングウォーター:落水荘)の写真集です。

自然に囲まれ、水の音が聞こえてくるような環境にするという要望を叶えるため、木に囲まれた、滝が流れ落ちる岩の上に家を建てたのがこの邸宅、Fallingwaterで、フランク・ロイド・ライトの代表的な建築の一つです。

「Zaha Hadid: Complete Works 1979-Today」

「Zaha Hadid: Complete Works 1979-Today」
引用:https://www.amazon.com/Hadid-Complete-1979-Today-English-French/dp/3836572435

「Zaha Hadid: Complete Works 1979-Today」は、革命的な建築家として知られるザハ・ハディドの全作品を網羅した、写真集です。

ザハ・ハディドは、アントワープのポートハウス、カタールのドーハ近郊にあるアル・ジャヌーブ・スタジアム、北京の壮大な新空港ターミナルなど、世界各地の都市や建造物に新しくユニークな建築を生み出し、広く称賛され、数々の賞を受賞しました。

豊富な写真や詳細なスケッチ、ハディド自身のドローイングとともに、彼女のキャリアの変遷をたどり、先駆的な建築物だけでなく、家具やインテリアのデザインも含めた世界観が紹介されている本書は、現代建築に興味がある人におすすめしたいです。

「木のこころ – The Soul of a Tree: A Woodworker’sReflections」George Nakashima(ジョージ・ナカシマ)

「木のこころ - The Soul of a Tree: A Woodworker'sReflections」George Nakashima(ジョージ・ナカシマ)
引用:https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%B1%E6%96%87%E7%89%88-%E6%9C%A8%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D-Soul-Tree-WoodworkersReflections/dp/4770014031

ジョージ・ナカシマは、アメリカ、ペンシルベニア州ニューホープ近郊で活動した木工職人で、現在もその家族が工房を受け継いで、豊かな木目を持つ希少な木材から極上の家具を生み出しています。

ミニマルで高品質なジョージ・ナカシマのテーブル、デスク、チェア、キャビネットなどの家具は、多くの邸宅や豪邸、重役室などを飾ってきました。

本書では、ジョージ・ナカシマが彼の芸術性や哲学、人生について紹介しています。若い頃から世界各地を訪れながら、木が本来持つ美しさを見出すことを目指して探求を続けたナカシマの献身的な姿勢を学ぶことができます。

TOKYO ART BOOK FAIR 2023

TOKYO ART BOOK FAIRは、2009年からスタートしたアート出版に特化した日本で初めてのブックフェアで、2023年は11月23日(木・祝)から11月26日(日)の4日間、東京都現代美術館にて第13回TOKYO ART BOOK FAIRが開催されます。

アジア最大規模のアートブックフェアとして、個性豊かなアートブックやカタログ、アーティストブック、ZINEなどを出版するアーティストや出版社が一同に集結する場所になっています。

特別展やトークショーなどのさまざまなイベントも開催される予定です。

アート本に興味がある方は、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

イベント名:TOKYO ART BOOK FAIR 2023
会期:2023年11月23日(木・祝)12:00-20:00 2023年11月24日(金)- 26日(日)11:00-19:00
会場:東京都現代美術館
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
公式サイト:https://tokyoartbookfair.com/
入場料:一般 1,000円(税込)
※一部のイベントには別途参加費が必要です。
チケット販売は11月9日(木)12:00よりスタート予定。公式サイト、SNSにて詳細をご案内いたします
URL:https://artsticker.page.link/TABF2023

https://tokyoartbookfair.com/

まとめ

国内外のさまざまなアート本を紹介しました。さまざまなジャンルのアーティストの作品の写真集や、哲学を紹介した本など、アートにまつわる本は国内外に無限にあります。

私はウェス・アンダーソン監督の映画作品のファンなので、「ウェス・アンダーソンの風景 Accidentally Wes Anderson」を持っていますが、その独特の世界観を反映したような世界各国の写真は、いつ見ても気持ちを明るくしてくれ、新たなインスピレーションを与えてくれます。

また、インテリアとして部屋にディスプレイしているので、家に遊びに来た友人も手に取り、楽しんでくれています。

アート本は、多くのモチベーションやインスピレーションを与えてくれるだけでなく、部屋のインテリアとして、友人との話のきっかけなど、さまざまな形で私たちの生活をより鮮やかにしてくれます。

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。