コラム記事

アート作品としての日本の伝統工芸品「江戸切子」

最近は円安の影響もあってか、海外から日本への観光客の数も格段に増えており、日本の伝統的なお土産として「江戸切子」も人気を集めているようです。

今回は、江戸時代から伝わる職人の技で表現された日本ならではの繊細な美しさを誇る江戸切子について、その歴史やアートとしての可能性などについて紹介します。

江戸切子とは?

江戸切子
引用:https://kogeijapan.com/locale/en_US/edokiriko/

江戸切子(えどきりこ)とは、日本が誇る伝統工芸品の一つで、江戸時代後期から江戸/東京都に伝わり生産されている切子加工でできたガラス工芸品の総称であり、職人の技によってひとつひとつ作られたその鋭く繊細で美しいカットが特徴です。

江戸切子の『切子』はまさにカットグラスのことを意味し、主にグラスや酒器などを目にすることが多いでしょう。

江戸切子は、日本らしいその独特な模様が特徴的で、「魚子(ななこ)紋」「六角籠目紋」「菊つなぎ紋」「麻の葉紋」などの模様がよく知られています。

江戸切子の歴史

江戸時代後期の天保年間(1831年〜1845年)に江戸大伝馬町でビードロ問屋を営んでいた加賀屋久兵衛らの町民が、南蛮人によって日本に持ち込まれた海外のガラス製品に、切子細工を施したのが江戸切子の始まりだと言われています。東京・墨東地区には当時から現在まで江戸切子職人が多く集まっています。

江戸時代当時の加賀屋久兵衛が発行した商品のカタログ(引き札)には、食器、日用品・金魚鉢などバラエティ豊なガラス製品が見られ、いろいろな製品を制作し、取り扱っていたことがわかります。

引き札 [びいどろ史料庫コレクション所蔵]
引用:引き札 [びいどろ史料庫コレクション所蔵] すみだ江戸切子館

当初は、無色・透明なガラスの表面に模様を入れる工芸品でしたが、明治時代以降に殖産興業政策の一環として、近代的な硝子製造所が建設されたこともあり、さらに技術が発展・確立され、色被せ硝子をにカットを入れた江戸切子が多く生産されるようになったようです。

1881年(明治14年)には御雇い外国人としてイギリスから招聘されたカットグラス技師であるエマヌエル・ホープトマンにより、イギリスのカットグラスの技術が伝承され、江戸切子の技術と融合されたと言われています。

現在では多くの人々が『江戸切子』と聞いて、赤や青のガラス工芸品をイメージするでしょう。

江戸切子は、1985年に東京都指定伝統工芸品に指定され、2002年には経済産業大臣指定伝統的工芸品として認定されました。

江戸切子の特徴

江戸切子の特徴は、繊細で独特・華やかな模様の組み合わせやその手触りでしょう。

江戸切子の代表的な伝統的紋様には、以下があります。

江戸切子 紋様
引用:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9-%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%83%E3%82%8C-KW-401-402-%E3%83%92%E3%83%AD%E3%82%BF%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88-%CF%868-5xH9-5%EF%BD%83%EF%BD%8D/dp/B074DXVY34
  • 六角籠目紋
  • 八角籠目紋
  • 霰(あられ)紋
  • 魚子(ななこ)紋
  • 糸麻の葉紋
  • 麻の葉紋
  • 矢来紋
  • 蜘蛛の巣紋
  • 底菊紋
  • 七宝紋
  • 市松紋
  • 菊繋ぎ紋  など

「菊つなぎ紋」や「底菊紋」、「麻の葉紋」などは植物をモチーフにしたデザインで、「六角籠目紋」、「八角籠目紋」は魔除けとして使われた紋様であるなど、それぞれの紋様は日本独特の歴史や文化に紐付いていることがわかります。

江戸切子は、切子細工によって切り込まれたカットの深い溝で光が屈折することで、細い線を生み出し、その線が反射して美しく輝きます。また、曇りガラス状にした柔らかい表現なども見られます。

すみだ江戸切子館

すみだ江戸切子館
引用:https://sumimaga.com/cate-factory/129

現在江戸切子は、海外からでも購入できるほど入手しやすくなっていますが、日本で江戸切子の歴史や制作工程などを学びたい場合は、江戸時代の職人の歴史が作られた町である東京都墨田区にある「すみだ江戸切子館」を訪れてみるのがおすすめです。

伝統工芸「江戸切子」をご紹介する墨田区認定の工房ショップとして、江戸切子職人の技を生で見学することで江戸切子の歴史や制作工程を学べる他に、古くから使用されてきた道具なども展示されています。

日常的に使える器だけでなく、切子職人によって作られたアートとも言える逸品が購入できるため、お土産の購入先としても良いでしょう。

すみだ江戸切子館

〒130-0012
東京都墨田区太平2-10-9
営業時間 10:00-17:00
休館日  日曜/月曜/祝日/年末年始
錦糸町駅からスカイツリーの見える方へ徒歩6分
tel 03-3623-4148

https://www.edokiriko.net/about

アートアクアリウム展

アートアクアリウム 江戸切子
引用:https://artaquarium.jp/news/detail/202306301296/

銀座三越にあるアートアクアリウム美術館 GINZAでは、2023年6月30日(金)から9月26日(火)まで、「夏のアートアクアリウム展2023~銀座の金魚~」が開催します。

本展示では、合計19の作品エリアに約150基の様々な水槽展示されており、その中に約5000匹の金魚が泳いでいるのを『アート』として見ることができます。水槽には、日本の伝統工芸の技が施されており、「江戸切子」もその一つです。

2007年に初開催されたアートアクアリウムは、日本の伝統を新たな切り口で表現し、美しく生まれ変わらせたことで人気を誇っており、今回は館内最大級の作品「天空リウム」を含む、新しい水槽5作品も公開されています。

日本は9月に入ってもまだまだ蒸し暑いですが、夏の風物詩としてアートアクアリウムにて日本の伝統的な江戸切子を含む工芸が彩るアートを見にいってみてはいかがでしょうか。

江戸切子の値段

江戸切子の値段は、一般的に5000円程度から数十万円と、幅広くあります。

値段の違いには、まず、用いられる素材があります。基本的に、江戸切子には『ソーダガラス』『クリスタルガラス』が使われますが、クリスタルガラスは高価で透明感が強く、輝きがさらに美しいのが特徴です。

また、職人によってガラス生地から一貫製造しており、磨き作業などにも時間をかけているなどその工程に時間や手間ひまがかけられているのも高価である理由として納得できるでしょう。

まとめ

江戸時代から伝わる職人技が詰まった江戸切子は、日本独特の繊細な美しさから評価される伝統工芸品の一つです。

日本の伝統的な工芸品の特徴としてその技術や感性の繊細さが評価されますが、江戸切子も自然光をうまく扱った空間づくりが得意な日本人ならではの、自然の光と影を彩る感性を感じます。

参考

KOGEI JAPAN https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/edokiriko/

すみだ江戸切子館 https://www.edokiriko.net/

画像引用元:https://sekaiend.work/%E4%BB%8A%E6%97%A5%E3%80%817%E6%9C%885%E6%97%A5%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%88%87%E5%AD%90%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。