ピカチュウやヒトカゲなどでお馴染みの日本を代表するアニメであるポケモンは、ポケモンカードやポケモンGoなど、関連商品も含めて世界中で根強い人気があります。
そんなポケモンのモチーフが使われた現代アート作品についてご存知でしょうか?
今回は、人気のポケモンアートのアーティストや展覧会プロジェクトについてまとめて紹介します。
現代アートとポケモンのコラボレーション?!
世界中で大人気の日本を代表するアニメ、ポケモンのピカチュウなどの人気キャラクターが用いられた現代アート作品を、ここ数年で目にしたことがある方も多いかもしれません。
ポケモンと現代アーティストのダニエルアーシャムとのコラボレーションは、2020年にユニクロのUTでのTシャツで注目を集めました。
ユニクロUTでのポケモンとアーティストのコラボレーションプロジェクトとしては、「ポケモン ミーツ アーティストUT」に2021年8月末に山口歴やジェームス・ジャービスなども参加したことで話題になりました。
その後もこのアーティスト、ダニエルアーシャムとポケモンのコラボレーション作品の展示会が、日本でこれまで3回開催されました。
毎回多くの人々が来場し、フィギュアなどのグッズも人気を集めているようです。
ダニエル・アーシャムとは
『ポケモンアート』を制作する現代アーティスト ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)は、アメリカのオハイオ州クリーブランドに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活躍しています。
『Fictional Archeology (フィクションとしての考古学)』という概念のもとに、アート、建築、パフォーマンスの境界に挑戦しているアーティストです。
アーシャムは、学生時代から賞を取ったり、卒業後もアーティスト仲間と「The House」と呼ばれる展示スペースを始めたりしながら、様々な業界の著名人とも知り合い、その才能を買われてコラボレーションなどでどんどん有名になって行きました。
これまでに、世界的ミュージシャンのファレル・ウイリアムズや、人気ファッションブランドのディオールやアディダス、リモワなどとのコラボレーションを数多く手がけてきました。
アーシャムの作品は、ニューヨークのMoMA PS1、マイアミの現代美術館、ギリシャのアテネビエンナーレ、ニューヨークのニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート、オークランドのミルズカレッジアートミュージアム、ジョージア州サバンナのSCAD美術館、シンシナティ―の現代美術センター、フランスのカレダール(Carre d’Art)などで鑑賞することができます。
ダニエル・アーシャム × ポケモンのこれまでの展覧会プロジェクト
個展「Relics of Kanto Through Time/時を超えた関東の遺物」
ダニエル・アーシャムの個展「Relics of Kanto Through Time/時を超えた関東の遺物」は、渋谷のギャラリー・ナンヅカ(NANZUKA)で2020年6月9日から7月4日の期間に開催されました。
本個展では、抽選で全世界500体限定販売された定価30万円程のピカチュウのフィギュア「Crystalized Pikachu Future Relic Blue」のうち50体が販売されたそうです。
このコレクションでは、ピカチュウ、ヒトカゲ、ゼニガメ、カビゴン、イーブイなどの『架空の考古学』である化石かされて腐敗したスタイルのポケモンのキャラクター作品が展示されてました。
その後、本個展はパルコ・ミュージアム・トーキョーでも連続で開催されました。
個展「Time Dilation/時の拡張」
ダニエル・アーシャムのポケモンアートプロジェクト第二弾は、2021年1月16日から2月20日までニューヨークのギャラリー・ペロティンで開催された個展「Time Dilation/時の拡張」です。
観客をアーシャムの世界観に連れて行くような展覧会になっており、ギリシャローマの彫刻をモチーフにした作品とポケモンをモチーフにした作品などが混ざり合って展示されたそうです。
個展「A Ripple in Time/時の波紋」
ダニエル・アーシャムのポケモンアートプロジェクト第三弾として、個展「A Ripple in Time / 時の波紋」が東京の5会場でそれぞれ2022年2月5日(土)より順次開催されました。
本展覧会は、当初から会場となっている渋谷のギャラリー・ナンヅカ(NANZUKA)の3つのギャラリーをはじめ、六本木ヒルズ内 66プラザにおけるパブリックアート展示、草月会館1階にあるイサム・ノグチによる石庭を持つ草月プラザの合計5箇所の会場で展開された、過去最大規模の展覧会となりました。
また、お馴染みの彫刻作品の展示に加えて、本展覧会ではショートアニメーション作品「“A Ripple in Time” by Pokémon x Daniel Arsham」も発表されました。
この作品は、「ポケットモンスター」から総監督を務め、その後もクリエイティブスーパーバイザーを務める湯山邦彦とダニエル・アーシャムのコラボレーションによるもので、アーシャムたっての希望により約2年の歳月をかけて制作されたそうです。
ダニエル・アーシャムのポケモン図鑑
前述した2022年2月に開催された個展「A Ripple in Time / 時の波紋」を記念し、「A Ripple in Time / 時の波紋」の全貌を記録した作品集「ダニエル・アーシャムのポケモン図鑑」も全国の書店やポケモンセンターなどで販売されています。
ピカチュウ、イーブイなどの人気ポケモンキャラクター24種の彫刻ドローイングやペインティングなど、91作品が収録されているようです。
本書はダニエル・アーシャムにとって初めての日本語版作品集となりました。
ダニエル・アーシャム × ポケモン グッズ
展覧会に合わせて、全世界500体だけあるうちの50体が限定抽選販売された定価30万円程のピカチュウのフィギュア「Crystalized Pikachu Future Relic Blue」や、結晶化したピカチュウのぬいぐるみ、Tシャツやスウェット、キーチェーンなど様々なグッズが販売されました。
ポケモンは世界的にも人気があり、最近でもコレクタブル商品としてポケモンカードの値段が高騰しています。
もしかすると、展覧会で販売された限定のグッズ、特にピカチュウのフィギュアなどは将来的に価値が上がるかもしれません。
まとめ
『フィクションとしての考古学』というコンセプトを中心に作品を展開するアーティスト、ダニエル・アーシャムによるポケモンをモチーフにしたアート作品は、日本人だけでなく世界の人々に注目されています。
ポケモンを観て育った世代としては、大好きだったピカチュウが世界的な人気者になり、気鋭の現代アーティストの手にかかってスタイリッシュでコンセプチュアルなアート作品となったのを見て、感無量です。
このように日本発信のカルチャーが、コラボレーションによって新しいスタイルで表現されるのを見るのもとても興味深いので、ぜひアニメなどのポップカルチャーに限らず、様々な日本の文化が新しい形のアートに発展し、世界的に注目される機会が増えることを願っています。
参考
FASHION PRESS「“ダニエル・アーシャム×ポケモン”東京5会場で展覧会 – ショートアニメや彫刻、ペインティングも」https://www.fashion-press.net/news/82884
CURIO「ダニエル・アーシャム」
HYPE Art「Daniel Arsham Pits Pokémon Against Classical Works in “Time Dilation” Exhibition」https://hypebeast.com/2021/1/daniel-arsham-time-dilation-galerie-perrotin-exhibition