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暗号資産やNFTは今後どうなる?ロシアのウクライナ侵攻でビットコインやイーサリアムが大暴落!

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ロシアは2022年2月24日、ウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、ロシア国防省がこれまでに80以上のウクライナ軍の施設を攻撃したと発表されました。

旧ソ連圏であるウクライナは、ロシアとヨーロッパの間に位置する国として、これまでに国内でも親ロシア派と親欧米派が度々対立してきました。

ロシアのプーチン政権は、ウクライナのEU(欧州連合)への加盟や、アメリカ・西ヨーロッパ諸国の集団安全保障体制であるNATO(北大西洋条約機構)への加盟への警戒から、近年ウクライナに対して圧力をかけており、今回の軍事侵攻に至ったようです。

このような情勢の下ではありますが、世界的な暗号資産の値動きが話題になっています。

ロシア、ウクライナ間の状況は、暗号資産市場にも影響を与えており、世界の暗号資産市場規模は1兆5700億ドル(約181兆円)まで落ち込み、2月24日からの24時間以内で9.66%近くを失ったそうです。

今回は、この問題が暗号資産、更にはNFTにどのような影響を与えており、今後どうなっていくのかについて見通しを立てるために知っておきたい、各業界の人々の予測などをまとめて紹介します。

ウクライナ・ロシア情勢と暗号資産

引用:NEWSBTC「How Fears Of A Possible Russian Invasion Of Ukraine Is Impacting Bitcoin」https://www.newsbtc.com/crypto/how-fears-of-a-possible-russian-invasion-of-ukraine-is-impacting-bitcoin/

アメリカのバイデン大統領は2月24日、ロシアのウクライナへの侵攻に対し、強い制裁を承認したことを発表しました。

アメリカとその同盟国によるその制裁の内容としては、資産総額1兆ドル(約115兆円)とされているロシアの銀行に対し、ドルなど主要通貨での取引を制限することなどが報道されています。

そんな中ロシアは仮想通貨の法整備を進めており、既に暗号資産も広く所有されいて、今回の制裁の対象となるロシア人を含む資産家は、銀行口座が凍結されたとしても、匿名で取引されるブロックチェーンを利用する暗号資産を使用することで今回の制裁を回避できるのではと指摘されています。

一方、ウクライナでは、ロシアの軍事侵攻を危惧していた段階から、資産の安全な避難先として特に富裕層からの暗号資産への注目が一層高まったそうです。

緊急事態宣言が出されたウクライナでは、最悪の場合インターネットと銀行システムが崩壊する可能性があるとも言われているため、そのリスクを考えて現金を手放して暗号資産を手に入れたいと考えている人が多くいるようです。

ウクライナの仮想通貨取引所では、ロシア軍の侵攻後に取引高が3倍以上となっているものの、売り手がいない状態で、今から現金を暗号資産に変えることが難しいという状況となっているようです。

また、ロシアがウクライナに侵攻したという状況を受けて、Come Back Aliveという非政府組織は、ウクライナを支援するための寄付金として暗号資産で約40万ドル(約4620万円)を集め、軍の医療品や軍用品を購入したそうです。

世界的な社会問題や紛争解決のためのクラウドファンディングはこれまでにもありましたが、暗号資産を用いることで、従来の銀行送金のようなハードルがなく、どんな状況下であっても簡単に送金することができるということが今回の件を通して改めて注目されました。

暗号資産市場の今後の動きはどうなる?業界人の予測

暗号資産は他のリスク資産と同様の動きをするようになった

引用:Bloomberg「Bitcoin’s Digital Gold Luster Fades as Customary Havens Win Out」https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-02-24/bitcoin-s-digital-gold-luster-fades-as-customary-havens-win-out

暗号資産取引所AAXの調査・戦略責任者であるBen Caselin氏は、『ここ数年で暗号資産が世界の金融市場に深く組み込まれてきた結果として、他のリスク資産と同じような動きをするようになったことから、今回のロシア・ウクライナ情勢が暗号資産市場にも大きく影響した要因と言える』と語っています。

いわゆるリスク資産に対して、伝統的な安全資産である金の価格は、現在約2年ぶりの高値に急騰しています。

依然として、いざという時に人々が安全性や資金の置き場所について考える際には、金はビットコインなどの暗号資産に勝るという意見も強くあるようです。

ウクライナ・ロシアの状況を受け、暗号資産市場は依然として不透明

引用:REPUBLICWORLD.COM「Russia-Ukraine Tensions: Preparedness Of Military Personnel Stationed To Tackle Escalation」https://www.republicworld.com/world-news/rest-of-the-world-news/russia-ukraine-tensions-preparedness-of-military-personnel-stationed-to-tackle-escalation-articleshow.html

ウクライナに対するロシアの軍事侵攻は、暗号資産を含むリスク資産を動揺させています。

bitbankのマーケットアナリスト長谷川友哉氏は、『24日にロシアがウクライナに侵攻する以前から、値下げは起こっていた。ロシアとウクライナの状況が落ち着くまでは、引き続き暗号資産市場の不透明感は強いまま』と語っています。

さまざまな金融商品とサービスを提供するインドの総合金融サービス会社Motilal Oswal Financial Servicesの小売調査責任者であるSiddhartha Khemka氏は、『ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、この紛争がさらにエスカレートして戦争のような状況になるなど、NATO( 北大西洋条約機構)・米軍がより関与していく事態となると、市場は引き続き圧力にさらされる可能性がある。投資家は、現在の状況を乗り切るために落ち着く必要がある。』と声明で述べています。

ロシア・ウクライナ危機の影響を受けて、暗号資産は短期的に価格を大幅に下げる可能性があるとCopper.coの取引責任者であるJonathan Tse氏などは語っていますが、いづれにしても、今後の情勢によって左右してきそうです。

ビットコインはどうなる?

