コラム記事

世界最大のオークション会社解説(サザビーズ 編)

アートが好きとはいえど、一般人の私にはなんだか敷居が高く感じるオークションの世界。

テレビや映画で見たことのあるあのシーンのように、活気に溢れながらも上品で限られた人々だけが集える雰囲気の中、数々のアート作品や宝石などの高級品が競りにかけられます。

このアートオークションの世界を長年牽引し続けているのが、老舗オークションハウスであるサザビーズ とクリスティーズです。

前回の記事、世界最大のオークション会社解説(クリスティーズ編)に続いて、今回はサザビーズについて紹介していきます。

サザビーズ の歴史

引用:サザビーズ 公式ウェブサイトより(https://www.sothebys.com/en/articles/sothebys-at-275-from-bookseller-to-sothebys-founder-the-life-of-sam-baker)

サザビーズ は、イギリス・ロンドンにて1744年にサミュエル・ベイカー(以下、ベイカー)によって創設された世界最古かつ最大ののオークションハウスであることで知られています。

サザビーズ は、ベイカーが457 冊の本を収蔵する不動産図書館を売却したことから始まり、その後ロンドンのヨーク・ストリートに会社として設立されました。

書籍の売買に関わる出版業者であったベイカーは、オークションのために魅力的な広告キャンペーンを考案し、信頼性のあるカタログを作成したことで当時の富裕層からも注目を集め、事業を成功させていきます。

創業初期から1世紀以上にわたって、ベイカーと彼の後継者は、ペンブローク伯爵、ヨーク公、バッキンガムなどを含む、歴史ある偉大な図書館のオークション取引を取りまとめました。

こうした流れで、サザビーズ は当初主に書籍類を扱うオークション会社として発展していきました。

ベイカーは、1767年に、のちに名物の競売人となるジョージ・リー(以下、リー)と契約を結びます。リーは俳優のように才能があり魅力的で、絶妙なタイミングでオークションを進めることができる腕の良い競売人でした。

ベイカーが亡くなった後は、ベイカー家、リー家で財産や事業が引き継がれ、サザビーズ は書籍類以外にも版画、硬貨、メダル、骨董品の販売などに取扱カテゴリーの幅を広げていきました。

その後、1917年頃に会社の移転をきっかけに、書籍中心のスタイルから、アートの世界の中心となるオークション会社へと変わっていきました。

第二次世界大戦、主に当時の会長であったピーター ・C・ウィルソンのリーダーシップの下で、サザビーズはアメリカ・ニューヨーク市内に設立され、その後アメリカ最大のオークション ハウスであったパー​​ク・バーネット・ギャラリーを買収しました。

ピーター・C・ウィルソン(引用:サザビーズ 公式ウェブサイト https://www.sothebys.com/en/articles/maestro-at-work-peter-wilsons-world)

これによって、サザビーズはさらにグローバル化を進め、香港、ロシア、インド、フランスでも販売を行うようになっていき、最初の国際オークションハウスとして認知されていきます。

1988年にニューヨーク証券取引所に上場され公開会社になった後、2019 年に実業家であるパトリック・ドライによる買収でサザビーズは再び非公開化されました。オークション事業だけにとどまらず企業との取引からプライベートな顧客との直接取り引きまで幅広く対応しています。

現在は世界に80のオフィスを持ち、世界での年間売上高が40億ドル(約4,378億円)を超えている、世界最大規模のグローバル・オークションハウスです。

過去の落札記録作品

エドヴァルド・ムンク「叫び」(引用:CNN「Munch’s ‘The Scream’ on view ahead of multi-million dollar auction」https://www.cnn.com/2012/04/12/world/europe/munch-the-scream-london/index.html)エドヴァルド・ムンク「叫び」

ノルウェーの画家のエドヴァルド・ムンクが1893年に制作した傑作「叫び」は、2012年5月にサザビーズ で1億1992万2500ドル(約96億円)で落札され、当時のオークションでのあらゆる芸術作品の中で世界新記録の高値を記録しました。

最近話題になった落札商品

2019年に取引された目玉商品の1つ、ナイキの「ムーンシューズ」(引用:BBC「Sotheby’s auction of rare sneakers nets more than $850,000」https://www.bbc.com/news/business-49008299)

2019年7月、サザビーズ は、プレミアムスニーカーやストリートウェアを扱うマーケットプレイスであるスタジアム グッズとの提携で、プレミアムスニーカーに特化したオークションを初めて開催しました。人気ブランドのナイキ、アディダスなどから41モデル計100足の希少なスニーカーが出品され、カナダ人起業家のマイルズ・ナダルが、そのほとんどを 85万ドル(約9,312万円)で購入しました。

その翌年である2020年5月には、1985年のマイケル・ジョーダンのゲーム着用のサイン入りナイキ エア ジョーダン 1がオンラインオークションで56万ドル(約6,143万円)で落札されました。

このように世界的なオークションハウスがスニーカーを取り扱い高値で落札された実績を見ると、スニーカーは今やコレクションする価値のある芸術品の1種であると言っても過言ではありません。

仮想通貨での取引が可能に!

バンクシー「Love is in The Air」(引用:BARRON’s「Sotheby’s to Accept Cryptocurrency for Banksy’s ‘Love in the Air’」https://www.barrons.com/articles/sothebys-to-accept-cryptocurrency-for-banksys-love-in-the-air-01620162161)

2021年4月、サザビーズは、暗号通貨取引所コインベースとのパートナーシップを通じて、大手オークションハウスとして初めて仮想通貨を物理的な芸術作品の支払いとして受け入れました。最初に使用されたのはデジタル アーティストのPakが作成した非代替トークン(NFT)を販売したときで、その後5月には、イギリスの人気ストリート アーティストであるバンクシーの作品「Love is in The Air」のオークションでもビットコインとイーサリアムを受け入れることを発表しました。

歴史が最も長い老舗オークションハウスでも、しっかりと新しい時代の流れに適応している企業姿勢が伺えます。

サザビーズ ・ジャパン

サザビーズ ・ジャパン代表取締役会長兼社長石坂泰章氏(引用:Visionary Magazine by LEXUS「世界の名品、名作が集まるオークションハウス、
サザビーズの開かれた扉」https://lexus.jp/magazine/20200617/510/cul_sothebys.html)

世界各地にオフィスのあるグローバル・オークションハウスであるサザビーズ の日本オフィスは、1979年に東京に開設されました。印象派・近代や現代美術を含む絵画・彫刻全般、版画、中国美術、ジュエリー、デザインなどのカテゴリーを中心に取り扱い、オークション事業および、プライベートセール(相対取引)の仲介などのサポートも提供しています。

最近では、特に時計の査定依頼や、オークションへの出品、入札に関する相談などが増えているようです。

まとめ

世界のオークションの売上の40%以上を占めているサザビーズとクリスティーズ。

その2社についての歴史や現在の取り組みを見てみると、時代が変わっても大切に受け継がれていくべき伝統と、新しいものを柔軟に素早く取り入れる姿勢が感じられます。

レアスニーカーやデジタルアートなどのように、今後も新しいカテゴリの物が思わぬ高値で取引されるニュースが出てくるかもしれないと思うと、革新的な取り組みを取り入れ続けているサザビーズ の動きは必見ですね。

ABOUT ME
あやね
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで、日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、今年は自宅で陶芸も始める予定。