みなさん、ギュスターヴ・クールべ(以下、クールべ)という人物を知っていますか?
このクールベという画家は当時のアート業界に大騒動を起こした張本人なんです。
今日はそんなクールベが起こした事件と美術界の中で史上最強の謎とされている女性の陰部をリアルに描いた作品「世界の起源」について解説していこうと思います。
スキャンダラスな人生を送ったアーティストという意味で注目を浴びがちですが、凄腕の画家としてもコアなファンが多いクールベ。
そんなクールベの芸術作品や代表作「画家のアトリエ」などについても一緒に紹介していきます。
ギュスターヴ・クールベってどんな人?
クールベは19世紀にフランスで活躍した画家の一人です。
写実主義の画家として有名なクールベは、「天使は見たことがないから描けない」という有名なセリフを残し、実際にあるものをそのまま画面に写し取ろうとしたアーティストです。
ここだけ聞くと普通のアーティストのように感じますが、クールベの作品は1940年代から1950年にかけて世間を騒然とさせました。どんな事件が起きたかというのはこのあと解説していきますね。
ギュスターヴ・クールベが大騒動を起こした「オルナンの埋葬」について
そして当時1849年∼1850年にかけて描かれたこの「オルナンの埋葬」がアート界に大騒動を起こしてしまったようです。
一見普通の絵画に見える作品ですがなぜ大騒動を巻き起こしてしまったのでしょうか。
この「オルナンの埋葬」の実際の大きさは315cm×660cmという大きなキャンパスで描かれています。
当時、この大きさのキャンパスは「最後の晩餐」のような歴史画や宗教画、王室の様子を描くものでした。
しかも、控えめに儀式的に絵を描くことが暗黙のルールとなっていました。しかし。平凡な埋葬の様子を大胆に描いてしまったことで民衆や評論家からは賛否両論の意見をたくさん受けたようです。
評論家の一部からはこの「オルナンの埋葬」での一件を
『パリにおいて、この葬儀絵画は、まるで汚れたブーツを履いた成金が貴族のパーティを破壊するように、歴史絵画の壮大な伝統をひっくり返す作品と判断された』
Artpedia【美術解説】ギュスターヴ・クールベ「現実に見たものだけを描く写実主義」/https://www.artpedia.asia/gustave-courbet/
としていました。
【閲覧注意】アート界史上最大の謎とされるギュスターヴ・クールベの「世界の起源」について
1860年代には女性の裸体やヌードを描くことがおおくなりました。
そして、クールベの作品の中で一番衝撃的な作品で知られているのが「世界の起源」という作品です。
1868年に描かれた作品で序盤でも少し述べましたが、女性の陰部をリアルに描いた作品です。
長きにわたってこの「世界の起源」は誰がモデルとなっているのかといったことが議論されており、アート界最大の謎といっていいほど様々な説が挙がっていたようです。
ギュスターヴ・クールベが書いた「世界の起源」は誰がモデル?
この「世界の起源」のモデルは、長い間、クールベの恋人であるジョアンナ・ハイファナンと考えられていました。
しかし、描かれている暗い色の陰毛がハイファナンの赤毛に一致していないことに疑問が残されていたようです。
そして、しばらく調べていく中で「三銃士」などで有名な作家アレクサンドル・デュマの息子と作家ジョルジュ・サンドがやり取りした手紙の中から真相は明らかとなってきました。
その2人の手紙の中からは、パリ・オペラ座バレエ団の元バレリーナで高級娼婦となったコンスタンス・クニョー(以下、クニュー)がモデルだと直接言及する証拠が見つかったようです。
下記の絵がクニュ―の写真です。
作品が描かれた1866年当時、クニョーはトルコの外交官ハリル・シェリフ・パシャ(以下。パシャ)の愛人だったようです。
そしてパシャこそが、官能コレクション収集の1つとしてクールベに「世界の起源」の制作を依頼した張本人だったようです。。
オルセー美術館で起きた事件とは
時は流れ、2014年5月に突如事件は起こりました。
ルクセンブルクの女性芸術家、デボラ・デロバティス(以下、デロバティス)はオルセー美術館にある「世界の起源」の前でM字開脚になるといったパフォーマンスを行ったのです。
その場は騒然としましたが、中には拍手喝采で盛り上がる観客もいたようです。
その後すぐデロバティスは警察に連行されてしまったようです。
この騒動にデロバティス自身は
「私がしたことは衝動的な行為ではありませんでした。
【世界の起源】5秒後、驚くべきM字開脚パフォーマンスで亀裂オープン!/Vivid-life.club/https://vivid-life.club/tedium/origintheworld/
美術史にはギャップがあります。注視の対象に対する見方が欠けています。クールベの写実的な絵画では、画家は開いた足を見せていますが、膣は閉じたままです。彼はその穴、すなわち目を明らかにしていません。
私は私の膣を見せていませんが、私は私たちが絵の中に見えないもの、膣の目、ブラックホール、この隠された目、肉を超えて無限を、起源までと呼ぶこの亀裂を明らかにしています」
と述べています。
この「世界の起源」の前で裸となり捕まった人は実は一人ではないようです。。
「世界の起源」の前に立つと脱ぎたくなるような衝動にかられるのでしょうか。。。
ギュスターヴ・クールベ他の作品。代表作「波」や「画家のアトリエ」などの芸術作品公開!
