【アメデオ・モディリアーニ】大阪中之島美術館開催中のモディリアーニ展の情報や、経歴、代表作品、所蔵美術館など

Amedeo Modigliani
アーティスト紹介
モディリアーニ「少女の肖像」

DATA

ニックネーム
近代肖像画の代表
作者について
フランス・パリで活躍した、ユダヤ系イタリア人画家、彫刻家のアメデオ・モディリアーニは、細く伸ばされた顔や体が特徴的な身近な人の肖像画や裸婦像を多く描いたことで知られています。 生前は作品が評価されず、酒や麻薬に溺れるなど荒んだ生活を送った末に35歳の若さで亡くなってしまいますが、死去後に高く評価されるようになります。現在でもモディリアーニの作品は世界的に人気があり、高値で取引されています。

現在の値段

1,830,801,000円(過去36ヶ月間の平均落札価格)

2018年「NU COUCHÉ (SUR LE CÔTÉ GAUCHE)」約20,551,918,168円(サザビーズ)
2019年「JEUNE HOMME ASSIS, LES MAINS CROISÉES SUR LES GENOUX」約3,027,305,954円(サザビーズ)
2020年「Portrait de Maurice Drouard」約661,872,092円(クリスティーズ)
2021年「Jeune fille assise, les cheveux dénoués (Jeune fille en bleu)」約2,138,114,025円(サザビーズ)

2015年11月にクリスティーズ・ニューヨークで開催されたオークションにて油彩画「横たわる裸婦(Nu Couche)」が170.4ミリオンドル(約210億円)で落札され、モディリアーニの作品で最高落札額を記録しました。
Artsyによると、過去36ヶ月間の平均落札価格は約18億円と高額で取引されていることがわかります。
モディリアーニの作品のオークション結果

アメデオ・モディリアーニの経歴

アメデオ・モディリアーニの写真
引用:The Odessa Journal「Anna Akhmatova and Amedeo Modigliani」https://odessa-journal.com/anna-akhmatova-and-amedeo-modigliani/

顔と首が異様に長い、特徴的なスタイルの肖像画で知られているアメデオ・モディリアーニ(以下、モディリアーニ)は、1884年7月12日に、地中海に面したイタリア北西部の港町、リヴォルノでセファルディ・ユダヤ系のイタリア人とフランス人の両親の元に生まれました。

1898年、モディリアーニが14歳の頃から、風景画家のグリエルモ・ミケーリのアトリエでデッサンの指導を受けるようになりました。

モディリアーニは1900年に結核を患い、翌年には転地療養のため母とナポリ、カプリ、アマルフィ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアを旅行し、旅先で訪れた教会などで見たイタリア美術に強い感銘を受けたといいます。

1902年にフィレンツェで裸体画を学んだモディリアーニは、翌年ヴェネツィアに移住して美術学校に入学し、カルパッチョ、ベリーニ、シエナ派の研究に励みました。

そして1906年1月、ついにモディリアーニは芸術の都フランス・パリへ移住し、アカデミー・コラロッシに入学します。

当時からアトリエを借り活動を始めており、パブロ・ピカソ、ギヨーム・アポリネール、アンドレ・ドラン、ディエゴ・リベラらとも親交があったそうです。

その後モディリアーニは、サロン・ドートンヌやアンデパンダン展に作品を出品するも、顔や首を長く描く独特の作風は当時評価されず、大幅な値引きなしでは作品が売れないという状況が続いたようです。

絵画がなかなか売れなかったことから、モディリアーニは酒や麻薬に溺れて行き、生活は乱れ極貧生活であったといいます。

アメデオ・モディリアーニとジャンヌ・エビュテルヌ
引用:k Madison Moore Portfolio「Modi My Love Inspired by Modigliani」https://www.kmadisonmooreportfolio.com/2017/05/modi-my-love-original-oil-painting.html

1919年7月に、ジャンヌ・エビュテルヌと結婚するも、貧困な生活と以前から患っていた肺結核に苦しんだ末、モディリアーニは1920年1月24日に結核性髄膜炎により35歳で亡くなりました。

当時妊娠9ヶ月だった妻・ジャンヌもモディリアーニの死の2日後、後を追って自宅から飛び降り自殺したそうです。

モディリアーニの死後の1926年の回顧展では、新聞が作品を高く評価し、肖像画は3万5千フランで売れたことも記録されています。

モディリアーニの絵画作品の代表作は、そのほとんどが油彩の肖像画と裸婦画であり、1916年から1919年の間に制作されていることがわかります。

開催中の展覧会「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」

大阪中之島美術館で開催中の「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」
引用:ノマサラ「大阪中之島美術館の開館記念特別展「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」に行ってきた!」https://liquid-sense.com/2022/04/25/2022musium-modigliani/

