「THE ドラえもん展」とは
日本人なら誰もが知っている国民的アニメのキャラクター「ドラえもん」をテーマにした展覧会「THE ドラえもん展」は、2017年の東京会場からスタートし、日本全国を巡回している展示会です。
国内外で活躍する28組のアーティストたちが、『あなたのドラえもんをつくってください。』という依頼を元に制作したそれぞれの作品は、各アーティストの作風の個性が反映されており、現代アート × ドラえもんという誰もが楽しめるテーマの展覧会になっています。
展示内容やグッズは各地で人気を集めているため、今後も引き続き新たな会場を巡回して開催されるかもしれません。
参加アーティストと作品
会田誠
美少女、戦争、漫画、サラリーマンなどをテーマに、エロティックかつグロテスクな表現を用いた過激な作品でお馴染みの会田誠は、時に物議を醸してきた現代アーティストです。
「キセイノセイキ 〜空気〜」
THEドラえもん展に展示されている会田誠の作品「キセイノセイキ 〜空気〜」は、アニメ「ドラえもん」のキャラクターしずかちゃんの入浴シーンを、身体を透明に描いて表現しています。
本作品は、『皇族の姿を透明化した肖像画連作』であるため、東京都現代美術館「MOTアニュアル2016キセイノセイキ」展に出品不可となった、近隣の無人島プロダクションで発表されたアーティスト小泉明郎の作品「空気」を参照してるものだそうです。
会田誠については、こちらの記事をチェックしてみて下さい。
梅佳代
梅佳代は、身近な人物たちを被写体として、日常風景を昭和のスナップ写真風に切り取った作品で知られるフォトグラファーです。
日常の中で、思わず笑ってしまうような瞬間をとらえた写真は、ほっこりと温かい気持ちになります。
「私の家のドラえもんの写真」
THE ドラえもん展に展示されている梅佳代の作品「私の家のドラえもんの写真」は、梅佳代の祖父がドラえもんの漫画を読んでいる姿が写った作品です。
梅佳代の祖父は、写真集「じいちゃんさま」の被写体にもなっており、家族だからこそ見られるリラックスした表情に、思わず笑顔になります。
Mr.
Mr.(ミスター)は、村上隆の一番弟子として約20年活動したことで知られる現代アーティストです。
『萌え文化』のアニメ風、ゲームキャラクター風の絵をアナログ手法で描くスタイルで、『オタク文化を現代アートとして昇華させたアーティスト』だと言われています。
「重力ちょうせつ機」
THE ドラえもん展に展示されているMr.の作品「重力ちょうせつ機」は、てんとう虫コミックス32巻に収録されたエピソード「野比家が無重力」が題材とされている作品です。
のび太くんの部屋の中が天井と床が逆さまになって、お菓子や文具などが浮かんでいるのがわかります。
見ているだけでなんだかバランス感覚を失いそうになるような、『無重力感』が伝わってくる作品です。
Mr. については、こちらの記事をチェックしてみて下さい。
奈良美智
世界的に活躍する現代アーティスト(画家、彫刻家)の奈良美智は、子供や動物をモチーフにした作品で知られています。
2009年、にサザビーズ・香港のオークションにて「ナイフ・ビハインド・バック」が世界最高額となる2490万USドル(約26億9800万円)で落札され、話題になりました。
「依然としてジャイアンにリボンをとられたままのドラミちゃん@真夜中」
2002年から開催された前回の「THEドラえもん展」で、「ジャイアンにリボンをとられたドラミちゃん」という作品を発表した奈良美智による、今回の展示会のための新作が、「依然としてジャイアンにリボンをとられたままのドラミちゃん」です。
『睨みをきかせたような鋭い眼差しの少女』の作品が多い奈良美智の絵だとすぐにわかるような、ドラミちゃんの表情に込められた様々な気持ちが想像できる作品です。
よく見ると、ドラミちゃんの目には涙も浮かんでいたり、キッと結ばれた口は広角がやや下がっていたり、泣いた後のように鼻のあたりが赤くなっているのがわかります。
奈良美智については、こちらの記事をチェックしてみて下さい。
村上隆
ルイヴィトンやカニエウエストなど多くの有名ブランドや人物とのコラボレーションで有名な村上隆は、日本の芸術家、カイカイキキ株式会社の創業者です。
自身の作品制作以外にもキュレーター、コレクター、映画監督、として多方面で活躍しています。
村上の作品は、アートオークションでも数千万円で度々作品が落札されていたり、最近ではNFTプロジェクトをリリースしたりと、アートのあらゆる方面の可能性を開拓している、ビジネス感度も高いアーティストです。
「あんなこといいな 出来たらいいな」
村上は、ドラえもん展に出展する以外にも、多くの作品でドラえもんを描いてきました。
