インスタグラムにNFT機能が搭載されることが発表されました。はじめの一歩として、現在は注目のNFTアーティストたちとのコラボレーションにより、この新機能は試用されています。
世界中にユーザーのいるSNSであるインスタグラムがどのようにNFTを取り入れていくのかに注目してみましょう。
Instagram(インスタグラム)の運営会社「Meta(メタ)」
Instagram(インスタグラム)といえば、2021年10月に運営会社である旧Facebook(フェイスブック)社が新しい時代を見据えたリブランドを行い、社名も「Meta(メタ)」に変更し、『今後メタバースに力を入れて、収益化を図っていく』という決意を表明したことが記憶に新しいですね。
あれから1年が経ちましたが、メタの1年目は大失敗だったと振り返ることができるでしょう。同社の株価は75%近く下落し、代表的なバーチャル・リアリティ・アプリ「Horizon Worlds(ホライゾン・ワールズ)」は、2月以降ユーザーの3分の1が離脱しているという状況です。
そこで今回、同社はおそらく『リスクのない賭け』として、現状うまく行っているSNSであるインスタグラムを使って、まずNFTの世界へと踏み入れることを決心したのではないかと考えられます。
インスタグラムにテストで搭載されているNFT機能とは?
メタ社は、2022年5月に、インスタグラムのユーザーたちが自身のアカウントを暗号資産のウォレットと接続させ、NFT(デジタル収集品)をプロフィール上で共有することができる機能を提供し始めました。
そして2022年11月2日、インスタグラムのユーザーたちがPolygon(ポリゴン)のブロックチェーンを利用して、NFTをミント、展示、販売できるな機能を拡充していくことを発表しました。
インスタグラムは写真を加工したり、投稿して友人や他のユーザーにシェアしたりするアプリから、最近ではTikTok(ティックトック)のような短編動画機能なども増えて更に成長してきましたが、今年の動向からして、次なるNFTマーケットプレイスを目指していると見られます。
NFT機能の搭載の最初の一歩としては、まず毎年行っているクリエイター・ウィークの一環として、クリプトアーティストたちとのコラボレーションにより、この新しい機能を試用しています。
この新機能によって、まだまだニッチなオンラインコミュニティの間だけで盛り上がっているように感じられがちなNFTが、より一般層に浸透し、誰もがNFTを作成できるようになるでしょう。世界中で利用されているインスタグラムを通じて、NFTを一気に普及させ、その先のメタバース創造を視野に入れていることが予想されます。
昨今では、世界的なアートギャラリーや美術館、アートオークションなどでも度々NFTが注目を集めており、このメタ社によるインスタグラムを用いた展開が成功した際には、NFTは一気にメインストリームに躍り出てくることになるでしょう。
クリエイターにとっては収益を得るための構造も『フォロワーから収益を得る』というシンプルなものである上に、メタ社は2024年までNFTの作成・販売に手数料を課さないと発表しているため、多くのクリエイターの関心を集め、広がっていくことが期待されます。
起用されたアーティストたち
今回のNFT機能の試用搭載に関わっているクリプトアーティストたちについてみてみましょう。
Amber Vittoria(アンバー・ヴィットリア)
Amber Vittoria(アンバー・ヴィットリア)は、もともとヴィクトリアズ・シークレットのグラフィック・デザイナーとしてキャリアをスタートしたアーティストです。
鮮やかな色使いや女性の描写を追求したイラストは、アートシーンやメディアにおいてよく取り上げられており、Google(グーグル)やWarby Parker(ワービー・パーカー)、Saks Fifth Avenue(サックス・フィフス・アベニュー)、Adidas(アディダス)などの有名企業をクライアントに持つほか、フランスの百貨店ボン・マルシェのホリデーカタログでは、Gucci(グッチ)やLouis Vitton(ルイ・ヴィトン)などの世界的ファッションブランドがアンバーの独特なスタイルのイラストを用いて紹介されました。
Refik Anadol(リフィク・アナドル)
トルコ系アメリカ人アーティストのRefik Anadol(リフィク・アナドル)は、大規模でインタラクティブなAIを用いたプロジェクトを制作するメディアアーティスト、ディレクターです。
データ駆動型の機械学習アルゴリズムで構成されるプロジェクトが特徴的で、没入型のインスタレーションやビジュアル・パフォーマンスなどを通じて抽象的で夢のような環境を作り出します。これまでにMoMA(ニューヨーク近代美術館)などの有名美術館でも展覧会を行なってきました。
「Machine Hallucination」シリーズは、彼のスタジオとNASA JPLとのコラボレーションや、宇宙探査の写真史に関する長期的な研究からインスピレーションを得たものである。同シリーズの8つのビデオアートワーク・インスタレーションのIP権利は、サザビーズ香港オークションで500万米ドルで落札されました。この売却は、一人のアーティストが売却したNFTコレクションとして、アジアで最も高額な新記録となった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Refik_Anadol
Diana Sinclair(ダイアナ・シンクレア)
Diana Sinclair(ダイアナ・シンクレア)は、アメリカ・ニューヨークで活躍する、18歳の活動家、ビジュアルアーティスト、キュレーターです。
2020年11月に『2021年に注目すべきヤングアーツ全米ファイナリスト(写真部門)』で選出されたほか、黒人アーティストの作品を讃えるNFTの展示とオークション「The Digital Diaspora(ザ・デジタル・ディアスポラ)」をキュレーションしたことで話題となりました。
WEB3界隈を牽引する革新的で若きアーティストとして、注目を集めています。
Olive Allen(オリーヴ・アレン)
Olive Allen(オリーヴ・アレン)は、ニューヨークを拠点に活躍するビジュアルアーティストで、2019年からはデジタルアート作品をNFTとしてリリースするなど、『アーリーアダプター』としてクリプトアートのムーブメントを牽引するアーティストの一人です。
オリーヴの作品は、社会的なメッセージやポップカルチャーとの融合、自分自身を題材としたキャラクターを用いた作品など遊び心のあるスタイルが特徴的です。
メタバースのギャラリースペース「マッドトイ・ジャンクション」や「NFTファクトリー」を作ったことでも知られています。
まとめ
NFTのコレクターたちは、昨今のNFTの登場や新たなシーンへの参入を、『歴史的瞬間』と捉え、特に最初のプロジェクトなどには注目が集まり、購入を希望する人も多くいます。
メタ社によるインスタグラムでのNFT機能の搭載の本格スタートに向け、最初の試用プロジェクトとして現在関わっているクリプトアーティストたちの作品や今後の動向にも注目していると面白いかもしれません。
参考
Artnet「Instagram Is Trying Out a New Feature Allowing Users to Mint and Sell NFTs. Here’s How One OG Creator Is Using It」https://news.artnet.com/market/instagram-is-trying-out-a-new-feature-allowing-users-to-mint-and-sell-nfts-heres-how-one-og-creator-is-using-it-2204752