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スイスの高級時計「アイコン オートマティック クラブ ジャパン エディション」をデザインした中澤浩司さんの時計とキャリアについて 前編

今回のインタビューは中澤浩司さんです。中澤さんは時計好きから発展し、SNS活動(@koji_nkzw)を通してスイスの高級腕時計モーリス・ラクロア(MAURICE LACROIX)から世界初の公認ウォッチクラブとしてモーリス・ラクロア ウォッチ クラブ ジャパンの運営を立ち上げた方です。

公認クラブは今ではクラブ タイランドやクラブ マレーシアと広がっていますが、それらは世界初の公認であるウォッチ クラブ ジャパンの活動がロールモデルとなっています。

また日本人初としてモーリス・ラクロアのアイコンモデルである“アイコン オートマティック”をベースに中澤さんが企画・アレンジしたコラボレーションモデル「アイコン オートマティック クラブ ジャパン エディション」を21年9月に発売。

これまでの歩みを通してどのように人生観が変わったのか、中澤さんにインタビューいたします。

事業内容について

聞き手:中澤さんは時計好きが転じて独立されたと伺いましたが、どのような事業内容でしょうか?

中澤さん:私はウォッチケースなどの革製品の企画、デザイン、マーケティング、製造、販売する会社を経営しています。他事業としてWEBディレクション業務やカメラ撮影レクチャー業務なども行っています。

聞き手:時計に関する活動は何をされているのでしょうか?

中澤さん:モーリス・ラクロア アイコン オートマティックをメインにInstagram(@koji_nkzw)、Twitter、Facebookに自身が撮影した写真を掲載しています。その投稿にはそのモデルのおすすめポイントや歴史なども交えて公開しています。それ以外にモーリス・ラクロアを所有しているユーザーさんの投稿を紹介したり、購入したり気になっているユーザーさんにはコメントをしたりして交流を持っています。

2022年5月にはスイスの本国のモーリス・ラクロア社から日本人代表としてタイのプーケットでのアジア向けの大きなイベントに招待いただき参加しました。参加者は主要な小売店、モーリス・ラクロアクラブ代表者、プレス、インフルエンサー、アンバサダーなどタイ、シンガポール、マレーシア、日本、ミクロネシア、インド、中東、グアム方が参加されていました。

聞き手:モーリス・ラクロアとはどのようなブランドなのでしょうか?

中澤さん:ブランドとしては、比較的新しいブランドですが、その歴史は長く1889年にスイスのチューリッヒにデスコ・フォン・シュルテス社(Desco von Schulthess Company)が設立されたことが始まりだそうです。設立されてからは130年以上の歴史があります。

1946年から時計ビジネスに携わり1961年にスイスのセイネレジェに創業者デスコ・ド・シュルテスによって開業された時計工房がモーリス・ラクロアの原点になります。そこから14年後の1975年にモーリス・ラクロアは現ブランド名の「モーリス・ラクロア」のブランド名で腕時計を販売したのが始まりと言われています。世界最古の時計メーカーブランパンやランゲ&ゾーネ、ハリーウィンストンのケースの製造にも携わっていたそうですよ。

中澤さんのキャリア

聞き手:元々、時計に関する仕事をされていたのでしょうか?

中澤さん:前職は時計には関係がないWEB業界で働いていました。ディレクターとして大手から中小企業までを対象としてホームページの制作や大手カード会社のWEBサイトの委託業務の管理者をしていました。しかしふと立ち止まったときに自身の人生において今の仕事では、何か形のあるモノが残せていないなと感じました。もちろんこれまで多くのお客様にサービスや物、コトをご提供してきたので納品物としての形は残していますが、自身が心から誇れる何かを残せていないと感じたからです。またディレクションの仕事は板挟み的な立ち位置で、今振り返るとストレスも多かったと思いますね。

私には一人息子がいるのですが、いつも息子には「やれると心から思えば実現できる」と言い聞かせてきました。実際にはそう思い、それを実現させるためにどう行動すれば実現できるか考え体現してもらうことで、あきらめない心を強くしてもらいたいと思っています。

しかし自身が「本当にやりたいこと」が出来切れていないこともあり、わずかな残りの人生、1回でもいいからやりたいことをやってみようと独立しました。

聞き手:そこからご自身の趣味の方向で起業されるのですね!時計にはいつから興味があったのでしょうか?

