コラム記事

【ポケモンと工芸】桂盛仁など、人間国宝から若手まで参加工芸アーティスト5名を厳選紹介!

「ポケモンと工芸」開催情報

ポケモンと工芸
引用:https://kogei.pokemon.co.jp/

展覧会「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」が、2023年3月21日(火)から6月11日(日)まで、石川県金沢市の国立工芸館にて開催されます。

本展には、人間国宝から注目の若手まで20名の工芸作家・アーティストが参加し、幅広い素材や技法が用いられた伝統工芸を用いてポケモンの世界観を表現します。

日本の伝統工芸のスタイルや技法を受け継ぐアーティストたちの繊細で芸術性の高い、希少な作品約70点を一気に鑑賞できる貴重な機会です。

会場である国立工芸館は、金沢の有名な日本庭園である兼六園にも近く、金沢を訪れる方にはぜひおすすめしたい展示です。

「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」
会期: 2023年3月21日(火・祝)〜6月11日(日)
休館日:月曜日(ただし5月1日は開館)、5月14日(日)
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
開館時間:9:30〜17:30 ※入館時間は閉館30分前まで

https://www.elle.com/jp/decor/art/a42629439/pokemon-kogei-2023-0131/

「ポケモンと工芸」参加工芸アーティスト

吉田泰一郎|サンダース(彫金)

吉田泰一郎(よしだたいいちろう)は、東京出身の彫金作家です。

彫金の技法は、江戸時代からつづく伝統工芸の一つであり、装飾品や仏具・家具の飾りの金具などを製作する技術から発展しています。金属を人の手によって精製、加工することで、色合いや強度、光沢など素材の表現方法もさまざまになります。

機械が著しく発達した現代における、伝統工芸としての彫金のあり方を再解釈した、彫金を用いた動物の彫刻作品が特徴的です。

『生命の連鎖』や『自然の円環』をテーマとして作られた吉田の作品からは、繊細さと大胆さを同時に感じ取ることができます。

「ポケモンと工芸」展では、彫金で見事に再現したサンダースが出品されます。

桝本佳子|リザードン(信楽焼)

桝本佳子(ますもとよしこ)は、兵庫県出身の陶芸家で、現在は滋賀県信楽にて制作を行なっています。

『より多くの人たちに親しみを持ってもらえる作品を作りたい』と考える桝本の作品からは、絶妙なユーモアが見られ、『用途を持たない、飾られるためだけに作られた器』として、現代アートファンからも注目されています。

桝本の作品は、本来であれば装飾としてのモチーフにインパクトを持たせており、やきもののつけ絵が立体的に飛び出しているなど、モチーフと器がアンバランスに共存した、ユニークな組み合わせが面白く特徴的です。

「ポケモンと工芸」展では、信楽焼で作られたリザードンが鑑賞できます。

今井完眞|フシギバナ(陶芸)

今井完眞(いまいさだまさ)は京都出身の陶芸家で、現在も京都で作陶をしています。

陶芸一家に生まれた今井は、幼い頃から土に触れてきたことから、伝統的な技法を学んだ上で、現代アートと言える斬新で洗練された陶芸作品を制作していることで知られています。

海亀や蟹などをモチーフとした作品が有名で、本来陶芸でモチーフの『らしさ』を出して再現することは難しいものの、その細部にわたる詳細な繊細さが見られる表現と、しっかりと技法や土の特徴を理解している知識や経験から、まるで本物のように見えます。

「ポケモンと工芸」展では、今井が制作した陶器のフシギバナを観ることができます。

小宮康義|ゲンガー(江戸小紋)

小宮康義(こみややすよし)は、曽祖父、祖父、父が重要無形文化財保持者(人間国宝)という染色職人の家に生まれた江戸小紋職人です。

大学卒業を機に三代目の父・康正さんに弟子入りして以来、家族に代々伝わる伝統技法を受け継いでいます。

『宝石のような透明感のある色、何年たっても輝きを失わない、冴えのある色』を目指しているという小宮の江戸小紋は、一見無地のように見えますが、クローズアップすると細かい模様が広がっていて、

現在は、受け継いだ伝統をもとに、独自の作品制作にも取り組んでおり、トランプ、象、川蝉などの斬新な柄の作品を発表し、賞も受賞しています。

「ポケモンと工芸」展では、小宮の江戸小紋に、ゲンガーが隠れているのを見つけることができます。

桂盛仁|ブラッキー(彫金の帯留め・ブローチ)

桂盛仁(かつらもりひと)は、2008年に重要無形文化財「彫金」の保持者に認定され、人間国宝に認定された金工作家です。

江戸時代の初期から続く彫金の一派である町彫りの彫金家・横谷宗珉の弟子である柳川派の流れをくみ、以後その技法を伝承する弟子筋になっています。

色艶が美しい桂盛仁の作品は、その濡れたような質感あるいは柔らかそうな、温かそうな印象から、まるで金属でないように見えるのが印象的です。

打ち出しや彫金、象嵌、色絵などの伝統技法を駆使し、日本伝統工芸展などで高い評価を得てきた桂は、宮内庁買い上げ、文化庁長官賞を受賞するなど、各方面からその芸術性の素晴らしさを讃えられてきました。

「ポケモンと工芸」展では、桂盛仁の「帯留・ブローチ ブラッキー「威嚇」「眠り」「立ち姿」」が展示されます。

まとめ

「ポケモンと工芸」は、日本が誇る伝統工芸と、世界的に人気のある日本の代表的アニメであるポケモンのコラボレーションというかなり斬新でおもしろい展示だと、興味をそそられました。

長い年月を費やして伝統的な技術を磨いた作家たちが、伝統的・現代的な表現をうまく掛け合わせた作品は、日本の工芸職人、アーティストたちだからこそなせる技だと思います。

参考

ブレイク前夜 吉田泰一郎 https://www.youtube.com/watch?v=9hDzqM90U3g

B-OWNED「器であって器でない、ただそこにあるだけのもの」https://www.b-ownd.com/artists/b9YtKW

ブレイク前夜 今井完眞 https://www.youtube.com/watch?v=ZtaEY9ERs5E

明日への扉「江戸小紋職人小宮 康義」https://www.athome-tobira.jp/story/029-komiya-yasuyoshi.html

三越伊勢丹「人間国宝を訪ねて⑭桂 盛仁 金工/彫金」https://www.mistore.jp/shopping/feature/living_art_f2/art159_l.html

画像引用元:https://kogei.pokemon.co.jp/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。