美術品同様、骨董品の収集を趣味とするコレクターも数多くいますが、骨董品の売買はビジネスとして儲かるのでしょうか?
最近はネットオークションなどオンラインチャネルを活用して、骨董品の買取販売をする業者なども増え、国内だけでなく海外の骨董品も手に入りやすくなっているようです。
今回はそもそもの骨董品の定義や、どのようにビジネスとして成り立っているのか、また買取・販売の際に知っておきたいことなど、骨董品にまつわる情報をまとめて紹介していきます。
骨董品の定義
そもそも、骨董品とは?
骨董品と聞くと、古くて高価そうな壺などを思い描く人も多いのではないでしょうか。なんだかぼんやりとしたイメージはあるけど、骨董品の定義ってなんなのでしょう?
1934年にアメリカで定められた通商関税法において、『アンティーク(骨董品)』は、製造から100年が経過した手工芸品、工芸品、美術品のことと定義づけられています。
この定義は、世界貿易機関(WTO)でも採用されている、世界的なものだそうです。
一方で、日本においては、厳密に製造から100年経過しているものというより、数十年前に製造されたものも、希少価値が高いなど価値が評価されるものであれば骨董品に分類されるようです。
骨董品には、イメージしやすい陶器や絵画はもちろん、茶道具やおもちゃ、宝石、家具なども含まれます。
西洋の骨董品
欧米諸国では、製造から100年以上経っているものをアンティーク、100年に満たないものをジャンク、100年以上経っていても価値のないものをラビッシュと呼び分けるようです。
欧米から骨董品を輸入する場合などにそれぞれの名称は知っておくと便利でしょう。
西洋の骨董品は、歴史を遡ると長い年月をかけて作られたり、一族の間で代々大切に受け継がれたりしたものも多く、特に有名作家の作品は高値で取引されます。
家具
アンティーク家具は、国内外で人気があります。100年以上前に作られたものであっても、一流の職人によって一つ一つ丁寧に作られた家具は、細かい点まで凝っていて美しく、また丈夫に作られています。
現在のように大量生産の時代にはなかなか見つけられないような唯一無二のデザインや、時代を経たからこそでる重厚感などはアンティーク家具ならでは。
自宅に置く家具も、アンティークのものを選べば一気にインテリアの見栄えもブラッシュアップされます。
西洋の歴史に詳しい人などは、その時代によって流行したスタイルが家具のディティールに反映されているのを見るのもとても楽しいと思います。
アジアの骨董品
アジアにおいての骨董品は、西洋においての骨董品の定義と、やや異なります。
日本、中国、朝鮮などのアジア諸国の骨董品は、製造年数が古いということよりも、その品の希少価値を重視して、評価される傾向があるようです。
製造から数年しか経っていなくても、有名な職人、作家が製造した商品であれば、骨董品とされるのです。
茶道具
茶道具は、日本の骨董品において人気のジャンルです。
平安時代から続く日本の伝統文化である茶道に必須であった茶道具は、一流の作家によって作られ、限られた貴族や武将の手に渡った貴重な品である場合も多いそうです。
作家や鑑定士の名前などは作品を保管する木箱に記されているため、木箱とセットである場合には、高い価値がつきます。
一般的にどんな骨董品の価値が高いの?
骨董品の中でも価値が高いものは、やはり人気(需要)が高いものとなります。
例えば、絵画は国内外問わず人気のジャンルです。
日本画でいうと、有名な作家が描いた作品の掛け軸などもよく骨董品として扱われます。
洋画の場合は、キュビズムや印象派など有名、人気の美術様式であると需要は高く値段も高くつくという感じです。
いづれにしても日本においては、希少価値が高く(出回っている数が少ないなど)、有名作家が描いた本物の作品が、高額の評価をつけられることが一般的と言えます。
また、骨董品の価値は、必ずしも普遍的ではありません。売られる市場によって変動することもあります。
単純に、流行なども影響するため、時代や国が変われば需要の高い商品も変わっていくのです。
需要と供給のバランスのとれた市場やタイミングを見極めることも大切なようです。
骨董品を取り扱う業社
骨董品の定義や、価値基準は様々であることがわかったと思います。
骨董品を取り扱う業社は、どのような専門性をもっているのでしょうか?
