シェパード・フェアリーの経歴
シェパード・フェアリー(Shepard Fairey)は、その独特のスタイルのアート作品と政治的なアクティビズムで知られるアメリカの現代アーティストとして世界中で広く知られています。
フェアリーは、1970年2月15日にサウスカロライナ州チャールストンで生まれました。幼少期から、スケートボードやパンク音楽などのカウンターカルチャーに興味を持っていたことが、のちにストリートアートの世界に進むきっかけになったそうです。
ロードアイランド・スクール・オブ・デザインにてグラフィックデザインを学び、アートの技術と表現方法をさらに洗練させて、自身の個性を見出しました。
フェアリーが学生の頃、1990年代初頭にからアートプロジェクト「André the Giant Has a Posse(ポーズを取るアンドレ・ザ・ジャイアント)」に着手しました。最初の作品が、『André the Giant(アンドレ・ザ・ジャイアント)』というプロレスラーのポスターでした。このポスターにはアンドレの写真が含まれ、pスターの下部に「ANDRE THE GIANT HAS A POSSE」と書かれていました。
このポスターを街中に貼ることからスタートした本プロジェクトは、徐々に人々の注目を集めるようになります。当初は、このポスターが街に次々と現れる中その解説がなく、どのような意味があるのか?何のために貼られているのか?がわからないということ人々の間で話題になったといいます。
このポスターは、単なるプロレスラーの広告ではなく、大衆文化との関係やアイデンティティの問題に関する意味を持っていました。このプロジェクトは後に代表的作品「OBEY GIANT」として知られるようになり、フェアリーのトレードマークとなりました。「OBEY」シリーズは、権威や権力に対する批判的なメッセージを発信することを特徴としています。
フェアリーのキャリアは、1990年代初頭にロサンゼルスでのグラフィティアーティストとして始まりました。当初の仕事は、ステンシルやポスターなどの媒体を通じて都市の風景を映し出しながら、政治的なメッセージを伝えるものでした。例えば、特に有名な作品の一つである「HOPE」のポスターは、2008年のバラク・オバマの大統領選挙キャンペーンで使用され、世界的な注目を集めました。
フェアリーは作品を通じて、戦争、環境問題、社会的正義など、様々なテーマに取り組んでいます。彼のアートは反抗的な雰囲気があり、鑑賞者に対しての問題提起を行います。また、様々な慈善団体や非営利団体と提携し、自身のアートを通じて社会的変革を目指して活動しています。
彼の作品は、現在アート市場でも高い評価を受けていたり、数々の美術館でも展示されています。
シェパード・フェアリーの有名な作品
「OBEY」シリーズ
「OBEY」シリーズは、フェアリーのアートの代表的なシリーズの一つです。フェアリーのアートの精神を体現しているこのシリーズは、従順さや権威に対する疑問をテーマにしたもので、その象徴的なイメージは、権力を象徴する人物の顔が大きく描かれ、その上に「OBEY(服従せよ)」という言葉が提示されています。
これは、現代社会における権力構造や大衆文化の中での個人の位置づけに対する批判を表現しています。このシリーズは、ポスターやステッカーなどの媒体を通じて、世界各地の都市の風景に浸透し、視聴者に問いかけを投げかけています。
ニューヨークの街中で、OBEYのステッカーが貼られているのをみたことがある方も多いかもしれません。
「HOPE」シリーズ
「HOPE」シリーズは、フェアリーが2008年のバラク・オバマの大統領選挙キャンペーンのために制作した作品であることから、日本でもかなり有名なのではないでしょうか。
このシリーズの中心的な作品は、オバマの肖像画と「HOPE(希望)」という言葉が組み合わさったポスターです。この作品は、オバマのキャンペーンの象徴として使用され、彼の政治的メッセージ『希望と変革のメッセージ』を象徴するものとして世界中で広く普及しました。
ポスターはシンプルながらも力強いデザインであることから、政治的にいろいろな層の関心を寄せることに効果的だったと思われます。
シェパード・フェアリーの作品やグッズを購入できる場所
OBEY GIANT公式ストア
OBEY GIANT公式ストアでは、ポスターやプリント、アパレル、アクセサリーなどのオリジナルのアート作品やグッズが購入できます。
ステッカー
ポスター
Obey Clothing 公式ウェブサイト
Obey Clothing 公式ウェブサイトでは、シェパード・フェアリーのアートをデザインしたTシャツ、ジャケット、帽子などの衣料品が販売されています。
ロゴTシャツ
キャップ
シェパード・フェアリーのNFT
2021年3月にシェパード・フェアリーは、NFTデビューしています。「Obey Ideal Power」と呼ばれるデジタル画像がNFTのマーケットプレイスSuperRareで販売され、すぐに完売したそうです。これらの売上の一部はアムネスティ・インターナショナルに寄付されました。
その後12月には「DEGENERATE/REGENERATE」と呼ばれるNFTプロジェクトで、7,400種類のジェネラティブアート作品がNFTとして販売されました。
「DEGENERATE/REGENERATE」コレクションの作品は、フェアリーのクラシックなポスターデザインから視覚的要素やイラストを引用しながら、実際のスキャンや要素、大規模な作品や壁画からのテクスチャを取り入れてたものになっています。
プロジェクト名は、生成されたアートワークの明らかな手作業による解体とプログラムによる再構築を示すと同時に、『退廃』という非難されることがよくある、『以前に設定された経路に従うのではなく独自の新しいものを作るアーティストやパンクロッカーに投げかけられる非難』を指しています。Web3コミュニティでは、多くの人が暗号通貨や新しい取引形態、投資手段を探しており、これらは従来の金融界で通常受け入れられてきたものとは異なり、「degen(退廃的な)」という用語が的確なように感じられます。
Studio Number One(スタジオ・ナンバー・ワン)
Studio Number One(スタジオ・ナンバー・ワン)は、フェアリーが2003年に設立したクリエイティブ・エージェンシーおよびデザインスタジオです。このスタジオは、ロサンゼルスを拠点としており、アーティストやデザイナーが集まって様々なプロジェクトに取り組んでいます。
Studio Number Oneは、シェパード・フェアリーのアート作品の制作だけでなく、広告、ブランディング、マーケティング、社会的活動など、さまざまな分野で活動しています。プロジェクトは、クリエイティブなアプローチと社会的メッセージを組み合わせており、一般的に大衆文化や政治問題に関するものが多いようです。
クライアントには、大手企業から非営利団体まで幅広い組織が含まれています。ブランディング、広告キャンペーンのデザイン、イベントのプロモーション、社会的メディア戦略の立案など、さまざまなプロジェクトに対応しているそうです。
過去には、Black Eyed PeasやSmashing Pumpkins、Led Zeppelinのアルバムのカバーをデザインしたこともあるようです。
また、Studio Number Oneは、アーティストやデザイナーの育成やサポートにも力を入れており、若手の才能を育てることにも取り組んでいます。
まとめ
アメリカの現代アーティスト、シェパード・フェアリーは、政治的なメッセージや社会的な意味を持つアート作品で、世界中で広く知られています。
「OBEY」「HOPE」などのシリーズが特に有名なフェアリーは、アクティビストとしても知られており、さまざまな社会的問題に取り組んでいます。
参考
公式サイト https://obeygiant.com/
Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Shepard_Fairey
画像引用元:https://www.artsper.com/us/contemporary-artworks/print/1916961/no-more-bias https://www.iserewa.in/?k=obey-giant-the-art-of-shepard-fairey-mm-Ep5gVXSo