コラム記事

アートの一部になって楽しめる!人気の体験型アートとは?

最近では、絵画や彫刻作品を観るだけでなく、自らがアート作品の中に入って現代アートの新しい体験をすることができる美術館やイベントがたくさんあります。

このような空間自体をアート作品として作り上げた、デジタルとアナログが融合したようなスタイルの体験型アートが今世界各地で人気を集めているようです。

体験型アートは、従来のアート鑑賞体験とは全く違う次元のものであり、鑑賞者自身がより一層空間に没頭し、その一部となって、五感で作品を楽しむことができます。

鑑賞する各個人を中心として作品が構成されており、それぞれの固有の体験が鑑賞者ごとの記憶に深く残ります。

この体験型アートは、長い美術史の中でも、現代美術を代表するスタイルであり、歴史に名を残すムーブメントの1つといっても過言ではありません。

今回は、そんな体験型アートについて、国内外のオススメの美術館・イベント、有名なインスタレーション作家などを取り上げながら紹介します。

インスタレーションとは?

現代アートが好きな方なら必ずインスタレーションという言葉を聞いたことがあるでしょう。

インスタレーション・アートとは、まさに体験できるアートであり、現代アートの1つの表現手法で、アーティストが空間自体を作品と捉えて製作し、鑑賞者それぞれの体験を提供しているのが特徴です。

インスタレーション
引用:Widewalls「What Is Installation Art and How Does It Transform Our Perception?」https://www.widewalls.ch/magazine/installation-art

『現代アート作品って結局どんなメッセージを伝えようとしているのか、何を意味しているのかわからない!』という方も多くいると思いますが、まさにこのインスタレーションは観る人たちそれぞれが各自の五感を使って体験することで感じることそのものがアートであり、その解釈に正解はないのです。

インスタレーション・アートを製作するアーティスト

草間彌生

草間彌生
引用:Conde Nast Traveler「A Yayoi Kusama Museum Will Open in Tokyo This Fall」https://www.cntraveler.com/story/yayoi-kusama-museum-tokyo

言わずと知れた日本を代表するアーティスト、草間彌生(以下、草間)。アイコニックな水玉模様が特徴的な草間のアート作品は、世界中で人気を集めています。

最近だと、2021年4月から、ニューヨーク・ブルックリンのボタニカルガーデンで草間のインスタレーション展覧会、“KUSAMA: Cosmic Nature”が開催中です。

なんとサッカーコート約250面分と言われる広大な土地を持つボタニカルガーデンの空間に自然と溶け込むように、ランダムに草間の作品が展示されており、今しか味わえない特別な体験が提供されています。

吉岡徳仁

吉岡徳仁
引用:ALA CHAMP「TOKUJIN YOSHIOKA」https://champ-magazine.com/art/tokujin-yoshioka/

現在開催中の東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレートーチのデザインを手がけるなど多彩な才能を発揮するアーティスト吉岡徳仁(以下、吉岡)は、建築・デザイン・アートそれぞれの分野で活躍しています。

自然をテーマにした吉岡の壮大な作品は、フランス・パリのオルセー美術館に常設されていたり、銀座の商業施設「GINZA SIX」の吹き抜け空間に展示されたりと、作品そのものの美しさがあるだけでなく、様々な空間に自然と溶け込むスタイリッシュさが特徴です。

艾未未(アイ・ウェイウェイ)

アイ・ウェイウェイ
SARTLE「Sunflower Seeds」https://www.sartle.com/artwork/sunflower-seeds-ai-weiwei

中国を代表する現代アーティスト、アイ・ウェイウェイ。(以下、ウェイウェイ)

ウェイウェイは、アーティストとしてだけでなく、活動家としても知られており、中国政府から軟禁された経験もあるそうです。

そんなウェイウェイのインスタレーション作品として有名なのが、イギリスのテートモダンで展示された「Sunflower Seeds」です。本物そっくりなフェイクのヒマワリの種を1億個以上床一面に敷き詰めた作品の隣のブースでは、作品のメイキング映像を観ることができます。

