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【後編】ワイチェア/セブンチェアなど家具の価値はどう決まる?北名古屋にある家具屋「ワイズカーサ」オーナーにインタビュー

今月はインテリア特集として当サイトでは「日本の有名なアーティスト、隈研吾などの建築家がデザインした家具について。LC2などのMoMAに永久収蔵されている家具についても紹介!」や「一生物の椅子を買うなら知っておきたい近代家具デザイナー5選」の記事を紹介してきました。

今回は実際に愛知県北名古屋市インテリアショップの「ヤマトヤ・ワイズカーサ北名古屋本店」「シルク バイ ワイズカーサ名古屋グローバルゲート店」のオーナーの山田栄作さんをゲストに呼んで、前編では山田社長のお店の歴史や上手にインテリアするコツを聞いてきました。後半もお楽しみください!

インタビュー

家具の有名デザイナー

聞き手:家具界で知っていた方が良いデザイナーの方はいますか?

山田社長:まずは600脚以上の椅子をデザインしているデンマーク出身のハンス・J・ウェグナーですね。デザインした家具の1割以上がヒット商品です。これはすごい打率でイチローも超えているのではないでしょうか?

最近の方だとドイツ人のコンスタンチン・グルチッチです。家具業界はどうしてもヒット商品に似た製品や既存の商品を元にリデザインすることが多いのですがグルチッチは他に存在しない家具を作ります。あとはフランス出身の兄弟であるロナン & エルワン・ブルレックです。

店内で販売されていたコンスタンチン・グルチッチの椅子

聞き手:どれも素敵なデザインばかりですね!やはり大型量販店の家具とデザイナーの家具は違うのでしょうか?

山田社長:大型量販店の家具はマスプロダクトの技術としては大変素晴らしいと思います。安価により多くの人に届けたいという気持ちがあるからこそできる商売ですよね。そういう企業があるからこそより多くの人が家具を手に入れていると思います。しかし大型量販店の家具は安価に製作するために、工程や素材が選定されているので、耐久性は劣りがちになっています。それに比べるとデザイナー家具は、しっかり作られており、メンテナンスもできます。また、もし飽きてしまった時のリセールバリューも高いので、長い目で見るとコストパフォーマンスもデザイナー家具の方が良いかもしれないですね。

投資としての家具

聞き手:デザイナー家具はヴィンテージ商品になってリセールができるのですね!投資として家具を買う方もいるのでしょうか?

山田社長:投資として家具を買う方はたまにいらっしゃいますが、お金に余裕のある方ですね。当時10万円だった家具が100万円以上するヴィンテージ商品になることはあります。しかし投資目的としてお金を増やすのであったら不動産投資や株式投資をしてから、余裕があれば家具の投資も趣味としてやってみるのは良いのではないでしょうか?家具の投資でご飯が食べれるようになることはないと思います。長く家具屋を経営していると「あの商品はいつか高く売れるのではないか?」と分かりますが、素人の方は難しいと思います。

アートはオークションなどで青天井の値段がつきますが、家具はあくまでも道具なのでアートほど値段が釣り上がることはないでしょう。例外として「オバマ大統領が座った椅子」や「ジョンレノンが座った椅子」など著名人が使った「そのもの」なら価値が高まるかもしれませんね。

店内の様子

聞き手:なるほど、ビンテージ家具は値段が高い印象があったので投資に良い商材だと思っていました。

山田社長:お金の投資ではないのですが、家具は自己投資になると思っています。つまり精神的な投資ですね。株式投資と違って毎年の現物配当がある訳ではないんですが、家に帰るたび自分の好きな椅子に座れたらとても嬉しいですよね。家具は使う度に配当が出る投資だと思っています。アートも同じで名作が家にあると、働く活力に直結したり、次はこれを買ってみたいなと考えたりします。それこそが家具やアートのリターンです。そして価値のある家具は資産価値もある程度担保されているので、リセールできる可能性が高いですね。高い家具を買っても売る時には良い価格で売ることができるでしょう。一見すると価格が高い家具でも長い目で見るとお得になります!

聞き手:デザイナー家具は、投資としては難しいけれど資産価値があるのでリセールには向いているんですね!

山田社長:今後の展望として「プレラブドプロジェクト」を考えています。プレラブドとはかつて愛されていたもの、つまり中古の家具です。欧米にはあるんですが、日本では中古の家具の資産価値の基準がありません。一定となる基準を作れば、お客様も資産価値に繋がる商品を選ぶこともできますし、さらに家具屋からも新しい商品を提案できますよね!ユーズドは使い古されたものですが、プレラブドは愛着を持って使われてきたものです。例えば私の家は以前8人家族でしたが、今は3人で暮らしています。ライフステージの変化に伴って内装は変化していくものなので、自分の大切にしてきた家具を手放すタイミングが来てしまいます。大事に使ってもらえるところのもとに譲りたいと思っている方に、適正な価格で売っていただくことができます。

店内には「プレラブド」商品も販売されているのでお得にデザイナー家具をGETできるかもしれません。

山田社長の今後の展望とアート&投資

聞き手:他に今後の展望はありますか?

山田社長:最近「タスカル」というサービスを始めました。家具インテリア専門店の住宅と暮らしの支援サービスです。家具を変える時、家具の移動や組み立て、設置に困った方は多くいらっしゃると思います。お客さまのちょっと助けて欲しいを私たちがお手伝いします。本来は建築の仕事でもありますが、ちょっと家を直すことは家具屋でもできるので多くの方をサポートできればと思っています。

山田社長が家具ツアーをしてくださり、とても勉強になりました。

編集長:ちなみに当サイトはアートと投資のサイトですが、アートや投資にはご興味ありますか?

たまに美術館にはいきますが、美術館より博物館の方が好きですね。民芸品や骨董を見ているのが面白いですね。あとは家具からアート性を見出しています。また住む空間にアートがあると日頃の癒しになって良いですよね!

投資は、少し株式投資をしています。ただ家具の価値が上がったので、ある意味投資になったと感じています。この間も倉庫で在庫を確認していましたが、「この家具こんなに値上がりしたんだ!」と驚く商品もありました。特にウクライナやロシアが材料の元になっている木を使った商品は、戦争の関係で手に入れることが難しいですよね。ウッドショックも重なってインテリア全体が値上がりしましたね。とてもラッキーな家具投資でした。

編集長:今回はインタビューありがとうございました!

編集後記

今回は山田社長をお迎えしてのインタビューはいかがでしたでしょうか?恥ずかしながら私はデザイナー家具についてあまり詳しくなかったのですが、山田社長とのインタビューで事前準備をして家具についてしっかりと学ぶことができました。

店舗では美しい家具に囲まれてとても幸せな気持ちになりました!今後はアートと家具の歴史的なつながりなどP.Art.Onlineで発信できればと思います!「ヤマトヤ・ワイズカーサ北名古屋本店」「シルク バイ ワイズカーサ名古屋グローバルゲート店」は愛知県に店舗があるので、是非遊びに行ってみてください!

ABOUT ME
しおり岡
編集長/ライター。小学生の頃はエジプト文化、中学生では西洋美術、高校生は日本の歴史にハマり、大学在学中に仏像に恋をして、学芸員を取得。卒業後、大手人材会社で営業を経験。その後、飲食店の広報・デザイナーを経て、アメリカ・NYにて転職。コロナウイルスのため帰国し、現在は日本に滞在中。趣味は「美術館や遺跡を経験するための海外旅行」。今まで40カ国以上を旅行をし、世界の建築や文化、食事、アートに触れる。