中澤さん:もともと学生の時代から腕時計には興味がありましたがなんせ高価なこともあり、なかなか手に出来ないので手にしやすいな手ごろな腕時計をしていました。今はWEBが発達していますが当時は情報が少ないため、雑誌で眺めて研究をしていました。専門雑誌やファッション誌の特集ページを見ていました。2004年にスイスのメーカーであるオリスのBC3を初めて購入してから時計が趣味になりました。

そこからいくつものブランドを手にしていますが、スイスのモーリス・ラクロアを好きになって以降モーリス・ラクロアを推し続けており、その腕時計好きから派生し腕時計と腕時計愛好家を繋げるモノ・コトを自身の経験から形に出来なかと試行錯誤しウォッチケースブランドCELIEU(セリュー)を立ち上げました。

CELIEUについて

聞き手:CELIEUの商品の魅力を教えてください。

中澤さん:例えばこの(下記写真)のプリエと言うウォッチケースですが、職人が1針1針手縫で作っています。そして手作業で何層にも塗り重ね磨き上げたコバ仕上げにより美しさを醸し出しています。

CELUE商品:プリエ

また新たに手ごろな価格で手にしていただけるル・カレシリーズも発売予定です。

CELUE商品:ル・カル

このウォッチケースの絶妙なサイズ感も何度も修正を繰り返し、やっと納得のできるものが完成しました。また廃棄されてしまうレザーを活用したウォッチコースターも販売しています。デスクに直接時計を置くことで腕時計が傷ついてしまうことを気にされる方が多いこと、SDGSの観点からも何か出来ないかとウォッチコースターを開発しました。

CELUE商品:ウォッチコースター

昔から「空間」を大切にしています。多くの人にCELIEUを使っていただき、時計を愛する空間を感じて欲しいです。多くの人々に自身のライフスタイルを広げる為にCELIEUの製品を増やし、海外展開したいと考えています。これからも良い商品を開発し時計愛好家の架け橋になるブランドにしていきたいです。

聞き手:CELIEUの商品は中澤さんがデザインされているのですね!昔からデザインは学ばれて学んでいたのでしょうか?

中澤さん:高校生の頃から芸術系の学校に通い大学生の頃はインテリアや建築を学びました。

今は腕時計の絵を定期的に描き実写を絡めたウォッチフォトアートを制作しています。(Instagram:https://www.instagram.com/watch.lover.54/)1つ1つのパーツや陰影を組み合わせ描いています。1ミリでもずれるとその時計の良さが引き出せないのでとても緻密な作業ですが、完成した時に喜びはとても大きいです。

ウォッチアート_オメガ スピードマスター
ウォッチアート_モーリス・ラクロアアイコン
ウォッチアート_ロレックスGMT2レフティ
ウォッチアート_ロレックスデイトナ

そしてメインでは、365日、4年間にわたってモーリス・ラクロアを撮り続けて掲載しています。(@koji_nkzw)写真は自身の所有している腕時計をいかにカッコよく見ている腕時計ファンやユーザーに見てもらうか構図を意識しながら撮影しています。

SNSでの発信からモーリスラクロア・ウォッチジャパンに・・・

聞き手:Instagramで発信することで何か変わったことがありますか?

中澤さん:世界中の方と交流することができています。今も何百人と言う国内外の方と会話しています。私はDMにしっかり答えているので日本でLINEなどで会話するより海外の方と会話する方が断然多いですね。「どんな時計を買えば良いだろう?」という相談や、モーリス・ラクロアに関する要望、ユーザーの方が買った時計を紹介してくれることもあります。時計が好きという所から「縁」が繋がっていくのがとても面白いですね。

聞き手:共通の趣味で世界が広がるのは面白いですね。中澤さんはモーリス・ラクロア ウォッチクラブジャパンを開設されたそうですが、どのような経緯だったのでしょうか?