2022年4月9日(土)から2022年7月18日(日・祝)まで、「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」が大阪中之島美術館 5階展示室にて開催されています。

本展覧会では、国内外で所蔵されている世界初公開の肖像画を含むモディリアーニの作品約40点が展示されています。

大阪中之島美術館に所蔵されている裸婦像「髪をほどいた横たわる裸婦」と同じモデルを描いた作品「座る裸婦」がアントワープ王立美術館より来日しているほか、モディリアーニとともに当時のパリで活躍した芸術家たちの作品も展示されているなど、芸術家としてのモディリアーニの軌跡をたどることができる展示内容となっています。

日本でモディリアーニ展が開催されるのは、14年ぶりだそうです。

アメデオ・モディリアーニの代表作品

「騎馬服の女」1909年

「騎馬服の女」は、モディリアーニがパリに移住して数年後の1909年に描かれた作品です。

名高い乗馬の名手であった、友人の某男爵の夫人をモデルに描かれましたが、ジャケットの色を赤から黄色に描き替えたことが気に入らなかったのか、完成後受け取りを拒否されたのだそうです。

「新郎と新婦」1916年

モディリアーニ「新郎と新婦」
引用:アート名画館「モディリアーニ【新郎と新婦】
33,800円(税込37,180円)
http://meiga.shop-pro.jp/?pid=7296911

モディリアーニの作品のほとんどが肖像画と裸婦像であったことは有名ですが、肖像画はほとんどが単身像で、本作品「新郎と新婦」は珍しく二人の人物が描かれています。

モデルは不明だそうですが、おそらくブルジョア階級の夫婦でしょう。

キュビズムの影響が、背景の幾何学的な構成、顔に入った直線などに見受けられます。

「赤い肩掛けを着たジャンヌ・エピュテルヌ」1917年

モディリアーニ「赤い肩掛けを着たジャンヌ・エピュテルヌ」
引用:Artpedia アートペディア「アメデオ・モディリアーニ / Amedeo Modigliani」https://www.artpedia.asia/amedeo-modigliani/

