【横尾忠則】日本のポップアートを代表する画家の代表作品や開催中の展覧会、鑑賞できる美術館など

Yokoo Tardanori
アーティスト紹介
横尾忠則のポスター

DATA

ニックネーム
日本のポップアートの先駆者
作者について
横尾忠則は、ポップアートの代表的なアーティストの一人です。ビートルズから山口百恵まで国内外のアーティストのポスターやアルバムジャケットも手掛けたことで知られるグラフィックデザイナー、画家、作家、版画家で、さまざまな形のアート作品を手がけています。 横尾の作品は、特にサイケデリックなポスターなどが印象的で、世界のポップカルチャーに大きな影響を与えてきました。

現在の値段

約5,901,080円(直近36ヶ月の平均落札価格)

2020年「ROGER AND ANGELICA」¥1,955,000(SBI Art Auction)101.5 x 71.9 cm
2021年「War exhibition (poster)」¥200,000(毎日オークション)101 x 73.1 cm
2022年「Non-Toxic ?」¥11,155,000(SBI Art Auction)162 x 130.3 cm
2023年「Red Dream」¥12,650,000(SBI Art Auction)162.0 x 130.3 cm

横尾忠則の作品は、SBIアートオークションや毎日オークションなど、日本国内のオークションで主に取引されています。油彩画は数百万から1千万円を超える値段がついていることも多く、スクリーンプリント作品も数万円から数十万円で取引されています。
横尾忠則オークション値段

横尾忠則の経歴

横尾忠則
引用:https://casabrutus.com/categories/art/97470

横尾忠則(よこおただのり)は、1936年兵庫県西脇市生まれの日本の美術家、グラフィックデザイナー、イラストレーター、作家、また版画家です。

幼少期から絵本の模写や漫画を描くなどして育った横尾は、20歳まで地元西脇で過ごします。9歳で第二次世界大戦を経験しており、西脇は空襲を免れたものの、神戸や明石の空が空襲で赤く染まるのを目撃しました。

幼い頃から、人間の生まれや死の世界に興味を抱き、周りの大人たちに質問をしたり、自分の中で思いを巡らせたそうです。

18歳の時、武蔵野美術学校出身の教師の影響で油絵を始めた横尾の作品は、県主催の絵画展などでも入賞し、その後、武蔵野美術学校に進学を目指して上京したものの、のちに断念し、加古川の成文堂印刷所に入社しました。

その後も神戸新聞社や東京のナショナル宣伝研究社、日本デザインセンターなどでキャリアを積んでいきます。26歳の時には、大和証券DMのイラストでADC賞銀賞を受賞しました。

1964年には、東京オリンピックのピクトグラム作成に関わったことでも知られています。

また、作家としても知られる横尾は、1965年に開催された吉田画廊の個展で三島由紀夫と出会い、二人は後に共に仕事をすることとなります。

1969年に主役として出演した大島渚監督の映画「新宿泥棒日記」が第6回パリ青年ビエンナーレ版画部門でグランプリを受賞したり、1970年からは写真を始めたり、1984年にはベルギー国立20世紀バレエ団ミラノスカラ座公演「ディオニソス」の舞台美術を担当したりと、横尾はさまざまな舞台で美術家として活躍します。

また、浅丘ルリ子や遠藤賢司、山口百恵や郷ひろみなど昭和の有名歌手のジャケットイラストを手がけたことでも知られています。

山口百恵
引用:https://coconutsdisk.com/ekoda/?p=2835

写真家の篠山紀信とも親交が深く、1974年には一緒にインド旅行に行っています。横尾はインドを訪れる中で、オカルティズムや神秘主義、精神世界への興味をより深めていったといいます。

元々グラフィックデザイナーであった横尾が画家としての活動をメインにシフトしたのは、ニューヨーク近代美術館で開催された「ピカソ展」を訪れたことによる影響だと言われています。

横尾の作品は、1960年代のポップカルチャーを反映したようなカラフルでサイケデリックなスタイルで知られており、日本のポップアートの代表的アーティストであると言えるでしょう。

横尾の個展は、東京都現代美術館、京都国立近代美術館、金沢21世紀美術館、国立国際美術館などの国内の美術館にとどまらず、1972年に開催されたニューヨーク近代美術館(アメリカ)をはじめ、ステデリック美術館(アムステルダム)、カルティエ財団現代美術館(パリ)、ロシア国立東洋美術館(モスクワ)など世界各地で開催されてきました。また、パリ、ヴェネツィア、サンパウロなど各国のビエンナーレにも出品しています。