中澤さん:もともと2018年にモーリス・ラクロアの“アイコン オートマティック”がバーゼルで発表されすぐに購入してから、SNSで“アイコン オートマティック”の良さを発信し続けていました。どうしたらその良さが世界に伝わるのか、どうしたらモーリス・ラクロア社に自分の存在を知ってもらえるかを軸に活動していました。しばらくすると私が撮影して、投稿した写真を本国の公式アカウントからシェア・リツイートしてもらうことが増えました。約半年ほどで、スイス本国モーリス・ラクロア社から日本の代理店に私が投稿しているムービーをモーリス・ラクロア社の正式なInstagramで掲載したいと声をかけてもらい、交流が始まりました。

その後2019年8月にモーリス・ラクロア社マネジングディレクターのステファン・ワザー氏(Stephane Waser)が来日する際に声をかけていただき、「日本で公認されていないウォッチクラブがアメリカにあるがKOJIなら安心して任せられるから公認としてウォッチクラブを立ち上げてみないか」と提案いただきました。その場で「やります!」と即答して、2019年にウォッチクラブジャパンが誕生しました。

聞き手:ウォッチクラブジャパンではどのような活動をしているのでしょうか?

中澤さん:2019年に開設されましたが、新型コロナウイルスが蔓延した時期だったこともあり最初はあまり活動はできていませんでした。しかし今年の6月6日には日本で初めてモーリス・ラクロア ウォッチクラブ ジャパンのイベントをモーリス・ラクロア ジャパンと共同で行いました。日本のコアなファンおよそ20名と腕時計ファンなら誰しも知っている著名な方をお呼びしトークショーを行いました。その場にはスイス本社モーリス・ラクロア社のマネジングディレクター ステファン・ワザー氏と国際セールスマネージャーのマーセル氏も来日し熱い時間を過ごしました。

イベント時の時計の集合写真

聞き手:「モーリス・ラクロアアイコンオートマティッククラブジャパンエディション」を中澤さんがデザインされたと伺いました。こちらもウォッチクラブジャパンとしての活動の一貫ですか?

中澤さん:マネジングディレクター ステファン・ワザー氏に私から日本市場にマッチした商品が作れると直談判したのがきっかけです。

デザインは私に届いたモーリス・ラクロアに関するコメントを洗い出し市場にマッチしたイメージを練りました。例えば「どんな年代が好む時計が良いか」「ビジネスでもプライベートでも使えるようにするには?」など様々な面から検討しました。そしてその中からアイディアを抽出しどうやって魅せるか考え、引き算でデザインを考えていきました。光の入り方や文字盤全てにこだわりました。そのうえで変更した点は大きく3点です。

写真上:アイコンオートマティッククラブジャパンエディション 写真下:クラブジャパンエディション

・デイト表示

 現行版の“アイコン オートマティック”にはデイト表示があります。

 そのデイト表示を無くし、ムーブメントにも手を加えてもらいました。

・文字盤

 従来モデルの文字盤は、“クル・ド・パリ”を採用しています。しかし“アイコン オートマティック クラブジャパン エディション”ではサンブラッシュダイヤル仕上げに変更しました。

・ストラップ

“アイコン オートマティック”用に初めてラバーストラップを製作しました。

しかもこれまでになかった“クールグレー”と言うカラーのラバーストラップをPANTONEで指定し特別に制作してもらいました。今では様々なカラーでグローバルに展開されています。

開発に1年ほど要しました。完成した時計は全国のモーリス・ラクロアを取り扱っている正規販売店で250本限定で販売しました。

聞き手:ありがとうございます!続きは後編で。。。。。

プロフィール

中澤浩司(@koji_nkzw

CELIEU DESIGN OFFICE / CEO【腕時計ポーチ&ケースブランド”CELIEU”21.12ローンチしました】 【スイス腕時計ブランド MAURICELACROIXコラボレーションモデル 21.09発表】 【モーリス・ラクロア ウォッチクラブ ジャパン”公認ファンクラブを運営しています】

ABOUT ME
しおり岡
編集長/ライター。小学生の頃はエジプト文化、中学生では西洋美術、高校生は日本の歴史にハマり、大学在学中に仏像に恋をして、学芸員を取得。卒業後、大手人材会社で営業を経験。その後、飲食店の広報・デザイナーを経て、アメリカ・NYにて転職。コロナウイルスのため帰国し、現在は日本に滞在中。趣味は「美術館や遺跡を経験するための海外旅行」。今まで40カ国以上を旅行をし、世界の建築や文化、食事、アートに触れる。