引用:The New York Times「Technobabble, Libertarian Derp and Bitcoin」https://www.nytimes.com/2021/05/20/opinion/cryptocurrency-bitcoin.html

ビットコイン価格については、インフレ指標として重要視されている米個人消費支出(PCE)の動きとして、さらなる物価上昇が続けば、FRB(米連邦準備制度理事会)によって3月のに利上げされる可能性も見込まれるとの予測もあります。

暗号資産プラットフォームLunoの企業開発担当副社長であるVijay Ayyar氏は、『ビットコインの価格がさらに下落した場合、次に注目すべき重要な水準は28,000ドルから29,000ドルで、このレンジを突破した場合、2万ドル台前半やそれ以下などのさらに低い水準まで下がる可能性もあるだろう』と指摘しています。

アメリカ東海岸時間2月25日現在では、ビットコインのビットコインは$38,800代を前後しています。
激しく急降下した2月23日から一変して、2月24日の夕方以降から25日にかけて価格が少しづつ上昇し、現時点では回復を見せているように見えますが、これも引き続き状況次第で変動していくのかもしれません。

NFTへの影響は?

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引用:「Pussy Riot Launch NFT Campaign to Aid Ukraine」https://www.metalsucks.net/2022/02/26/pussy-riot-launch-nft-campaign-to-aid-ukraine/

ロシアとウクライナの紛争が世界中で報道される中、ウクライナの軍隊を支援するために暗号資産や、寄付目的のNFTプロジェクトなどが多く出てきています。

例えば、政府に対する抗議的なメッセージを発信するロシアのパンクロックグループ、プッシー・ライオットは、Web3技術とコミュニティの力を利用してウクライナの組織のために資金を調達することを目的とした「UkraineDAO」と呼ばれるDAO(Decentralized Autonomous Organzation:日本語で「自律分散型組織」。中央集権ではなく組織内のメンバー1人1人によって自律的に運営されている、ブロックチェーンに基づく組織や企業の形態のこと)を結成し、寄付のためのイーサリアムNFTを発表しました。

このように急激に注目が高まった影響もあり、ガス代(NFTなどの取引を検証するために必要なエネルギーに対するイーサリアムマイナーへの報酬のこと。イーサリアムネットワークのセキュリティ保持のためにも必要。)が異常に急上昇しました。

多くの寄付者から、ガス代として過剰に資金を失う代わりに、その分を寄付に回したかったと非難されています。

世界最大級のNFTプラットフォームOpenSeaのNFTプロジェクトのトップランキングの2月24日前後の取引の動きを見ても、特に決まった傾向は見られないため、落札者たちは情勢を見てNFTの取引に用いられるイーサリアムの値動きを予測しながら取引をしているように見受けられます。

まとめ

今回のロシア・ウクライナの問題の影響やその関わりを考察していると、暗号資産について色々なメリットとデメリットが改めて洗い出されたように感じます。

今後の展開はわかりませんが、これまでの国際的な紛争の際にはなかった暗号資産が、今回は新しい手段として良くも悪くも働いており、そういった背景が今後の暗号資産に対しての規制や、その価値にも反映されていくのかも知れません。

暗号資産の価格変動はNFTの取引にも直接的に影響してくるため、今後もこのような国際的な問題がどのように影響してくるのか注目しておきましょう。

参考

The Washington Post「In the world’s first crypto war, uncertainty about who will benefit」https://www.washingtonpost.com/technology/2022/02/25/cryptocurrency-ukraine-russia-war-impact/

「Hedge in times of trouble? Bitcoin drops to one-month low」https://www.aljazeera.com/economy/2022/2/24/hedge-in-times-of-trouble-bitcoin-drops-to-one-month-low

Bloomberg「Bitcoin Tests the Year’s Lows as Ukraine Crisis Rocks Markets」https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-02-24/bitcoin-falls-to-one-month-low-after-russia-ukraine-developments

OUTLOOK「Crypto Market Affected Due To Russia- Ukraine Crisis; Prices Of Bitcoin, Shiba Inu Fall」https://www.outlookindia.com/business/crypto-market-affected-due-to-russia-ukraine-crisis-prices-of-bitcoin-shiba-inu-fall-news-183896

COINTELEGRAPH「Crypto community reacts to Russia’s war in Ukraine」https://cointelegraph.com/news/crypto-community-reacts-to-russia-s-war-in-ukraine

BUSINESS INSIDER「緊迫のウクライナ情勢、いま何が起こっている?ロシア軍の軍用車両、首都キーウに侵入(解説):更新」https://www.businessinsider.jp/post-249700

Bloomberg「デジタル資産の保有広がるロシア、ビットコインで制裁逃れの恐れも」https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-25/R7U44TDWLU6M01

coindesk JAPAN「ウクライナ、富裕層が仮想通貨を物色──資産の逃避先探る動き」https://www.coindeskjapan.com/140901/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。