骨董品の価値は、歴史や美術、素材、文化的背景などの幅広い知識なくしては正確に判断することが難しく、前述したように評価の仕方は様々です。
骨董品を取り扱う業社は、骨董品を鑑定する専門家・骨董品鑑定士と呼ばれる有識者が必要です。
この骨董品鑑定士になるには、資格や学校などがあるわけではなく、骨董品鑑定士のもとで修行を重ね、鑑定の眼を養うため長い期間を費やして鍛えるしかないと言います。
骨董品の仕入れ
骨董品の仕入れには様々な方法があります。
骨董市などを巡ったり、ネットオークションなどで仕入れをする場合もあれば、『古物商許可証』を持っていないと参加できない業社用の市場で仕入れることも多くあります。
古物商許可証とは、骨董品を販売するに当たって必ず必要となる免許です。
古物商許可証を持つ業社だけが参加できる古物市場は、専門業社のみが参加して取引をするオークションのようなイメージで、出品数も多く、骨董品を扱う人が一堂に集うため情報交換の場ともなっています。
他にも、人脈のある骨董品やであれば、歴史のある施設が取り壊されるときなどに収蔵されていた品を譲り受けることなどもあるそうです。
仕入れの時に大切なのは、販売時のことを想定し、需要が高いと見込まれる、かつ希少価値の高そうなものを見定めて買い付けることです。
骨董品の鑑定
価値が高い、人気作家の作品は、贋作が作られる可能性も高いため、その真贋の見極めは非常に重要です。
贋作は、通常かなりレベルが高く作られており、作家のサインなども本物と見分けがつかない場合も多いようで、経験の浅い鑑定士には見極めがかなり難しいようです。
骨董品自体の見た目だけでわかる情報だけに頼らず、製作者がいつ頃作った作品なのか、使われている素材はなんなのかなど様々な手がかりを一つ一つ確かめながら、本物かどうかを判断する鍵を探していくという、かなり知識と経験を要する作業となります。
鑑定を依頼する際には、信頼できる知識・経験豊富な骨董鑑定士を探すことがかなり重要となるでしょう。
骨董品の販売
先ほど触れたように、骨董品の販売には、古物商許可証が必要です。
これは実店舗を持たなくてもネットオークションなどを運営して販売したり、フリーマーケットで販売したりする場合にも必須となります。
骨董品を販売する際の価格の決定については、相場や保存状態、製作者などの情報をもとに行われます。
正しい価値をつけるためにも、前述した通り知識・経験が豊富にある鑑定士によって査定されることは重要です。
骨董品屋として店舗を構えて販売するという形もこれまでは多かったようですが、現在はネットオークションなどオンラインの手段を用いて、国内にとどまらず海外のバイヤーに向けて販売する業者も多く見られます。
仕入れと販売どちらもネットオークションで行うことで、無在庫で骨董品販売のビジネスで利益を出している人もいるそうです。
骨董品を高価で買い取ってもらうためのポイント
もし、自宅に代々受け継がれ眠っている『お宝』があり、鑑定に出して売りたいと考えている場合には、どんなものが高価に買取されるのかを事前に知っておくといいでしょう。
まず第一に、保存状態は非常に大切です。保存する場合も十分に気をつけて傷つけないように保存し、買取に出す前には掃除をして綺麗な状態で査定に出しましょう。
新品の場合には、できれば未開封で保存しておくのがベストだそうです。
また、箱や袋などの付属品も商品そのものと同様に綺麗な状態で揃えておくことが大切です。
茶道具の例で述べたように、箱に作家の情報が残っていたり、本物であると証明できる証拠となる場合が多いため、付属品は商品の価値を大きく左右すると言っても過言ではありません。
まとめ
私個人的には、アンティーク家具に興味があります。家具は自宅の中の要素としてかなり大きな存在感があって、長年受け継いで大切に愛用できるものだからです。
現代は、欲しいものはなんでもネットで検索すれば見つけられ、大量生産の恩恵でかなり安価でモノを買うことができますが、骨董品の価値は、そんな現代を生きる私たちだからこそ感じることができる、手のかかった貴重なものなのかもしれません。
骨董品を取り扱うには、十分な知識や経験が必要となりますが、市場や世の中の需要と供給のバランスを見極め、ネットなどを活用して効率よく仕入れと販売ができれば、骨董品ビジネスは儲かる!と言えるかもしれません。
参考
古美術廣田 https://kobijutu-hirota.jp/tag/antique
古美術寿永堂 https://jyueidou.com/items/antique/
「骨董屋は儲かるって本当?市での仕入れ方まで徹底解説!」https://aqcg.jp/antique_procure/