世界中の多くの有名企業などが続々とメタバース市場に参入していることから、メタバースは一種のバズワードのようになっており、最近一層盛り上がっています。
そんな中で、アメリカを中心に注目されているブロックチェーンゲーム「Decentraland(ディセントラランド」について知っていますか?
今回はディセントラランドや関連する暗号資産MANAの概要や今後の可能性について解説します。
そもそも、メタバースやブロックチェーンゲームとは?
ディセントラランドについて解説するにあたり、まずメタバースおよびブロックチェーンゲームについて確認しましょう。
メタバースとは、『インターネットの次の世界』と言われている仮想世界のことで、現実世界と同じように遊んだり、仕事をしたり、取引をしたり、何かを創ったり、交流をしたりできる仮想世界』のことです。
定義や仕組みなどの基礎知識についてはこちらの記事でも解説しています。
メタバースを活用することで、リアルの世界で行っているあらゆることを仮想世界でもできるようになると期待されています。
その代表がMinecraft(マインクラフト)やFortnight(フォートナイト)のようなオンラインゲームや、OpenSeaで取引されるNFTアートなどであり、これらはすでに多くの人々が利用していますが、その他にも可能性は無限大だと考えられているのです。
例えば、先日紹介したメタバース美術館やイベント開催などもその一例でしょう。
「ブロックチェーンゲーム」とは、ブロックチェーン技術を基盤に構築されたゲームのことです。
ブロックチェーン技術とは、『取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術』で、データの改ざんの防止や膨大な処理の分散などに優れています。
このブロックチェーン技術が活かされることにより、メタバースの世界も完全に近づくことができると言われています。
ディセントラランドとは?
先ほど説明した「ブロックチェーンゲーム」の中でも、ディセントラランドは最も歴史が長いと言われているイーサリアムブロックチェーンを利用したプラットフォームとして知られています。
元々は2015年に2Dプラットフォームとして誕生した後、VR(バーチャルリアリティ)とブロックチェーン技術を組み合わせた仮想空間プラットフォームとして進化を続けています。
カリフォルニアを拠点とする非営利団体「Decentraland Foundation」が現在開発・運営を行なっており、世界中の投資家20名以上からサポートを受けているそうです。
ディセントラランドは、デジタル不動産の売買、ユーザー同士の交流、仮想プラットフォームの探索、ゲームのプレイなどメタバースにおいて様々なことができる場所の1つになっています。
現時点で、言語は英語のみとなり日本語には対応していないようです。
ディセントラランドの暗号資産MANA
ディセントラランドの中で使用できる暗号資産・独自のトークンがMANA(マナ)です。
MANAの価値は仮想通貨バブルで高騰した後、バブル崩壊後に下落し続けていたものの、2020年中頃からは再び上昇傾向にあるようです。
MANAは2017年のローンチ以降、大手の暗号資産取引所であるバイナンスなどを含む多くの海外取引所で取引が可能ですが、残念ながら日本国内取引所ではまだMANAを取り扱っているところはないようです。
2022年4月20日時点でのディセントラランド/円 (MANA)の相場は、266.58円となっています。現在の世界情勢などにより、他の銘柄と同様に3月後半以降下がっている傾向にあります。
ディセントラランドで何ができるの?
ディセントラランドの遊び方
ディセントラランドをプレイする際に、よりリアルな没入体験をしたい方は、VRヘッドセットを使ってもいいですが、なくても問題ありません。
基本的にメタバースは、現状世界中からのアクセス集中があり、処理量が大きいことから重くなってしまうので、ある程度のスペックのあるパソコンでプレイするのがオススメです。
ディセントラランドは、約90,000区画の仮想空間上の土地(『LAND(ランド)』と呼ばれます)で構成されています。
このディセントラランドのメタバースの中を自由に探索することは、アカウントを持っていなくても、手数料などもかからずに無料で誰にでもできます。
他のユーザーたちがどのように自分たちの『LAND(ランド)』を作っているかを見たり、そこにいる世界中のユーザーと交流したりもできるようです。
ディセントラランドの中では、すべての取引に使用できる暗号資産MANAが利用されています。このMANAで、ディセントラランド内で開催されるゲームやイベントなどに参加する際に支払いを行ったり、アバターのアイテムや土地を購入したりすることで、より深く楽しむことができるのです。
MANAを使ってLANDを購入すると、その土地をカスタマイズすることができ、ゲームを設置したり、ギャラリーを作ったりと好きなようにその土地を活かして楽しむことができます。
ディセントラランドにはデジタルアイテムやゲームなどを作ることのできるクリエイター機能がありますが、これは開発者向けで専門的な知識がないとできないそうで、企業が参入してゲームを開発したりしているようです。
ディセントラランドで稼ぐには?
