コラム記事

NFTアート・従来のアートそれぞれの希少性の違いや、NFTアートの将来性は?

ここ数年で一気に注目を集めてきたNFTアートは、既にこれまでの長いアート界の歴史を大きく塗り替えてきました。

高く評価されたアーティストの作品や、美術史の中で大きな意味合いを持つ作品など、いわゆる『従来のアート』は実体のある絵画、彫刻、昨今では映像やインスタレーションなどジャンルが幅広く存在するものの、NFTアートはこれまでと異なる斬新なスタイルや価値基準を持っているように感じられます。

NFTアートと従来のアートでは、その価値の基準にどのような共通点・違いがあるのでしょうか?

今回は、アートやコレクタブルなどでモノの価値が上がる大きな一因である希少性という観点で、NFTアート・従来のアートそれぞれについて考察してみましょう。

希少性とは

そもそも希少性とはなんなのでしょうか。

希少性の原理

資源やそれからつくられる財やサービスの供給が,人間の欲望に対して相対的に希少であるという原理。この希少性のゆえに資源,財貨,サービスの合理的な社会配分が常に問題となり,経済学上の主要な命題となってきた。特に近代経済学はこの希少性に着目して成立した学問ともいえ,L.ワルラス以降の限界効用学説の確立,発展は,まさにこの希少性の原理の追究にほかならない。

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希少性という言葉は、さまざまな業界のさまざまなシーンで用いられ、それぞれ微妙に異なることもありますが、基本的には『珍しく、特別な性質を持っているもの』でしょう。

美術品でもコレクタブルでも、希少性の観点でいくと、『他に何人が所有しているのか?』という見方になることが一般的です。

『従来のアート』における希少性

いわゆる従来の形のアートにおいて、その作品が美術史に名を残すアーティストたちの作品の中で、『どれぐらいの希少性があるか』というのは、アートコレクターやキュレーターがその価値を判断する重要な手がかりな一つです。

美術の世界は、他の多くの物事と同様に需要と供給で成り立っているため、その希少性を具体的に定義することは難しく、曖昧になりがちです。

例えば『一点物』は、希少性の観点から考えれば、最高峰の価値があると評価できるものの、実際は希少性は評価の尺度の一つに過ぎません。例えば、その作者が美術史においてどれぐらい重要な人物であるか、作者が生涯を通してそのジャンルの作品をいくつ残したかや、その作品がどれぐらいその作者や時代背景と関わり合っているのか、現在流通しているのはいくつかなど、さまざまな要因の中が絡み合い、『需要が高い中で、ある芸術作品の量(総供給量)がより少ない』という意味で希少性がアートの価値に初めてつながるのです。

このように、従来のアート作品の希少性を見極めるためには、作品や作者、その時代背景など取り巻くさまざまな要因を理解し、考慮する必要があります。

長い歴史を持つ美術史の情報を評価の基準として持っている従来のアート作品には、それらの価値を正しく評価できる鑑定士や美術史家が数多く活躍しており、美術品の希少性を見極めるための知識やノウハウが十分に蓄積されていると考えていいでしょう。

NFTアートにおける希少性

一方で、デジタルアートのようなNFTアートの時代が到来してからというもの、このアート界における希少性という概念は、またこれまでと違った新たな概念を持つようになりました。

まだまだ流通し始めてから年数の浅いNFTアートにおいては、上記であげたような『歴史に裏づけされた価値の評価基準』というものがありません。

もちろん、このNFTアートの台頭自体が歴史的な出来事であるため、その初期に注目を集めたBeeple(ビープル)やPak(パク)のようなアーティストの初期の作品は、歴史に紐づいて価値を高く評価されることになるでしょう。しかし、現在のNFTアートのエコシステムでは、『今後その価値が上がるポテンシャルがあるかどうか』『収益性が期待できそうか』という、NFTアーティストやコレクターなどそれぞれの立場からのそれぞれの主観的な見方での予想が反映されているというのが現状でしょう。

NFTプロジェクトの多くは、例えば『一万点ドロップし、その中の10点だけを限定的でユニークな特徴を持ったものとして販売する』などのように、ローンチの時点で『希少性を考慮した上で』世の中に出されるのです。

この考え方で見てもももちろん『希少』であることには間違いありませんが、その背景が従来のアート作品とは異なっていることがわかります。

また、コレクションとしてローンチされ、そのコレクション全体の価値が上がると、NFTアーティストの名前に対する知名度やコレクターからの関心・期待度が上がり、希少性も高まります。Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨットクラブ)などがその例として挙げられます。

とはいえ、その制作者(NFTアーティスト)の知名度や評価が確固たるものになっていない限り、注目を集めたコレクション外のNFTについても、同じように価値が上がるというわけではありません。

考察:NFTアートの『希少性』は今後どうなっていくのか

まだNFTアートの歴史が浅く、手探りな部分も多いという現状でありますが、将来的にはどうなっていくと予想されるのでしょうか?

忘れてはいけないのは、現時点では基本的にNFTアートはこれまでの通貨ではなく暗号資産によって評価・取引されているということです。ここ数年の、暗号資産にとってまだ初期の段階を振り返ると、その安定性は予測不可能であることや、リスクも孕んでいるということがしばしば指摘されます。

今価値が高いとされるNFTアートについて、将来的に現在と同じような希少性を保つことができるかどうかについては、暗号資産など取り巻くさまざまな要素や環境が絡み合っているため、その影響を受けてしまうことは予測できるでしょう。

先ほど挙げたように、NFTアートにおいては、『収益性への期待』『ポテンシャル』などを基準とした主観的な評価が反映されがちではありますが、長期的視点で考えると、『歴史的、文化的な意義を持ったNFTアート』を収集するという『従来のアートの希少性』に近い感覚で判断して、投資することが有効なように思えます。

まとめ

NFTアートは、まだその歴史が10年にも満たないため、従来の伝統的なアートのように数千年の歴史を持っているものと同じように評価するのが難しいのが現状ですが、将来的なことを考えれば、いづれにしても『作品の文化的・歴史的意義』を考えると、その作品の希少性が正しく判断できるのではないでしょうか。

ダミアン・ハーストは、「The Currency(ザ・カレンシー)」というNFTの購入者がトークンを保管するか、それとも物理的な作品と交換するか、購入者がわに判断を委ねるというNFTコレクションにて、まさにこの両者の希少性に焦点を当て、疑問を投げかけています。

もし選択肢があるとしたら、どちらが長期的に希少性を保つことができるのでしょうか?今はまだその真相は誰にもわかりません。

参考

nft now「What’s the Difference Between Rare NFTs and Rare Traditional Art?」https://nftnow.com/art/nfts-get-rarer-rival-traditional-art/

画像引用元:https://www.coindesk.com/business/2021/11/05/nfts-take-over-nyc/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。