最近、世界的にNFTの取引量が急増しているのはご存知ですか?
NFTは、エンタメ、スポーツやアートなど様々な分野での活用され、今後もその市場が伸びていくことが期待されています。
今回は、世界中で話題になり続けているNFTの日本での状況について、まとめてみました。
NFT(非代替性トークン)とは?
そもそも、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)ってよく聞くけど、なんのことなのかよくわからないという方は少なくないはずです。
NFTは「Non Fungible Token」の略で、ブロックチェーンの技術を使い、デジタルデータを「偽造不可な鑑定書・所有証明書付き」にしたものです。デジタルデータをNFT化することで、その制作者、所有者、作成日等を関連づけてブロックチェーン上に記録することが可能になり、従来資産価値を証明するのが困難であったデジタルデータに唯一無二の資産価値を付けることが可能になりました。2020年よりNFT市場は世界的に急速な盛り上がりを見せており、デジタルコンテンツの新たな売買市場として大注目されています。
PR TIMES「世界初!日本の二次元文化に特化したNFTマーケットプレイス「PolkaFantasy」が10月にグローバルリリース!公認NFTクリエイターを20名募集!」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000084153.html
これまでは資産価値を証明するのが難しく、また簡単にコピー・複製することもできたデジタルコンテンツが、ブロックチェーン技術を用いたNFT化が実現することによって、代替できないものになりました。
これにより、デジタルアートや著名人のSNSの投稿などのような、あらゆるデジタル上のコンテンツに数億円の価値がついたというニュースを耳にすることが増えたのです。
このように今までの常識を逸する新しい概念・システムとして、NFTは世界的に注目を集めているようです。
NFT事業に参入する日本企業|日本語・日本円対応のマーケットプレイスなど
話題沸騰のNFTですが、日本人の利用割合は世界的にみてまだまだ低いようです。
世界最大手のNFTプラットフォームは、90%以上の取引高を占めるアメリカ・ニューヨーク発のOpen Seaで、その他も有名どころはまだ基本的に英語圏のプラットフォームであるため、とっつきにくいと感じる方も多いでしょう。
最近は日本企業もマーケットプレイスなどのNFT事業に少しづつ参入し始めているため、これまでNFTの取引に興味はあるけど躊躇していた方々には良い機会になるかもしれません。
楽天:楽天NFT
日本国内最大級のオンラインショッピングモール「楽天市場」の運営企業として有名な楽天グループ株式会社は、2022年の春からNFT事業に参入する予定となっています。
マーケットプレイス「楽天NFT」は、スポーツやエンタメなど様々な分野のNFTの売買ができるマーケットプレイスや、NFTの発行・販売ができるサービスなどを提供し、楽天市場での買い物などで貯まる楽天ポイントのような既存のサービスと連携させていくそうです。
楽天は、仮想通貨取引所「楽天ウォレット」のサービスも2016年12月から開始し、日本でも多くの人々が仮想通貨を所有するきっかけとなりました。
楽天のNFT参入によって、より多くの日本人がNFT取引をより身近に感じられるようになりそうです!