ディセントラランド上にある土地(LAND)やアイテムなどはNFTであるため、ディセントラランド内のNFTマーケットにて、MANAを用いて売買することができます。
LANDを所有するユーザーは、購入時より価格が上昇したタイミングでLANDを売却して利益を出したり、所有するLANDにビルや歴史的建造物などを建てて付加価値を加えて「Scenes(シーンズ)」としての販売したり、保有するLANDでイベントを開催して入場料を取るなど、ディセントラランド上でもリアルの世界のように土地の売買や活用で利益をあげることができるのです。
これらのNFTは、OpenSeaなどの外部のNFTマーケットプレイスに持ち出して、イーサリアムなどの他の通貨で売買することもできるため、需要の高いNFTアイテムを売って稼ぐこともできるそうです。
また、ディセントラランドではAxieInfinity(アクシー・インフィニティ)やEtheremon(イーサエモン)などの他の人気NFTゲームと提携しているため、一部のNFTアイテムを相互に利用できるようになっているのも面白い点です。
ディセントラランドにおけるアート界の動き
2021年には、ディセントラランドは世界最大手の老舗オークションハウスであるサザビーズとの提携を発表しました。
ディセントラランド内のボルテール・アート地区に作られたサザビーズのギャラリーは、ロンドンのニューボンドストリート(ロンドン最大のブランド店街)にある象徴的なサザビーズのギャラリーを模しており、サザビーズのロンドン案内人のアバターがユーザーを出迎えるという本物に近いながらも新しいデジタル体験ができる場所となっています。
大手企業の参入によって、メタバース内でもギャラリーでのクオリティの高いアート作品の展示や、アートオークションでできるようになります。
バイヤーはボイスチャット機能を使って、アーティストや関係者と直接会話をすることもできるようで、今後よりリアルに近い体験が提供されていくことが期待されます。
また、アソビシステム株式会社など日本の3社は共同で、ディセントラランド上で所有するLANDに「メタトーキョー(MetaTokyo)」を作り、NFTを活用して世界に日本のカルチャーをデジタル発信していくことを目指しています。
これまでメタトーキョーでは、ジェネラティブアートにフォーカスしたポップアップミュージアム「SPACE by MetaTokyo(スペースバイメタトーキョー)」を開催し、NFTアートを展示するなどして、NFTアートに関連するイベントも開催しています。
メタバースとしてのディセントラランドの可能性
ディセントラランドは、現状存在するメタバース、ブロックチェーンゲームの中でも、今後のさらなる盛り上がりに期待ができるプラットフォームだと言えそうです。
ディセントラランドでは、すでにサザビーズやアソビシステムなど多くの企業がプロジェクトを進めていることなどから、今後も常に新しいユーザーが増え続けていくことが予想されます。それにより、ディセントラランドの暗号資産MANAの価値もさらに上がっていくかもしれません。
また、最近ではディセントラランドはガス代などが低コストで利用できるPolygonネットワークへの対応を進めているようです。
ディセントラランド上でのMANAやNFTの取引が低コストでよりスムーズにできるようになったことで、より取引が活発になって、多くのユーザーの利用が増えていくでしょう。
まとめ
今回は話題のメタバースの中でも期待されているブロックチェーンゲームのディセントラランドについて紹介しました。
すでに土地を所有して活用し、収益を得ている人がいたり、大手企業がビジネスを始めていたりと、今後さらなる拡大が期待できそうなディセントラランドや暗号資産MANAに、引き続き注目していきましょう。
参考
Decentral Games「Decentraland LAND – What drives long term value」
Artnet「In Its Ongoing Bid to Draw Crypto-Collectors, Sotheby’s Unveils a Replica of Its London H.Q. in the Blockchain World Decentraland」https://news.artnet.com/market/sothebys-decentraland-1977340
Media Argo「仮想通貨Mana(マナコイン)/Decentraland(ディセントラランド)とは?将来性・今後の見通し予想を解説」https://www.fisco.co.jp/media/crypto/mana-about/
COINPOST「Decentraland(ディセントラランド)とは|メタバースと仮想通貨MANAの将来性」https://coinpost.jp/?p=300649