【塩田千春】常設作品や「赤い糸」を用いた代表作などを紹介

Chiharu Shiota
アーティスト紹介

DATA

ニックネーム
かたちの無いものを表現する現代アーティスト
作者について
世界的に活躍する現代アーティスト、塩田千春は、生と死、存在、記憶など人間の根源的な問いをテーマにしたインスタレーションやパフォーマンスなどの作品で知られています。塩田の作品には、赤い糸や船などのモチーフがよく用いられています。

現在の値段

約11,821,828円(直近36ヶ月の平均落札価格)

2020年「State of Being (Shoes)」(立体作品)¥19,385,273(Phillips)30 x 30 x 30 cm
2020年「On the Boat」(リトグラフ)¥391,000(SBI Art Auction)30 x 40 cm
2021年「Trauma / Alltag」(立体作品)¥35,419,313(Phillips)150 x 100 x 80 cm
2021年「Hourglass」(リトグラフ)¥1,207,500(SBI Art Auction)65 x 50 cm
2022年「State of Being (Children's Bed)」(立体作品)¥18,636,386(Christie's)160 x 180 x 77 cm
2022年「Connection with the universe I」(水彩・パステル画)¥3,395,004(Sotheby's)40 x 30 cm
2023年「State of Being (Ship)」(立体作品)¥17,644,365(Phillips)45 x 80.2 x 45.2 cm
2023年「Red Dress」(水彩・油彩画、糸)¥1,557,394(Christie's)32.1 x 24.1 cm

塩田千春の作品は、香港や日本など世界的に取引されています。立体作品は数百万円以上の価格で落札されており、リトグラフや絵画作品なども日本のSBIアートオークションなどでよく出品されているようです。
塩田千春オークション価格

塩田千春の経歴

塩田千春
引用:https://globe.asahi.com/article/12891790

世界各地での個展開催や国際展へも参加、オペラなどの舞台美術も多数手掛けている現代アーティスト塩田千春は、1972年生まれ大阪府岸和田市出身で、現在はドイツ・ベルリンに在住しています。

京都精華大学美術学部(現在の芸術学部)洋画科を卒業している塩田は、在学中の1993年からオーストラリア国立大学キャンベラスクールオブアートに交換留学生として1年間留学しており、この留学中には「一本の線」という並行線のみの大規模なドローイングなどの作品も制作しています。

1996年に、ハンブルク美術大学に入学し、1997年から1999年はブラウンシュバイク美術大学にて、パフォーマンスアーティストのマリーナ・アブラモヴィッチに師事しました。1999年から2003年まではベルリン芸術大学にてビジュアルアーティストのレベッカ・ホーンに師事します。

2008年には、平成19年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞、平成19年度咲くやこの花賞美術部門を受賞し、2015年には第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本代表作家として選ばれ、「掌の鍵」を日本館で展示しました。

2017年、塩田は2度目の卵巣がん発病によって、6時間もの長さの手術を経て卵巣を摘出し、5ヶ月にわたって抗がん剤治療を続けました。癌という病に打ち勝ち2019年には2019年6月には、東京六本木の森美術館にて、大規模個展「塩田千春展:魂がふるえる」を開催しました。

その他、南オーストラリア美術館、ヨークシャー彫刻公園、K21-ノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館、高知県立美術館、丸亀猪熊源一郎現代美術館、国立国際美術館など、世界各地で個展を開催しています。

また、シドニー・ビエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭、キエフ国際現代美術ビエンナーレ、横浜トリエンナーレなどの国際展にも多く参加しています。

塩田は、作品制作を通じて『生きることとは何か』を探求しながら、生と死という根源的な問題に向き合い、場所やモノに宿る記憶のような『不在の中の存在感』を糸で紡いで表現した大規模なインスタレーション、写真や映像、立体などさまざまな手法の作品を制作しています。

