江上越の経歴
江上越は、1994年生まれの千葉出身で、現在最も注目される日本人アーティストの一人です。ヴォーカル・レコーディング、ビデオ、ペインティングなど、多様なメディア形態での作品を制作しています。
父親もアーティストであったことも影響して、幼少期からアートに親しんできた江上は、ドイツHFG(The Karlsruhe University of Arts and Design)、北京・中央美術学院へ留学経験のあり、現在も日本、中国、ヨーロッパを中心に活躍しています。
ドイツ、中国以外にも、アメリカでの留学経験もある江上は、自身の海外での留学・生活経験の中で、言語的な障壁がある中、『耳で聞いたこと』と『目で見たこと』どちらを信じるべきなのか悩んだと言います。
外国人として過ごした経験の中から、人々のコミュニケーションについて考察し、その本質を探るようになります。
江上は、そうした経験から感じたこと、考えたことを、自身のアート作品の表現で伝えるようになります。そして辿り着いた表現が、『コミュニケーションの本質を問いかける肖像画』としての『虹色の肖像画』です。
抽象的なイメージの肖像画でありつつも、人物の表情や骨格がしっかりと伝わってくる江上の作品は、その人物の本質や性格を深く捉えた印象さえ与えます。まさに江上が感じた言語を超えたコミュニケーションの意味が見て取れるように感じられます。
江上の作品は、近くから見るのと、遠くから見るのと、また違った角度から見るので印象が変わって見えたり、人によっても見え方や解釈の仕方が異なるように思えます。これらは、違う言語でのコミュニケーションの中で発生しがちな聞き間違い、間違った翻訳によって失われた本来の意味などを視覚的に表現しているようにさえ感じます。
2021年には、Forbes Asiaが選ぶ世界を変える30歳未満の30⼈「Forbes 30 U30」を受賞しており、世界的に注目を集めている江上。最近では、ドイツやロンドン、北京など世界各都市での個展が開催され、作品が完売するなど、大盛況を収めています。
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江上越の代表作品例
「吾輩は猫である」2021年
タイトルから分かる通り、日本を代表する文学作品の一つ「吾輩は猫である」の著者である夏目漱石の肖像画です。
太い筆のストロークと、青や茶色を基調としたグラデーションで、抽象的に描いたように見えるのにも関わらず、私たちが知っている夏目漱石がモデルとなっていることが、不思議と一目でわかるのが面白いです。
対象人物の醸し出す雰囲気などを捉えて、表現している江上の観察力や表現力の高さがわかります。
「RAINBOW-2022-W-29」2022年
「RAINBOW-2022-W-29」は2022年に制作された作品の一つです。
対象となる人物を、大胆なストロークと細かな色のグラデーションにより抽象的ながらも的確に表現しています。
まとめ
国や地域による言語や文化の違いは、とても奥深く、正確なコミュニケーションは難しいものです。
複数の国での留学経験のある江上越が感じたコミュニケーションの本質は、とても興味深く、その作品が伝えるメッセージや彼女の洞察力、表現力の高さに世界が注目しています。
特に香港のアートシーンが注目していることから、今後も価格が上がることが予想されます。
参考
NEW ART STYLE「注目の若手作家・江上越とは?広島ウッドワン美術館で展覧会がスタート」https://media.and-art.jp/art-appreciation/egami_etsu/
画像参照元:https://www.a2z-art.com/artists/29-etsu-egami/overview/ https://menafn.com/1105478651/Amid-A-Feverish-Market-For-Her-Prismatic-Paintings-Japanese-Art-Dynamo-Etsu-Egami-Is-Keeping-A-Cool-Head