アートの蒐集に興味があるけど、どんな作品をチェックすれば良いのかわからない場合、まずは成功している有名なコレクターを知っておくと良いでしょう。
中国では、昨今世界トップレベルの富裕層が多くいることから、アート業界でも注目されるアートコレクターが多くいます。
今回は、中国の著名なアートコレクターを8人紹介します。彼らが注目するアーティストや、所有する美術館などを参考にチェックしてみましょう。
ワン・ウェイ&リウ・イーキアン(王偉&劉宜謙)夫婦
ワン・ウェイ(Wang Wei|王偉)とその妻、リウ・イーキアン(Liu Yiqian|劉宜謙)夫婦は、中国を代表するアートコレクターで、龍美術館の創設者です。
中国と西洋の文化交流の促進に尽力することを目標とした龍美術館は、上海には浦東龍博物館と西外灘龍博物館の2か所があり、2016年には重慶に3号店、2018年には武漢店がオープンしました。
ワン・ウェイ、リウ・イーキアン夫婦は、アメデオ・モディリアーニやゲルハルト・リヒターなど世界的に有名なアーティストの作品を所有しています。
ワンワン・レイ&リン・ハン夫婦
ワンワン・レイ(Wanwan Lei)とリン・ハン(Lin Han)夫婦は、中国で有名なアートコレクター、また『パワーカップル(権力のあるカップル)』として知られています。
2014年に、現代美術館M WOODSを共同設立しました。
ワンワン・レイは、17歳の頃からアートギャラリーの仕事に携わるなど、若い頃からアート業界に親しんでおり、北京の中央美術学院で美術史の学位を取得しています。
中国の有名なアーティスト、リウ・イエ(Liu Ye|劉野)のモデルになったことでも知られています。
リン・ハンは、2013年からアートの蒐集を始めたといい、最初に購入したのは中国の現代アーティストである曾凡志(Zeng Fanzhi|ゼン・ファンチ)の作品だそうです。
ルージュン&ルー・シュン(魯俊&魯迅)親子
ルージュン(Lu Jun|魯俊)とその息子であるルー・シュン(Lu Xun|魯迅)も有名なアートコレクターの不動産開発業者一家として知られています。
この親子は、中国の南京に、老山国家森林公園内にスティーブン・ホール設計の壮大な空間である四方当代美術館(Sifang Art Museum)を2013年に開館しました。
ルー・シュンは、一家の後継者として中国現代美術の蒐集についてもその情熱を受け継ぎ、世界的に著名なアーティストや建築家などとコラボレーションしたプロジェクトなどを通じて、意欲的にアートの蒐集活動をしています。四方当代美術館は、現在では世界中の著名な現代アーティストの作品を300点以上収蔵しています。
四方当代美術館の広大な敷地には数多くの建築があり、デビッド・アジャイや アイ・ウェイウェイなど、約20人の国際的な建築家やアーティストによって設計された20棟のヴィラがあります。その世界でも類を見ないようなスケールから、観光客も多く訪れています。
ジョウ・トン(周通)
ジョウ・トン(Zhou Tong|周通)は、モンドリアンやリウ・イエ(Liu Ye|劉野)などの作品を1996年から蒐集してきました。
最近では、より現代アートに注目しているようです。ジョウ・トンは、中国のアート雑誌「SCOPE」のキュレーター、コラムリストとして、評論、アートレビューなどを執筆しています。
ジョウ・トンは、『長年にわたって集めたアートコレクションが、これ以上自宅に置けないことに気づいてその時点で自分をコレクターと呼んでも良いことに気づいた』と語っています。
ジョウ・トンはギャラリー、オークションハウス、アートフェアによく訪れるといい、ギャラリーに展示されていない作品をアーティストのスタジオで購入することもあるそうです。
チャオ・ジービン(乔志兵)
チャオ・ジービン(Qiao Zhibing|乔志兵)は、北京出身で、エンターテイメント業界で成功した実業家です。元々サウンド・エンジニアとしてキャリアを始め、その後ナイトクラブのビジネスなどで成功を収めたと言います。
2006年から、中国の現代アートを中心にアート作品の収集を始めました。『個人的な経験に関連した作品に惹かれて』購入するといいます。
チャオ・ジービンのコレクションの多くは、4階建てカラオケクラブ「上海ナイト」にて展示されていましたが、2019年より、上海の黄浦江のほとりにある西外灘文化回廊に「タンク上海」と呼ばれる専用スペースがオープンしてからはそちらに収蔵されているようです。
チョン・ゾウ(周崇)
チョン・ゾウ(Chong Zhou|周崇)は、中国を代表する若手アートコレクターの一人です。
母親の影響から、2001年からアート蒐集に興味を持ち始め、2010年に初めてのアート作品として草間彌生の自画像を購入しました。
アートイニシアチブであるArt Project CZ の一環として、経営するレストランMingoにて定期的に美術展覧会、講演会、交流会を主催しています。
現在のチョン・ゾウのコレクションは1975 年以降に生まれた近現代のアーティストの作品が中心となっています。
ワン・ゾン・ジュン(王忠軍)
ワン・ゾン・ジュン(Wang Zhongjun|王忠軍)は、中国最大手のエンターテイメント会社を運営する実業家で、アートコレクターとしても知られています。
ワン・ゾン・ジュンのコレクションには、中国のアーティストやパブロ・ピカソ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなどの西洋のアーティストのものが多くあります。
また、自身でも絵を描いており、ゴッホの作品からインスピレーションを受けていると語っています。
ジェン・ハオ(鄭昊)
ジェン・ハオ(Zheng Hao|鄭昊)は、中国の有名な起業家、そしてアートコレクターで、アートの中心地である上海にHOW Art Museumを2017年末にオープンさせました。
ジェン・ハオはなんと7歳からアートの蒐集を始めたといい、3,000点ものコレクションを持っています。現代アートや西洋のアンティークシルバー、中国の中国の七宝焼のオブジェなどが彼のコレクションに含まれます。
ダミアン・ハースト、アニッシュ・カプーア、草間彌生、アイ・ウェイウェイなどの作品も所有しています。
まとめ
中国を代表するアートコレクターを8人紹介しました。
とんでもないお金持ちばかりではありますが、現代アートに注目しているコレクターも多いため、どんな新興アーティストに注目するのかなどの動向をチェックして参考にすることもできるかもしれません。
参考
CHINA ART LOVER「Famous Chinese art collectors to follow.」https://www.chinaartlover.com/famous-chinese-art-collectors-to-know