ここまでインパクトの強いを紹介しましたが、クールベの作品は何もこのような作品ばかりを制作してきたわけではなく、クールベの絵画自体にも人々を魅了する力があることをお伝えしたいです。
どうしてもやってきたことが奇抜であることから絵画ではなくクールベの起こしてきた出来事に注目が向いてしまうのは少しもったいないです。
ここからはクールベの他の作品について紹介させてください。
ギュスターヴ・クールベの「波」
元々山岳の町で生まれ育ったクールベにとって海は憧れるものだったのかもしれません。
1860年代にはノルマンディー地方エトルタに滞在し、荒れ狂う波を多く描いたようです。
キッチンナイフを用いて絵具を厚く塗り込む手法は当時珍しく、多くの人から評価されたようです。
ギュスターヴ・クールベの「画家アトリエ」
「画家のアトリエ」ではクールベの画家としての人生に影響を与えた人々が表されているそうです。
作品の左側には、社会のさまざまな階層を表した人物たち。
中央には、風景画を描いているクールべ。古典美術の象徴であるヌードモデルに背を向けているのも、クールべらしさを感じますね。
右側はクールべの友人やパトロンたちを描いているとのことです。
この一枚にクールべの画家人生のすべてが凝縮されているようでどこかわくわくする作品です。
ギュスターヴ・クールベの自画像「絶望」
この「絶望」といわれる作品は1843年∼1845年に作成されました。
この絵に描かれている男前の男性、実はクールベ本人なんです!
貴族の育ちで、美術の才能だけでなく容姿も整っているのであればいうことなしです。
まだあった!スキャンダルになったギュスターヴ・クールベの作品「水浴の女」
実は「オルナンの埋葬」以外にも当時の美術界を騒然とさせた作品がありました。
それは「水浴の女」です。
なぜ、この作品が話題となったのでしょうか?
簡単に言うとスレンダーとは言い難い女性の裸を、自然を背景として描いたからです。
当時のフランスの美術界は、「ジャンルヒエラルキー」があり、この作品はどのジャンルにも属しませんでした。
このような理由から「現実的な女性の裸をモチーフとして描いた絵画」はご法度とされていました。
しかし、パトロンとなったブリュイヤスに購入されることになったことが話題を呼びました。
当時の貴族やサロンの評価が悪ければ、画家として絵が売れず暮らしていけないという文化から、徐々に型破りで斬新な作品にも価値が見出されていく風潮が生まれ始めたのです。
ギュスターヴ・クールベの「鱒」
破天荒な人生を送っていたクールベですが、51歳のころ逮捕されたようです。
服役期間中、あまりの厳しさから病気になり、刑期は短縮され53歳のとき保釈。
54歳のとき、スイスに亡命する前に描いた作品です。
刑務所で服役中に病気になり、刑期は短縮され、53歳のとき保釈され、故郷オルナンに帰りました。
この描かれた「鱒」は、クールベ自身の状態を現しているのではないかといわれています。
「捕らえられ、生かさず殺さずの状態」という自分自身の心境を現しているとされています。
まとめ
今回はいつもに比べ刺激の強い内容となってしまいました。
しかし、どんなきっかけであれアートへの興味を少しでも持っていただけることがおちかとしてはとても嬉しいです。
今後も様々な記事を通してアートの楽しさやNFTに興味を持っていただけるように記事を書いていきたいと思います。
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