テレビなどの番組やYouTube、SNSなどでその活躍を見ることができる日本の芸能人。
その中には、芸能活動の範囲外でもその多彩な才能を発揮している芸能人がたくさんいます。
今回は、【お笑い芸人編】として、アートの才能を発信している日本で有名なお笑い芸人のアーティストたちを紹介します。
木梨憲武|とんねるず
女優・安田成美を妻にもつ人気お笑いコンビのとんねるずの木梨憲武(以下、木梨)は、お笑い芸人としてだけでなく、絵や彫刻などを制作するアーティストとして、国内外での個展開催などの活動をしています。
幼い頃から、教科書の隅にパラパラ漫画を描いたり、家族や親戚と一緒に絵を描くことを楽しんだりしていたという木梨がアーティスト活動を始めたきっかけは、1990年代に放送されていたとんねるずのバラエティー番組「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」の一企画だったといいます。
番組内の企画として、芸術家の岡本太郎を真似て、フランス・パリのアーティストと対戦して勝利を収めた木梨は、そこから『勘違い』して絵画に目覚め、抽象画や風景画を描き、個展も開催するようになりました。
これまでに個展を開催した場所は、国内では現代アートで有名な石川県・金沢の21世紀美術館や兵庫県立美術館など、さらにアメリカ・ニューヨークなどの海外も含まれます。
木梨憲武の個展と絵画などの作品
個展と作品
「木梨憲武展 Timing―瞬間の光り―」
個展「木梨憲武展 Timing―瞬間の光り―」は、2021年2月16日から3月28日まで、京都文化博物館で開催されました。
アーティストとしての木梨にとって2度目の全国美術館ツアーということで、海外で過去に行った個展で展示された作品シリーズなど約200点が展示されたようです。
木梨がこれまでにも何度か題材として描いてきた富士を描いた「赤富士」をはじめとする絵画作品や映像、オブジェなど様々なジャンルの作品を観ることができました。
木梨憲武の作品の値段は?
木梨はアーティストとして制作した自身の作品を個展などを通して公開していますが、現在基本的には販売をあまりしていないようです。
過去に作品が販売された際には、2015年に大手オークションを通じて計8作品を完売させ、そのうち2作品は東京の画廊で各300万円ほどで販売されたそうです。
また、同年にニューヨークのギャラリーで個展を開催した際に展示された38の作品も販売されました。そのうち日本のギャラリーに購入された作品は、現在約180万円で販売されていました。
北野武(ビートたけし)
生まれビートたけしとビートきよしの二人組の「ツービート」として、漫才ブームに火をつけたのが、ビートたけしこと北野武。(以下、北野)
若い頃に漫才コンビとして芸能界に仲間入りしましたが、現在ではお笑いタレントとしてだけでなく、司会者、映画監督、俳優、歌手など様々な役割をこなして活躍しており、これまでに絵画の制作と個展の開催も成功させているため、アーティストとしても活動しています。
北野が本腰を入れて絵を描き始めたきっかけは、1994年に起きたバイク事故で顔面麻痺になってしまい、リハビリの一環として絵を描くようになったことだそうです。
北野武の個展、作品は購入できる?
個展と作品
「アートたけし展」
2016年2月25日から日本全国で開催された「アートたけし展」では、ノンコンセプト・ノンタイトルとして『描きたいものを描いた』自由なスタイル、テーマでの作品を展示しました。
約100点のほとんどが初公開となったこの個展では、絵画・版画・半立体作品など多岐にわたるジャンルの作品を通じて北野独自の感性を感じることができたそうです。
カルティエ財団現代美術館での個展「Beat Takeshi Kitano, Gosse de peintre」
2010年9月には、フランス・パリにあるカルティエ財団現代美術館でも個展を開催。
絵画作品の他に映像や立体作品などを用いて、観客に驚きや笑いを届けるような作品が展示されました。
北野は、なかなかこれまで多くの美術館などからの個展のオファーに答えてこなかったようですが、「キタノ映画」に魅了されたカルティエ現代美術財団のディレクターの誘いによって、一時は保留になりながらもやっと実現したといわれています。
北野武の作品は購入できる?
