ブルース・ウェーバーの経歴
ブルース・ウェーバー(Bruce Weber)は、1946年3月29日生まれのアメリカのフォトグラファー、映画監督です。
アメリカのペンシルバニア州グリーンズバーグのユダヤ人の家庭に生まれたウェーバーは、1970年代後半にファッション媒体である「GQ」誌で初めてその写真が起用され、以降ファッションを中心とした雑誌のカバーを撮影するようになりました。
1980年代後半から1990年代前半にかけては、アメリカを代表するカジュアル・アンダーウェアブランドであるカルバン・クラインの広告イメージを撮影したことから評価され、さらに注目されるようになります。
その後ウェーバーは、その他にラルフローレン、ピレリ、アバクロンビー&フィッチ、レブロン、ジャンニヴェルサーチの広告キャンペーン、またVogue、GQ、ヴァニティフェア、エル、ライフ、ローリングストーン誌など、幅広く大手ブランドや雑誌の仕事を担当しました。
ウェーバーの写真のスタイルは、カラーのものもあるものの、そのほとんどが白黒あるいはトーンダウンした色合いであるのが特徴でしょう。また、ウェーバーが撮影した鍛え抜かれた男性モデルの下着姿や自然体の表情、ポージングは、写し出された写真のスタイルは当時斬新であり、一時的に業界で物議を醸しましたが、ファッション業界の広告写真のあり方を大きく変えたきっかけとなったといえるでしょう。
『古き良きアメリカ』のスタイルが表現されたウェーバーの作品はどこかノスタルジックで、ファッション業界を中心として世界的にファンが多くいます。
さらにウェーバーは、写真作品の他に映画監督として、映像作品も制作しています。
1987年のオレゴン出身の若いボクサー、アンディ・ミンスカーについての長編ドキュメンタリー「ブロークン ノーズ」は、1988年にサンダンス大陪審賞にノミネートされ、1988年には、ジャズトランペッターのチェット・ベーカーのドキュメンタリー映画「レット・ゲット・ロスト」の監督を努めました。本作品は、サンダンスで審査員大賞にノミネートされ、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされています。
これらの映像作品はいずれも、写真撮影をきっかけとした出会いから発展して制作されることになったそうです。
歌手のクリス・アイザックや俳優のレオナルド・ディカプリオ、スーパーモデルのケイト・モスなどの有名人を被写体とした作品でも知られており、オークションでも高い価格で取引されている傾向にあります。
ブルース・ウェーバーが撮影した有名人
ウェーバーは、ファッション広告や雑誌のカバーだけでなく、多くの俳優やモデル、ミュージシャンなどの有名人を被写体とした写真でも知られています。
マドンナ
1986年にニューヨークで撮影されたアメリカのマドンナの写真です。
レオナルド・ディカプリオ
1994年にニューヨークのコニーアイランドにて撮影された俳優レオナルド・ディカプリオの写真です。
チェット・ベイカー
1986年に撮影されたジャズトランペッター、チェット・ベイカーの写真です。
リヴァー・フェニックス
1990年にフロリダにて撮影された映画俳優リヴァー・フェニックスの写真です。
ケイト・モス
1997年にニューヨークにて撮影されたモデル、ケイト・モスの写真です。
ブルース・ウェーバーの写真集
「O Rio de Janeiro」
写真集「O Rio de Janeiro」は、ブラジル・リオデジャネイロとその周辺を舞台とし、現地の若者たちや風景などや、ブラジルの柔術チャンピオン、リクソン・グレイシーのポートレートが含まれます。
本写真集のデザインはアートディレクターのサム・シャヒード(Sam Shahid)が担当し、その後二人はコラボレーションシリーズの制作を続けています。
「Gentle Giants」
写真集「Gentle Giants」は、ウェーバーがアメリカのマサチューセッツ、ミシガン、モンタナ、カリフォルニア、コネチカット、ニュージャージー、ニューヨーク、サスカチュワンの家庭や犬小屋、さらにはローマのコロッセオ、ボルゲーゼ荘庭園、ナヴォーナ広場噴水で、2年間にわたって大型犬ニューファンドランドの写真を撮影した作品集です。
犬と人の暮らしをテーマにした作品とあわせて、ウェーバー自身のテキストやパティ・スミスによる詩が添えられており、ウェーバーの犬への愛情が感じられる作品です。
「THE ANDY BOOK」
写真集「THE ANDY BOOK」は、ウェーバーの初の長編ドキュメンタリー映画「Broken Noses」の主役となったボクサー、アンディ・ミンスカーの関連写真集です。
アンディの仕事ぶりやポーズ、ボクシング・キャンプの子供たちとのトレーニングの様子を写した写真が含まれます。
「The Golden Retriever Photographic Society.」
写真集「The Golden Retriever Photographic Society.」は、ウェーバーのキャリア初期から彼の作品に登場してきた⽝たちが主⼈公となった作品集です。
自身も50年以上犬と共に過ごし、最愛の家族、パートナーとして犬たちへの深い愛情を持つウェーバーによって撮影された写真は、スタイリッシュながらも彼の人間性が感じられる温かい作品集です。
ブルース・ウェーバーのTシャツ
ウェーバーの写真がプリントされたTシャツは世界のコレクターから人気があり、特にヴィンテージの商品の中には、予想落札価格が100万円とされるものもあるといいます。
日本では、2015年にファッション・カルチャープロデューサー、ミュージシャン藤原ヒロシと蘭の店 PLACERWORKSHOP(プラセール)のオーナーであり様々なアートワークも手がける内田洋一郎のコラボレーションTシャツ「the POOL aoyama × YOUCHIRO UCHIDA」がthe POOL aoyama青山本店にて販売されています。
また2021年に発表されたブルース・ウェーバーとファッションブランドFREAK‘S STORE(フリークスストア)のコラボレーションTシャツも、話題になりました。
また2023年2月〜3月には伊勢丹新宿店にて、個展「Those Halcyon Days」が開催され、モデルにケイト・モスやナオミ・キャンベルなどを含む、1980年代初頭から2000年代初頭にかけて撮影されたファッション写真63点と100点以上の特大デジタル拡大写真が展示されました。個展と合わせて、Tシャツなどのウェーバーが伊勢丹のためにデザインしたアイテムも抽選販売されました。
ウェーバーのヴィンテージTシャツを探している方は、彼の写真がプリントされたTシャツを多く取り扱っている「weber AUCTION」をチェックしてみると良いでしょう。
まとめ
ブルース・ウェーバーは、ファッション業界を中心とした仕事の功績によって世界的に有名になり、多くのファンを持つ写真家・映像監督です。
彼の写真はもちろん、作品をおプリントしたTシャツや写真集なども人気で、多くのコレクターによって収集されています。
参考
Wikipedia Bruce Weber https://en.wikipedia.org/wiki/Bruce_Weber_(photographer)
写真引用元:https://hero-magazine.com/article/96725/bruce-webers-calvin-klein-campaign-image-breaks-world-record https://www.invaluable.com/auction-lot/bruce-weber-untitled-1988-306-c-1c645eeaf2
2022「Golden Beach, Florida」¥739,345(サザビーズ)41.6 x 34.2 cm
2023「Georgia O'Keeffe, Ghost Ranch」¥566,710(Phillips)34.3 x 26.7 cm