中国といえば機械を使った大量生産をイメージしてしまいますが、この作品のために一つ一つ手作業で1600人の人達によって約2年半の歳月をかけて作られたひまわりの種のストーリーを観ることで、作品の見方が変わります。

クリスチャン・ボルタンスキー

クリスチャン・ボルタンスキー
引用:Marian Goodman Gallery「Christian Boltanski」https://www.mariangoodman.com/artists/33-christian-boltanski/

フランスを代表する現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー(以下、ボルタンスキー)は、歴史上の出来事や生と死などをテーマにしたインスタレーション作品で有名です。

2019年には、東京の国立新美術館で、半世紀にわたって製作されたボルタンスキーの作品を一気に鑑賞することができる個展「Lifetime」が開催されました。

戦争中にユダヤ人として迫害の恐怖に恐れながら生きた父を持つボルタンスキーは、教育をまともに受けられず、10代前半に絵を描き始めます。その人生の中で生と死について考えることが多かったボルタンスキーはその独自の感性を作品に投影しました。

自身を空間のアーティストと表現するボルタンスキーは、数多くのインスタレーション作品を残しています。

世界で人気を集めている体験型アート

イマーシブ・ファン・ゴッホ

ゴッホ展
引用:Axios「Dueling Van Gogh exhibits cause confusion across America」https://www.axios.com/van-gogh-exhibit-immersive-scam-real-1c7e6cf4-b8a2-4bc7-8013-4d00cb2ea7e1.html

アメリカ・ニューヨークでは、現在体験型のアート展「イマーシブ・ファン・ゴッホ」が人気を集めています。

西洋絵画の巨匠、ファン・ゴッホ(以下、ゴッホ)の代表作「ひまわり」などの有名な絵画作品に光や音楽などを加えて、鑑賞者がそれらの作品の中に足を踏み入れることができるような体験を提供しており、ゴッホの絵画のファンはもちろん、その空間で写真を撮りたい若者でも賑わっているそうです。これまでにアメリカではシカゴ、サンフランシスコ、カナダのトロントで開催され、大反響だったため、今年はニューヨークを含む16都市で新たに開催されます。

「イマーシブ・ファン・ゴッホ」はイタリアの映画プロデューサーであるマッシミリアーノ・シカルディによるデザイン、作曲家のルカ・ロンゴバルディによる音楽で、アート界の巨匠ゴッホの作品を全く新しい形に変え、新しい世代にもその素晴らしさを届けています。

Superblue(スーパー・ブルー)

スーパーブルー
引用:See Great Art「Superblue Miami opens in Allapattah neighborhood」https://www.seegreatart.art/superblue-miami-opens-in-allapattah-neighborhood/

スーパー・ブルーは、2021年5月にアメリカ・フロリダに新しくできた体験型アートセンターです。

大手ギャラリーのペースよる体験型アート展の企画・プロデュース・拡散を目的とした新たなアート事業の一環として開設されたアート施設スーパーブルー・マイアミは、新世代の体験型アート作品を製作するアーティストたちの実践の場として使用され、多くの来場者を魅了しています。

スーパー・ブルーは今後も世界各国の年に体験型アートセンターを開設する予定だそうです。

チーム・ラボ

チームラボ
引用:Business Wire「teamLab Borderless Becomes the Most Visited Single-Artist Museum in the World.」https://www.businesswire.com/news/home/20190808005373/en/teamLab-Borderless-Becomes-the-Most-Visited-Single-Artist-Museum-in-the-World.