大手ブランドとのコラボレーションでも聖句を収めてきた村上は、ファインアートとサブカルチャーの狭間を超える挑戦をしてきたといえます。
村上隆の作品だとすぐにわかるような村上のシグニチャーモチーフである『お花』が紛れていたり、原作漫画のワンシーンを切り取ったポップな表現がされていたりと、ドラえもんの世界観を村上のテイストで明るく描かれた作品になっています。
村上隆については、こちらの記事をチェックしてみて下さい。
しりあがり寿
しりあがり寿は、死や人生などの哲学的な作品や時事ネタ、家庭ネタ、サラリーマンネタなどをテーマにした漫画を描く漫画家、且つアーティストとしてしられています。
漫画「真夜中の弥次さん喜多さん」などが有名で、漫画家ならではのユーモアにクスっと笑えるような絵画作品が人気です。
「万事解決!劣化防止スプレーの巻」
THE ドラえもん展に展示されているしりあがり寿の作品「万事解決!劣化防止スプレーの巻」は、本展覧会のために作られた映像作品です。
空想のドラえもんのアイテム『劣化防止スプレー』をテーマに、ふざけた内容となっており、思わず笑ってしまう、『しりあがり寿らしい』作品となっているようです。
しりあがり寿については、こちらの記事をチェックしてみて下さい。
蜷川実花
蜷川美香は、映画監督なども務める有名写真家です。
色鮮やかで、生命力に満ちた植物をとらえた写真や、被写体となる人物の本質に迫るような魅力的なポートレイト、ドラマチックな映像作品などが人気を集めており、日本だけでなく海外からも注目されています。
「ドラちゃんと1日デートの巻 2017」
「THE ドラえもん展」に展示された蜷川の作品「ドラちゃんと1日デートの巻 2017」は、『もしドラちゃんが彼だったら』をテーマに、ドラえもんとのデートの様子を表現したものです。
前回2002年に行われた展示でも同様のテーマの作品を発表していたのですが、今回は『より今っぽい表現』を取り入れ、作品内の『デート相手』のInstagram専用アカウントから作品写真を日々発信して行く展示方法をとっているそうです。
「THE ドラえもん展」の過去の開催場所
日本全国を巡回して開催されている「THE ドラえもん展」は、これまで9か所で開催されました。
- 東京都:森アーツセンターギャラリー|2017年11月1日(水)〜2018年1月8日(月)
- 富山県:高岡市美術館|2018年3月16日(金)〜5月6日(日)
- 大阪府:大阪文化館・天保山(海遊館となり)|2019年7月12日(金)~2019年9月23日(月・祝)
- 新潟県:新潟県立万代島美術館2020年4月1日(水)~2020年8月23日(日)
- 京都府:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ|2020年7月4日(土)〜8月30日(日)
- 北海道:札幌芸術の森美術館|2021年4月29日(木)〜6月27日(日)
- 京都府:京都市京セラ美術館|2021年7月10日(土)〜9月5日(日)
- 福島県:福島県立美術館|2021年9月23日(木)〜11月23日(火)
- 岡山県:岡山県立美術館 地下展示室|2022年4月2日(土)~5月22日(日)
「THE ドラえもん展」のグッズ
日本各地を巡回して開催される「THE ドラえもん展」では、作品展示の他にグッズ販売が大きな反響を得ているそうです。
iPhoneケースやポストカード、Tシャツなど、参加アーティストの作品をあしらった300アイテム以上のオリジナルグッズが会場内特設ショップで販売されたほか、各開催地ごとの限定アイテムなども販売されたようです。
まとめ
国民的アニメ「ドラえもん」は世代を超えて多くの人々に愛されています。
28のアーティストがそれぞれのスタイルで表現したドラえもんは個性豊かで、興味深く、「ドラえもん」作品のアニメや漫画のファンだけでなく、現代アートファンの方にも楽しめる内容になっています。
引き続き新たな会場で開催されることを期待したいですね。
参考
Doraemon Channel https://dora-world.com/contents?t=148
Zingaro「9月5日(日)よりWEBショップにて、Mr.×ドラえもん新作エディションサイン入りポスター「重力ちょうせつ機」を販売いたします。」https://zingarokk.com/news/14261/
HMV「本日開幕「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」徹底レポート」https://www.hmv.co.jp/news/article/1711011000/