【ムルロ工房】ピカソやシャガールなどの印刷が人気!パリが愛したリトグラフ

ムルロ工房
アーティスト紹介

DATA

ニックネーム
パリが愛したリトグラフ
作者について
ムルロ工房とは、1920年以降特に1950年頃に数々の版画を作り出した印刷所です。 シャガールやピカソそしてマティスなど日本人にもなじみの深い作家の作品を数多く世に出しました。

現在の値段

78,187円

ムルロ工房の作品は、リトグラフという、作品を何枚も複製できる方式で、ポスターを制作しているので、美術品の中ではかなり手に入りやすい価格帯です。
ピカソやシャガールなど、巨匠の作品が欲しいけれど、とても買えない美術ファンにとっては、嬉しい価格帯です。ただし、偽物も多いそうなので注意が必要になります。

浮世絵と同じく、作られた時代やものによりますが、ピカソが1番価格が高いと思われます。

工房の歴史

まずはじめに、ムルロ工房で作成されているリトグラフとは、18世紀末にドイツのミュンヘンでヨハン・アロイス・ゼーネフェルダーによって考案された新しい印刷方式です。
平らな石や金属板の上に描画し、印刷する版画です。平らな版面の上に描き、平らな版面のまま印刷するので、平版と呼ばれています。(出典:美学校)


フェルナン・ムルロ(1895-1988年)が営む版画工房は、20世紀のパリで活動した芸術家たちの間で、伝説的な存在として語られてきました。

1921年、フェルナン・ムルロと兄は、印刷所を経営してた父の会社を受け継ぎ、「ムルロ兄弟社」と名付けました。初期の頃は、フランス・パリにて、シャンパンのラベルや商業作品、劇場、キャバレーのポスター、広告などを製作していました。
ムルロ工房がアートシーンで活躍したのは、1930年にルーブル美術館で開催されたデラクロワ展でした。フェルナン・ムルローにより、展示ポスターが、初めて芸術作品として認識されました。

偉大な芸術家たちは、ムルロ工房の高い技術を評価し、魅了しました。ピカソ、マティス、シャガール、ミロ、ブラック、レジェ、ジャコメッティなどが自分たちの作品だけでなく、美術業界全般を盛り上げるため、新しい表現の一つとして自身の作品のリトグラフの作成し、新しい創造の可能性をムルロ工房と一緒に追求をしていきました。
印刷技術を向上させるために、インクや色彩を実験し、トーンや光の影響を分析しました。その結果、ムルロ工房のポスターは非常に優れた品質の作品をつくることができました。


1967年、フェルナンドの息子であるジャック・ムルロは、ニューヨーク市のバンク・ストリートにスタジオの支店を開設しました。ラウシェンバーグ、ベーコン、リヒテンシュタイン、カルダー、ケリー、カッツなどの芸術家と協力して現代のリトグラフの傑作を制作しました。しかし、残念ながらジャック・ムルロの引退で、工房は1999年に閉鎖されました。


現在、5代目となるエリック・ムルロはムルロ・エディションズにて巨匠の作品を世の中に紹介しています。

まとめ

100年以上続いた工房は、商業ポスターの制作をしたり、画家の創作活動を支援したりしていました。伝統を守りながらも、多くの芸術家とコラボレーションし、新しいことに挑戦していく姿は、現代アートの礎を担ったと思います。

参考ページ

DIC川村記念美術館
「ムルロ工房と20世紀の巨匠たち」
( URL:https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2015/mourlot/)


https://bigakko.jp/course_guide/print_photo/sekihanga/explanation.html

ABOUT ME
しおり岡
編集長/ライター。小学生の頃はエジプト文化、中学生では西洋美術、高校生は日本の歴史にハマり、大学在学中に仏像に恋をして、学芸員を取得。卒業後、大手人材会社で営業を経験。その後、飲食店の広報・デザイナーを経て、アメリカ・NYにて転職。コロナウイルスのため帰国し、現在は日本に滞在中。趣味は「美術館や遺跡を経験するための海外旅行」。今まで40カ国以上を旅行をし、世界の建築や文化、食事、アートに触れる。