GMO:Adam by GMO
GMOインターネットグループ傘下のGMOアダム株式会社は、2021年8月末よりNFTマーケットプレイス「Adam by GMO」のサービスを開始しました。
デジタルアート作品をはじめ、漫画やイラスト、YouTuberのコンテンツなどがNFTとして出品・販売されています。
これまで一般的には、NFT取引のために仮想通貨(暗号資産)の利用が必要であったことなども、馴染みのない方には少し参入ハードルが高い理由になっていたかもしれません。
Adam by GMOでは、仮想通貨イーサリアムに限らず、日本円での取引を行うことも可能になっているため、仮想通貨を所有していない方でも、気軽にデジタルコンテンツの購入ができます。
Adam by GMOは現在はまだβ版ですが、今後はさらにシステムが整い、より利用しやすくなっていくでしょう。
モバイルファクトリー:ユニマ
モバイルファクトリーと子会社のビットファクトリーは、2021年7月にNFTトークンの生成・販売プラットフォームである「ユニマ」を開設しました。
ユニマは、『はじめてのNFTはユニマ』をテーマに作られたプラットフォームで、NFT初心者にも使いやすく安全に使ってもらうことができるように作られているそうです。
NFTの売買を仮想通貨(暗号資産)を利用することなく、全て日本円で決済可能なので気軽に手を出しやすく、購入者はプラットフォームを無料で利用できます。(出品者側の手数料のみ)
また、マネーロンダリングを防止するため、NFT購入金額が200万円を超えた場合、出品者および購入者に本人確認が行われるなど、安全性を重要視していることがわかります。
最近では、女優のんとのコラボ作品が販売されたり、一連動型ゲーム「駅メモ!Our Rails」のゲーム内の駅の所有権がオークションで販売されたりしました。なんと、「駅メモ!Our Rails」の永田町駅のオーナー権は34万6500円で販売されたそうです。
SBIオークション:SBINFT
2021年9月末に、国内大手オークションハウス、SBIオークションが有名なSBIホールディングス株式会社は、NFT作品のマケットプレイスをを展開する新興企業の株式会社スマートアプリを買収しました。
株式会社スマートアプリはSBINFT株式会社に社名変更され、2022年2月ごろにSBIグループとしてサービスを開始する予定になっているようです。
SBIグループは、現代美術を中心とした美術品のオークションサービスの他に、仮想通貨(暗号資産)の取引所サービスやeスポーツ事業にも参入しており、これらの既存事業と連携させてNFT事業に乗り出す予定です。
特にデジタルアートなどのアート作品の取引については、信頼できるオークションハウスを運営するグループであるからこそ、期待ができそうですね。
Fantasy Tech Inc.:PolkaFantasy
Fantasy Tech Inc.が運営するPolkaFantasyは、2021年10月に世界初の日本の2次元カルチャーに特化したNFTマーケットプレイス、年内にブロックチェーンゲームをグローバルリリースする予定です。
日本のアニメ・漫画・ゲームなどの2次元文化は、世界各国にファンが多くいることで知られているため、日本を中心に世界的にもPolkaFantasyをきっかけとしてNFTに興味を持つ人が一気に増えるかもしれません。
PolkaFantasyでは、新規参入クリエイターは、NFT化・出品料・手数料が無料でサービスを利用することができ、出品クリエイターにとって収益化しやすいシステムを構築しているそうです。
日本語だけでなく英語、中国語などの多言語にも対応して、世界市場へ向けて日本の2次元カルチャーのNFTを発信するのに最適なプラットフォームと言えるでしょう。
今、注目の日本人NFTアーティストは?
多くの日本企業が次々とNFT事業に参入していることから、日本でもさらに市場が盛り上がりそうだとわかりました。
一方で、世界を舞台に人気を集めている日本人のNFTアーティスト(クリエイター)も多数出てきているようです。
日本初のNFTアーティストの中から、海外で独占的なシェアを誇るNFTマーケットプレイスOpen Seasでの総取引量で上位に入る、現在注目すべきアーティストたちをピックアップして紹介します。
GenerativeMasks
GenerativeMasksは、甲南女子大学メディア表現学科講師を務めるTakao Shunsuke氏によるプロジェクトです。
NFTマーケットプレイスをリロードするたびに、ユニークな形状とパターンから自動的に生成されたさまざまな表情のマスクのようなグラフィック作品は、Open Seasで販売され、販売開始から2時間で10,000点が完売しました。
2021年8月17日付での24時間の取引量は、世界の有名NFTクリエイターと肩を並べ、第2位にもランクインしています。
