【ミスター】村上隆の一番弟子!オタク文化を現代アートにした美術家の経歴や代表作品を紹介

Mr.
アーティスト紹介
アーティスト・ミスター

DATA

ニックネーム
萌え文化を現代アートに昇華させた美術家
作者について
ミスターは、世界的現代アーティストの村上隆の一番弟子として約20年活動したことで知られています。いわゆる『萌え文化』のアニメ風、ゲームキャラクター風の絵をアナログ手法で描くスタイルが国内外で注目されており、オタク文化を現代アートとして昇華させた人物だと言われています。

現在の値段

約34,571,770円(過去36ヶ月間の平均)

2020年「LIFE IS MUSIC」約6783万円(サザビーズ)
2021年「Such a Thrill… It's Crazy」約1億294万円 (クリスティーズ)
2022年「May - Blue Hawaii」約8千万円(クリスティーズ)

サザビーズやクリスティーズなどの大手オークションにて、数千万円単位で落札されている作品も多くあります。プリントの作品でも数十万円で取引されているものが見られます。Artsyによると、過去36ヶ月間の平均落札価格は約3,457万円となっています。

ミスターの経歴

ミスター(Mr.)は1969年キューバ生まれの日本人アーティストです。

現在ではアニメ風の作風で知られるミスターは、高校時代はアニメに興味を持ちながら、ヤンキーとして過ごしていたそうです。

ミスターは、創形美術学校に在学中から、1995年頃より村上隆の一番弟子として師事し、ヒロポン・ファクトリー(現在のカイカイキキ)のメンバーとして活動していました。

村上隆の弟子としてその後も約20年間の間、村上と共に創作活動を続けてきた作家として知られています。

1996年に創形美術学校を卒業し、同年にはグループ展や個展を経て、アーティストとしてデビューします。

アーティスト・ミスターとその作品
引用:TIMEOUT「Japanese artist Mr. on art, life and anime」https://www.timeout.com/newyork/art/japanese-artist-mr-on-art-life-and-anime

ミスターの作風は、美少女をアニメ風に描いた『萌え』のイメージをアナログの手法で描き、現代美術として表現したものです。

ミスターは、アニメの世界にとどまっていたいわゆる『ロリータ・コンプレックスとしてのオタク文化』を、絵画として現代美術の世界に引き上げたアーティストとして、国内外で評価されています。

2011年に東日本大震災被災者支援のためのオークションに「よしっ(ち)!!」を出品し、15万2,500ドル(約1800万円)で落札されたことが話題になりました。

ミスターの作風は、それまでかわいい女の子の絵を明るい色彩を用いて綺麗に仕上げるものが多くありましたが、この頃から少し抽象的な要素を含むものへ変化しているようです。

この新しいスタイルは、1960年代末から1970年代初頭にかけてイタリアでおこった芸術運動『アルテ・ポーヴェラ』に影響を受けていると言われています。

ちなみに、アーティスト名である『ミスター(Mr.)』は、プロ野球・読売ジャイアンツの長嶋茂雄の愛称である『ミスター・ジャイアンツ』からとったものだそうです。

ミスターの代表作品

映画「誰も死なない」

村上隆、ミスターの映画「誰も死なない」
引用:シネマカフェ「『誰も死なない』作品情報」https://www.cinemacafe.net/movies/22059/

2008年に制作された映画作品「誰も死なない」は、ミスターの師匠である村上隆が製作総指揮を務めて制作されました。

サバイバルゲームに熱中する少女たちを描いた青春ショートムービーとして、ミスターが監督として制作チームを率いました。

中学2年生の仲良し5人組が結成するサバイバルゲームのチーム『うさぎ組』は、一度負けたライバルチームに行きつけのお好み焼き屋でのリベンジを狙って、それぞれが訓練に励み、再戦の時を待つというストーリーだそうです。

「よしっ(ち)!!」

アーティスト・ミスターによる作品「よしっ(ち)!!」
引用:Twitter

2011年に、東日本大震災被災者支援のためのオークションに出品され、15万2,500ドル(約1800万円)で落札されて話題になった作品が「よしっ(ち)!!」です。

