【白髪一雄】経歴と代表作品やオークション落札価格、鑑賞できる美術館など

Shiraga Kazuo
アーティスト紹介
白髪一雄の作品やオークション価格

DATA

ニックネーム
フット・ペインティングで知られる日本の抽象画家
作者について
白髪一雄は、フット・ペインティングなどの技法を用いた抽象画で知られる日本の画家で、1971年には比叡山延暦寺で得度(出家)しています。現在も世界的に評価を集めており、アートオークションでも億単位など高額で取引されています。

現在の値段

約112,260,302円(直近36ヶ月の平均落札価格)

2020年「DEISHAKU」約¥158,308,597(サザビーズ)174 x 229 cm
2021年「T53」約¥334,098,154(サザビーズ)130 x 97.2 cm
2022年「BB85」約¥170,860,179(サザビーズ)80 x 116.5 cm
2023年「Hoshōkai (Lop Nur)」約¥728,343,704(クリスティーズ)181 x 227 cm

白髪の作品は、数百万円のものから一億円を超える作品まで幅広く、サイズが大きくなるほどより高い価格で取引されている傾向にあるようです。
白髪一雄の作品のオークション価格

白髪一雄の経歴

日本の抽象画家として知られる白髪一雄は、1924年8月12日に兵庫県尼崎市西本町の呉服商の家に生まれました。

地元の尼崎中学校在学時に、絵画部に入ったことがきっかけとなり、画家を目指すようになったといいます。後に京都市絵画専門学校(現:京都市立芸術大学)に進学し、日本画科を卒業した後に油絵に転向しました。

大阪市立美術研究所にて更に油絵の技術を磨き、1952年には、金山明、村上三郎、田中敦子らと0会を結成します。0会の活動としては、作品を持ち寄って批評し合ったり、大阪そごう百貨店のショーウィンドウにて「0会展」も行いました。

また、同年に結成された現代美術懇談会と1955年に戦後日本の前衛芸術を牽引したアーティスト集団、具体美術協会にも参加するなど、芸術家仲間たちとの交流も積極的に行っていたようです。

白髪は、床に広げたキャンバスの上に絵の具を置き、天井からぶら下がったロープにつかまりながら裸足で描く手法「フット・ペインティング」を1954年に考案しました。

0会展に出品された「作品II」は、この「フット・ペインティング」で描かれた最初の作品として知られています。

1971年、密教への関心が高まったことから、白髪はなんと比叡山延暦寺で得度(出家)し、天台宗の僧侶(法名:白髪素道)となりました。この頃以降の白髪の作品には、精神性や人間的なアプローチなど密教の影響を受けたと思われる表現が見られるようになりました。

1974年に仏道修行「四度加行」を満行し、その後スキージという長いヘラを用いて円相を描いた作品を多く制作するようになります。しばらくの間フット・ペインティングの作品が減っていたものの、その後またフット・ペインティングの作品を制作するようになります。

白髪は、70歳を超えてからもフット・ペインティングでの創作活動をおこなったいたそうです。

1987年に兵庫県の文化賞、1999年に文部大臣から地域文化功労者を表彰され、2002年に大阪府の芸術賞を受けるなど、その実績を評価されてきました。

白髪は2008年4月8日、敗血症のため83歳で亡くなりましたが、死後もその作品が世界的に高く評価されています。

2014年には、1970年の大阪万博にて展示された「激動する赤」がフランス・パリで行われたサザビーズのオークションで、5億4,590万円で落札されたほか、2018年に、同じくパリのサザビーズで、「高尾」が11億3,000万円で落札されました。

白髪一雄の代表作品

「陽華公主」1964年

「陽華公主」は、緑がかった青や、濃い青、澄んだ青など、濃淡さまざまな青色と、その中に、三筋の朱赤、黄、白が中心でぶつかり合うように重なっています。

白髪が取り入れた手法であるフット・ペインティングの様子が目に浮かぶような動きを感じられる作品です。

「タジカラ男(お)」1969年

鮮やかな赤と黒の力強いタッチが印象的で、美術館併設の考古資料館建設を計画していた兵庫県加西市により130万円で購入されましたが、その後計画が頓挫したため、2017年に尼崎市に寄託されました。

「臙脂(えんじ)」1983年

アートコレクターとしても知られるスターバックスの会長兼社長兼最高経営責任者、ハワード・シュルツは、すでに2018年にスターバックスを退社していますが、かつての専用のオフィス・ルームには、「臙脂」が飾られていたといいます。

タイトルの通りの力強く鮮やかなエンジ色一色で美しく仕上げられています。白髪のフット・ペインティングで表現された勢いや筆圧の強弱が感じられます。

「群青」1985年

比叡山延暦寺での修行を終えた後、長いヘラ、スキージで円相を描く作品を多く製作していたものの、スキージでの円相の描画の創作に行き詰まり、改めてフット・ペインティングに回帰した頃に、制作された「群青」は、密教と芸術を融合させた名作の一つです。

白髪一雄の作品を鑑賞できる美術館

白髪一雄の作品は、日本国内だと東京都現代美術館、東京国立近代美術館、兵庫県立美術館、富山県美術館などに所蔵されています。

その中でも白髪の出身地である兵庫県尼崎市の尼崎市総合文化センター内に2013年に開設された「白髪一雄記念室」は、尼崎市が所蔵する絵画・版画など白髪の作品約120点と、遺族から寄贈・寄託された数多くの作品やデッサン、スケッチブック、書籍、写真などを含む資料を収蔵しています。

白髪一雄記念室
尼崎市総合文化センター 4階
公益財団法人 尼崎市文化振興財団
〒660-0881 兵庫県尼崎市昭和通2丁目7番16号

https://www.archaic.or.jp/shiraga/

まとめ

フット・ペインティングなどの技法を用いた抽象画で知られる日本の画家である白髪一雄は、現在も世界的に評価を集めており、高額で取引されています。

参考

Wikipedia 白髪一雄

画像引用元:https://kaitoriart.com/blog/shiragakazuo https://redtabby.tokyo.jp/2018/08/17/%E6%B5%84%E9%A2%A8%E5%90%B9%E7%82%8E/

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。