これまでに3000人の以上の人々がGenerativeMasksの作品を購入し、2時流通も含めると12,000以上の取引がされているそうです。
GenerativeMasksは、収益を全額寄付することや、メタバースへの参加や本物の彫刻を施した木彫りのマスクの作成などのように今後のプロジェクト計画をロードマップとして公表しています。
Metaani × キズナアイ
2021年9月にバーチャルYoutuber(VTuber)「キズナアイ」と、先進的なクリプトアートプロジェクト「Metaani」との初のコラボレーションが話題になりました。
キズナアイは、2016年12月から活動しているバーチャルYouTuber界のパイオニアで、国内のみならず海外にも彼女を応援するファンは世界中に広がっています。
Metaaniとは、VRクリエイターのMISOSHITA氏と世界最大のクリプトアート展示会Crypto Art Fesを開催したmekezzo氏とによって立ち上げられた、クリプトアートプロジェクトです。
今回のMetaani × キズナアイのコラボレーションで販売されたクリプトアートは、11種類のMetaaniのボディ全てにキズナアイのハート型カチューシャ『ぴょこぴょこ』がデザインされ、キズナアイの公式Youtubeチャンネル「A.I.Channel」で使用された歴代のサムネイル画像の中から200種類が選ばれて背中に添えられたもので、今後Metaaniが製作する3D空間などでも、VRアバターとして利用することができるようになっているそうです。
せきぐちあいみ
VR空間に3Dのアートを描くVRアーティストとして2016年から活動しているせきぐちあいみ(以下、せきぐち)は、ライブペインティングやYouTubeへのVRアート動画の投稿、アート制作・販売を国内外で行っています。
4月に販売されたNFTアート作品「Alternate dimension 幻想絢爛」は、なんと約1,300万円(69.697ETH)で即日落札されました。
せきぐちは、まだあまり世の中に普及しておらずマネタイズが難しいとされているVRアートの分野を盛り上げていきたいという思いを持って活動しており、NFTを活用したVRを含むデジタルアート作品の販売は、『VRを含む全てのデジタルアーティスト、クリエイター業界全体にとって新たな価値が生まれ、大きな可能性が広がることになる』と語っています。
Open Seasに出品されている作品数は他の日本人アーティストに比べて少ないものの、VRアート作品ということもあり圧倒的に平均価格も高く落札されているようです。
Zombi Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)
注目の日本人NFTアーティストの中には、なんと小学生もいます!
現在8歳で小学3年生のNFTアーティストZombie Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)は、学校の夏休みの自由研究として、iPadで無料でドット絵が描けるアプリを使って、ゾンビと虫や動物たちの絵を掛け合わせたピクセルアートを描きNFTアートとして制作・販売しました。
Zombie Zoo Keeperは、テクノポップ音楽ユニットSatellite Young(サテライトヤング)のメンバーとしても活動している草野絵美(以下、草野)の長男。英語への翻訳やSNSでの告知など、草野の助けを借りながら、世界に発信したZombie Zoo Keeperの作品は、海外の人気インフルエンサーの目に留まり、その後着々と拡散されどんどん売れていきます。
9月17日には、Zombie Zoo KeeperのNFTアート作品が二次流通で世界的DJのスティーヴ・アオキによって合計約240万円で購入され、大きなニュースとなりました。
NFTは通常のアート作品同様、オークションでより高値で取引されることで価値が上がっていくため、このような著名人による落札が新たな引き金となり、今後さらにZombie Zoo Keeperの作品の価値が高まるかもしれません。
日本のNFT市場はどの分野で成長していく?
アメリカのデジタルアーティストBeeple(ビープル)の、5000点のデジタル画像を合成して作ったコラージュ作品がNFT化して販売され、大手オークションハウスのクリスティーズで約75億円で落札されたことなどから、現在のNFT市場はバブルだと言われていたりします。
今後の日本でのNFT市場はどうなっていくのでしょうか?
現状少しずつ日本企業や日本人アーティストのNFT参入が進んでいて、今後の日本におけるNFTの市場はさらに成長していくだろうと言われています。
具体的には、NFTアートとブロックチェーンゲーム分野が伸びていくと期待されているため、ぜひ注目しておきましょう!
