10月に3週間ほどヨーロッパに旅行に行ってきました。
イタリア以外は初めて訪れた場所ばかりで、3週間ではとてもまわりきれませんでしたが、日本やアメリカと比べても歴史的遺品が比較的そのままの状態で保管されているヨーロッパ諸国は、アートや歴史好きな方にはたまらない目的地でしょう。
今回は5カ国行った中でのアイルランド、スコットランドでの旅の道中で立ち寄った美術館や有名スポットについて紹介します。
アイルランド・ダブリン
まずはアイルランドから。今回、ヨーロッパに行こう!となった時に、どの国に行きたいかを旦那と相談していた時に、正直私が一番興味がなかったのがアイルランドでした。
旦那は、DNAテストによると、先祖のDNAがアイルランド、イングランド、スイスなどヨーロッパ諸国色々混じっているようで、その中でもイギリスのパーセンテージが一番高く、アイルランド、スコットランドにはずっと行きたいと思っていたそうです。
歴史的に見ると、宗教的弾圧やイングランドにより支配や飢饉などから、アイルランド人は世界各地に移住しており、1840年代のアメリカへの移民の約半数はアイルランドからだったそうです。
アメリカでアイルランド系アメリカ人だと自認している人は現在約4400万人いると言われています。元アメリカ大統領のジョン・F・ケネディやロナルド・レーガン、バラク・オバマも、アイルランドに何らかのルーツを持っているそうです。
そんなアイルランドの『移民の歴史』について学びたい方におすすめなのが「EPICアイルランド移民博物館(EPIC The Irish Emigration Museum)」です。
アイルランド出身のコカ・コーラ社の元会長兼CEOネヴィル・イズデル氏が、祖国への感謝と敬愛を示すために、作った博物館で、世界中に移住したアイリッシュ系の人々が各地でどのように活躍してきたかについて、様々な分野でその歴史を知ることができます。
2016年にオープンした当館は最新のデジタル技術を駆使して作られており、没入型、参加型のプログラムで飽きずに最後まで楽しめる博物館でした。
アイルランドの歴史やアートに触れたい方には、ダブリン城(Dublin Castle)も良いスポットでしょう。
1204年にイングランド王によって建てられ、その後のイギリスの植民地支配の本拠地となり、1922年までイギリス総督府が置かれていたそうです。
円形の塔『文書塔(Record Tower)』は、13世紀初頭に建てられたままの姿ですが、その他の箇所はほとんどが18〜19世紀に再建されました。
聖パトリックホールや王座の間などが含まれる『ステート・アパートメンツ』は、現在でも大統領就任式などをはじめとした国の式典などに使用されている重要な建物で、その豪華な内装はお城ならではの美しさで、歴代の王、女王や総督などの肖像画が飾られています。
聖パトリックホールでは、ヴィンツェンツォ・ヴァルドレが1790年代に描いた天井画や、聖パトリック騎士団の軍旗を見ることができます。
ダブリンでは、ハードロック・ホテルに宿泊しました。
せっかくアイルランドに来たのにアメリカンな宿泊先を選んでしまいましたが、世界のロックスターたちをテーマにしたホテルは、とてもアーティスティックな空間で、音楽好きな方はぜひ泊まってみてほしいアートホテルです。
有名なアーティストたちの肖像画や、私物などのレアな記念品などが展示されていたり、部屋で聴くことができるBGMをジャンルごとに設定できたりと、楽しめるポイントがたくさんありました。
アイルランドは、都市であるダブリンから少し足を伸ばせば、モハーの断崖などをはじめとした広大な自然の美しさを楽しめます。
アイルランドはイギリスのように雨が多い気候ではあるものの、冬もあまり雪が降らず、緑が残っているのだそうです。アイルランドの山々は、美しい緑で覆われ、牛や羊などが豊な自然の中で過ごす様子を見るのはとても気持ち良かったです。
また、日本では『イギリスのご飯はまずい』と言われていますが、隣接したアイルランドに関しては、牛や羊、シーフードなど新鮮な食材が豊かにあり、バターやシーフードチャウダー、オイスター、ラムチョップなどが絶品でした。
スコットランド・エディンバラ
