毎年、世界中では数多くのオークションや取引が開催。
そのたびに絵画や彫刻たちが高値で取引され、世の中をざわつかせています。
ところで、皆さんは世界で一番高額で取引されたアートたちがいくらで落札されたのかを答えられますか?
答えられる人はごく一握りなのではないでしょうか。
実はレオナルド・ダ・ヴィンチのサルバドールムーンディ、ジャコメッティ、ポールセザンヌやポールゴーギャンの作品がランクインしています。彼らやランクインした作品を解説していきながら、世界で高値で落札された絵画と彫刻のTOP5について紹介していこうと思います。
参照:Artpedia アートペディア/近現代美術の百科事典.【美術解説】世界で最も高額な絵画ランキング【2020年最新版】/https://www.artpedia.asia/list-of-most-expensive-paintings/ (2020-11-5)
- 5位 ジャクソン・ポロック:「ナンバー17A」(1948年)
- 4位 ウィレム・デ・クーニング:「ナフィア・ファア・イポイポ(いつ結婚するの)」(作成年:1892年)
- 3位 ポール・セザンヌ:「カード遊びをする人々」(作成年:1899-1895年)
- 2位 ウィレム・デ・クーニング:「インターチェンジ」(作成年:1955年)
- 1位 レオナルド・ダ・ヴィンチ:「サルバドール・ムンディ」(作成年:1490年~1519年ころ)
- 絵画TOP5 のまとめ
- 5位 アメデオ・モディリアーニ:「頭」(1910~1912年)
- 4位 コンスタンティン・ブランクシー:「洗練された少女」(1928~1932年)
- 3位 ジャコメッティ:「チャリオット(二輪戦車)」(1950年)
- 2位 ジャコメッティ:「歩く男」(1961年)
- 1位 ジャコメッティ:「指さす男」(1947年)
- 彫刻TOP5のまとめ
- まとめ
- 絵画よりも彫刻作品の方が取引価が低くなってしまう理由について
5位 ジャクソン・ポロック:「ナンバー17A」(1948年)
落札価格:224億円
作者:ジャクソン・ポロック
上記の作品は2015年に落札されました。
落札されてから8年という年月が経っていてもその記録は更新されていません。
現在この絵画は個人売買で取引され、アメリカのヘッジファンドマネージャーであるケン・グリフィンが所有しているそう。
ジャクソン・ポロックについて
ジャクソン・ポロック(以下、ポロック)アメリカ出身の抽象表現主義の代表的な画家と言われています。
過去の取引額ランキング15位までの作品を調べてみても、抽象描写でランクインしているのは、ポロックともう1人だけでした。
作品として何が描かれているかがパッとわかりやすいものの方が、多くの方に好まれる傾向にあり、高値で取引されやすい一方で、抽象描写でここまで高値の価値が付いたのはすごいことです。
以下の記事では、ポロックの魅力や生い立ちまで詳しく紹介しているので合わせて読んでみるのはいかがでしょうか?
