【アルマン・フェルナンデス】「集積」シリーズなどのヌーヴォー・レアリスムの代表作品や経歴を紹介

Armand Fernandez
アーティスト紹介
アルマン

DATA

ニックネーム
ヌーボー・レアリズムの代表作家
作者について
アルマン・フェルナンデスは、第二次世界大戦後の大量消費社会への批判を、彫刻や絵画など様々な形で表現したアーティストです。フランスやレバノン、台湾など世界の各地にパブリック・アート作品があることでも知られています。特に有名なのは「集積」シリーズで、車やキャンディ、時計などのオブジェクトを積み重ねて作られた作品が印象的です。

現在の値段

94,464円(平均、号単位)

2019「GORGONE」約549万円(サザビーズ)
2020「Untitled」約481万円(サザビーズ)
2021「Entrée des Croisés」約594万円(サザビーズ)

アルマン・フェルナンデスの作品は、彫刻、ドローイングなどを始め、多岐にわたるジャンルがオークションに出品されています。価格帯も様々で、数十万円から数百万円の価格帯がほとんどを占めています。
アルマン 値段

アルマン・フェルナンデスの経歴

アルマン
引用:Arte Moderna「FERNANDEZ ARMAN」https://www.amartemoderna.com/en/artist/fernandez-arman/

20世紀後半において最も独創的で多彩なクリエイターの一人として知られているアルマン・ピエール・フェルナンデス(以下、アルマン)は、巨大な公共彫刻やドローイング、版画など、幅広い芸術作品を発表しています。

1928年、フランスのニースに生まれたアルマンは、古美術商とアマチュア・チェロ奏者の息子として生まれ、幼い頃から絵画の才能を発揮していました。

1947年からニースの警察の柔道教室に通っていたアルマンは、そこで後に一緒に芸術活動をすることになるイヴ・クライン、クロード・パスカルの2人と出会いました。

クライン、パスカルの二人とは、のちにヨーロッパ旅行などを共にするなど、インスピレーションを与え合っていたといいます。

ニース国立装飾美術学校に入学するも1949年に退学してパリに移ったアルマンは、エコール・ドゥ・ルーブルに入ってシュルレアリスム風の絵を描いていたそうです。

1951年、アルマンは武士道会の柔道講師としてスペイン・マドリードへ赴き、兵役についた後、1953年にニースへ戻ります。

1954年、ダダイスムのアーティスト、クルト・シュヴィッタースの展覧会で、廃物を寄せ集めた作品を見て衝撃を受けたアルマンは、これをきっかけに現在の廃物を芸術作品に変容させるようなスタイルを築いていったそうです。

その後、1956年にパリでスタンプ絵画などによる初個展を開き、成功を収めます。

アルマンは、柔道教室で出会ってからの付き合いであるイヴ・クラインやセザール・バルダッチーニらと、「ヌーヴォー・レアリスム」という芸術運動を通じて、廃棄物を芸術作品に変容させて第二次世界大戦後の大量消費社会の中の生産・消費・廃棄のメカニズムへの批判を表現しました。

おもちゃの車や絵の具のチューブ、留め具や蛇口など、同じものを何度も繰り返して重ねて使う「集積」シリーズもこの頃から製作し始めたようです。

また、アルマンは表現の方法の一つとして破壊を取り入れることもありました。ブロンズ像やバイオリンなどを切り刻み、燃やし、壊して、その破片をキャンバスに貼り付けたり、プレキシガラスに包んだりした作品も多く見られます。

アルマン
引用:Humphries Associes「Arman」https://www.humphries-associes.fr/artiste/arman/

1968年には、ヴェネツィア・ビエンナーレとドクメンタに出展するなど国際的な活躍を続けていたアルマンは、1973年にアメリカ合衆国の国籍を取得します。

晩年まで、台湾や上海での大規模なパブリック・アートを製作したりと、活躍を続けていたアルマンですが、2005年にニューヨークの自宅にて亡くなりました。

アルマンの作品は、アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館、イギリス・ロンドンのテート・ギャラリー、フランス・パリのポンピドゥー・センターなど、世界各地の有名美術館に所蔵されています。

アルマン・フェルナンデスの有名な作品

「長期間駐車」1982年

アルマン
引用:Vintag「”Long Term Parking” by Arman – Accumulation of 60 Automobiles in Concrete, 1982」https://www.vintag.es/2018/09/long-term-parking-1982.html

フランスのジュイ=アン=ジョザにある、集積シリーズの「長期間駐車」は、高さが約18メートルもある巨大なモニュメントです。

作品に埋め込まれている車の多くは、1960年代のフランス車のようで、ルノー社のフィアットなどが見られます。

車を大胆かつ乱雑に用いた表現から、まさに大量消費社会への批判を感じ取ることができます。

「みんなの時間」1985年

「集積」シリーズの中でも有名な「みんなの時間」は、フランス・パリのサン・ラザールのランドマークになっています。

金持ちの時間、貧しい人の時間、急いでいる人の時間、など、あらゆる人々、みんなにとっての『時間』を寄せ集めたものをイメージして作られているそうです。

「平和への希望」1995年

「平和への希望」モニュメントは、1990年のレバノン内戦終結を記念して、1995年にアルマンによって制作されました。

ベイルート南東のヤルゼ、国防省の近くに設置されています。

「チュパチャップス」2000年

アルマン
引用:Artsy「Chupa Chups, 2000」https://www.artsy.net/artwork/arman-chupa-chups-1

集積シリーズ「チュパチャップス」は、タイトルの通り、有名なキャンディを大量に用いて制作された作品です。

大衆によって大量消費されるモノを題材としたポップアートのような雰囲気を感じます。

まとめ

ダダの影響を強く受け、ポップ・アートにも強い影響を与えたアルマン・フェルナンデス。

一目で彼の作品だとわかる集積シリーズなどの作品からは、ヌーヴォー・レアリスム運動を通じて伝えようとした大量消費社会への批判がひしひしと感じられますが、それらの作品が世界各地の街のランドマークとして有名になっていることもなんだか皮肉に感じます。

日本ではまだアルマンの展覧会が開催されたことはないようですが、オークション結果を見ても世界的に人気が高まっているアーティストなので、今後も注目しておきたいです。

参照

ARMAN STUDIO http://www.armanstudio.com/

Artsy「Arman」https://www.artsy.net/artist/arman/auction-results

ABOUT ME
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、2021年より趣味で陶芸をはじめる。