アイルランドの次は、イギリス北部のスコットランドに移動しました。
エディンバラの街は、世界遺産に登録されており、なんといっても壮大な建物が並ぶ街並みが素晴らしく、観光客丸出しの表現をすると、まさに『ハリーポッターの世界に迷い込んだような感じ』でした。
必ず行きたいスポットの1つであるエディンバラ城(Edinburgh Castle)では、歴史を学びながらアートに触れることができます。
オールドタウンの丘の上にそびえ立つエディンバラ城は街のシンボルの1つで、Google mapで見ると、360度の方向から見れるようになっていてめちゃくちゃかっこいいです。
実は、世界的にヒットしたテレビシリーズの「ゲーム・オブ・スローンズ」の中での印象的なシーン「レッド・ウェディング」は、スコットランドの歴史上の実際の出来事「ブラック・ディナー」がモデルとなっているそうです。スコットランドの歴史を学ぶと、イングランドとの対立の中での激動の時代は波瀾万丈で、不謹慎ながらも面白いです。
広いエディンバラ城の中には、王族が住んでいたロイヤルパレスや宝物室、戦争博物館、礼拝堂、戦士たちの犬専用のお墓など、見どころがたくさんあります。
エディンバラには、無料で訪れることができる国立美術館があります。
私たちは、スコットランド国立肖像画美術館(Scottish National Portrait Gallery)に行ってみました。1890年に建てられたネオゴシック様式の赤い建物の外観も素敵な当館は、肖像画で描かれた人物(彫刻のモデルとなった人物)にフォーカスを当てた美術館です。
一般的な美術館では、画家の作品として紹介される肖像画ですが、人物にフォーカスを当てることにより、違った角度から作品を見ることができます。また、展示の並びなどからも歴史的背景が分かりやすかったりもします。
西洋美術において肖像画は数多く描かれ続けてきたモチーフであるため、そのコレクションを多く持っているヨーロッパやアメリカでは肖像画美術館を見つけることができ、日本と違って面白いです。
まず、エントランスホールが美しく印象的です。柱や照明のデザインもさることながら、壁に描かれた歴史的出来事を題材とした絵、人物の彫刻作品などが美しくマッチしていました。細部に描かれた紋章を見つけては『あの紋章はゲーム・オブ・スローンズだとスターク家かな?!』と夫婦で盛り上がりました。(少なからず影響を受けている気がします。)
スコットランドに関する文献などがある図書室には、デスマスクも展示されていました。
王族の肖像画は何パターンもあり、年代別に展示されているためその変化などを見比べるのも面白かったです。
他には、スコットランド国立博物館(National Museum of Scotland)も無料で訪問でき、大人にも子供にもおすすめできるスポットでした。
広い館内には、「クローン羊のドリー」や、「ルイス島のチェス駒」、「マリー女王のジュエリー」など、スコットランドに関連する歴史的に有名な展示物を見ることができるため、ゆっくり時間をとって周ることをおすすめします。
また、スコットランド国立博物館のルーフテラスからは、エディンバラのオールドタウンが一望できます。
エディンバラはコンパクトながらも歴史のある街なので、様々な観光スポットが詰まっていました。
スコットランドの中ではハイランド地方も有名でしょう。エディンバラからは少し遠いですが、車や観光バスで行くことができ、広大な緑の山々や途中で立ち寄ることのできる地方の街も魅力的なので、ぜひ行ってみてほしいです。
まとめ
イギリスの中では、ロンドンが最も世界の人々が訪れる都市として有名ですが、隣り合うスコットランドやアイルランドも、長い歴史の中で独自の文化を持っています。
エディンバラやダブリンなどの都市部では歴史や地域に由来したアート作品に触れることができ、田舎の方に行くと、昔からの歴史的出来事を容易に想像できてしまうような、壮大な自然のアートを目にすることができます。
イギリスに旅行に行く際には、1週間旅程を伸ばしてロンドンだけでなく他の地域にもぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。