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赤瀬川原平の千円札裁判から学ぶ!意外と知らないお金に関する法律を紹介

近年、SNSの発達によってお金や芸術など物事に対する考えを誰もが発信できるようになりました。特に現在は自分の思っていることを発信したり、NFTで作品をつくったりするなど自分の価値観でお金を稼げます。そのため、自由に自分を表現できるアートでお金を稼ぎたいと思っている人は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、独自の発想と過激な表現で人々を魅了したにも関わらず、千円札に似た作品をつくったことで逮捕された赤瀬川原平を紹介します。彼の逮捕は、法廷に作品を持ち込んだことで芸術と法の戦いとも呼ばれ、アート業界だけでなく、社会にも芸術の在り方を考えさせました。本記事は表現の自由とは何なのか、これからアートを始めて逮捕されないために注意することを知りたい人にオススメです。

また、下記記事ではNFTを作る側ではなくNFTへ投資したい人に向けて購入方法を解説しています。アートでお金を稼ぐことに興味のある人は合わせてご覧ください。

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赤瀬川原平とはどんな芸術家?千円札裁判で有名になったのか

赤瀬川原平と聞くと千円裁判のイメージが強いですが、芥川賞作家、イラストレーター、様々な実績をもった芸術家です。神奈川県横浜市で生まれ、武蔵野美術大学入学後、様々な展示会に自分の作品を出展します。現在赤瀬川原平の作品は100~300万円の価格で取引され、人気な芸術家の1人です。

また、著者としても活躍しており、老いをポジティブに表現した「老人力」や身近なものを独特の世界観で表現した「超芸術トマソン」は、今もなお赤瀬川原平の代表作として語り継がれています。

作品の世界観

赤瀬川原平の作品は階段の先にドアがない、煙突のてっぺんに登って自撮りをした写真など誰も思いつかない作品ばかりです。筆や絵具を使って作品を作り出すといった従来のアートではなく、すでに存在している建物をカメラで面白く撮影することに芸術としての面白さを見出しています。

また、彼は他のアーティストと比べると過激な発想を持ち合わせていました。千円札にそっくりな作品の他にも当時、朝日ジャーナルで連載されていた「櫻画報」ではパロディ精神と風刺を効かせすぎた結果、休刊事件に発展。のちに月刊漫画雑誌の「ガロ」で復活を果たし、それでもなお社会をぶった斬った表現は人々を話題の渦に包み込みました。

赤瀬川原平の代表作

赤瀬川原平の代表作は「ヴァギナのシーツ(二番目のプレゼント)」「復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)」「宇宙の罐詰」です。特に復讐の形態学に関しては千円札を模写し印刷した大型作品で、のちに千円札裁判を引き起こすきっかけにもなります。当時、お金をアートにしようと考える人もいなかったため、人々に驚きを与えました。

そして復讐の形態学以外に衝撃を与えた作品といえば「宇宙の罐詰」が挙げられます。缶詰の中にあるラベルを貼り替えて、缶詰の外側を宇宙として捉えた独特な発想だったからです。誰もが思いつかない斬新なアイデアで赤瀬川原平ならではの代表作になっています。

赤瀬川原平が起こした千円札裁判とは?

赤瀬川原平は千円札にそっくりの作品を作り出したことで、通貨及証券模造取締法違反(通貨偽造の罪)で執行猶予付きの有罪判決になります。千円札の作品では裏面は白紙で使用を目的としたものではなく、あくまで自分を表現するアートとして作ったものと赤瀬川原平は主張していました。しかし、結果は先ほども説明したように有罪の判決。

さらに千円札裁判は法廷に仲間の芸術家が作品を持ち込むという前代未聞の裁判となり、法と芸術の関係性を問う歴史に残る裁判として、今も語り継がれています。

参照元:紙幣の写真をそのままネットに掲載するのは何が問題なのか?

赤瀬川原平の千円札裁判から学ぶ!お金に関する法律を紹介

赤瀬川原平の千円札裁判によってお金の偽造が法律違反であることを知った人も多いでしょう。ここではお金に関するNG行動をいくつか紹介します。

①硬貨の加工

硬貨を故意に潰したり磨いたりして形を変形させると貨幣損傷等取締法違反になります。もし違反した場合、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金が課せられます。実際に2017年の10月に手品用コインを製造する目的で硬貨を傷つけたとして3人が逮捕されました。

貨幣損傷等取締法があるのは、貨幣の価値が変化するのを防止するためです。例えば硬貨を研究し新たな硬貨を作成した人が現れたとしましょう。そうなると現在ある貨幣の価値は下がりお金の流通量が変化すると物価にも影響を与える可能性があります。

円の価値も変化するため最悪の場合、日本経済を悪化させてしまうことがあります。そのため、硬貨の変形に関する法律があるのです。

参照元:硬貨を加工すると罰せられる

②紙幣の印刷

紙幣は硬貨のように変形することが難しいため、貨幣損傷等取締法が適用されません。しかし、画像から印刷し紙幣と同じ大きさにすると千円札裁判と同じ通貨及証券模造取締法にあたり犯罪になります。

また、千円札、一万円札が印刷されている雑誌を切り抜いて本物同様の大きさにした場合でも犯罪です。そのため、面白半分で紙幣を作ろうとしたり、切り抜いたりして遊ばないように注意しましょう。

釣り銭を多くもらって返さない

現在は日本でもキャッシュレス化が進んでいますが貨幣を使うことは多くあります。そこで店員のミスによって釣り銭を多く渡されてしまった経験がある方も多いでしょう。当然、その場で間違いに気づいた時は、お金を返却しなければなりません。

しかし、その場で間違いに気づいているのに返さずに自分のものにすると、刑法246条の詐欺罪に問われます。また、後ほど余分に受け取っていたことに気づいた場合には、そのままお金を返さずにいると刑法第254条の占有離脱物横領罪が課せられます。

「自分は運が良い」と申請しない人もまれにいるため、注意しましょう。

参照元:お釣りを多くもらってしまうと犯罪になる?【弁護士が解説】

まとめ

今回は、赤瀬川原平が起こした千円札裁判を紹介するとともに、お金に関するNG行動をいくつか紹介しました。特にお釣りを多く受け取ってしまうことは誰の身にも起こり得ます。そのため、詐欺罪を課せられないように日々意識しましょう。

また、近年はNFTによってアート業界が盛り上がっています。千円札裁判のような事件を再度起こさないためにも全ての芸術家がアートの在り方について考え、法律は何のためにあるのかを改めて理解することが大切だと個人的に思います。

ABOUT ME
颯太中島
高校在学中は工業高校で幅広く情報技術について学習。約2年ほど会社で働いた後、カナダに1年間ワーホリへ。帰国後、海外の友人にもう一度会いたいことを目標に現在Webライターとして活動中。