アートをコレクションしている人たちって、どんな人なんでしょう?
以前紹介した、世界のトップアートコレクターであるロマン・アブラモヴィッチのような有名な実業家?資産家?芸能人?ロイヤルファミリー?
今回は、これからアート作品をコレクションしたい方々の参考になる、新時代のアートコレクターに注目して行きます!
世界各国70カ国以上、3,500人以上のアートコレクターのデータベースを所有する現代アートのコレクターに関するデータへのアクセスやリサーチなどのサービスを提供する香港の会社、ラリーズリストが発表した、アート界を揺るがす40歳以下の若いアートコレクター150人のリストから、7人をご紹介します。
アートコレクターとは?なぜアートを集めているの?
そもそも、アートコレクターの定義って何なんでしょうか。
文字通り、アートコレクターとは、アート作品を収集している人々のことを指します。
アート作品を収集する理由は十人十色で、もちろん投資対象としてアートを売買する人もいれば、あるアーティストの作品に惚れ込んで、アートの世界にハマり、作品を集め出した人も多いようです。
アートコレクターは必ずしも有名人や限られた富裕層というわけでもなく、アート作品をそれぞれの理由で収集している人々のことを指しますが、世界のトップコレクターたちのアートコレクションは、それだけで美術館や展示会ができるような規模であり、アートの世界に興味を持ってこれからコレクションを始めたい人にとっても、参考になることが多いです。
それぞれのアートコレクターが、特定のアーティストや芸術様式などに惚れ込んで、作品を集める中で身につけた専門的で深い知識を有しています。
アートについて知り尽くしたトップコレクターの先見の明を参考にすれば、アート投資のためのいい勉強になるかもしれません。
芸能人、実業家、学生など 世界で注目されている新世代のアートコレクター7選
エミリー・ラタコウスキー(EMILY RATAJKOWSKI)

引用:GRAZIA「Look Inside Emily Ratajkowski’s Astounding Art-Filled LA Loft」https://graziadaily.co.uk/celebrity/news/look-inside-emily-ratajkowskis-astounding-art-filled-la-loft/
アメリカで活躍するモデル、女優、活動家として有名なミレニアル世代のエミリー・ラタコウスキー(以下、ラタコウスキー)は、アーティストである実父のジョン・デイビッド・ラタコウスキーの影響もあり、アートへの関心が若い頃から強かったようです。
アメリカ・ロサンゼルスの自宅にはブルックリンのアーティスト、キャサリン・バーンハートやロサンゼルスの地元アーティスト、ヘンリー・テイラー、また父親ジョン・デイビッド・ラタコウスキーなど様々なアーティストの作品が飾られており、開放的で華やかな雰囲気のインテリアデザインにマッチしています。
2021年4月、ラタコウスキーは大手オークションハウスのクリスティーズを通じて、インスタグラムの画像の前に立つ自身の写真を「BuyingMyselfBack:A Model for Redistribution」というタイトルのコンセプチュアルアート作品としてNFT(非代替性トークン)に出品し、$175,000ドル(約2,000万円)で販売されました。

引用:CNN「Emily Ratajkowski’s ‘reclaimed’ self-portrait sells for $175,000」https://www.cnn.com/style/article/emily-ratajkowski-nft-sale-christies/index.html
その写真は、リチャード・プリンスという現代アーティストによって製作された、ラタコウスキーのインスタグラムのフィードのようなアート作品の前に、ラタコウスキー自身が立ってポーズを撮り、『自分自身を買い戻した』ことをテーマにしています。
フェミニストでボディポジティブなどを普段から主張していたり、社会問題などにも声を上げる活動家であるラタコウスキーは、アートとの関わり方も世の中への問題提起を意識しているのでしょうか。
ジョージ・メルク(GEORGE MERCK)

アメリカ・ニューヨークのベンチャーキャピタリストであるジョージ・メルク(以下、メルク)は、27歳にしてアメリカのアート界を代表するスミソニアンのアメリカ美術公文書館の理事会、小委員会の一員となりました。
現在、光と空間を活用したアートワークや西海岸のミニマリズムに夢中なメルクは、10代の頃から母親にアート作品をプレゼントされるなど幼少期からアート作品に触れてきたようです。
メルクのインスタグラムには、ニューヨーク近辺の有名な現代アートミュージアムに訪問して撮影された様々なコンテンポラリーアートの写真を見ることができます。
モニーク・レオン(MONIQUE LEONG)

