コラム記事

美術品・骨董品の評価・査定はどのように行われるの?アートの売買や保険をかける前に知っておきたいこと

あなたがアート作品に興味を持っている理由はなんですか?

『なんとなく心が惹かれたから。』『知人に勧められたから。』『オフィスを華やかに見せたかったから。』『投資目的で。』など、様々な理由でアート作品を購入、コレクションしている方々がいるかと思います。

そんな方々が美術品・骨董品を購入する際に、必ず知っておくべきことの1つが、美術品や骨董品の査定・評価についてです。

作品の価値を適切に測って、大切に保有していくために必要な知識として、今回は美術品の評価・査定について解説します。

美術品時価評価書とは?

美術品査定
引用:Christie’s「How is an artwork appraised?」https://www.christies.com/features/How-is-an-artwork-appraised-10033-1.aspx

そもそも、時価評価とはなんでしょうか?

時価とは、特定の時点においてのモノやサービスの市場価値のことで、時価評価とは、資産の価値を評価する1つの方法で、時間の経過や市場の動向とともに物の価値が変動する有価証券や不動産などの資産を購入した時点での価格ではなく、現時点での価格で評価した金額のことを指します。

時価評価によって、その時点での資産を正確に測ることができ、客観的に評価された価値を把握できる一方で、日々取引価格が変動するため、評価が不安定になる可能性もあるようです。

美術品は、過去にはほとんどの場合、固定資産として取得した際の原価で評価をされていましたが現在は時価評価の対象となっています。他の金融資産などに比べると、美術品の適正評価は難しい上に、絵画や骨董品などの真贋を見分ける必要がある場合もあるため、経験・知識豊富な専門家のサポートが必要です。

税務上の理由などでこの時価評価を証明するための公式な書類が、美術品時価評価書と呼ばれるものです。

なぜ美術品・骨董品の時価評価が必要なの?

オフィス アート
引用:The Review Stories「Make your office environment-friendly by adding artworks」https://thereviewstories.com/office-artwork/

節税:贈与税・相続税の対策のため

個人で所有する美術品・骨董品の場合には、贈与税、相続税の対策のために時価評価、およびその証明書が必要になるケースがあります。

相続を受ける家族などが、遺族が残した美術品の現在の価値を正しく把握しておくことは非常に重要です。財産を相続する際には税金がかかるため、被相続人が無駄な税金を支払わないためにも役立ちます。

例えば、国公立美術館に美術品を寄贈したり、公共の利益の高い財団法人を設立することによって、税金対策をすることもできます。

法人の場合には、M&Aや贈与・相続の際、税務署や監査法人からの提出依頼を受けた際、グループ企業間での資産としての美術品の移動および売買を行う際などに、適正な評価額を算定する必要があります。

また、2015年から美術品に関する税制が変わり、100万円未満の美術品を購入した場合でも、一定の基準を満たしていれば減価償却資産として法定耐用年数で償却できるようになりました。

つまり、絵画の代金分を経費処理できるため、節税につながるのです。

保有するアート作品の適切な時価評価を知ることで、これまで見逃して損していたことが発覚するかもしれません。

保険金額の見直しのため

また、所有している美術品・骨董品にかけた保険金額の見直しをすることも、美術品コレクターにとって大切です。

時価評価をすることでその時点での適正評価を知り、美術品の価値が購入した当時よりも下がっていた場合には払い過ぎていた保険料を節約できる可能性もありますし、逆に購入した当時よりも美術品の価値が上がっていた場合には、正しい価値に合った保険料に見直しをした方が安全でしょう。

所有している美術品に保険をかけていない人も多いそうですが、アートと保険の記事でも紹介したように、もしもの時に備えて大切なアート作品の適正な評価額を知っておき、保険をかけておくことをお勧めします。

美術品・骨董品はどのように評価されるの?

アート作品の評価・査定は、経験豊富な画廊や美術品・骨董品の専門機関によって行われます。

金融資産や不動産のように、美術品にも売買の市場があり、主に現在の海外・日本の美術市場価格や作家名、技法、制作された年代、サイズ、作品の完成度、コンディションなどを参考に査定され、適正な評価額が算出されます。

美術品・骨董品の正しい評価は専門家以外には非常に難しく、相続税対策などをしたい場合にも、税務署の担当者によって、美術年鑑を参考にして評価されたり、購入金額を参考に評価されたりと様々になってしまうそうです。

厳密に根拠のある信頼できる適正な時価評価によって算定を行えるよう、知識・経験が豊富な美術品・骨董品の専門機関に依頼することが、最も確実で安全です。

美術品・骨董品の『鑑定』とは?『評価・査定』とは違う?

美術品の評価・査定
引用:ERITAS「Navigating the Art of Authentication in the Art World」https://veritasartappraisals.wordpress.com/2018/09/11/navigating-the-art-of-authentication-in-the-art-world/

過去の有名なテレビ番組のタイトルの影響なのか、美術品や骨董品の査定と聞くと、鑑定のことかな?と思うのは私だけではないかと思いますが、『鑑定』とは、その作品が真作か贋作かを見定めることを指します。

贋作とは

価値ある品の偽物のなかでも美術品や骨董品の偽物をさすときに使う言葉で、一般的なブランド品や腕時計などにはあまり使われない言葉です。

贋作が作られる理由は様々ですが、一般的には贋作を真作だと偽って販売することを目的に作られ、そのような意図がない場合は「贋作」ではなく「複製」「模写」などと呼ばれ、問題視されることはあまりありません。

また、贋作と混同されがちなものに「レプリカ」がありますが、レプリカの場合はオリジナルの作者自身が作ったり監修したりして作られるのに対し、贋作は作者とは全く無関係な人物が作者の許可なく作っているという違いがあります。

つまり、贋作とは一般的に「真作であると偽って販売することを目的に、作者の許可なく作られた骨董品・美術品の偽物」のことです。

株式会社ゴトー・マン「贋作とは?また、贋作を売ったり買ったりしてもいい?」https://goto-man.com/faq/post-11005/

アート作品の売買の際には贋作にも注意が必要なので、信頼できる専門機関で鑑定してもらうことも大切です。

贋作に関するトピックについては、こちらの記事で紹介しています。

とはいえ、大切に保有していた作品が、贋作だと鑑定で明らかになるとショックではありますが、贋作だでも価値がないとは限りません。

例えば、完成度の高い作品や制作年代が古い作品は、美術品や骨董品として一定の価値が認められる場合もあるそうです。

『鑑定』と『評価・査定』の内容はそれぞれ違いますが、どちらも所有する美術品・骨董品の価値を正しく知るためにはとても重要になります。

まとめ

美術品・骨董品をコレクションする方々にとってはいろいろな用途があるかと思いますが、適切な知識をつけることでアート作品を節税などに有効活用できる場合もあることを見過ごしてしまっては勿体無いでしょう。

評価・査定は、知識・経験が豊富にあって信頼できる専門家に任せることが重要だと思います。

大切な美術品を守るため、損をしないためにも、正しい価値を知り、保険をかける(適正価格に見直しをする)ことをお勧めします!

参考

翠波画廊「美術品・査定評価」https://www.suiha.co.jp/support/artworks-appraisal/

株式会社ゴトー・マン「贋作とは?また、贋作を売ったり買ったりしてもいい?」https://goto-man.com/faq/post-11005/

ABOUT ME
あやね
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで、日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、今年は自宅で陶芸も始める予定。