モディリアーニは、妻・ジャンヌの肖像画を生涯に30枚ほど描きましたが、「赤い肩掛けを着たジャンヌ・エピュテルヌ」はその中でも最後に描かれたものだそうです。

当時妊娠中だったジャンヌのお腹がふっくらしているのがわかりますが、体は全体としてはデフォルメされています。

前身が細長く伸びて体がひねられている動きの中に優雅さを感じますが、ジャンヌの顔は無表情で蒼白く、虚ろな目をしている感じがします。

「背中を見せて横たわる裸婦」1917年

モディリアーニ「背中を見せて横たわる裸婦」
引用:ネット美術館「アートまとめん」「『背中を見せて横たわる裸婦』 モディリアーニ」

「背中を見せて横たわる裸婦」は、モディリアーニの裸婦作品が集中して多く描かれた1917年に制作されました。

横たわる裸婦の大胆な姿勢から、しなやかさな美しさが表現されており、暖色を多く用いた怠惰的かつ退廃的な色彩表現が印象的です。

「子供とジプシー女」1919年

モディリアーニ「子供とジプシー女」
引用:Musey「子供とジプシー女」https://www.musey.net/12830

「子供とジプシー女」は、モディリアーニが南フランスに滞在していた間に描いた作品です。

パリにいた時と同じように、周りにいた人々をモデルに絵を描いていたモディリアーニは、赤ん坊とその母親の姿を暖色と寒色の鮮やかなコントラストで描いています。

母親の顔には、瞳が描かれていたり、顔色にも血色があり柔らかい表情をしているのが見て取れます。

アメデオ・モディリアーニの作品が収蔵されている美術館

海外

  • LaM(リール近代・現代アート、アール・ブリュット市立美術館):「若い女の胸像」「バイキングのエッゲリング」「肌着を持って座る裸婦」
  • パリ市立近代美術館:「青い目の女」「扇を持つ女(ルニア・チェホフスカ)」
  • メトロポリタン美術館:「ホアン・グリス」「イタリアの女」「横たわる裸婦」「セーラー・シャツの少女」「ジャンヌ・エピュテヌル」
  • ポンピドゥー・センター「赤い顔」「キスリング」「母と子」
  • オランジュリー美術館「赤毛の娘」「新しき水先案内人、ポールギョームの肖像」「ビロードのリボンをつけた女」「アントニア」「若い見習い職人」
  • デトロイト美術館:「男の肖像」「女の肖像」「帽子を被った若い男性」
  • コートールド美術館:「裸婦」「横たわる裸婦」
  • ニューヨーク近代美術館(MoMA):「ハンカ・ズボロウスカ夫人の肖像」
  • グッゲンハイム美術館:「裸婦」「黄色のセーターを着たジャンヌ・エビュテヌル」
  • バーンズ財団美術館:「うつぶせに横たわる裸婦」「横向きに座るジャンヌ・エビュテルヌ」「左腕を上げたジャンヌ・エビュテルヌ」「
  • LaM(リール近代・現代アート、アール・ブリュット市立美術館):「若い女の胸像」「バイキングのエッゲリング」「肌着を持って座る裸婦」
  • パリ市立近代美術館:「青い目の女」「扇を持つ女(ルニア・チェホフスカ)」
  • メトロポリタン美術館:「ホアン・グリス」「イタリアの女」「横たわる裸婦」「セーラー・シャツの少女」「ジャンヌ・エピュテヌル」
  • ポンピドゥー・センター「赤い顔」「キスリング」「母と子」
  • オランジュリー美術館「赤毛の娘」「新しき水先案内人、ポールギョームの肖像」「ビロードのリボンをつけた女」「アントニア」「若い見習い職人」
  • デトロイト美術館:「男の肖像」「女の肖像」「帽子を被った若い男性」
  • コートールド美術館:「裸婦」「横たわる裸婦」
  • ニューヨーク近代美術館(MoMA):「ハンカ・ズボロウスカ夫人の肖像」
  • グッゲンハイム美術館:「裸婦」「黄色のセーターを着たジャンヌ・エビュテヌル」
  • バーンズ財団美術館:「うつぶせに横たわる裸婦」「横向きに座るジャンヌ・エビュテルヌ」「左腕を上げたジャンヌ・エビュテルヌ」「水玉模様のブラウスを着た少女」
  • ワシントン・ナショナル・ギャラリー:「シャイム・スーティン」
  • フィリップス・コレクション:「エレーナ・パヴロウスキーの肖像」

など

日本国内

  • ポーラ美術館:「婦人像(C.D.夫人)」「ルニア・チェホフスカの肖像」「ルネ」
  • 松岡美術館:「若い女の胸像(マーサ嬢)」
  • 大阪中之島美術館:「髪をほどいた横たわる裸婦」
  • 東京富士美術館:「アレクサンドル博士」
  • ヤマザキマザック美術館:「ポール・アレクサンドル博士の肖像」
  • ひろしま美術館:「青いブラウスの婦人像」「おさげ髪の少女」
  • 名古屋市美術館:「立てる裸婦 (カリアティードのための習作)」「おさげ髪の少女」
  • 愛知県美術館:「カリアティード」
  • 大原美術館:「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」
  • 長島美術館:「赤毛の女」

モディリアーニの生涯を描いた映画「モンパルナスの灯」

モディリアーニの映画「モンパルナスの灯」
引用:Amazon

1958年にフランスで制作された映画「モンパルナスの灯」は、パリで活躍したアメデオ・モディリアーニの生涯をテーマに描かれた作品です。

当時大戦後のパリ・モンパルナスで、芸術活動を続けるもあまり評価されずに苦しむ中、麻薬やアルコールにおぼれ、病を患うモディリアーニが、のちの妻となる画学生ジャンヌと出会うところから物語はスタートします。

映画の中では、モディリアーニを中心に、その妻・ジャンヌ以外にも愛人や娼婦、少女など複数の女性が登場します。

肖像画や裸婦画を描いたことで知られるモディリアーニは、自身の周辺にいた人物をモデルに絵を描いたと言いますが、女性にもよくモテた姿が描かれているようです。

モディリアーニの作品に惹かれる方は、短い生涯の中での芸術活動や、人間模様をイメージするために「モンパルナスの灯」を観てみるのも良いかもしれません。

まとめ

若くしてこの世を去ってしまったモディリアーニですが、その特徴的な作品は死後に評価を集め、現在でも世界的に人気があり、作品には高い価値がついています。

大阪中之島美術館で開催中の展覧会「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」に是非足を運んで見てください。

参考

気になるアート「モディリアーニ 絵画作品と所蔵美術館」http://kininaruart.com/artist/world/modigliani.html

白いキャンバス「【エコール・ド・パリの画家】モディリアーニの代表作を解説します!」https://art-whitecanvas.com/modigliani-works/

ART Storms「モディリアーニを描いた映画『モンパルナスの灯』」https://art-storms.com/les_amants_de_montparnasse/

大阪中之島美術館「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」https://nakka-art.jp/exhibition-post/modigliani-2022/

Wikipedia「アメデオ・モディリアーニ

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。