コラム記事

コラム、詩、エッセイなどの文章コンテンツのNFT化

NFT コラム

NFT(Nonfungible token=非代替トークン)として価値のあるデジタルデータは、デジタルドローイングや写真などのようなアート作品だけに留まりません。

NFTの基本的な知識についてはこちらの記事を参考にしてください。

コラムや詩、小説、書籍など文章コンテンツのNFT化

ジャック・ドーシーの『初ツイート』のNFT

2021年3月23日にツイッターのCEOのジャック・ドーシーが自身の初めてのツイートをNFT化してオークションに出品し、291万5835ドル(約3億1640万円)で落札されました。

おそらく、NFTという概念が世の中のより多くの人々に知られるきっかけとなった出来事の一つとして誰もが耳にしたことがある出来事でしょう。

落札者であるハカン・エスタビは、落札後『これはただのツイートではない。数年後には、これに「モナ・リザ」と同じくらいの価値があることにみんなも気づくだろう』とツイートしたといいます。

このNFTの売り上げはすぐにビットコインに変換され、アフリカ地域支援の非営利団体Give Directly(ギブ・ダイレクトリー)に全額寄付されたそうです。

ツイートも文面で構成されたコンテンツの1つとして捉えるとすると、これが最初にNFT化された文章コンテンツの先駆けだったのかも知れません。

The New York Times(ニューヨークタイムズ)のコラムのNFT化

ニューヨークタイムズ NFT
引用:BitcoinKE「The New York Times Sells a Column Post Titled ‘Buy This Column on the Blockchain!’ as an NFT for Over $500, 000」https://bitcoinke.io/2021/03/buy-this-article-new-york-times/

2021年3月26日、The New York Times(ニューヨークタイムズ)は、NFT、暗号、AI、ソーシャルメディアなどについて専門的に執筆していることで知られるコラムニストであるKevin Roose(ケビン・ルース)によって過去に執筆され印刷版の紙面に掲載されたコラムの所有権を、NFTとしてオークションに出品し、約55万8000ドル(350ETH=約6,000万円)で落札されました。

出品されたコラムは、「Buy This Column on the Blockchain!(ブロックチェーンでこのコラムを買おう!)」と題し、3月25日にFoundation(ファウンデーション)と呼ばれるマーケットプレイスに出品され、24時間後に落札されたそうです。

落札者は『@3FMusic』というユーザーで、記事のPNG画像という形でコラムの所有権を得るほか、今回のオークションについて今後執筆される記事にて言及されたり、ニューヨークタイムズの人気ポッドキャスト番組「The Daily(ザ・デイリー)」のホストであるMichael Barbaro(マイケル・バルバロ)から個別のボイスメモを受け取ったりしました。

NFT市場が爆発的な人気を誇る中で、世界的に有名な約170年の歴史のあるメディアによって初めて出品されたコラムのNFTとして、間違いなく歴史の一部となる瞬間に関わることができるということ自体に最も大きな価値があると考えられています。

このオークションによる収益は、ニューヨークタイムズの慈善事業部門「Neediest Case Fund(最貧困層支援基金)」に寄付され、ニューヨークを中心としたエリアでの社会貢献活動の支援に使われたそうです。

Web3ニュースレタープラットフォーム「Mirror(ミラー)」

NFT ライター
引用:Mirror

NFTやDAO(Decentralized Autonomous Organzation=自律分散型組織)などを取り組んだアメリカのWeb3型のニュースレター・プラットフォーム「Mirror(ミラー)」では、ライターがMirror上で書かれた記事のNFT化をすることができます。

Mirrorユーザー10人の投票によって1度でも選出されたライターは、プラットフォーム上での執筆ができるようになり、他社メディアなどがMirror上に掲載されている記事を引用などで使用したい場合に、NFTを購入することができるなど、個人が執筆したコンテンツのマネタイズができる仕組みが作られています。

また、記事をNFT化して販売することだけに限らず、クラウドファンディングなどを通してライターが自身のオーディエンスから直接支援してもらえるようにするなど、独自のネットワークを経済化させることができるようになっているそうです。

オーディエンスはNFT購入を通じて、ライターの書くコラムや情報発信に価値を感じて金銭的に支援することができる他、そのトークンを使ってしか入ることができないエクスクルーシブなメンバーシップに加入したり、ライターの将来の執筆物の方向性に対する投票ができたりと、よりインタラクティブに関わりながらライターを支援することができます。

また、記事を書くにあたってほかのライターの記事からの引用などを用いた場合には、記事のオーナーシップあるいは記事が生み出す収益を協力者である引用元ライターにも分配し、還元することもできるそうです。

テキストをNFTにできるサービス「Papyrus(パピルス)」

引用:PRTIMES「テキストをNFTにできるNFT発行サービス「Papyrus」リリース」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000055139.html

NFTをはじめとした Web 3.0 の社会実装に取り組む株式会社Mobloは、2021年11月16日にテキストをNFTにできるNFT発行サービス「Papyrus(パピルス)」をリリースしました。