横尾忠則の作品

「腰巻お仙」1966年

「腰巻お仙」横尾忠則
引用:https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/213292

状況劇場のポスターとして作られた「腰巻お仙」は、1966年に発表されたポスターの代表作の一つです。

第二次世界大戦時に、鬼退治をした桃太郎をアイコンにして国の威信を奮い立たせたことから、横尾は桃を悲劇と敗北の象徴として描いたのだそうです。

1970年に開催された世界のポスター展において、60年代を代表する作品に選出されました。

「Y字路」シリーズ 2000年〜

横尾忠則 Y字路「暗夜光路 眠れない街」
引用:https://www.1101.com/yokoo_tamori/y_joro.html

写真は、「Y字路」シリーズの「暗夜光路 眠れない街」です。

故郷の兵庫県西脇市を訪れた際に撮影した一枚の写真がきっかけとなって始まったこのシリーズは、文字通りさまざまな場所にあるY字路の構図をモチーフとして描かれた作品で、横尾の2000年以降の代表作品となり、国際的にも高く評価されてきました。

画集「全Y字路」では、全150点余りの「Y字路」シリーズの作品を年代順に紹介されています。

「眼のある電車」2004年

「眼のある電車」横尾忠則
引用:https://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20041216000165

兵庫県の加古川駅と谷川駅を結ぶJR加古川線が電化されたことを記念して、横尾がデザインした「眼のある電車」は、2004年に発表され、運転されました。

二両編成の「眼のある電車」には、色彩やかな車体に、一両当たり約40個の人間の目が描かれています。電車を『複数の目を持ち自然の中を疾走する生き物』としてデザインしたのだそうです。

横尾忠則の作品を鑑賞できる美術館

横尾忠則現代美術館

横尾忠則現代美術館
引用:https://twitter.com/YTmocaStaff

兵庫県神戸市にある横尾忠則現代美術館は、横尾からの寄贈・寄託作品を適切な環境で保管し、多くの人が鑑賞できるように、兵庫県立美術館王子分館の西館をリニューアルして、2012年11月に「横尾忠則現代美術館」として開館しました。

横尾のコレクションの展示を中心として、作品に関連するテーマの展示などが開催されています。

当館には、膨大な量の関連資料も保管され、調査や研究に使用されているほか、オープンスタジオでは、レクチャー、ワークショップ、公開制作などさまざまなイベントが開催されています。

ミュージアムショップには、展覧会図録や関連書籍、横尾忠則オリジナルグッズが多数揃っており、併設カフェの「野菜とカレーと喫茶の店 ぱんだかふぇ」も全面ガラス張りで開放感のある店内やテラス席が人気です。またこちらのカフェでは横尾のデザインした食器も使われており、ミュージアムショップで購入することができます。

横尾忠則現代美術館(兵庫県立美術館王子分館)
〒657-0837 兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
Tel:078-855-5607(総合案内)/Fax:078-806-3888

https://ytmoca.jp/guide/access/

豊島横尾館

豊島横尾館
引用:https://benesse-artsite.jp/art/teshima-yokoohouse.html

香川県の豊島にある、豊島横尾館(てしまよこおかん)は、建築家の永山祐子によって設計された横尾忠則の美術館で、2013年に瀬戸内国際芸術祭の一環として作られました。

家浦地区の中心部にあった民家を改修して作られたこの美術館は、横尾が作品を通じて表現し続けてきたテーマである『生と死』を作品含め館全体で意図的に表現しています。

母家、倉、納屋の3つの既存の建物の配置を生かして、大作の絵画やインスタレーションが展示されています。

建築、造園、展示作品のコンセプトは、アルノルト・ベックリンの代表作「死の島」からインスピレーションを得ていると言われています。

豊島横尾館

開館時間: 3月1日 〜 10月31日 10:00 〜 17:00(最終入館16:30)/11月1日 〜 2月末日 10:00 〜 16:00(最終入館15:30)
休館日: 火曜日(3月1日〜11月30日)
火曜日から木曜日(12月1日〜2月末日)
※ただし祝日の場合は開館、翌日休館
※ただし月曜日が祝日の場合は、火曜日開館、翌水曜日休館
鑑賞料金: 520円 ※15歳以下無料