北野の作品は、個展などで展示されることはありましたが、積極的に販売はされていないようです。
他の分野でもマルチに活躍する芸能人なので、アートは自身の楽しみとして取り組んでいて、販売を目的としていないのかもしれません。
唯一、北野武が写国斉多気志を画号として制作した「髑髏写楽」という版画作品は、額装費などを含め約50万円でオークションで販売されていました。
この作品は、テレビ番組の「たけしの誰でもピカソ」で50部限定で制作されたもので、北野が東洲斎写楽や歌川国芳からインスパイアを受けて制作したそうです。
くっきー|野生爆弾
お笑いコンビ野性爆弾としてテレビなどでお笑い芸人として活躍しているくっきーは、独特の感性と器用さから、アートの才能も評価されており、テレビなどでも作品が取り上げられてきました。
くっきーは、アーティスト名を「肉糞太郎(にくぐそたろう)」として、国内外で活躍しています。
2019年にアメリカ・ニューヨークで開催された世界最大の美術市場「ART EXPO New York」に参加した際には、1000組以上のアーティストが参加した中で、最も注目すべき5名のアーティストに選出されました。
数々の有名アート雑誌などのインタビューも受けたくっきーは、『他の誰からも影響を受けていない』と、その独特な作風を高く評価されていたそうです。
お笑いタレントとしても活躍中のくっきーですが、アーティスト活動はお笑い芸人の延長としてではなく、切り分けて本腰を入れて活動していく予定だと語っています。
野性爆弾くっきーの個展、展覧会
展覧会・作品
作品展「超くっきーランド」
くっきーの個展「超くっきーランド」はこれまで全国各地で開催され、国内で30万人、世界で25万人を動員し、大盛況でした。
この超くっきーランドの集大成として、「Last of 超くっきーランド neoneo」が大阪・難波にあるなんばパークスで、個展「超くっきーランドは」最後の開催となり、くっきーの新作や様々なアーティストとのコラボ作品が数多く展示されたそうです。
ART EXPO New York 2019
2019年に参加したニューヨークのART EXPOでは、くっきーのアート作品5点が約1100万円で販売されました。
展示された作品には、くっきーの代表作品「イザベラ」や「乙女貴族 召使いドルグ」、「乙女貴族 孫ガルーダ」などが含まれます。
片岡鶴太郎
お笑い芸人からトークや司会もこなすタレント、歌手、俳優などと多彩な才能で芸能界で活躍してきた片岡鶴太郎(以下、片岡)は、1989年に出演したドラマ「志功の青春記 おらあゴッホだ」で板画家の棟方志功を演じたことをきっかけにアートの世界にも足を踏み入れました。
1995年に初めてのの個展「とんぼのように」を開催。
水墨画や陶芸、版画など様々な作品を手がけており、他の分野で芸能人として活躍していたことを忘れてしまうほどの美術の才能が高く評価され、今では人気作家の一人として知られています。
早朝(深夜?)1時に起床して、4時間ヨガをしてから2時間かけて朝食をとるという習慣を毎日続けているという片岡。その意志の強さやこだわりなどからもいわゆるアーティスト気質を感じます。
片岡鶴太郎の美術館・作品の購入方法
片岡鶴太郎の美術館
片岡は、1998年に群馬県草津温泉の草津ホテル内に「片岡鶴太郎美術館」、2002年に石川県加賀市山中温泉に「片岡鶴太郎工藝館」、さらに2003年に福島県福島市に「片岡鶴太郎美術庭園」をそれぞれ自身の名を冠して開館しています。
日本画や水墨画、屏風絵、陶芸品など様々な片岡の作品を観ることができます。
片岡鶴太郎の作品はどこで購入できる?値段は?
片岡の複製画・版画作品は、公式オンラインストアである「つるまる商店」で購入することができます。
版画作品は約10万円代、複製画は数万円から、その他にも絵葉書や画集などが販売されています。
ジミー大西
天然キャラのお笑い芸人として大御所からもいじられるなど憎めないキャラで人気のあるジミー大西(以下、大西)。
故・岡本太郎の勧めがきっかけとなり絵を描き始めたという大西は、ビビッドな色調と大胆な構図に特徴のある印象的な作品を製作していました。
一度は、懐事情やネットオークションで出回った贋作などが原因となり絵を描くのを辞めてしまったようですが、2020年には明石家さんまからの助言で5年ぶりに活動を再開したようです。
ジミー大西の作品はどこで買える?
大西の作品は、複数のギャラリーなどで取り扱いがあり、オンラインで確認をすることができます。
落札価格などは公開されていませんが、数万円から購入できるようです。
過去にはフランスのワイン、ボジョレー・ヌーボーのラベルデザインに採用されたこともあり、その才能は確実に各所から評価をされています。
まとめ
才能があったとしても芸能界で活躍できるのはほんの一握りだとよく言われますが、芸能活動に収まらず芸術の分野でも独自のセンスを発揮するお笑い芸人たちは本当に多彩で、それぞれが持つ独特の感性を様々な表現方法でアウトプットしているのだと感じました。
もともと芸能人ということで、一般の芸術家よりもアーティスト活動を始めやすいという指摘もあるようですが、北野武や野性爆弾くっきーのように世界を股にかけてアーティストとして名を馳せるお笑い芸人がいるのは、その才能が正しく評価されている証拠だと思います。
もしかしたら、今後の国内外でのアーティストとしての活躍などで、お笑い芸人たちの作品の価値が上がっていく可能性もあるかもしれません。
参考
東スポWeb「木梨憲武 アート活動のきっかけは「生ダラ」」https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/983980/
木梨憲武展 https://www.kinashiten.com/
Foundation Cartier「Exhibition. Beat Takeshi Kitano, Gosse de peintre」https://www.fondationcartier.com/en/exhibitions/beat-takeshi-kitano
ARTLOG「ビートたけしのアートが100点! アートたけし展」https://www.artlogue.org/node/2620
tagboat「骸骨写楽」https://ec.tagboat.com/eccube_jp/html/products/detail.php?product_id=51498
MBS「野性爆弾くっきーのアートが米NYで絶賛された理由」https://www.mbs.jp/mbs-column/jounetsu/archive/2019/05/30/017287.shtml
ORICONニュース「野性爆弾くっきー、NYで注目 アート5作品が約1100万円で売れる」https://www.oricon.co.jp/news/2133341/full/
つるまる商店 https://www.tsurumaru-shoten.com/
citrus「ジミー大西が絵描きをやめた理由が悲しすぎる…」https://citrus-net.jp/article/33681
エンタメRBB「ジミー大西、5年間画家を辞めていた! さんまの助言で再開するも新作は300円!?」https://www.rbbtoday.com/article/2020/07/09/180324.html