ラリーズリストが発表した若手アーティスト150名の中で最年少のモニーク・レオンは、マカオ出身で現役の学生です。
彼女のアート専門のインスタグラムアカウントでは、アマンダ・ウォール、トム・フレンチなどの個性的でポップな印象のアート作品が多く見られます。
ジョン・ドデランデ(JOHN DODELANDE)

」https://www.christies.com/features/Collecting-stories-John-Dodelande-10278-1.aspx
フランスの実業家であるジョン・ドデランデ(以下、ドデランデ)は、特に中国の近代美術コレクションを好んでコレクションしてきました。
ドデランデは、20代前半からファッションとテキスタイルの貿易業を最初のビジネスとして手がけ始めましたが、現在では不動産から農業に至るまで幅広いビジネスを手がけ、東洋と西洋の文化的、商業的繋がりを生み出すことに貢献しています。
アートコレクター、そしてキュレーターとしても中国の現代アート作品の魅力を、彼が主催する展示会や本、ビデオを通じて、西洋のコレクターに伝えています。
フランス出身のドデランデですが、20代のうちからジョージアに移住し、2013年には国への卓越したサービスに対して、ジョージア大統領から、ジョージア市民権を付与されたそうです。
キット・ベンチャロンクン(KIT BENCHARONGKUL)
タイ・バンコクのキット・ベンチャロンクンは、自身も写真家として活躍する傍ら、大富豪である父親ブンチャイ・ベンチャロンクンが約30年間かけてコレクションした作品を集めた現代アートミュージアム「MOCA」の跡継ぎとして、タイのアートシーンを代表する1人です。
現代アートミュージアム「MOCA」は、タイ最大の私立美術館で、5フロアからなる約20,000平方メートルの展示スペースを備え、800以上の作品を観ることができます。

引用:ONARTO.com/「moca bangkok : museum of contemporary art」https://onarto.com/art-galleries/moca-bangkok/
ユウジ・イノウエ(YUJI INOUE)
日本の若手アートコレクターの1人としてリストに掲載されたユウジ・イノウエは、建築やファッションにも造詣が深く、現代アートコレクターとして、Kyneや奈良美智などのような日本人アーティストの作品も多くコレクションしています。

引用:tokion「Artist KYNE holds a solo exhibition Exploring his hybridized and unique artistic style」https://tokion.jp/en/2021/04/16/artist-kyne-unique-artistic-style/
ウー・メン(WU MENG)
大手オンラインゲームのGiant Network GroupのCEOである中国・上海のウー・メン(以下、メン)は、33歳の頃から著名なアーティストから新進気鋭のアーティストの作品まで、幅広く現代アート作品をコレクションし始めたといいます。彼のコレクションは絵画作品だけでなく、デジタル作品、彫刻作品なども多くあり、奈良美智、ルイーズ・ボネ、ジェニファー・グイディ、バーバラ・クルーガーなどのアーティストの作品が含まれます。
芸術学部を卒業した妻を持つメンは、世界各地のギャラリーを訪れたり、アーティストとの交流を楽しんだりしています。

」https://www.yicaiglobal.com/news/giant-network-promotes-34-year-old-to-co-ceo-betting-on-youth-to-keep-gaming-firm-on-its-toes
まとめ
世界各地にいる40歳以下の次世代のアートコレクターは、現役の学生からモデル、実業家まで幅広く、その主要なハブになっているのはこれまでと変わらずニューヨーク、ロンドン、ソウル、北京、上海、香港であることがわかりました。
特に、中国、韓国、インドネシアなどのアジアの若いコレクターが近年増え続けているようです。
次世代アートコレクターが前の世代と違うこととしては、デジタルに精通しているため、彼らの関心やコレクションを多くの人々により素早く簡単に共有できていることだと思います。
また、多くのアートコレクターがアートシーンで彼らの人脈や影響力を発揮して、地元の新しいアーティストをプロモーションするなど、業界を盛り上げ続けていることから、それぞれのアートへの情熱も感じました。
アートをコレクションすることはなんだか高尚で手が届かないことのように感じますが、それでしか得られない楽しみや文化的教養が身につき、人生をさらに豊かにするのだろうなと感じました。
まずは今回紹介した若手アートコレクターを参考に、新たなアートの世界を開拓してみてはいかがでしょうか?
参考
Larry’s List「The Next Gen Art Collectors」https://www.larryslist.com/report/The%20Next%20Gen%20Art%20Collectors%202021.pdf