4位 ウィレム・デ・クーニング:「ナフィア・ファア・イポイポ(いつ結婚するの)」(作成年:1892年)
落札価格:245億円
作者:ポール・ゴーギャン
コレクターであるルドルフ・シュテヘリンから、2015年2月にカタール王室のシェイカ・アル・マヤッサへ個人売買という形で取引されたよう。
この「ナフィア・ファア・イポイポ(いつ結婚するの)」を買い取ったシェイカ・アル・マヤッサ。
実は、ただのカタールの女王ではなく、アートワールドで最も影響力のある人物の1人としてTimes誌で取り上げられるほどの人物です。
ポール・ゴーギャンについて
ポール・ゴーギャン(以下、ゴーギャン)は、フランス出身の画家です。
あのゴッホとも親睦があり、共同生活もしていたほどのゴーギャンですが、タヒチ島に渡り、現地の女性たちの絵を多く書き残します。
上記の「ナフィア・ファア・イポイポ(いつ結婚するの)」もタヒチの女性を描いたものとされています。
3位 ポール・セザンヌ:「カード遊びをする人々」(作成年:1899-1895年)
落札価格:307億円
作者:ポール・セザンヌ
セザンヌは「カード遊びをする人々」を題材とした作品を5つ製作しましたが、この作品は故郷のエクスにて一番最後に描かれたされ、最も有名なものです。右の男性はセザンヌがよく見かけた農民、左の男性は庭師がモデルになっていると言われています。1890年代のセザンヌは、イタリアの画家カラヴァッジョの影響を受け、彼の作品のテーマを描いた作品を多く製作してました。
引用:P.Art.online/【ポール・セザンヌ】印象派作品が有名な「近代美術の父」の人生や代表作品/https://p-art-online.com/artist/paul-cezanne/
数多くある作品の中で、「カード遊びをする人々」が最も高値で取引されました。
現在この作品は、フランスのパリにあるオルセー美術館で保管されているようです。
ポール・セザンヌについて
ポール・セザンヌ(以下、セザンヌ)について、簡単に解説していこうと思います。
近代美術の父と称され、現在でも根深い人気を誇るアーティストです。
上記のゴーギャンやゴッホなどとも交流があり、数多くの名画を輩出してきてきました。
セザンヌについてに詳しい情報は下記をご覧ください!
2位 ウィレム・デ・クーニング:「インターチェンジ」(作成年:1955年)
落札価格:336億円
作者:ウィレム・デ・クーニング
ウィレム・デ・クーニングの「インターチェンジ」は5位にランクインしていたポロックの「ナンバー17A」と一緒のタイミングで取引され、現在はケン・グリフィンの所有となっているとのことでした。
「インターチェンジ」「ナンバー17A」ともに抽象絵画という共通点があり、ケン・グリフィンの目に留まり、購入されることとなります。
ウィレム・デ・クーニングについて
ウィレム・デ・クーニング(以下、クーニング)は、20世紀のオランダ出身の画家です。
主にアーティスト活動はアメリカで行い、前衛集団の「ニューヨークスクール」の一人として活躍してきました。
クーニングの代表的な作品は女性シリーズです。
この作品たちは、女性シリーズはピカソの後期作品の影響が色濃く受け継いでいます。
1位 レオナルド・ダ・ヴィンチ:「サルバドール・ムンディ」(作成年:1490年~1519年ころ)
落札価格:508億円
作者:レオナルドダヴィンチ
レオナルドダヴィンチの「サルバドールムーンディ」。
言わずと知れた有名な作品です。「モナリザ」や「最後の晩餐」のような代表的な作品がランクインしなかったのは意外です。
2017年以来ずっとこの記録は更新されていません。
レオナルド・ダ・ヴィンチについて
レオナルドダヴィンチ(以下、ダ・ヴィンチ)に関しては、言わずと「モナ・リザ」や「最後の晩餐」の有名な画家です。
ダ・ヴィンチの作品には数多くの人を魅了する力があり謎や緻密な計算などがなされているようなものが多く存在します。
詳しくは下記の記事を参考にしてみてください!
絵画TOP5 のまとめ
1位から5位を見てみても絵自身の知名度がそこまで高くないことがわかります。
必ずしも高額で落札されるもの=その人の代表作や作品の知名度というわけではないことが不思議ですが。
1位のサルバドールムーンディに関しては、やはりレオナルドダヴィンチ
参照:theartwolf.com.MOST EXPENSIVE SCULPTURES EVER SOLD
http://www.theartwolf.com/10_expensive_sculptures.htm (参照2015-5)
5位 アメデオ・モディリアーニ:「頭」(1910~1912年)
落札価格:61億円
作者:アメデオ・モディリアーニ
アフリカ彫刻の洗練された力強さや美しさに感銘を受け、5年間限定で彫刻に専念していた時期があるそうです。
やはり、画家が手掛ける彫刻。しかも5年しか作成していないというプレミア付きで高値で取引されたのも頷けます。
アメデオ・モディリアーニについて
アメデオ・モディリアーニ(以下、モディリアーニ)は女性の絵画を描くことで有名なアーティストですが、最初は彫刻家として活動を続けていたようです。
1909年から1914年まで一時的に彫刻に専念し活動を続けるも、材料費を捻出できず、材料を削る際に出る土埃などで肺を悪くし、彫刻家の道は断念。画家として女性のヌード画やポートレート画を活躍していくこととなりました。
4位 コンスタンティン・ブランクシー:「洗練された少女」(1928~1932年)
落札価格:73億円
作者:コンスタンティン・ブランクシー
2018年のクリスティーズ・オークションにて取引された「洗練された女性」。
やはり、ジャコメッティなどの作品と比べると少し値段は落ちますが、根強い人気を誇っているアーティストと言えるのではないでしょうか?
