【竹内栖鳳】猫や獅子などの動物画などの有名作品や経歴

Takeuchi Seihō
アーティスト紹介
竹内栖鳳の子犬の絵

DATA

ニックネーム
近代日本画のパイオニア
作者について
竹内栖鳳は、伝統的な日本画に西洋の技法を融合させた独自のアプローチを確立した近代日本画のパイオニアです。技術力の高さに加え、革新的な要素を取り入れながら日本の美意識の本質を捉えた表現が世界的に高く評価されてきました。動物を描けば、『その匂いまで描く』といわれた達人としても知られます。

現在の値段

約100万円前後

2018年「Deers in Autumn evening」¥1,250,000(毎日オークション)136.2 x 69.2 cm
2020年「Sparrows」¥1,100,000(毎日オークション)35 x 41.7 cm

竹内栖鳳の作品は、日本のオークション会社を中心として、数百万円程度で取引されています。木版画・紙・モラージュの作品などは、数万円程度で販売されているものもあるため、有名画家であるものの比較的購入しやすいものもあると言えるでしょう。
竹内栖鳳の作品のオークション価格

竹内栖鳳の経歴

竹内栖鳳(たけうち せいほう)
引用:https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/takeuchi-seiho-news-202309

竹内栖鳳(たけうち せいほう)は、1864年12月20日に京都府京都市で生まれた戦前の日本画家です。伝統的な日本画において類い稀ない技術力を発揮した、近代日本画の先駆者である竹内は、日本史の変革期を過ごしたことで明治維新とその後の日本の近代化を目の当たりにしました。

13歳の時、四条派の土田英林に絵を習い始め、17歳の時に同じく四条派の名手として知られた幸野楳嶺(こうの ばいれい)の私塾へ正式に入門しました。入門した翌年には私塾の工芸長となり、都路華香(つじかこう)、谷口香嶠(たにぐちこうきょう)、菊池芳文(きくちほうぶん)と共に「楳嶺四天王」と呼ばれるようになります。

1887年(明治20年)、23歳の時に結婚したことをきっかけに独立した竹内は、同年に京都府画学校(現在の京都市立芸術大学)を修了します。当時から新古美術会や日本絵画協会などに出品したり、山元春挙(やまもとしゅんきょ)、菊池芳文らと青年画家懇親会を立ち上げたりと積極的に芸術界での活動を進めました。

1893年(明治26年)には、アメリカで行われたシカゴ万博にも出品しました。

36歳の時に、パリ万博で「雪中燥雀(せっちゅうそうじゃくず)」で銀牌を受賞し、その後7ヶ月かけてヨーロッパを旅行し、ウィリアム・ターナーなどの西洋画家から強い影響を受けたといいます。この旅からの帰国後に、西洋の「西」にちなんで号を栖鳳と改めたそうです。

竹内は、旅先で様々な芸術の伝統に触れることで、伝統的な日本画に新旧を巧みに融合させた独自のアプローチを確立したといえるでしょう。

その後は、文展や帝展(現在の日展)の審査員にもなり、1913年(大正2年)12月18日には「帝室技芸員」tなり名実共に京都画壇の筆頭となりました。

海外でもその作品が高く評価された竹内は、フランスのレジオンドヌール勲章、ハンガリー最高美術賞およびドイツのゲーテ名誉賞を受賞し、日本国内でも第1回文化勲章を受賞しています。

1931年(昭和6年)に胃潰瘍を患ったことから、静養のために神奈川県足柄下郡湯河原町を訪れるようになり、天野屋旅館を別荘とするようになります。

1942年、戦時中に肺炎のためにて亡くなりました。

竹内栖鳳の代表作品

「大獅子図」(1901年)

「大獅子図」竹内栖鳳
引用:http://czt.b.la9.jp/takeuchi-tnrankai.html

虎や獅子は、桃山から江戸時代にかけて多くの画家が描いた題材として知られています。

「大獅子図」は、ヨーロッパで訪れた動物園での写生をもとに描かれたと言われています。

リラックスして横たわる獅子の姿からは、貫禄を感じます。

リアリティーのある獅子の様子とセピア色を基調とした色彩から、西洋での学んだ新たな画風を取り入れていることが見られます。

「絵になる最初」(1913年)

竹内栖鳳「絵になる最初」
引用:https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/401801

西洋からの影響を受け、伝統的な日本画に新たなスタイルを取り入れた竹内栖鳳は、日本で裸体モデルを使ってデッサンの練習を始めた初期の日本画家の一人だそうです。

「絵になる最初」は、モデルとなる女性が衣服を脱ぐことを恥じらう様子や表情からインスピレーションを得たもので、当時の日本の美術界において画期的な作品でした。

本作品は、重要文化財に登録されています。

「班猫(はんびょう)」1924年

「班猫(はんびょう)」竹内栖鳳の猫の作品
引用:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72391

「班猫(はんびょう)」は、猫の姿を描いた作品で、細部に注目するとその独自性が浮かび上がって面白い作品です。重要文化財に登録されています。

首をひねった猫の様子は、その柔軟性を鑑賞者に感じ取らせ、エメラルド色の瞳がこちらを見つめているように感じます。

猫の首の長さや一瞬の姿勢を捉えた猫らしさの溢れる様子、細かい毛並みなどからは竹内の技巧の高さや猫に対する愛着さえ感じられます。

「秋興」1927年

タイトルの「秋興」は、約1300年前に杜甫が読んだ詩です。秋の寂しい雰囲気を題材に読んだものではありますが、美しい言葉遣いが特徴的で、情緒ある作品です。竹内栖鳳の「秋興」もこの詩の影響を受けて制作されたのかも知れません。

秋の落ち葉が浮かぶ湖に、静かに浮かび、泳ぐ鴨たちの様子が描かれています。繊細な筆使いで画かれた鴨たちはリアリティがあります。

本作品は、京都国立近代美術館に収蔵されています。

竹内栖鳳の作品の収蔵美術館

  • 霞中庵(かちゅうあん) 竹内栖鳳記念館:「群鵜」など
  • 藤田美術館:「大獅子図」など
  • 東京国立近代美術館:「雨霽」「秋興」「飼われたる猿と兎」など
  • 高島屋史料館:「アレ夕立に」など
  • 京都市美術館:「絵になる最初」など
  • 山種美術館:「班猫」など
  • 東京国立博物館:「平家驚禽声逃亡」など

まとめ

竹内栖鳳は、日本画の伝統的な側面に西洋の影響を取り入れた独自の芸術的な表現、優れた技術が国内外から高く評価される画家です。

重要文化財に登録されている「絵になる最初」や「班猫」も、日本国内の美術館に収蔵されているため、ぜひ鑑賞に行ってみてはいかがでしょうか。

参考

Wikipedia 竹内栖鳳

Artsy https://www.artsy.net/artist/takeuchi-seiho/auction-results

画像引用元:https://www.adachi-museum.or.jp/archives/collection/takeuchi_seiho https://www.moaart.or.jp/en/events/tennrannkai2/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。