日本発の学際的集団チームラボは、アーティスト、建築家、プログラマー、エンジニア、CGアニメーターなど、多彩な才能が集まったチームでデジタル技術を駆使し、没入型のデジタルアートの新しい形を世界に発信し続けています。

そのデジタルアートが織りなす圧巻の空間には非日常の世界が広がっており、撮影した写真をSNSに載せる人も多いため、国境を超えて世界各国から注目されるようになりました。

前述したスーパー・ブルー・マイアミがオープンした時の最初の展示「Every Wall is a Door」にもチーム・ラボは複数の作品を出展しています。

日本でオススメの体験型アートスポット

金沢21世紀美術館

21世紀美術館
引用:japan travel「21st Century Contemporary Art」https://en.japantravel.com/ishikawa/21st-century-museum-of-contemporary-art-kanazawa/8090

日本国内で人気の現代アートミュージアムといえばここ!石川県金沢市にある21世紀美術館です。

常設の展示作品を代表するのは、レアンドロ・エルニッヒの「スイミング・プール」で、上から、下からと作品を観る角度を変えると全く違う景色を楽しむことができます。これはまさに実際に作品の中に入ることができる体験型の展示です。

また、子供達が公園に来るかのように遊びに来ることができる屋外交流ゾーンにもアート作品が展示され、自由に鑑賞したり、遊んだりできるようになっています。

六甲ミーツ・アート

六甲ミーツアート
引用:4travel「六甲 「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2017」」https://4travel.jp/travelogue/11300129

「六甲ミーツ・アート芸術散歩」は、毎年秋に兵庫県六甲山で開催されるアートイベントです。現代アートの魅力と六甲山をより多くの人々に知ってもらうことを目的とし、2010年から開催されています。

様々な現代アーティストの作品が、六甲山の広大な自然の中に自由に展示された風景はとても印象的で、新しい形のアート体験ができます。

素晴らしい眺望で人気の六甲山ですが、自然の中にアート作品が展示されると普段とガラッと風景が変わって、新たな一面を見ることができます。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭

京都グラフィー
引用:Artscape「拡張するKYOTOGRAPHIE──京都から発信する写真の力」https://artscape.jp/focus/10145711_1635.html

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭は、日本を代表する文化都市である京都で開催される国際的な写真祭です。

国内外の作品と歴史的建造物の空間のコラボレーションが美しく、写真だけでなく最新のテクノロジーとのコラボによって、新しい体験ができるインスタレーション作品なども毎年多く展示されます。

まとめ

現代アートを鑑賞しに体験型アートのイベントや施設への訪問は、家族や友達とのお出かけ、恋人とのデートなどの休日のプランとしても人気があります。

自分自身の感じ方と、一緒に行った相手の感じ方がきっと違うというのも面白いポイントだと思います。作者であるアーティストのバックグランドや、製作背景を知ってから作品を体験してみると、また違った見え方がするかもしれません。

体験型アートで一緒にアートの世界に没入した後に、現代アートについて話を膨らませてみることができると、より楽しめるのではないでしょうか。

個人的には、2019年に日本に帰国した際に、東京の国立新美術館でクリスチャン・ボルタンスキーの展示「Lifetime」を1人で観に行ったのですが、彼の作品のメッセージ性が重くのしかかってくるような感覚があり、うまく言語化できない気持ちでいっぱいになりました。

こういう時に、アート作品を誰かと見ていると、観賞後に意見交換ができたり、頭の中が整理できて更にいいのかもしれないと感じました。

今後も世界各地で増えていくであろう体験型アート。2020年以降、私自身すっかり美術館巡りの頻度が減ってしまいましたが、今後も注目していきたいと思います!

参考

Van Gogh the immersive experience:https://vangoghexpo.com/
Miami New Times「Superblue Showcases the Potential of the Immersive Art Experience」https://www.miaminewtimes.com/arts/review-superblue-miami-gets-the-immersive-art-experience-right-12313891
チームラボ:https://www.team-lab.com/
六甲ミーツアート:https://www.rokkosan.com/art2021/
金沢21世紀美術館:https://www.kanazawa21.jp/
KYOTO GRAPHIE:https://www.kyotographie.jp/

ABOUT ME
あやね
あやね
2018年にアメリカ NYへ移住した、京都生まれの大阪人。日本の伝統工芸が持つ独特で繊細な美しさが好きで、着物や器を集めている。郊外の家に引っ越したことをきっかけに、アート作品やアンティーク家具を取り入れたインテリアコーディネートにも興味を持ち始める。アメリカで、日常生活に様々な形でアートを取り入れる人々に出会い触発され、今年は自宅で陶芸も始める予定。