アーティスト紹介

【長沢芦雪】虎や龍の襖絵、犬やドクロで有名な作品や展覧会情報など

長沢芦雪の作品

長沢芦雪の経歴

長沢芦雪の肖像画
引用:https://www.sankei.com/article/20150609-Y3O47MDPH5JY5H6ZGENV33UGUE/

長沢芦雪(ながさわ ろせつ)は、1754年生まれの丹波国篠山(現在の兵庫県の中東部)の武士の家系出身の江戸時代の絵師で、長沢蘆雪、長澤蘆雪とも表記されます。

写生を重視した画風で知られる円山応挙の弟子ですが、長沢は師とは対照的に、大胆な構図や斬新なクローズアップを用いた、自由で奇抜な画風で知られています。同年代の画家曾我蕭白(そが しょうはく)、伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)と共に『奇想の画家』、『奇想派』と呼ばれたりもします。

長沢芦雪に関する資料は少ないため、不明確な点も多いようです。

1786年から1787年(天明6年から7年)の間、南紀(現在の和歌山県南部から三重県南部にまたがる地域)に滞在していた長澤は、この期間に多くの障壁画を制作しました。

現在、串本の無量寺、古座の成就寺、富田の草堂寺、田辺の高山寺に計180面の障壁画が残っているほか、無量寺境内には応挙芦雪館が開設されています。

その作風からイメージできるように、長澤は、奔放で少し傲慢な性格だったと言われており、円山応挙に後年破門されたという噂もあるようです、長沢の死は、普通の死ではなかったと言われ、謎に包まれており、毒殺あるいは自殺ではないかという説もあるそうです。

長沢の作風は、基本的に明るく軽快ですが、晩年の作品はグロテスクで陰惨な印象のものもあります。

長沢の作品にしばしばみられる『魚』朱文氷形印は、1785年(天明5年)頃から使われ始めましたが、1792年(寛政4年)5月頃にその右上が大きく欠損したことから、この印の状態から、長沢の作品の制作年代を推測する指標となっています。

長沢芦雪の『魚』朱文氷形印
引用:https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=88323232

長澤は、1799年(寛政11年)に大坂(大阪)に出かけて芝居を見物した際に、出された弁当を食べた後、食中毒症状を引き起こして亡くなったとされています。当時まだ49歳という若さであり、病気を患っていた記録もなく至って健康だったことから毒殺されたという噂も当時からあったようです。

長沢芦雪の有名な障壁画作品

「無量寺障壁画」1786年(天明6年)

「無量寺障壁画」長沢芦雪
引用:https://www.town.kushimoto.wakayama.jp/kanko/kushimoto/muryouji.html

現在の和歌山県串本町にある「無量寺障壁画」は重要文化財に指定されています。

無量寺の障壁画の内訳は、「薔薇図(薔薇に鶏・猫図)」紙本著色 襖8面、「虎図」「竜図紙本墨画 襖各6面、「群鶴図(芦に鶴図)」紙本墨画 襖6面壁貼付1面、「唐子遊図(唐子琴棋書画図)」紙本墨画 襖8面です。

「成就寺障壁画」1786年(天明6年)

同じく和歌山県串本町にある「成就寺障壁画」も1786年(天明6年)の作品で、重要文化財です。

「成就寺障壁画」は、現地で製作されたのではなく、京都で描かれて南紀に送られたか、長沢が持ってきたのではないかという説があります。

成就寺の障壁画の内訳は「山水図」紙本墨画 襖5面、「群雀図」絹本著色 天袋4面、「曹孟徳図」紙本墨画 襖8面、「唐獅子図」紙本墨画 襖12面、「林和靖図」紙本墨画 襖7面壁貼付1面、「花鳥群狗図」紙本著色 襖8面となっています。

「草堂寺障壁画」1787年(天明7年)

「草堂寺障壁画」長沢芦雪
引用:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/restore/sodoji-shuri-202306/

