訪問記事

ギャラリー:アートシップ新設について〜画家:寺沢拓也さんインタビューvol.2〜

前回に引き続き、画家そしてキュレーターとして活動する寺沢拓也さん(以下、寺沢さん)にインタビューを行います。第一回インタビューは寺沢さんの経歴とアーティストとして意識していることについて伺いました。

前回のお話で、現在名古屋の上社駅構内にてギャラリー「アート・シップ」を準備中だそうです。今回は、ギャラリーをつくる上でのお話を伺って行きたいと思います。

インタビュー

ーアート・シップとはどんな場所なのでしょうか?

寺沢さん:

アートシップ ロゴ

2012年からの4年間、名古屋の伏見で「アート・シップ」の前身となる「作家のための」ギャラリーを運営していました。日本の一部の画廊では、作家の思いとは異なるビジネスライクに近い経営をしています。私はその方針に疑問を抱き、お金儲けではなく作家のためのギャラリーを始めたことで、多くの作家さんやお客様と出会い、貴重な経験をさせて頂きました。

愛知県伏見にあったアート・シップ

2016年に終了しましたが、仲間うちから「もう一度作家のためのギャラリーを復活させたい」という声が上がり、この度2021年春に、以前から構想にあった、地元密着の新しいギャラリーを造ることに決めました。

新しくできるアート・シップの準備中の寺沢さん
スタッフと一緒に内装も手がけています

今回の新しくできる「アート・シップ」では、アートを楽しめるギャラリースペースの提供とアーティストの作品を気軽に購入して頂けるショップスペースがあります。企画展、公募展やアートスクールも実施予定です。

先ほどもお伝えしましたが、アート・シップではアーティストには作品を展示することで作家意識を高め、お客様の感性を豊かにする場所として使用して欲しいです。そしてお客様には、アートを通じて「何か」を感じて頂ける場所であって欲しいと思います。

日々生きていると様々なストレスが溜まります。殺伐とした時代と共に生きる都会の人々が素敵なアート作品と触れ合うことで一瞬でも心の余裕を取り戻して心の栄養にしてもらいたいです。

人は心に余裕を持つことで物質社会と心のバランスをちょうど良く保つことができるので、空や雲を見たり星や月を見たり、暦などの自然の営みに目を向ける心の余裕をお客様に持って頂けるようにしていきたいです。

ーアート・シップを作るにあたり大変なことはありますか?

寺沢さん:

アート・シップは理想の追求を大切にしていますが、世の中には時に正義や仁義を疑いたくなる出来事があります。しかし、それらも受け入れ、正義と仁義を信じて対処していくことが最終的には理想につながると考えているので、信じる姿勢を貫いていくつもりです。このような気持ちでいると厳しい出来事に直面しても不思議と解決の糸口が見つかるものです。 

最初はアートシップを造るにあたり資金面で苦労するかと考え、クラウドファンディングなどの話も出ました。しかし、アート・シップの理想に共感したメンバー内での投資に恵まれ解決できるようになったり、他の人と違った視線を持ち切り口を変えた解決方法を示すことで一つずつ解決できるようになったりすることもありました。

自分達の夢が他の人々にとって必要なことであれば、必ずその夢は発展し、現実のものとなるはずです。優しさや強さ、正義、仁義、真実を通せる世界であることをアート・シップで証明していきたいです。

寺沢さんの作品「ゆめネコ」

次回はアート・シップでの叶えたい夢、そしてアーティストの作品の価格の付け方などについて寺沢さんに引き続きインタビューをしていきたいと思います。

寺沢拓也 プロフィール

1955年生まれ。名古屋市在住。グラフィックデザイナーとして活躍。「自然の中の宇宙」をテーマに多くのコンクールに出展。2000年「寺沢拓也の宇宙展」を開催、作家デビューする。2002年ニューヨーク・ソーホーのウエストウッドギャラリー「Japan Art Allisnce」に出展Gallery &Stedio,FineArt誌などに記載され「テラサワタクヤの自然に対する見方は非凡な才能というべきで、それを描き出す生き生きとした色合いと、繊細でダイナミックな技法は、誰のスタイルや傾向にも依存せず純粋に芸術上の歴史的先例には関係していない、自身の想像力を追求しその大胆とも言える姿勢は、どのような国においても新鮮さを与えるだろう」と評価されニューヨークデビューする。2012年「アート・シップ」設立。現在、後進の指導及び作家活動中、個展、受賞歴多数。

ABOUT ME
しおり岡
編集長/ライター。小学生の頃はエジプト文化、中学生では西洋美術、高校生は日本の歴史にハマり、大学在学中に仏像に恋をして、学芸員を取得。卒業後、大手人材会社で営業を経験。その後、飲食店の広報・デザイナーを経て、アメリカ・NYにて転職。コロナウイルスのため帰国し、現在は日本に滞在中。趣味は「美術館や遺跡を経験するための海外旅行」。今まで40カ国以上を旅行をし、世界の建築や文化、食事、アートに触れる。