Papyrusでは、日々の気持ちや決意、後世に残したい言葉などのような256文字以内の短文テキストをNFTとして残すことができるサービスで、イラストや絵画・音楽制作などクリエイティブな才能のあるアーティストだけでなく、より多くの人がNFTを発行できる機会を提供しています。

ブロックチェーンにはPolygon(ポリゴン)を採用しており、OpenSeaなどのマーケットプレイスで売買することができます。NFT発行手数料は、クレジットカード決済で3.00 USドルがかかるようです。

女優・広末涼子のエッセイがNFT化

引用:Amazon

人気女優・広末涼子は、哲学者が残した言葉や尊敬する女性たちの言葉を自らピックアップし、自身の女優として・妻として・母として・一人の女性としての思いを交えて約2年間かけて綴った、NFTデジタル特典付きの書き下ろしエッセイ(タイトル未定)を、宝島社から2022年4月14日に発売する予定です。

NFTデジタル特典は、エッセイの中から厳選した7篇をわかりやすくまとめた原稿を広末自ら朗読した音声ファイル、書籍に掲載されている広末の画像1カット、貴重な直筆原稿の画像1種が含まれます。

小説や詩のNFT

詩をNFT化して販売!鋭の詩人 黒川隆介

NFT 詩
引用:PRTIMES「【日本初 文学作品のNFTメタバース展】詩人 黒川隆介のNFT作品展を2月3日(木)よりメタバースギャラリーにて開催中!!」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000088009.html

気鋭の詩人として注目を集める黒川隆介は、自身の『未完成の詩』をNFT化してOpenSeaにて販売、また初NFT作品発売を記念し、メタバース・ギャラリーにて作品展を開催しています。

NFT化された作品はどれも未完成の詩であり、購入者には後日続編の詩をNFTとして新たに配布される予定で、詩の完成までに最大3年かかるという斬新なプロジェクトです。

今後の世の中の情勢や黒川自身の経験などによって続編の内容が創造されるという点が実験的で面白い取り組みとなっています。

黒川は、「文藝春秋」「詩とファンタジー」 への寄稿、タワーレコードが運営するWEBメディア「Mikiki」や、「POPEYE WEB」などでの連載など、詩を中心として対談や広告コピーライティングなど幅広い執筆活動で活躍しています。

人気小説の関連作をNFTとして販売!芥川賞作家 村上龍

エッセイ NFT
引用:「『キクとハシ、その後。』村上龍 “Kiku and Hashi〜The Sequel of Coin Locker Babies〜” Ryu Murakami」https://adam.jp/en/items/0xb30fc2d754c88c451275b743b6f530f19f643683/0x000000000c3600000107000000003a50

また、小説のNFT作品も出てきています。

株式会社幻冬舎は、1976年に「限りなく透明に近いブルー」で第75回芥川賞を受賞した小説家村上龍による初めてNFT作品として、エッセイ「キクとハシ、その後。」を発表しました。

この作品は、村上の名作小説「コインロッカー・ベイビーズ」への想いを書き下ろした新作エッセイで、NFTの購入者は、このエッセイの原稿を読むことができる他、村上が本作を執筆しているところを一部収録したオリジナルムービーなどが提供されます。

本作品は、日本のNFTマーケットプレイスAdam by GMOにて2022年1月22日に出品されました。

まとめ

インターネット の広がりによって、メディアの形も多様化し、ネット上には様々な書き手が書いた文章コンテンがあふれています。

現状は無料で閲覧、引用ができるものがほとんどで、ネット上に自身のアイデアや集めた情報を展開することがマネタイズに繋がっている人はまだまだ少ないでしょう。

NFTの広がりとともに、コンテンツを提供するライターとそれを支援する読者との繋がりも増えてライターたちの新たな経済圏が生まれ、引用などで自身のコンテンツが使用された際には収益が分配されるなど、良いアイデアやコンテンツが収益化できるようなシステムが出来上がっていきそうです。

参考

FORBES「New York Times Sells Column For Over $550k In NFT Experiment」https://www.forbes.com/sites/jemimamcevoy/2021/03/25/new-york-times-sells-column-for-over-550k-in-nft-experiment/?sh=59c2e4d161b1

PRTIMES「【日本初 文学作品のNFTメタバース展】詩人 黒川隆介のNFT作品展を2月3日(木)よりメタバースギャラリーにて開催中!!」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000088009.html

PRTIMES「村上龍が初NFT、『コインロッカー・ベイビーズ』への想いを書き下ろしたエッセイ『キクとハシ、その後。』発売」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000672.000007254.html

OffTopic「NFTが作る、新しいインターネット」https://offtopicjp.substack.com/p/everything-about-nfts?utm_source=url

PRTIMES「テキストをNFTにできるNFT発行サービス「Papyrus」リリース」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000055139.html

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。