https://benesse-artsite.jp/art/teshima-yokoohouse.html

開催中の横尾忠則の美術展

東京国立博物館「横尾忠則 寒山百得展」

「横尾忠則 寒山百得展」
引用:https://www.yomiuri.co.jp/culture/tsumugu/20230420-OYT1T50273/

2023年9月12日(火)から12月3日(日)まで、東京国立博物館の表慶館にて「横尾忠則 寒山百得展」が開催されます。

本展示では、横尾の代表的な作品である「寒山拾得」シリーズの完全新作102点が初公開されます。このシリーズは、中国の唐の時代に生きた伝説的な2人の詩僧をテーマとして、『寒山拾得』を横尾が独自の解釈で再構築し、3年に渡って制作したものです。

寒山と拾得は、高い教養を持つ人物でありながらも、洞窟の中に住み、時には残飯で空腹を満たすなどと世俗にとらわれない暮らしぶりをしたとされています。唐の時代のこの2人の詩僧については、森鷗外や夏目漱石など代表的な作家により、日本の近代文学でもテーマとして取り上げられてきました。

また、本展開催に合わせて、東京国立博物館が所蔵する国宝や重要文化財を含む寒山拾得図も展示されるため、一気に寒山拾得の世界観を楽しむことができるのもおすすめポイントです。

「横尾忠則 寒山百得」展
会期:2023年9月12日(火)~12月3日(日)
会場:東京国立博物館 表慶館(上野公園)〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
開館時間:午前9時30分~午後5時(※入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日、9月19日(火)、10月10日(火)※ただし9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kanzanhyakutoku/

東京都現代美術館「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」

引用:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/genkyo-tadanoriyokoo/

1995年に開館した東京都現代美術館は、戦後の現代美術作品を中心にした約5700点のコレクションの展示や研究、保存がされています。

2021年7月17日(土)から10月17日(日)まで、東京都現代美術館の「MOTコレクション展」の特集展示として、「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」が開催中です。本展示では、横尾の絵画や初期グラフィック作品を含む600点以上の出品作を鑑賞することができます。

東京都現代美術館「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」

会期:2021年7月17日(土)-10月17日(日)
休館日:月曜日(7/26、8/2、8/9、8/30、9/20は開館)、8/10、9/21
※10/11(月)は全館休館です。ご注意ください。
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般 2,000 円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1,300円 / 中高生 800円 /小学生以下無料
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F(東京都江東区三好4-1-1)

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/genkyo-tadanoriyokoo/

岡之山美術館「にしわき横尾忠則コレクションⅡ」展

岡之山美術館
引用:https://4travel.jp/dm_shisetsu/10015302

横尾の出身地である兵庫県西脇市にある岡之山美術館は、横尾の作品を収蔵・展示する目的として、1984年に開館し、現在は現代アーティストの作品を展示する美術館として運営され、地域の文化的中心地となっています。

列車をイメージした建物やピラミッド型の瞑想室などのユニークな建築は、建築家の磯崎新によるものです。

2023年7月23日(日)から12月3日(日)まで、「にしわき横尾忠則コレクションⅡ」展が開催されています。

当館所蔵の約500点の横尾忠則コレクションの中から、職員によって厳選された作品が展示されており、来場者による横尾作品への人気投票も実施されます。

岡之山美術館

住所:兵庫県西脇市上比延町345‐1
アクセス:JR加古川線「日本へそ公園駅」下車すぐ
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
料金:大人300円、シルバー250円、高校・大学生150円、小・中学生100円

まとめ

横尾忠則は、山口百恵などの国内アーティストからビートルズ、マイルス・デイヴィスなどの海外のアーティストのポスターやアルバムジャケットを手掛け、世界のポップカルチャーに大きな影響を与えたグラフィックデザイナー、画家、作家です。

サイケデリックなポスターが印象的で、ポップアートの代表的なアーティストの一人として知られています。

現在、国内の複数の美術館で横尾の作品を鑑賞することができるので、ぜひ展示を訪れてみてください。

参考

Wikipedia 横尾忠則

Artsy Tardanori Yokoo https://www.artsy.net/artist/tadanori-yokoo/auction-results

画像引用元 https://poulwebb.blogspot.com/2010/06/tadanori-yokoo.html

http://www.ukiyoestudio.com/html/page15.html

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。