過去10年間で、AI(人工知能)関連技術は私たちの日常生活の一部となりました。
ソーシャルメディアのアルゴリズムや、AlexaやSiriのようなバーチャルアシスタント、ChatGPT、Jasper、copy.aiなどのテキスト生成ツールなど、さまざまな形でAIは一般ユーザーに広く使われています。
今回は、日本でも最近一気に広まり、話題に上がりがちなChatGPTのNFTとの関連性について紹介します。
Chat GPTとは
Chat GPTとは、OpenAIが2022年11月にリリースした人工知能チャットボットのことです。
Chat GPTは、プロンプトにコマンドを書き込むだけで誰でも簡単に使えることから世界的に注目を集め、日常生活や仕事、教育など幅広く使われています。
すでにその能力に驚く人々も多いとはいえ、これからさらにどんどん進化していき、今後さらなる技術革新を牽引していくと考えられています。
Chat GPTはOpenAIの自然言語処理技術を採用しています。ユーザーが入力したプロンプトに基づいて、その回答やその他のコンテンツを、デジタル情報を素早く検索することで適切な回答を提供することができます。
ChatGPTとDALL-E(同じく言語入力から画像やイメージを作成するAIツール)を開発したOpenAIは、テック界の大御所たちを中心としたメンバー、イーロン・マスク、サム・アルトマン、ピーター・ティール、イリヤ・スーツケバー、ジェシカ・リビングストン、そしてLinkedIn共同設立者のリード・ホフマンによって設立されました。
さらに同社はマイクロソフト、ヴァンガード・グループ、ブラック・ロック、イーロン・マスクなどからの資金提供も受けています。
Chat GPTはNFTプロジェクトにどのように活用できる?
Chat GPTの技術は、NFTプロジェクトにどのように活用することができるのか考えてみましょう。
素早く正確に文章でのコンテンツを生成することができるChat GPTを使えば、NFTアーティストがその作品を広めるために用いる、ブログ記事やSNSのキャプション、NFTプロジェクト作成紹介のためのウェブサイトでの説明文やイベント資料などを、時間をかけずに作成することができます。
作品の説明を自分のイメージ通りの表現で紹介することは想像以上に難しいものですが、Chat GPTを使えば、ざっくりとしたイメージから、具体的なアイデアを得ることができます。
アーティストは、Chat GPTという優秀な『アシスタント』の力を借りることで、クリエイティブな活動に専念し、生産性や創造性を上げることができるでしょう。
また、NFTゲームの主要会社は、AIベースのゲームポートフォリオの開発にChat GPTとMidJourney(自然言語の説明から画像を生成できるツール)を利用していることを発表しています。
これらのChat GPTなどを用いたAIベースのゲームポートフォリオによって、NFTゲームの世界は、プレイヤーがゲームで遊ぶ中で、さらにユニークでリアルな体験を提供することができるでしょう。
さらにプレイヤーは、NFTゲーム内で使用するスキンやキャラクターなどの機能を、NFTとして鋳造することもできるようです。
Chat GPTを活用した例
アーティストのマンカインド(Mankind、本名レット・ダッシュウッド:Rhett Dashwood )は、サザビーズでのその作品が販売されたNFTアーティストとして知られています。
マンカインドが実験的に、またパフォーマンス・アートとして作成したミーム(Meme)暗号資産、TURBO(ターボ)は、Chat GPTの助けを借りて生成されました。
現在のTURBO(ターボ)の時価総額は5000万ドル(約7,492,850,000円)となっており、彼の『実験』は成功だったといえるでしょう。
2023年4月23日に、マンカインドはChat GPTに『69ドルの予算で、次の偉大なミームコインを作ってくれ』と依頼を出したとツイートしています。
Chat GPTは、まず最初の返答としてマンカインドに作品のコンセプトを具体化するようにと返信しました。例えば暗号資産の名前や、キャッチーな裏話、ロゴなどを考えていく上で、Chat GPTはそのアイデア出しにも貢献したようです。
マンカインドはこの一連のプロセスを実験的に捉え、自身のTwitter(現在のX)にて、フォロワーにアンケートを取るなど、その意思決定プロセスへの参加を呼びかけました。
さらに、この暗号資産のロゴは、Midjourneyを使って作成されたようです。これも4つの選択肢に絞った後、フォロワーの意見を参考にして選ばれました。
一方で、マンカインドがこのプロジェクトを行なっていたときには、Chat GPTは2021年9月までのデータでトレーニングされていたため、それ以降の最新のデータにはアクセスできませんでした。
マンカインドは、業界の最新情報などChat GPTが使用していない新しい情報をChat GPTに追加で提供した上で、Chat GPTはマンカインドにプロジェクトのコードを書くようにアドバイスしたといいます。ところが、マンカインドはコーディングについて全くの初心者でした。
そこで、マンカインドはChat GPTにコーディングのサポートを依頼し、何時間も時間をかけて、最終的に暗号資産を完成させることができたのだそうです。
この一連の『実験』の初日が終わるまでに、マンカインドは暗号資産のコンセプトやトークノミクス、ホワイトペーパーを開発し、スマートコントラクトの75%を書き上げるところまで到達しました。通常であれば、1日でここまで進めることは不可能であるため、Chat GPTの凄さを思い知ったと言います。
その後、順調に暗号資産開発のプロセスが進んだものの、当初の予算を大幅にオーバーし、フォロワーからのクラウドファンディングなどのサポートもあって、なんとかローンチすることができました。
1回目が失敗に終わったため、2回目のローンチから48時間で、TURBOの時価総額は100万ドルに達し、現在Twitter(現在のX)を中心に多くの人々から評価されています。
Chat GPTをうまく使用することで、時間を大幅に短縮して、暗号資産を作成してローンチするという一連のプロセスを成功させたマンカインド。
彼がTwitterのコミュニティをうまく活用するなど、マーケティングや影響力があったことも大きいとは言えども、Chat GPTがどれほど暗号資産やNFTプロジェクトの作成の助けになるかがよくわかります。
まとめ
Chat GPTは、NFTやメタバースなどWEB3.0の世界でも今後さらに活用されていき、業界の進化を促進させていくと予想されます。
NFTやメタバースへの参入に対して、『難しい』『時間がない』と躊躇していた方も、Chat GPTをうまく使えば効率良く参加できるのではないでしょうか。
参考
nft now「How a Digital Artist Used Chat GPT to Create a $50M Meme Coin」https://nftnow.com/features/how-a-digital-artist-used-chat-gpt-to-create-a-50m-meme-coin/
nft BETA「ChatGPT Is Reshaping the Economy. Here’s What It Means for NFTs」https://www.nft.com/articles/chatgpt-is-reshaping-the-economy-heres-what-it-means-for-nfts
画像引用元: