コラム記事

今、オークションで作品の需要が高まっている世界の若手アーティスト5選

Camilla Engström

アートの世界は、長い歴史の中で、数々の巨匠たちの才能により彩られてきました。誰もが知るアーティストだけでなく、特に近現代の現存するアーティストは、数え切れないほど存在すると言っても過言ではないでしょう。

有名アーティストの作品であれば、数百万を超える作品もザラでしょう。これから趣味でアートを収集したい、投資目的でアートを購入したいという方の中には、どのように自分のお気に入りの作品を探せばいいのか、何から手をつけたらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

今どんなアーティストの作品が注目されていて、今後の値上がりに期待ができるかなどを知ることによって、比較的手を伸ばしやすい価格帯のアーティストの作品の中でも、自身の気に入るものを見つけることができるのではないでしょうか。

今回は、2022年の第4四半期 (10月から12月) から 2023年の第1四半期 (1月から3月) までに、アート取引のための情報サイトArtsyにて問い合わせが増えたアーティストから、私が個人的に気になる5名をピックアップして紹介します。

【データ】2023年4月時点で最も需要の高いアーティスト(Artsyより)

Artsyのデータによると、上記のように1974年以降生まれの比較的新しい現代アーティストたちが今最も注目され、需要が高まっているアーティストであると言えます。このデータに挙げられている半分は、現在30歳以下のアーティストです。

実際にオークションに出品され、問い合わせが増えているアーティストたちなので、世界のアートコレクターからの注目を受けていることがわかるでしょう。

皆さんが名前を聞いたことがないアーティストもたくさん含まれているのではないかと思います。

今、注目されているのはどのようなアーティストで、どんな作品なのでしょうか。

1位:Camilla Engström(カミラ・エングストローム)

問い合わせ者数が92%も増え、第1位になっているのが、スウェーデンのアーティストCamilla Engström(カミラ・エングストローム)です。

エングストロームは、Instagramで現在11万9千人以上のフォロワーを集めており、多くの人々に注目されていることがわかります。

2022年の12月に、アートオークションデビューを果たしており、2020年に制作された絵画作品「Love Tastes Delicious」は、クリスティーズ香港で見積価格を約467%上回る72,646ドル(約9,668,565円)で落札されてました。

エングストロームの作品は、女性のエンパワーメントをテーマとしたメッセージを発信するものが多く、シュールレアリスムの影響を受けた作品であることが特徴的です。

アーティストとして活動を始める前には、ニューヨークにてファッションアシスタントをしていたこともあるからか、彼女の作品はモダンでスタイリッシュなシュールレアリスムというイメージで、そのスタイルが人気を集めていることも容易に想像できます。

また、アメリカの近代画家として有名なジョージア・オキーフのファンで、インスピレーションを得ているのだそうです。

2位:Per Adolfsen(パー・アドルフセン)

Per Adolfsen(パー・アドルフセン)は、デンマーク出身のアーティストです。問い合わせは90%増で、2位となっています。

彼も上記で紹介したエングストロームと同様に、Instagramで12万6千人以上のフォロワーを持っており、SNS経由でも注目を集めてきたと言えるでしょう。

アドルフセンの作品は、鉛筆とクレヨンで描かれており、デンマークの自然風景を題材としており、デンマークのほか、ニューヨーク、デュッセルドルフ、上海など世界各地の多くのギャラリーやアートフェアで展示されてきました。

まだ、クリスティーズなどの大手アートハウスのオークションには出品されていないようですが、注目しておく価値はあるでしょう。

アドルフセンの作品は、鉛筆で描かれた細かい表現や、意外性のある色使いが特徴的で、その多くが数十万円の価格帯で販売されているようです。

3位:Yusuke Hanai (花井祐介)

Yusuke Hanai (花井祐介)は、主にイラストレーターとして活躍しており、1950〜1960年代のサーファーやヒッピーのようなカウンターカルチャーの影響を受けた、日本の美的感覚とアメリカのレトロなイラストレーションをミックスしたような作風のイラストで、世界各地にファンがいます。

VANS(バンズ)やNIXON(ニクソン)、BEAMS(ビームス)などのような有名ファッションブランドにイラストを提供した実績もあり、アート作品以外にも、手軽に購入できるTシャルやステッカーなどのグッズも人気があります。

Artsyへの問い合わせは86%増えており、需要の高いアーティスト3位となっています。昨年は、

昨年から今年にかけて花井は、香港やアメリカのフロリダなど、アートギャラリーが多く、アートフェスなどのイベントも頻繁に開催される都市にて、グループ展などに参加してきています。

会場で花井の作品を実際に観たコレクターやアート好きの人々の興味をそそり、その多くが実際に問い合わせをしたのでしょう。

2023年4月17日からは、ユニクロUTとのコラボレーション商品も販売される予定です。世界のアート好きから注目されている花井のユニクロのコラボ商品も、人気が出ること間違いなしです。

花井の50部限定のシルクスクリーンの作品「Keep the Music Alive at Beatcafe」は、7,000ドル(約931,668円)で販売されています。

4位:NKSIN

問い合わせ数が85%上がった第4位のNKSINは、日本人の父とフィリピン人の母を持つアーティストです。1994年生まれの『ミレニアル世代』のアーティストで、ポップカルチャーや1990年代の日本のサブカルチャーを彷彿とさせるスタイルのアニメーションを混ぜたようなイメージのキャラクターが特徴的です。

NKSINは、いわゆるハーフとして、社会的差別を受けながら育ってきた経験をもとに、挑発的でユーモラスな方法で『差別』に対するメッセージを作品を通じて発信しています。

2022年にはニューヨークのGRギャラリーで、アメリカでの初個展を開催しており、今年の夏にはロサンゼルスでも開催を予定しています。

4位:Cristina BanBan(クリスティーナ・バンバン)

スペインの画家Cristina BanBan(クリスティーナ・バンバン)も、同じく問い合わせ85%増の注目したいアーティストです。

バンバンの作品は、油彩、アクリル、パステル、木炭で描かれた、新古典主義の影響を受けた、女性のヌードなど肉体を大胆に描いた肖像画が特徴的です。

これまでにロンドン、バルセロナ、バーゼル、ベルリン、ニューヨークで個展を開催してきており、国際的に高く評価されています。

2022年には、アートオークションで常に数千万円の価格がつけられ、今年2月にはロンドンのクリスティーズで、2019年に制作された作品「La Fatiga Que Me Das (You Exhaust Me)」 が197,582ドル(26,296,484円)で落札され、新記録となりました。

まとめ

今回は、今需要が増えているアーティストを5名紹介しました。

どのアーティストも若い世代で、SNSなどでも自身の作品を発信し、注目を集めていることが現代的だと感じました。そのような流れから、アートイベントへの出展やギャラリーでの展示会への参加も増え、アートコレクターからの需要も高くなってきているのでしょう。

アートのコレクションを始めるにあたって、まずは今市場で需要が高まっているアーティストやその作品を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

参考

Artsy「Data Spotlight: Artists with the Most Demand in 2023 So Far」https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-data-spotlight-artists-demand-2023

画像引用元:https://overtheinfluence.com/news/camilla-engstrom-with-harpers-bazaar/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。