NFTアート
物理的なアート作品と同様に、NFTとして特定のブロックチェーンに価値の証明書が存在する非代替の作品として、無形のデジタルアート作品も購入・販売・取引ができるようになりました。
物理的なアート作品であれば贋作が出回ってしまうこともあり得ますが、デジタル作品の場合には真贋の証明書が改ざんされないというメリットもあります。
絵画や彫刻など物理的な芸術品を扱うオークション会社などのように、最近では日本のNFTアート界にも、前述したSBINFT(旧株式会社スマートアプリの「nanakusa」)やNFT Studio、TOKEN LINKなどのようなアート分野のNFTマーケットプレイスおよびサービスが開設されてきています。
特に日本の大手オークションハウスを持つSBIグループの参入は、日本におけるNFTアートの広がりに大きく貢献しそうです。
大手企業のNFT事業参入によって、より多くの人々がNFT取引に参加するようになることが予想されるため、日本でのNFTアート市場は盛り上がっていくでしょう。
ブロックチェーンゲーム
ブロックチェーンゲームの分野も、日本国内では盛り上がっていきそうです。
そもそもブロックチェーンゲームとは?
ブロックチェーンゲームでは、ゲーム内のアイテムをNFTで設計することで、アイテムを資産としてプレイヤーのウォレットに移転させることができる。アイテムがプレイヤーの資産になることで、ゲーム外でもアイテムを売買、交換、貸与することが可能となる。また、ゲームのサービス終了後もNFTを載せたブロックチェーンが存在する限り、ゲームアセットが消えることは無いとされる。
SO&SATO INNOVATIVE LAWYERS「NFT:日本のマーケット状況、各団体のガイドライン、日本の規制」https://innovationlaw.jp/nft-market-and-guidelines/
つまり、ゲームのデータをブロックチェーン上で管理できるため、ゲームのサービスが終了したとしても、アイテムやキャラクターなどのデータを自分の手元に残しておくことができ、それらをNFTとして扱うことができるのです。
ブロックチェーンゲームにおけるNFTでは特に、ゲームのマニアのコレクターにとっては資産価値として意外にも、唯一無二であるということ自体が大きな価値になります。
ゲームやアニメなどの2次元文化の分野で世界中にファンを持つコンテンツ大国である日本では、ゲームの分野としてのNFT市場で強みが発揮できそうです。
まとめ
NFTによって、無形のものにも所有権を付与できるようになり、デジタル上のアート作品などのコンテンツにも希少価値を持たせることが可能になってからまだ数年。
これから世界的にはもちろん、日本国内・日本発でNFTアートが盛り上がっていくのは間違いなさそうです。
まだハードルが高く感じて手をつけていない方も、この機会にNFTアートの世界を覗いてみてはいかがでしょうか?
参考
SAKISIRU「楽天も名乗り!日本企業がNFTマーケットプレイスに続々参入中」https://sakisiru.jp/9696
ASCII.jp「デジタルコンテンツのNFT化と販売が可能なマーケットプレイス「ユニマ」開始」https://ascii.jp/elem/000/004/061/4061725/
SBI Hodlings「株式会社スマートアプリの子会社化およびSBINFT株式会社への社名変更のお知らせ」https://www.sbigroup.co.jp/news/2021/0930_12665.html
週間NFTニュース「週間 NFTニュース #34 2021/09/27 SoftbankがリードしSorareへの745億円の投資を決定 NBA Top Shotの Dapper Labsが約270億円調達 TwitterのNFT認証サービス日本発NFTクリエイターのランキング [LOSTPOETS] を理解しよう」https://nftnews.jp/weekly-034/
PR TIMES「世界初!日本の二次元文化に特化したNFTマーケットプレイス「PolkaFantasy」が10月にグローバルリリース!公認NFTクリエイターを20名募集!」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000084153.html
Generativemasks:https://generativemasks.on.fleek.co/#/
Kizunaai Official Website「VTuber「キズナアイ」初NFT、「Metaani」とコラボで販売へ」https://kizunaai.com/news/others/1450/
PR Times「当社所属のVRアーティスト・せきぐちあいみのNFTアート作品が約1,300万円で即日落札!」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002041.000003670.html
BUSINESS INSIDER「【NFT狂想曲】なぜ、小学3年生の夏休みの自由研究に380万円の価値がついたのか」https://www.businessinsider.jp/post-241969
NRI「デジタル・アーティストとNFT市場成長の潜在力」https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0420
SO&SATO INNOVATIVE LAWYERS「NFT:日本のマーケット状況、各団体のガイドライン、日本の規制」https://innovationlaw.jp/nft-market-and-guidelines/