コラム記事

アートとエロス

こんにちは、ガルシアです!

昭和生まれの私は「アーティストといえばヌードデッサンをするもの」というステレオタイプを埋め込まれてきました。

「動かない個体を描くよりも難しく、表現力が磨かれる」
そんなごもっともな理論をもとに、ほほを赤らめながらせっせと裸体をキャンバスに描いていく美大生をイメージせずにはいられません。

ということで今回は、エロスとアートについて、投資の観点からお話してみます。

エロティック・キャピタル

エロスとアート、そして投資について記述する前に、エロティック・キャピタルという言葉をご紹介します。

直訳すると性的資本
人間が持つ見た目の魅力、特に性的魅力は資本力を持つという理論です。

アップルの元エヴァンジェリスト、ガイ・カワサキの「良い製品はポルノと同じである。見ただけですぐに良いものとわかる」という発言はこのエロティック・キャピタルという理論を肯定しています。

同じ内容ならば見た目の良いほうを選ぶ
つまり資本力につながる。

納得のいく理論ですね。

エロスとマネー

アダルトコンテンツの市場規模は700億円以上、アダルトグッズまで含めれば2000億円を超えるとされています。

今や日本でも有数の資産家であり、チームラボとともにチームラボプラネッツTOKYOを作り上げたDMM亀山敬司氏も、もとはアダルトビデオの販売から事業をスタートしました。

今や懐かしいビデオテープ。
昭和を石器時代と勘違いしている若者は知らないようですが、ベータとVHSという2つの形式がビデオテープの覇権争いをしていました。
今でいうPCの世界でアップルとマイクロソフト(Googleなども)が戦っているイメージですね。

結果として販促物としてアダルトビデオをオマケにつけたVHSが勝利したと言われています。

エロが金を生むという構図は社会で数多く見られます。

投資対象としてのエロアート

冒頭でもご紹介したようなヌードをモチーフにした作品は古くから存在しますが、投資対象としてエロアートは有効なのでしょうか?

結論から言えば、有効です。

その理由は以下一点に尽きます。

エロアートは注目される

どんなに美しい絵画でも人目に触れなければ取引されず、価値は生まれません。
無数にあるアートの中で埋もれず存在感を示すものとして、エロスはうってつけの題材ではないでしょうか。

注目される>取引の機会が増える>価値が上がる

という構図を生む可能性がエロアートにはあります。

特に、内容によっては世界的規模で物議を醸すこととなります。

事例をいくつかご紹介していきます。


会田誠

会田誠 天才でごめんなさい

2012年12月に森美術館で開催された個展「会田誠展: 天才でごめんなさい」の際に、性暴力に反対する市民団体が、児童ポルノで性的虐待を肯定する表現として、公共空間である美術館で展示することを問題視した。

引用:Wikipedia/会田誠/ https://ja.wikipedia.org/wiki/会田誠

たびたびメディアを騒がせている会田誠。
過激な表現で注目を浴びています。

会田誠展: 天才でごめんなさい の事例ではヨーロッパの人権団体などから激しく抗議される一方で、肯定派のアーティストもおり物議を醸しました。

会田誠作品の価格はポスターで4-6万円程度から。
ご興味あれば、まずは試しに購入できる価格ですね。

ろくでなし子

ろくでなし子 写真
ろくでなし子 – https://twitter.com/6d745/status/782813531997544449

自身の性的な体験談を描く漫画家時代にネタがなくなった際、自身の性器を型取りアート作品『でこまん』を作成。

2013年、まん拓ボートを作成するクラウドファンディングのリターンとしてこの作品の3Dプリントデータを配布したことで逮捕される。
2020年夏、有罪確定となった。

日本でほかに有名な物議醸し系アーティストといえば増田ぴろよなどの名前があがりますが、女性アーティストが社会の性的視点について疑問を投げかけるようなアート作品を生み出す事例は世界でも数多く存在します。

だが今日、性的なテーマで最も注目すべき作品のいくつかを生み出しているのは、女性のアーティストたちだ。たとえば絵画シーンでよく知られているのは、バーンスタイン、ベティー・トンプキンズ、ファニタ・マクニーリーやジョーン・センメルなど。多分野で活躍する芸術家としては、シュニーマンやヴァリー・エクスポートもいる。彼女たちは皆、数十年にわたって評論家やキュレーターや観衆たちから――あからさまな迫害とまではいかないまでも――ほとんど認められることなく、作品を作り続けてきた。

(引用:The New York Style Magazine Japan フェミニズムのパイオニア。挑発的な性的表現に挑んだ女性アーティストたち https://www.tjapan.jp/art/17194218)

その他、草間彌生なども性器をモチーフにした作品を発表しており、普通に描くのはだいぶ市民権が得られてきたようですね。

報道されることによる価格上昇

先述のろくでなし子さんの事例では、収監中に募集した、漫画4ページ書き下ろしが15万円以上の価格で売り切れ状態となりました。

ろくでなし子
あなただけのオリジナル漫画をろくでなし子が描きます!カラー生原稿、4ページ158000円
https://6d745.thebase.in/items/1766375

P.Art.Onlineでご紹介している他のアート作品と比較すると巨額とは言えませんが、普通の漫画家からすれば高額な取引ではないでしょうか。しかも収監中に、です。

炎上覚悟のアート狙い

世界のトップアーティストを見ると、作品のクオリティの高さももちろんですが話題性にあふれていますね。

世間の注目を集めるような作品を作り、アーティスト自身の価値があがり、作品全般が値上がりする。

そんな構図を予想しながらエロアートに注目してみると面白いかもしれません。

今回はエロアート全般についての記事でしたが、後日様々なアーティストの、個別のエロアートについてもご紹介、コメントしようと思います。

ABOUT ME
Garcia
横浜生まれスペイン育ちの国際派ジョブホッパー。 学生時代に浮世絵などの日本アートの海外流出に関する調査をしたことからアートに関心を持つ。 三か国語を自在に操り、世界中のアートシーンからの情報を収集している。 たまに日本語が不自由なのはご愛敬。