和歌山県白浜町にある「草堂寺障壁画」は、1787年(天明7年)に制作された重要文化財指定の障壁画です。

その内訳は本堂の「虎渓三笑図」紙本墨画 襖8面、「群狗図」紙本墨画 障子腰6面(現在は六曲屏風に改装)、「五祖栽松・焚経図」紙本墨画 襖4面(現在は二曲一双屏風に改装)、「虎図」紙本墨画 襖8面、「枯木鳩図」紙本墨画 襖12面、「竹に鶴図」紙本墨画 襖6面、「蛙図」紙本墨画 障子腰2面(現在は二曲屏風に改装)、「牛図」紙本淡彩 襖8面、「月下渡雁図」紙本墨画 障子腰6面(現在は六曲屏風に改装)。南書院の「張良吹笛図」紙本墨画 襖2面、「征師図」紙本墨画 襖4面、「朝顔図」紙本墨画 襖4面です。

長沢芦雪のその他の代表作品

「幽霊・髑髏子犬・白蔵主図」1781〜1789年

「幽霊・髑髏子犬・白蔵主図」
引用:https://inukoroblog.com/2018/10/23/nagsawarosetu/

幽霊や髑髏などの恐ろしい印象を持つ存在を、可愛らしい子犬といっしょに描くという独特で奇抜なセンスが、長沢らしい作品です。

幽霊や髑髏、そして子犬の対比は、生と死の対比を感じさせます。

「一笑図」1789〜1801年

長沢芦雪「一笑図」
引用:https://inukoroblog.com/2018/10/23/nagsawarosetu/

「一笑図」は、右側に3人の子供と4匹の子犬がいる様子、左側に一人の子供が子犬の首を掴んでいる様子が描かれているこの作品は、その犬の可愛らしい姿から見たことがある人も多いでしょう。

同志社大学文化情報部に所蔵されており、2019年から2年間かけて修繕されています。

紙本墨画 障子腰2面(現在は二曲屏風に改装)、『牛図』紙本淡彩 襖8面、『月下渡雁図』紙本墨画 障子腰6面(現在は六曲屏風に改装)。南書院の『張良吹笛図』紙本墨画 襖2面、『征師図』紙本墨画 襖4面、『朝顔図』紙本墨画 襖4面。

長沢芦雪の特別展「生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー」

長沢芦雪展覧会 大阪中之島美術館
引用:https://nakka-art.jp/exhibition-post/rosetsu-2023/

大阪市北区にある大阪中之島美術館にて、2023年10月7日(土)から12月3日(日)まで、特別展「生誕270年 長沢芦雪 ー奇想の旅、天才絵師の全貌ー」が開催中です。

本展示では、長沢の代表作品ある、重要文化財の「龍・虎図襖」も鑑賞することができます。

初公開の作品も含まれ、初期から晩年までの長沢の幅広い作品を展示しています。

開催日程:2023年10月7日(土)〜12月3日(日)
開館時間:10:00 – 17:00(入場は16:30まで)
料金:一般  1800円(前売・団体 1600円)、高大生 1100円(前売・団体 900円)、小中生 500円(前売・団体 300円)
休館日:月曜日(10/9を除く)、10/10(火)
公式サイト:https://nakka-art.jp/
会場:大阪中之島美術館
住所:〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 06-6479-0550

https://www.museum.or.jp/event/108880

まとめ

「奇想の画家」として知られる江戸時代を代表する絵師の一人である長沢芦雪の作品は、大胆な構図や自由奔放な画風で知られています。

襖絵にみられる龍や虎、可愛らしい子犬の姿や幽霊や髑髏の姿など、さまざまな対象物を描いた長沢芦雪の作品は、多くの人が楽しめるでしょう。

参考

Wikipedia 長沢芦雪

画像引用元:https://bijutsu-up.com/nagasawa-rosetsu/988

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。