漫画からそのまま飛び出してきたかのような少女の絵と、セリフなどのような言葉が作品のいたるところに記されています。

「オレンジ色の風」

「オレンジ色の風」は、制服を着た女子高生が、コンビニ(セブン・イレブン)の前に立っている様子を描いています。

ミスターはこの作品以外にも、制服を着た女子高生を題材にした作品を多く描いています。

「秘密の部屋」

ミスターの作品「秘密の部屋」
引用:The Art Newspaper「Are guns child’s play in Mr. and Pharrell Williams’s Paris collaboration?」https://www.theartnewspaper.com/2019/07/16/are-guns-childs-play-in-mr-and-pharrell-williamss-paris-collaboration

「秘密の部屋」には、水鉄砲のようなものを持った女の子が、お菓子やぬいぐるみなどに囲まれて散らかったベッドの上に横たわっている様子が描かれています。

日本人ならお馴染みのお菓子のパッケージなどが多く見られ、親近感が持てる作品です。

ミスターのコラボレーション作品

ファレル・ウィリアムスとのコラボレーション

2014年には、ファレル・ウィリアムスの楽曲「It Girl」のプロモーションビデオを制作しました。

ミスターにより制作されたファレル・ウィリアムスの楽曲「It Girl」のプロモーションビデオ
引用:Conversations About Her「Pharrell Williams – It Girl | Music Video」https://conversationsabouther.net/pharrell-williams-it-girl-music-video/

ミスターの世界観が全面に表現された印象的な作品として話題になりました。

その翌年には、アディダ・ オリジナルスとファレル・ウィリアムスのコラボレーションスニーカー「スーパーシェル・アートワーク・コレクション」にも参加しています。

また2019年の作品「NOAH(ピンク・ブリーズ)」も、ファレル・ウィリアムスとのコラボレーションで制作されたドローイング作品の一つです。

ピンクの髪をした頬を赤らめた少年がの瞳に、様々なものがうつって輝いているのが印象的です。

このシリーズの作品には、ミスター、ファレル・ウィリアムス両方のサインが入っています。

グッチ銀座店「GUCCI 4 ROOMS」でのインスタレーション

GUCCI 4 ROOMS
引用:FAHION SNAP「真鍋大度やMr.など4人のアーティストによる”グッチの部屋”が銀座に」https://www.fashionsnap.com/article/2016-10-11/gucci-4-rooms/#lg=1&slide=10

2016年に、高級ファッションブランドのグッチ(Gucci)が銀座店で開催した新アートプロジェクトとしての展覧会「GUCCI 4 ROOMS」にて、クリエイティブディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が指名したと参加アーティストの1人として、真鍋大度や塩田千春らとともに参加し、ミスターは巨大インスタレーションを発表しました。

ミスターが手掛けた「GUCCI GARDEN ROOM(グッチ ガーデン・ルーム)」は、室内に無造作に散らばったグッチの商品と少女のイラスト・フィギュアが配置された『明るい廃墟』のような空間となっていました。

まとめ

ミスターは、世界的に知られる日本のオタク文化、『萌え』を象徴する少女をテーマにしたアニメ風の作風を、アニメの枠を超えて現代アートとして世界に広めた第一人者です。

数千万円の価値で落札されるほど評価されたり、世界的なミュージシャンやブランドとのコラボの実績を持っているミスターの作品に今後も注目していきましょう。

参考

FAHION SNAP「真鍋大度やMr.など4人のアーティストによる”グッチの部屋”が銀座に」https://www.fashionsnap.com/article/2016-10-11/gucci-4-rooms/#lg=1&slide=10

TIMEOUT「Japanese artist Mr. on art, life and anime」https://www.timeout.com/newyork/art/japanese-artist-mr-on-art-life-and-anime

ギャラリー カイカイキキ http://gallery-kaikaikiki.com/category/artists/mr/

Artsy https://www.artsy.net/artist/mr/auction-results

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。