友沢こたおの経歴
スライム状の物質と有機的なモチーフが独特な作品が印象的な現役藝大生の画家として、最近話題の友沢こたお(以下、友沢)は、1999年フランスのボルドーに生まれ、5歳までをパリで過ごしました。
ユニークに感じられる名前「友沢こたお」は本名で、両親が旅行で訪れたタイ南部の『コ・タオ』という美しい島にちなんで名付けられたそうです。
漫画家の母の影響を受けてか、幼い頃から筆を握って遊んだり、小学生の頃には漫画家である花輪和一や楳図かずおの作品にハマったりと、子供の頃から絵を描くことや芸術、漫画などに関心が高かったそうです。
友沢は色へのこだわりが強く、混ぜている間にも乾かずに色が変わることがないという特性から、高校生の頃から油絵具を使って作品を製作するようになったといいます。
東京藝術大学美術学部絵画学科油画専攻で、2019年には久米賞、2021年には上野芸友賞を受賞するなどとアート界からも評価され、注目を集めるようになりました。
東京で「caché」「Pomme dʼamour」などの個展を開催したするなど大学在学中から注目され、展覧会を開くたびに多くの観客が訪れ、作品は即日完売するという人気ぶりでした。
2024年に東京藝術大学大学院 美術研究科を修了し、現在も引き続き製作活動を続けています。
友沢の作風で最もアイコニックとも言える『スライム』が作品の中心となったのは、大学に入ってからで、自身がスライムをかぶってその体験から感じることなどを含めて作品に反映しているのだそうです。
ちなみに、スライムは既製品を使わず自身で作って、その質感や透け感などを調整して表現方法を広げているのだそうです。
また、2019年には母で漫画家である友沢ミミヨとのアートユニット「とろろ園」を結成しています。
コロナ禍には、それまでの定番となっていたスライムから脱却し、チューブを顔に纏った作品を制作するようになります。これは2020年を境に人々が経験した、対面であってもマスクで相手の顔が見えないことやオンラインミーティングの一般化によってデジタルでの人との繋がりが当たり前となった寂しさからインスピレーションを得たものだといいます。
2024年8月30日からは中目黒のギャラリーN&A Art SITE(エヌ・アンド・エー アートサイト) にて個展「Réflexion」が、11月には開業予定のアートギャラリーとベーカリー&カフェが併設する「Gallery & Bakery Tokyo 8分」の柿落とし展として、2024年11月2日(土)から友沢こたおの個展「Fragment」が開催されます。
大学在学中から注目を集め、国内のみならず海外メディアでも取り上げられている友沢こたおに今後も注目していきましょう。
友沢こたおの作品とその価格例
「slimeXXXVII」2020年
友沢こたおの作品といえば、スライムを用いた作品が思い浮かぶのではないでしょうか。
2020年に制作された「slimeXXXVII」は、赤いスライムを赤ちゃん人形の頭部にまとわせた姿を油彩で描いた作品です。
友沢の作品に度々登場するこの赤ちゃん人形は「ルキちゃん」という名前をつけているそうです。
本作品は、tagboatにて¥1,113,376(税込)で販売されていましたが、現在は売り切れています。
「slimeLIX」2021年
2021年に制作された「slimeLIX」も同じくスライムが用いられています。
人の顔にスライムをのせて(その多くは友沢自身が被って)いる様子を、油彩で描いている作品です。
本作品は、tagboatにて¥529,980で販売されていましたが、現在は売り切れています。
透明っぽいスライムのツヤ感や、滴り落ちる様子、影などがかなりリアルに写真のように描かれているのが印象的です。
友沢こたおの作品の特徴
友沢は、高校時代からずっと油絵の具を使って作品を制作しています。その理由は、混ぜている間に乾かず、色が変わらないからだと良います。友沢は、使う色に強いこだわりを持っているため、油絵の具を好んで使用するようになったようです。
友沢の作品は、構成はシンプルでありながらも透明感、柔らかさなどの物質の質感をリアルに表現している点がユニークで鑑賞者に強い印象を与えていると言えるでしょう。
友沢の作品のコンセプトは『原始的な”生”』であり、例えばスライムを使った作品では実際に自身の顔をスライムで覆うことで息が詰まることを体験してから、その時に『生きる』ということを感じた経験を作品に投影しています。自分で実際に体験することにこだわり、使用する色についても絵の具を混ぜ合わせて自分で作った色を用いているそうです。
友沢こたおのX-girlとのコラボグッズ
2021年8月13日(金)から、飽きのこないアイテムを提案し続けるレディースストリートウェアブランド「X-girl(エックスガール) 」と友沢こたおとの初のコラボレーションコレクションを販売しています。
このコラボレーションでは、友沢こたおがX-girlの為に描いたスライムシリーズの新作油彩作品「KOTAO SLIME BLUE」、「KOTAO SLIME BLACK」、「KOTAO SLIME MILLS LOGO」を使用して、プリントしたショートスリーブTシャツ2型、キャンバスポーチ、A2サイズのポスターをリリースしました。
Tシャツなどほとんどが完売しているものの、サイズによってはまだ在庫が少し残っているようなので、気になる方はぜひコラボコレクション公式ウェブサイトをチェックしてみてください。
友沢こたおが出演しているG-SHOCKのCM
友沢こたおは、カシオのアイコニックな時計として知られるG-SHOCKのCM(ウェブムービー)に現在出演しているようです!
実際に作品を制作している様子や、スライムを手にする姿、そして作品やアートについて語る友沢自身の声を聴くこともでき、作品のファンの方には新鮮かもしれません。
出演しているウェブムービー「G-SHOCK MY TIME 友沢こたお篇」は、こちらから見ることができます。
友沢こたおの父、母は誰?
幼い頃からアーティスティックだったであろう友沢こたおはどんな両親のもとで育ってきたのでしょうか?
友沢の母は、漫画家の友沢ミミヨで、代表作の「まめおやじ」は友沢こたおが赤ちゃんの頃をモデルにしているようです。
2019年には、友沢ミミヨ・こたおは親子でアートユニット「とろろ園」を結成し、ミミヨの下絵にこたおが色つけをしているそうです。
友沢こたおの父は、フランス人で、船長を本業としていますが、自分でCDを作るなど音楽活動もしているといいます。
友沢こたおは元アイドル?!
友沢こたおは、そのアート作品の独自性だけでなくその端正な顔立ちにも注目が集まっているようですが、実は友沢は元アイドルだったのだそうです。
2016年6月にアイドルグループ『あヴァんだんど』に参加し、2019年1月まで『小鳥こたお』名義でアイドルとして活動していました。
可愛らしいビジュアルとは裏腹に、プロレス好きというギャップをもつアイドルとしてメディアにも取り上げられたようです。
学業との両立の難しさを理由に、それ以降アイドル活動はしていませんが、納得の経歴ではないでしょうか。
まとめ
漫画家・友沢ミミヨを母に持つ友沢こたおは、現役藝大生でありながらも、すでに個展で作品が完売するなど、人気が急上昇しています。
スライムが用いられたモチーフが印象的な作品は、それを写実的に描く油彩画の技術力と独自のセンスやメッセージ性が感じられます。
すでに作品は数十万円〜百万円程度で販売されていることから、今後のセカンドマーケットでの価格にも注目して行きたいところです。
参考
Fashion Snap【インタビュー】作品は即日完売、現役藝大生の画家 友沢こたおとは何者か?https://www.fashionsnap.com/article/kotao-interview/
美術手帖「友沢こたお」https://bijutsutecho.com/artists/1764