コンスタンティン・ブランクーシについて
コンスタンティン・ブランクーシ(以下、ブランクーシ)はルーマニア生まれのアーティストで、主にフランスでキ活動をしてきました。
モダニズムの先駆者と考えられ、20世紀最も影響力のある彫刻家の一人とされています。巷では「現代彫刻の父」とも呼ばれています。
3位 ジャコメッティ:「チャリオット(二輪戦車)」(1950年)
落札価格:104億円
作者:ジャコメッティ
彫刻TOP3は見事ジャコメッティが総なめしています。
ジャコメッティの作品たちの魅力とはいったい何なのでしょうか。魅力について他のサイトでは、
ジャコメッティの作品の魅力を次の3つのポイントに集約しています。
(1)「はかなく、もろい人間が表現されていること」
(2)「はかないけれども躍動的に歩く男の、力強いエネルギーが感じられること」
(3)「どんな時代に作られたのかわからない、時を超えた作品であること」
引用:サライ/細長すぎる人間像「ジャコメッティ」彫刻作品の魅力ポイント3つ/https://serai.jp/hobby/207162
と語られていました。
確かに、繊細につくられているものが多い一方で誰にでも愛される魅力みたいなものが隠されている気がしました。
ジャコメッティについて
アルベルト・ジャコメッティ(以前、ジャコメッティ)は、20世紀を代表する彫刻家として知られています。
長細い人間の作品を発表してから爆発的に評価されることとなり、1962年にはスイス芸術家の代表としてヴェネツィアビエンナーレに選抜されるほどの存在となりました。
2位 ジャコメッティ:「歩く男」(1961年)
落札価格:107億円
作者:ジャコメッティ
現在この「歩く男」はフランスにあるマルグリット&エメ・マーグ財団美術館に所蔵されているとのことです。
1位 ジャコメッティ:「指さす男」(1947年)
落札価格:146億円
作者:ジャコメッティ
「指差す男」は実は6体つくられており、うち4体はニューヨーク近代美術、テート・モダン、デモイン・アートセンターといった美術館が所蔵しています。
他の2体は、財団、個人がそれぞれ所蔵しているようです。
彫刻TOP5のまとめ
絵画作品は1位から5位まで5人の作家がランクインしているに対し、彫刻作品は上位3位を同じ作家が独占しています。
全体的に絵画の落札額が彫刻の落札額をはるかに上回る結果となりました。
まとめ
高額な美術作品となると、億単位の価格が当たり前となります。絵画部門での落札額が大きすぎて彫刻部門での落札額が小さく感じてしまいますが、実際には、彫刻での落札額でも私たちが一生遊んで暮らせるだけのお金がやり取りされていると思うと驚きです。
絵画よりも彫刻作品の方が取引価が低くなってしまう理由について
“彫刻作品の市場は、絵画作品に比べてあまり大きくありません。どんな壁にでも飾れる絵画と異なり、彫刻は置き場所を選びます。そのため彫刻の市場は、絵画に比べてあまり広くありません。ニーズは価格に反映されますから、彫刻は手間に比べて安く感じられることもあります。”
引用:彫刻作品の価格相場をご存じですか?/翠波画廊|絵画販売、絵画買取―東京・銀座、京橋の画廊 (suiha.co.jp)/2018/11/27
彫刻の方が絵画よりも材料費が高いイメージがあったり、保存状態が保たれやすいイメージがあったりします。その分値段が高くなるイメージがありますが、実際は編集者の予想を覆すものとなりました。