塩田千春の作品

「不確かな旅」2016年

「不確かな旅」塩田千春
引用:https://www.chiharu-shiota.com/uncertain-journey-jp1

個展「不確かな旅」で展示された作品です。

鉄枠の船と塩田の作品によく見られる赤い毛糸で制作されたインスタレーションは、不在の中の存在感を表現しています。

「Cell」2018年

引用:https://ueshima-collection.com/collection-list/496#:~:text=2017%E5%B9%B4%E3%80%81%E5%A1%A9%E7%94%B0%E3%81%AF2,%E9%96%8B%E5%82%AC%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

塩田は、『人間の生と死』を多くの作品の命題にしています。

2017年に二度目の卵巣がんを患った塩田は、細胞を題材とした「Cell」シリーズを制作しました。

癌は、アポトーシスが機能しないことによって異常に繁殖した細胞組織によって起こる疾患であり、「Cell」シリーズは自身の闘病経験を経て、人間としての尊厳、自我を、自らの身体へと再び取り戻すために作られたそうです。

「どこへ向かって」2017/2019年

塩田千春「どこへ向かって」
引用:https://www.flickr.com/photos/moriartmuseum/48312441756

「どこへ向かって」は、2019年に森美術館で開催された「塩田千春展:魂がふるえる」で入り口に展示された作品です。

ワイヤーとロープを使って複数の舟が吊るされ、どこか一点の方向に向かっているかのように見えます。

舟は塩田の作品に頻繁に使われるモチーフのひとつで、大海に浮かぶ小舟のように、『先の見えない未来や人生』などを連想させるものとして、用いられています。

「水の記憶」2021年

塩田千春「水の記憶」
引用:https://towadaartcenter.com/collection/memory-of-water/

青森県の十和田市現代美術館は、2008年の開館以来、2021年に初めて常設作品を入れ替え、その際に塩田の作品「水の記憶」が常設作品となりました。

日本国内の公立美術館で塩田の作品が常設されるのは本作が初めてです。

塩田の代表的なモチーフである船と赤い糸で構成された本作品は、22万年前の火山活動によって形成されたと言われる十和田湖から着想を得た作品です。

塩田千春の個展、参加するグループ展

塩田の展覧会は、現在世界各地で開催中です。

  • 2023年3月26日ー 8月20日:「ハマープロジェクト:塩田 千春」個展、アーマンド·ハマー美術館、ロサンゼルス、アメリカ
  • 2023年8月5日ー9月3日:「ナンバーズ」グループ展、タラスプ城、スイス
  • 2023年6月1日ー 9月10日:「目と目」個展、ハウス・コンストルクティヴ美術館、チューリッヒ、スイス
  • 2023年7月07日ー 11月12日:「明日の私は誰?」個展、ドルンビルン美術館、ドルンビルン、オーストリア
  • 2022年10月23日ー2024年04月1日:「音のない言葉」個展、Schauwerk Sindelfingen, ジンデルフィンゲン、ドイツ
  • 2023年6月28日ー未定:「二人展:宋冬 x 塩田千春」、二人展、悅來美術館、重慶、中国

また、2023年9月30日から2024年1月14日には、深圳、中国の深圳美術館にて、東京の森美術館で開催された個展「塩田千春展 : 魂がふるえる」の巡回展も予定されています。

まとめ

塩田千春は、世界的に活躍する現代アーティストで、赤い糸や船などのモチーフを用いた表現のインスタレーション作品などで知られています。

作品を通じて『生と死』に向き合ったメッセージを発信しています。

世界各地で個展やグループ展に参加しているほか、青森県十和田美術館では、日本初の常設作品も鑑賞できます。

参考

Wikipedia 塩田千春

塩田千春公式サイト https://www.chiharu-shiota.com/

Artsy Auction Results – Chiharu Shiota https://www.artsy.net/artist/chiharu-shiota/auction-results

画像引用元:https://www.koeniggalerie.com/blogs/news/chiharu-shiota-across-the-river https://www.kooness.com/posts/magazine/chiharu-shiota-the-sensation-of-memory

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。