元々「ヴァンゆん」として216万人を超えたYouTubeチャンネルを運用していたヴァンビさん。そんなヴァンビさんがスパイダーマンの仮装をした「スパイダーメーン」が日本最速でチャンネル登録者数1,000万人を突破したことで近年話題になっています。
しかし、一部では「著作権違反なのでは?」といった声が挙がっています。そこで本記事ではスパイダーメーンは著作権違反ではなのかを解説。加えてアート業界で著作権が問題になった事例を紹介します。
これからアート活動を始めたい方やすでに活動している方はぜひ最後までお読みください。
また「あわせて読みたい」では、画家の収入事情や将来性を解説しています。画家になりたい方や興味のある方は、本記事の著作権に関する記事と合わせてご覧ください。

スパイダーメーンは著作権違反にはならない?

スパイダーメーンは結論、著作権違反になる可能性が低いと言われています。理由としては以下の通りです。
- キャラクターに著作権がないから
- コスプレで稼いでいる方がいるから
それぞれ順に解説していきます。
キャラクターに著作権がないから
基本的にキャラクターは抽象的な概念で構成されているため著作権は発生しません。つまり著作物の条件の「表現されたものであること」という条件を満たしていないのです。
例えば、世界的にも有名なアンパンマンは、頭があんパンである、マントがあるから空を飛べるなど抽象的な概念の組み合わせでできています。そのためキャラクター自体は抽象的概念であると判断され、著作権は発生しないのです。
また、実際にアメリカンコミックであるポパイの漫画の図柄をネクタイにしたことが、著作権侵害にあたると争われた裁判では、ポパイがキャラクターであるため著作権は「表現されていない」と判断され、否定されています。
つまりスパイダーメーンも同様に著作権違反になる可能性が低いと言えます。
参照元:topcourt (topcourt-law.com)
コスプレで稼いでいる人がいるから
2つ目はコスプレイヤーが稼いでいることが挙げられます。
彼らは、最近話題になったチェンソーマンや鬼滅の刃から、ドラゴンボールやNARUTOといった昔から愛されているアニメのスーツを着てSNSへの投稿やイベントへ出演することでお金を受け取っています。つまりキャラクターを利用してお金を稼いでいるのです。
そのため、スパイダーメーンも同様に著作権違反の可能性が低いと言えます。
【スパイダーメーン】著作権違反で訴えられる可能性もある

先ほどスパイダーメーンは著作権違反になる可能性が低いと解説しました。しかし、スパイダーマンを制作したMarvelが自分たちに影響を与えると判断した場合は訴えられることがあります。具体的には以下の通りです。
- スパイダーマンのイメージダウンにつながると判断された場合
- Marvelがスパイダーメーンによっての利益が減ると判断した場合
とはいえ、裁判をするにもお金と時間がかかり、ヴァンビさんのような方が何人も現れると1人ずつに対応しなければいけないので、現時点での可能性は低いと言えるでしょう。
アートの世界で著作権問題で話題になった事例を紹介

前半ではスパイダーメーンに関する著作権問題を解説しました。本章ではアートの世界で著作権問題になった事例を2つ紹介します。
- パズル事件
- 顔真卿自書建中告身帖事件
アートでどのような著作権に関する事件があったのか知りたい方は必見です。
パズル事件
パズル事件とは、パズル作家である原告と被告の間で、問題のパズルが著作物に当たるかが争われた事件です。結果は複製されたものと判断されました。つまりパズル作家側の勝訴です。
著作権法は、思想や感情の創作的な表現を保護するものであり、表現に至らないアイデア部分は保護されません。
とはいえ、問題文やイラストなど作者の個性的な表現を用いている場合は著作物として保護される場合があると発表されています。
参照元:芸術判例集 美術表現に関わる国内裁判例25選 | HAPS | Page 6
顔真卿自書建中告身帖事件
顔真卿自書建中告身帖事件とは、著作権の保護期間が過ぎた美術作品を所有する、財団法人と、書籍を出版した出版社との間で販売差止と廃棄を求めた民事訴訟事件です。
結果は出版社の勝訴で幕を閉じています。
理由は美術の著作物の原作品の所有権を有していても「著作物の表現情報までは支配できないため、著作権の保護期間が過ぎた美術作品の著作権は保護されない」という結論でした。
所有者によって著作物の支配が行われているようにみえますが、著作権には影響を及ぼさないと言われています。
参照元:芸術判例集 美術表現に関わる国内裁判例25選 | HAPS | Page 2
アートに限らず著作権の侵害がいけない理由

アートに限らず著作権の侵害は法律違反です。とはいえ、何がいけないか納得できる理由を知りたい方も多いでしょう。
そこで本章では著作権侵害が違反になる理由を2つ紹介します。著作権について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
文化的多様性を損なうことがあるから
著作権を侵害することで国民的文化や多様性を損なう可能性があります。
日本ではアニメが人気で世界的にも有名なため、アニメは日本を象徴する1つの文化と言えます。外国人観光客の中にはアニメを通して知った観光地を目的に旅行する方もいるでしょう。
しかし、著作権が仮になかった場合、アニメがどこの国でも制作ができ、日本独自の文化が損なわれるだけでなく、お金も稼げなくなります。
作者の利益が減る可能性があるから
著作権の目的として作者の利益を守る役割が挙げられます。例えば、ジブリ映画のような映画が作成したとしましょう。
しかし、著作権がないとコピー作品が大量生産され、本来の映画が見られなくなり、結果的に売上が落ちることが予想できます。
つまり、著作権がないことでコピーが簡単に行えるようになり、作者が稼げなくなるのでクリエイターがより良い作品を世の中に出せなくなるのです。
まとめ
本記事では、スパイダーメーンが著作権違反かどうかを解説し、加えて実際にあったアートに関する著作権で問題になった事例を紹介しました。結論、スパイダーメーンが著作権違反になる可能性はMarvelが悪質であるか判断するか否かで変わってきます。
著作権の問題は、作者が嫌な思いをするかどうかが鍵を握っているからです。とはいえ、複製や真似て作るといった行為は著作権違反になります。
そのため、アートを作るアーティストは人の作品からアイデアを取り入れることもあると思いますが、複製にならないように注意が必要です。
