【磯村暖】ヒルナンデス出演、香取慎吾の個展参加で話題のアーティストの経歴、作品解説、価格などを紹介

Isomura Dan
アーティスト紹介
磯村暖の作品「Preta/Pret Rak Kun」

DATA

ニックネーム
移民やジェンダーなどの社会問題に立ち向かう新進気鋭のアーティスト
作者について
磯村暖は、さまざまな社会問題に取り組む新進気鋭のアーティストです。移民、ジェンダー、セクシュアリティ、宗教などの幅広いテーマを扱い、絵画、彫刻、映像、インスタレーションなどのさまざまな手法を通じてそのメッセージを表現します。2018年には香取慎吾が主催した「NAKAMA de ART」に参加し、今注目を集める若手現代アーティストとして知られています。

現在の値段

約10万円前後

2020年「Fairy party」 ¥138,000(SBIアートオークション)73.0 × 52.0 cm

磯村暖の作品は、SBIアートオークションで2020年にミックスドメディア作品が取引されている記録が公開されていますが、その他はあまり情報が公開されていないようです。価格帯はおそらく10万円前後が相場となっていると考えられます。日本で注目を集める若手の一人なので、今後数年でオークションへの出品も増えてくるかもしれません。
磯村暖作品オークション価格

磯村暖の経歴

個性的なスタイルと社会的な問題についてのメッセージを発信する作品で知られる日本の現代アーティスト 磯村暖は、1992年生まれで東京都出身です。

複雑な家庭で幼少期を過ごした磯村は、ストレスや小児喘息に悩まされ、学校にも行けない生活を続けていたそうです。小学校6年生の時に、1ヶ月ほど佐賀の陶芸工房で過ごしたことなどから、現状の生活を続けるのではなく、新たな環境に身を置くことを母から提案され、オーストラリアに留学します。

オーストラリアに移ってから最初の半年は変化の大きく、言語の壁や差別などを経験したものの、その後は『やっと自分の人生を手に入れた感覚を強く持った』のだそうです。磯村は、父が医者だったということもあり、医者以外の道はずっと否定され続けてきましたが、留学を経て自身の今後の人生にも希望を見出します。

さらにこの留学経験から、日本国内にいる移民にも目を向けるようになり、その背後にある社会的な問題にも気づいたといいます。

イギリスのEU離脱などの世界情勢から感じた、『グローバリズム』に反対する動きに対して異議を感じたことなどから、磯村は2016年夏ごろに初めて、移民や難民が受け入れられたり排除されたりすることをテーマにした作品を作るようになりました。

また、自身もセクシャルマイノリティであるということから日本で受けた苦い経験も芸術活動において原動力になったといいます。

日本の美術大学最高峰の東京藝術大学の絵画科に満点入学し、2015年には藝大での名誉ある賞である上野芸友賞を受賞しています。2016年に美術学部絵画科を油画専攻で卒業し、ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校第2期生として、様々なテーマを絵画、彫刻、映像など多様な手法で表現してきました。

また、藝術大学在学中の2015年にはヒルナンデス「東京藝術大学を探検するンデス 前編」も出演しています。

磯村のいくつかの作品には、地獄や亡者などのモチーフが見られます。これらのモチーフを用いて、皮肉まじりでユーモラスに、画一的に『悪』のレッテルを貼りがちな現代社会への批判をその作品に込めているのです。

また、タイ、台湾、アメリカのニューヨークなど世界でも人種的、性的ダイバーシティに対して積極的なエリアで滞在して制作活動を行ってきました。

また、2020年には東京・新大久保にて、アートスペース兼コミュニティセンター「新大久保UGO」を発足。日々さまざまな職業や国籍の人たちが集まり、展示やイベント、パーティを楽しむ場としてコミュニティづくりをしており、そのUGO実行委員会の1メンバーとして磯村も参加しています。

磯村暖の作品例

「CHEVRON」2014年

2014年に制作された絵画作品「CHEVRON」は、移民や難民を繋ぐモチーフとして『海』というに注目して描かれた作品です。

水彩画で淡く描かれた二人の男性と見られる人物が仲良く海辺で過ごしている様子が描かれています。

「Planet of Hell」2016年

「Planet of Hell」は2016年に制作されたインスタレーション作品です。

作品内の彫刻は、タイの仏教寺院の構造にインスピレーションを受けて作られたといいます。

タイトルは、「地獄の惑星」と訳すことができますが、この地獄は磯村の作品で他にも登場するモチーフです。

一般的に『悪行を行った人が死後に行く着く世界』である『地獄』をモチーフとしながらも骸骨やウルフなどのいわゆる『モンスター』たちが『Welcome! (ようこそ!)』というメッセージを書いたカラフルで明るいサインを掲げています。

この表現によって、現代社会においても一般的に悪いレッテルをはられる『地獄』でさえも、先入観を持っては行けないのではないか、本当にそこに所属する人たちは悪なのか?と自分に問いたくなるようなメッセージを感じます。

「HOME PARTY#2」2017年

「HOME PARTY#2」は、ネパール人移民とともに自宅で行ったパーティーをギャラリー空間内で再構築・再解釈したビデオ及びインスタレーション作品です。

オリジナルのハウスパーティの要素をもとにした公開プレゼンテーションとして、『来場者と共に2回目のパーティーを開催する』というコンセプトで、巨大な聖なる犬が儀式に使われた魔法の粉や花を洗い流すというパフォーマンスなどが行われました。

洗い流す際に使用されたシャワーの水は、展覧会の周囲を循環しながら、さらに多くの残留物を運び、徐々に近くのパネルを汚していきます。その様子は、聖なる犬の額に装着されたGoProで撮影され、会場外の別室でライブストリーミングされました。

本作品は、「ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校」卒業時の成果展にて出品し、金賞を受賞しました。

磯村暖も参加した香取慎吾主催の展覧会「NAKAMA de ART」

元ジャニーズの国民的グループSMAPのメンバーとしても知られる香取慎吾は、現在アーティストとしての活動も注目されています。

そんな香取が2018年に主催した、若手アーティスト13名を集めて帝国ホテルプラザにて開催された展覧会「NAKAMA de ART」には、磯村暖も参加していました。

磯村のインスタグラムには、香取慎吾との2ショットも掲載されていました。

まとめ

磯村暖は、ジェンダーや移民などさまざまな社会問題に目を向けて、メッセージを絵画、彫刻、インスタレーション、映像などさまざまなメディアを通じて表現するアーティストです。

日本や海外での今後さらなる活躍が期待される磯村暖に注目しておきましょう。

参考

Dan Isomura https://danisomura.tumblr.com/

画像引用元:http://www.bambinart.jp/en/exhibitions/20160109_exhibition.html

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。